板橋区立熱帯環境植物館に行ってきました!~魚と出逢えるミニ水族館も~

東京23区の植物スポット

筆者

東京23区に、まるで別世界のような、熱帯系の植物スポットがあるのをご存知でしょうか?

本記事では、約700種類2000本の植物が育つ「板橋区立熱帯環境植物館」を訪れたときのことをご紹介します

「熱帯の環境を楽しみながら学べる博物館型植物館」というテーマを掲げており、めずらしい植物はもちろん、カラフルな魚やユニークな爬虫類にも出逢えます。

学びと発見に満ちたこの施設は、大人から子どもまで、誰もが楽しめること間違いなしです

目次

都営三田線「高島平駅」からの徒歩ルート

「板橋区立熱帯環境植物館」には、都営三田線「高島平駅」から、歩いて向かいました。
寄り道をしたため、駅からの最短ルートではありませんが、「板橋区立熱帯環境植物館」からほど近い遊歩道を通り抜けるルートです。

季節感を演出(クリスマスツリー)

今回「板橋区立熱帯環境植物館」に足を運んだのは12月。
出入口付近には、クリスマスツリーが展示されていました

冬を代表する花「ポインセチア」とあわせた演出で、周囲からは頻繁にシャッター音が聞こえてきました。

クリスマス以外にも、季節ごとに、さまざまなイベントが開催されているのでしょう。

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地下のエリア~ミニ水族館

館内の順路は、地下のエリアからスタートします。

ネジレフサマメの板根(ばんこん)

建物内の階段を下りていくと、「ネジレフサマメの板根(ばんこん)」が展示されています。

ネジレフサマメと板根(ばんこん)
  • ネジレフサマメ
    • タイやマレーシアなどで自生し、樹高20mほどまで育つ植物
  • 板根(ばんこん)
    • 地表近くの根から幹にかけた部分が発達し、壁のような形状をしている
    • 土壌が浅く、深くまで根が張れない場所でも、自重を支えるために発達させた器官

板根は、他の植物ではなかなか見られない器官です。
展示された板根を目の当たりにすると、植物の環境への適応能力に、感心させられるものがあります

インドシナウォータードラゴンの「グリちゃん」

板根の付近には、インドシナウォータードラゴンの「グリちゃん」が飼育されていました。

板橋区立熱帯環境植物館の人気者

透明な水槽に入った「グリちゃん」は、活発に動きまわっており、勢い余っていきなり水槽の中から飛び掛かってきました…!
水槽に激突して水中に落下していましたが、なにかを、エサと勘違いさせてしまったようです。

愛きょうのある顔立ちから、きっと「板橋区立熱帯環境植物館」の人気者なのでしょう

雑食で、身体の色を変化させられる

そのすがたは完全に肉食ですが、「インドシナウォータードラゴン」は、昆虫や果物などを食べる雑食です。
「グリちゃん」はあざやかな緑色に身体を色づけていましたが、天敵から身を守るために、身体の色をある程度変化させられるのも特徴的です。

ちなみに「グリちゃん」というネーミングは、来館者からの公募の中から名付けられています。

ミニ水族館

地下のエリアには、さまざまな魚が展示されている「ミニ水族館」が設けられています。

名前に“ミニ”と付いていますが、魚類と爬虫類をあわせて約150種類、2500匹が飼育されており、十分大きなエリアです

「ミニ水族館」では、カラフルな熱帯魚や、毒をもっていそうなクラゲなどが、忙しなく泳ぐ光景が印象的です。

「板橋区立熱帯環境植物館」では、近隣の「板橋清掃工場」の余熱を利用しているため、25℃程度の水温を好む熱帯魚でも、元気よく育てられるのでしょう。

水族館は意外と入館料がかかるため、数百円でいろいろな魚が観賞できる「板橋区立熱帯環境植物館」は、コストパフォーマンスに優れたスポットです

スポッテッド・ナイフフィッシュ(?)

ユニークな見た目をした魚も、優雅に泳ぎ回っていました!

おそらく「スポッテッド・ナイフフィッシュ」という魚だと思われます。
身体に描かれている魚の目のような模様で、外敵をカモフラージュしているのでしょう。

高級魚「アロワナ」の仲間で、自生地では、揚げ物などにして食べられることもあるそうです。

エイ

「ミニ水族館」で、多くの注目を集めていた存在が、慌ただしく泳ぎ回っていたエイです。

立派なエイです。

「エイ」は、尾の先に毒針をつけています

水族館で展示されているエイは、他の魚のすぐ近くを泳いでいることがあります。

筆者

他の魚に、エイの毒針が刺さってしまうことはないのかな…!?

と疑問に感じることがありますが、エイは自分から危害を加えることは、ほとんどない魚です。
魚同士の相性もあるため、水族館で見られるエイの多くは、温和な性格の魚と同じ水槽で飼育されています。

さまざまな植物が立ち並ぶエリア

いよいよ、植物館が待つスポットへ足を向けました。
植物が育つエリアは、以下の4つのゾーンに分かれています。

4つのゾーン
  • 潮間帯ゾーン
  • 熱帯低地林ゾーン
  • 集落景観ゾーン
  • 雲霧林ゾーン

潮間帯ゾーン

まずは「潮間帯ゾーン」からです。

小川を中心として、その周辺にはさまざまな植物の緑が生い茂り、ジャングルの一角のような光景が広がっています

ちなみに、「潮間帯(ちょうかんたい)」とは、陸と海の狭間のエリアを指します。
満潮で海面が高くなると水中になり、干潮で海面が低くなると陸地になるため、植物が暮らす環境としては過酷です。

以前、旅行中にガイドさんから「他の植物と陸地で生存する競争に負け、追いやられた植物が、潮間帯で暮らしている。」と聞いたことがあります。
しかし現在では、「過酷な環境でも生き抜ける強い植物が、自ら潮間帯に進出した。」という説が有力だそうです。

ホペア・オドラタ

「ホペア・オドラタ」は、自生地では樹高が40mほどまで大きくなる植物で、「板橋区立熱帯環境植物館」でも大きくそびえ立っていました

直立不動という言葉がよく似合います。

樹高が高い割に、幹がそこまで太くないので、強い風が吹かない地域で育つ植物なのかもしれません。

ゴバンノアシ

潮間帯ゾーンで、特に印象に残ったのは「ゴバンノアシ」です!

ゴバンノアシは、碁盤の脚に似ていることが名前の由来

「ゴバンノアシ」は、囲碁を打つ碁盤(ごばん)の脚(あし)の部分に似ていることが、名前の由来になっています。
インドやマレー半島が原産地で、日本でも、石垣島などの暖かい地域で自生しています。

ゴバンノアシの果実には毒があり、水に浮く

「ゴバンノアシ」の実は水に浮くため、海流に乗り、遠くの地へ運ばれ、その地でたねが発芽します。

植物はたねを運んでもらうために、鳥や動物に果実を食べてもらう必要があります。
「ゴバンノアシ」のように、鳥などの力を借りるつもりがないのであれば、わざわざ果実を付ける必要はないのではないか。と思い、調べてみたところ、以下のことが分かりました。

「ゴバンノアシ」の果実には、魚から食べられないように毒が入っており、スポンジ状で浮力があるようです。

魚からの食害を防ぎ、たねを遠くまで運ぶための重要な役割を、果実が担っているのです。

「板橋区立熱帯環境植物館」では、植物のユニークな生存戦略を知れるキッカケが転がっています

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熱帯低地林ゾーン

つづいて向かったのは、「熱帯低地林ゾーン」です。

「低地林」は、標高の低い土地で育つ植物のことを指します。

滝に打たれたままの状態でも、青々とした葉を展開する植物のすがたも見られました
水に濡れたままの環境では、腐ってしまう植物が多いですが、湿潤な環境にも適応した植物がいるのですね。

ウナズキヒメフヨウ

「ウナズキヒメフヨウ」は、真っ赤に染めた花びらを、垂れ下げるように開いていました

「ウナズキヒメフヨウ」はハイビスカスの仲間で、「優しい感受性」という花言葉をもっています

一輪の花は1日で散ってしまいますが、多くの花を次々に咲かせるため、長い期間にわたり楽しませてくれる植物です

ビヨウタコノキ

つづいて目に留まったのは、「ビヨウタコノキ」が実らせた大きな実です

展示されていたビヨウタコノキの実
本物の実を触れる

「板橋区立熱帯植物館」では「ビヨウタコノキ」の実を、触れるように展示していました

実際に実を手にしてみると、3~4kgほどの重さがあり、中身が詰まっている様子がうかがえました

和名の由来

「ビヨウタコノキ」の和名の由来は、以下のとおりです。

  • 美しい葉(見た目)をしている
    • 美葉(美容)=ビヨウ
  • 幹の下から生やす気根が、タコの足のように見える
    • =タコノキ

ユニークな意味合いが、由来しています。

イクソラ・コッキネア

訪れたタイミングでは、「イクソラ・コッキネア」も開花時期を迎えていました

たくさんの小さな花を周囲に広げ、立体的な形状を演出しています

原産地のインドでは、神様へのお供え物としても用いられ、神聖な植物として扱われているそうです。

ビルマムツアシガメの「ムッちゃん」

順路のすぐ横には、ビルマムツアシガメの「ムッちゃん」のすがたも見られました。

「ムッちゃん」は、館内で行われるイベントに登場することがあり、マスコットキャラクターとして愛されている存在です。
このあと、従業員の方々が台車で移動させ、クリスマスイベントに登場していました!

ちなみにビルマムツアシガメは、大きく成長すると最大で直径60cmほどに達し、アジアでは最大のカメです。

コモチクジャクヤシ

「コモチクジャクヤシ」は、さまざまな色に染めた実を垂れ下げ、大きな存在感を放っています。

実は、時間の経過とともに色合いを変えていくのでしょう。

和名の由来

「コモチクジャクヤシ」は、以下の特徴から名付けられた和名です。

  • 株元から多くの子株を吹く
    • 子持ち=コモチ
  • クジャクの羽のような葉を展開させる
    • =クジャクヤシ

この特徴的な実が、和名の由来になっていないのは、少しばかり疑問が残ります…。

夏に開花し、数か月後に実を付ける

「コモチクジャクヤシ」は6~8月ごろに開花し、その数か月後に、海中に漂う魚のたまごのような実を付けます。

「板橋区立熱帯環境植物館」では、「コモチクジャクヤシ」のミステリアスな実を間近に見られます

緑のトンネル

「板橋区立熱帯環境植物館」には、中をくぐれる緑のトンネルがありました

このトンネルでは春になると、「ヒスイカズラ」がユニークな花を垂れ下げ、より一層見ごたえのあるスポットになるそうです

緑のトンネルは順路ではありませんが、訪れた際は、見逃せないフォトスポットです

集落景観ゾーン

つづいて、「集落景観ゾーン」です!

このゾーンでも、満開を迎えている花々をいくつも楽しめました!

モクセンナ

まずは、黄色い花を咲かせた「モクセンナ」です。

「モクセンナ」は、観賞価値の高い植物ですが、薬用に用いられることもあります。
樹脂や葉を煎じて飲むことで、痛風や糖尿病にも効き、止血に効果を発揮するそうです。

花の見た目がスクランブルエッグに似ていることから、海外では「スクランブルエッグツリー」という別名で呼ばれているのだとか

カリアンドラ・ハエマトケファラ

「カリアンドラ・ハエマトケファラ」は、たわしを真っ赤に染めたような花を、四方八方に広げています
真っ赤なものは花びらではなく、雄しべなのだそうです

「カリアンドラ」という名前は、ギリシャ語で「美しい雄しべ」という意味なのだとか。

「カリアンドラ・ハエマトケファラ」は、日本では「オオベニゴウカン」と呼ばれることもあります。
「板橋区立熱帯環境植物館」では赤い花を咲かせていましたが、白い花の品種も存在します。

爬虫類エリア

飼育数は多くありませんが、爬虫類が展示されているエリアも設けられていました。

訪れたタイミングで活発に動いていたのが、天狗のような鼻をした「ライノラットスネーク」です。

ピントがズレていますが…。

ゲージに入っているため安心して見られましたが、あらためて写真を見返すと、迫力ある顔つきをしています…!
「ライノラットスネーク」は、子どものうちは茶色いすがたをしているため、「板橋区立熱帯環境植物館」で育つ個体は、あまり大きくありませんでしたが、すでに大人なのでしょう。

雲霧林ゾーン

植物のゾーンで、さいごにご紹介するのは「雲霧林ゾーン」です。

「雲霧林(うんむりん)」とは雲や霧が多く、湿度が高い場所にある林のことです。
霧は、標高が高いところに発生しやすいため、標高が高くすずしい環境が好きな植物たちが展示されています。

セロジオ ムルチフローラ ‘スワダ’

「セロジオ ムルチフローラ ‘スワダ’」が、白いお花を連ならせている光景は、この日もっとも印象に残りました

筆者

1株が咲かせる花の数は、1,000輪ほどあるのでは!?

と思わせるくらい多くの花を咲かせる「セロジオ ムルチフローラ ‘スワダ’」は、一見の価値ありです

さまざまな花を咲かせる植物

雲霧林ゾーンでは、この日、もっとも多くの花々を楽しめました。

周囲を見渡すと、それぞれの植物がオリジナリティ溢れる花や実を付けているため、植物好きにとって、たまらない光景が広がっています

高い湿度と低い気温を確保

雲霧林ゾーンにはミストシャワーが設置されており、高い湿度を確保するための工夫がされていました。
また、すずしいエリアで自生する植物を育てるために、一年中室温が低く保たれています。
特に暑い季節には、雲霧林ゾーンでもひと休みできるくらい、快適な室温になっています。

パイナップル

「パイナップル」というネームプレートを掲げた植物も、館内の一角で元気よく育っていました

さまざまな植物が立ち並んでいますが、パイナップル科の植物は、1,400種以上が存在するグループです。

「パイナップル」と聞くと、食用の植物というイメージが先行しますが、多くの品種が観葉植物としても親しまれています

「板橋区立熱帯環境植物館」でも、さまざまなパイナップル科の植物が、観賞価値の高い葉を展開していました

チランジア(エアプランツ)

「チランジア」は、大小さまざまな株が展示され、個性的なオーラを放っています

木製の板とあわせて展示され、日当たりがよい環境で育てられています。

園芸店では流木とあわせて売り場に並ぶことが多いため、木製のものと合わせることで、「チランジア」の魅力をさらに引き出せるのでしょう

その他のエリア

植物ゾーンのあとには、「常設展示コーナー」と「植物販売コーナー」が設けられていました。

常設展示コーナー

「常設展示コーナー」では、昆虫ジオラマの展示がされています。
他にも、熱帯雨林の破壊や修復、その生態系などを詳しく紹介しており、いろいろと考えさせられる面もありました。

植物販売コーナー

訪れた日は「植物を観賞して楽しむモード」だったので、植物を購入する予定はなかったのですが…。
「ポインセチア」が、園芸店の半額ほどの価格で販売されていたため、購入してしまいました…

まとめ

「板橋区立熱帯環境植物館」の土日の入館料は、小~中学生は無料なため、来館者は子どもが多いです

多くの植物にはネームプレートが設置されていない

「板橋区立熱帯植物館」の特徴のひとつに、ネームプレートが設置されていない植物が多い点が挙げられます。
植物のありのままのすがたや、自生地の雰囲気をリアルに感じ取れる意味では、長所とも言える点です。

公式HPに植物図鑑が掲載されている

できれば、植物の名前や特徴を確認しながら、館内を見て回りたい

という方には、「板橋区立熱帯環境植物館」の公式HPに載っている「植物図鑑」で、館内の主要な植物が確認できます。

スマホで気になる植物をチェックしながら館内を進むと、より一層「板橋区立熱帯環境植物館」を楽しめるでしょう

館内ガイドツアー&水族館のごはんのじかん

「板橋区立熱帯環境植物館」では、さまざまなイベントやサービスが実施されています。

イベント&サービス内容
  • 館内ガイドツアー
    • 魚や植物の説明を、プロの方から直接聞くことができる
  • 水族館のごはんのじかん
    • 魚がご飯を食べている様子を、観賞できる
  • その他のイベント
    • それぞれの季節ごとに、独自のイベントが開催されている

以上です!

本記事では「板橋区立熱帯環境植物館」をご紹介しました!

関東圏内の植物園については、以下の記事でまとめています
「板橋区立熱帯環境植物館」以外にも、オススメな植物園はあるので、ご興味があればあわせてお読みください

板橋区立熱帯環境植物館の基本情報

入館料

大人:360円
65歳以上:180円
小・中学生:130円(土日などは小・中学生無料)

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