「サボテン」と「多肉植物」の違いや共通点:特徴や見分け方などについて

サボテンは多肉植物?

「サボテン」に対するイメージは、鋭いトゲをもっている植物で、昔から日本にいる生きものです!
一方の「多肉植物」に抱く印象は、多品種にわたり、さまざまなカタチに進化した生きものといったところ。

サボテンと多肉植物は、同じ植物ではあるものの、違うグループに所属している植物のように思えます。

どちらの植物も、雨が少なく乾燥した地域に自生している植物ですが、実はサボテンは多肉植物の仲間になります!
要するに、多肉植物という大きなグループの中に、サボテン科の植物が所属しているということ!

同じグループに所属している植物である以上、サボテンと多肉植物の明確な違いを、植物学的に説明することはできないことになるでしょう。

ただしそれは植物学的な話で、日本の園芸においては、サボテンと多肉植物は区別されることもあります。
本記事では、日本の園芸における「サボテン」と「多肉植物」の共通点、違いなどの特徴についてご紹介しています

知識が少なくても植物を楽しむことはできますが、いろいろなことを知っていることで、さらに楽しめる領域が広がることもあるので、参考程度にお読みください

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目次

サボテンの特徴

まずは、「サボテン」の特徴に触れていきます!

サボテンは、日本ではもっともメジャーといえるぐらい、高い知名度を誇っている植物のひとつです!
昔からある植物ですが、いまだに街なかにあるお花屋さんの店頭などで見かけることも多く、昔から今にいたるまで日本人に親しまれつづけている植物といえるでしょう!

最近では特に柱サボテンに注目が集まっていて、トゲがない品種は、雑貨屋さんをはじめとしたおしゃれなショップで、インテリアのひとつとして活躍している光景を見かけることも、めずらしくありません!

そんな「サボテン」ですが、大きく分けると3つの特徴があります!

特徴1:多くの水分を蓄える「茎」

サボテンを語る上で、多くの水分を蓄えることのできる「茎」の存在は、外せない特徴といえるでしょう!

鋭いトゲをつけている肉厚な胴体の部分は、葉と思われることも多いですが、正確には葉ではなく「茎」になります!

この茎を大きく進化させることで、体内に多くの水分を蓄えておくことができるようになり、雨が少なく乾燥の進む環境でも生きていくことができるようになりました!
茎の部分をさまざまなカタチに進化させることで、ユニークな姿に進化を遂げた品種もいます!
一般的には、丸いサボテンを「玉サボテン」、そして柱のように細長いサボテンを「柱サボテン」と呼んでいます。

また、植物は気孔(きこう)とよばれる小さな穴を昼の時間帯に開くことで、外気と体内の間で二酸化炭素と酸素を交換していますが、サボテンは昼は気孔を閉じて、夜の時間帯に開く植物です。

サボテンが暮らしている地域は、乾燥しているもの。
昼に気孔を開いていると気孔から水分が逃げてしまうため、ほかの植物とは違うタイミングに気孔を開くことで、水分蒸散を防ぎ乾燥に強い植物へと進化を遂げた植物でもあります!

ほかの植物が「葉」に気孔を設けているのに対し、「茎」に気孔を設けている点も、サボテンの特徴といえるでしょう。

特徴2:トゲ

そして「トゲ」も、サボテンにとっては欠かせない存在です!

サボテンの中にはトゲのない品種もいますが、多くのサボテンにはトゲがあります。

このトゲに誤って触れてしまうと、とてもイタイ・・・。
鋭いトゲをつけたサボテンを植え替えるときには、分厚めの手袋が必須となるでしょう。

そもそも、なんでサボテンには「トゲ」があるのでしょうか!?
「外敵から身を守るため」という役割はイメージしやすいですが、実はサボテンの「トゲ」には、身を守る「防衛」以外にも役割があります!

「防衛」以外の役割は、4つです!

サボテンのトゲの「防衛」以外の役割
  • 遮光機能
    • 強すぎる光を浴びつづけると、強い光からダメージを負ってしまうため、光を遮る役割も担っています。
  • 暑さ・寒さ対策
    • 特に成長点付近はトゲが密集してるもの。成長点付近のトゲは、暑さや寒さによる成長点へのダメージを、軽減させるためとされています。
  • 水分の回収
    • 乾燥地帯で生きていくために、霧や朝露が発生した際に、空気中の水分を回収する機能も備えています。
  • 繁殖範囲の拡大
    • サボテンの中には、いちど刺さったら抜けにくいトゲをもっている品種がいます。サボテンに触れた動物にそのトゲがひっかかり、トゲと一緒に茎の一部が外れます。
      ひっかかった動物に遠くまで運んでもらい、運んでもらった先で時間の経過とともに落下し、落下した場所で繁殖するという、驚きの進化をしたサボテンもいます。

サボテンの品種にもよりますが、「トゲ」は、さまざまな目的を果たしているのです!

ちなみに、サボテンの「トゲ」は茎ではなく、「葉」を変化させたものだと考えられています!

特徴3:夜に開花する

一般的に植物は昼の間に開花しますが、多くの「サボテン」は、昼ではなく夜のあいだにお花を咲かせます

それは高い気温まで上昇する日中にお花を咲かせると、過度に水分蒸発が進むという理由もありますが、夜行性のコウモリや虫などに受粉のお手伝いをしてもらうために、夜にお花を咲かせているのです!
植物とほかの生きものが、手を取り合い共に生きていく「共生」が、乾燥地帯にも存在しています。

普段はわりと地味な見た目をしていますが、咲かせるお花はあざやかな色合いをしていて、目を見張るものがあります!
長期間お花を咲かせる品種も良いですが、サボテンはたった一日しかお花を咲かせない品種も多く、お花を見ていると儚さを覚えるもの!
植物にとって過酷な環境でも生きつづける強い生命力から、「枯れない愛」、「燃える心」、「温かい心」という花言葉をもっています!

多肉植物の特徴

「多肉植物」は乾燥した地域でも生きていけるように、身体の一部を肉厚に進化させ、ほかの植物よりも多くの水分を体内に蓄えておける植物の総称です。

「多肉植物」には、サボテンを含めて15,000種類以上もの品種がいるといわれ、中には絶滅してしまう品種もいますが、交配によりどんどん新しい品種が生み出されているので、品種数は増え続けているといえるでしょう!

そんな「多肉植物」の特徴についても、触れていきます

特徴1:葉・茎・根で水分貯蔵

「多肉植物」は、サボテンと同様に、雨が少なく乾燥した環境でも生きている植物です!

植物にとって厳しい環境でも生き抜くために、葉や茎、根などの身体の一部を肥大させて、肥大させた部分に水分を蓄えておくことができるように進化しました!

そもそも体内に蓄えている水分量が多いので、ほかの植物よりも水やりを少なくした方が、調子よく育つ植物でもあります!

「多肉植物」が気孔を開くタイミングは、品種により異なりますが、「サボテン」のように、夜のあいだに気孔を開く品種もいます。

特徴2:個性豊かな見た目と個性

「多肉植物」は品種数が多く、それぞれの品種が暮らしていく環境に適応するために、いろいろなカタチに進化を遂げてきました!

旺盛に枝を伸ばしていく品種や、身体の一部をほかの多肉植物よりも大きく肥大化させた品種、身体の大部分を土の中に隠している品種など、個性豊かな見た目をしています!

また、色とりどりの葉を展開させたり季節によって落葉したり、葉っぱ一枚から新しい個体として増える繁殖力を身に付けた品種など、見た目だけでなくそれぞれがオリジナリティあふれる個性をもっています!

見ていて飽きないだけではなく、育てていても変化をしていく姿が楽しい特徴が、多肉植物にはあるでしょう

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サボテンと多肉植物の違い

「サボテン」と「多肉植物」は、似た性質をもっていますが、いくつか違いもあります!

ふたつの植物の違いについて、触れていきます

刺座(しざ)の有無

まずは、「刺座(しざ)」という組織の有無について!

「サボテン」の特徴的ともいえる存在にトゲがありますが、「多肉植物」の中にも、トゲのある品種がいるので「サボテン」と「多肉植物」の明確な違いとはいえないでしょう。
ただし、トゲの根本に綿毛のような「刺座」の有無は、ふたつの植物の明確な違いといえます!
サボテン科に属する植物であれば必ずこの「刺座」があり、一見「刺座」がないように見える品種でも、外見から確認ができないだけで、サボテンの体内には存在している組織です!

一方の多肉植物には、「刺座」という組織は存在しません。

「刺座」はアレオーレ(areole)と呼ばれることもあり、「刺座」の有無でサボテン科の植物なのか、それ以外の植物なのか分類されています。

少しむずかしい言葉ですが、ほかにもサボテンや多肉植物には、多くの専門用語が登場してきます。
多肉植物を取りまく専門用語については、下記の記事でまとめているので、ご興味があればお読みください。

自生地

それぞれの植物が本来暮らしている自生地にも、違いがあります。

「サボテン」は、メキシコを含めた南北アメリカの乾燥した砂漠地帯に自生している植物ですが、「多肉植物」は南北アメリカだけではなく、アフリカ大陸を中心に世界中に自生している植物です。

「多肉植物」が、多種多様なカタチに進化する必要があったのは、地域ごとの特性に適応する必要があったからでしょう。

もともと日本に自生していたか

いまでは多くの家庭などで育てられている「サボテン」も、もともとは、日本で自生している植物ではありませんでした!

「サボテン」は海外から持ち込まれた植物で、ポルトガルから16世紀後半に入ってきたという説が有力ですが、どこの国からいつごろ日本に持ち込まれたのかは諸説あります。

一方の多肉植物は、海外から日本に渡ってきた品種もいますが、昔から日本で自生していた品種もいます。

もともと日本にいたかどうかも、「サボテン」と「多肉植物」の違いといえるでしょう。

成長期(夏型・春秋型・冬型)

「成長期」という観点で比べても、ふたつの植物には、違いがあるものです!

「サボテン」は暑い季節に成長する‟夏型”の植物であることから、暑い季節に多くのお日様の光を身体に浴び、たくさんの水を吸収し、旺盛な成長力を発揮するものです!

それ以外の季節は成長が緩やかになる植物ですが、夏のあいだに一気に大きく成長することもあり、普段の成長速度に慣れていると、暑い季節の成長速度には、驚かされることもあります・・・!
ただ、寒い季節は水をほとんど吸収せずに、光を確保できていたとしても、夏のあいだのように成長することはありません。

一方の「多肉植物」は‟夏型”の品種以外にも、春や秋の暖かい季節が好きな‟春秋型”の品種や、寒い季節に成長する‟冬型”の品種もいて、品種によって旺盛に成長する成長期は、さまざまです!

成長期が夏に限定されているのか、品種による違いがあるのかという点も、「サボテン」と「多肉植物」の違いとなります。

水分を蓄える部分

さいごに、水分を蓄える部分にも違いがあります!

「サボテン」は茎の部分に水を蓄える生きものですが、「多肉植物」は、茎だけではなく葉や根に水を蓄える品種もいるものです!

いずれの植物も「乾燥した環境に適応するために、どうすればいいのか!?」という共通の課題を抱えているものの、身体を進化させる過程の中で、異なる部分を肥大させてきた植物だといえるでしょう。

サボテンと多肉植物の共通点

「サボテン」と「多肉植物」は、どちらも水分を体内に貯めることのできる植物ですが、それ以外にも共通点はあります!

強い光と乾燥した環境を好む

まずは、強い光を必要とし、乾燥した環境が好きという点です!

これまで説明してきたように、「サボテン」と「多肉植物」は、雨が少なく乾燥した地域に自生しています。
乾燥している地域には、日当たりを遮るような大きな樹も少なく、雨が降らないことから雲も発生しづらいため、植物に日が当たりやすい環境といえます。

「多肉植物」の中には、ハオルチアのような日当たりの良い環境を苦手としている品種もいますが、そういった品種は「多肉植物」の中でもごく少数に限られ、ほとんどの品種は強い日を好むもの。

また、それぞれの植物が暮らしている土壌は肥料分が少なく、限られた栄養分の中で暮らしているという特徴もあります。

過酷な環境の中で暮らしていることが、共通点のひとつめです!

品種によって食用に用いられている

つづいて、ひとの食用にされている点も、共通点といえるでしょう。

「サボテン」の中でも、特にウチワサボテンなどの品種は、料理に出されることが知られていますが、「多肉植物」の中にも「グラパラリーフ」といった食べることのできる品種は存在します!

サボテンは、メキシコでは日常的に食べられている野菜のひとつです。

また、多肉植物のアガベはテキーラの原材料に用いられたり、食用として知られている植物のひとつ。
下記の記事で、メキシコ料理にも出されているアガベについて、詳しく書いています

育てやすい

「サボテン」も「多肉植物」も水やりを少なめにして、よく日光浴をさせることができれば、たとえ枯らそうと思ってもなかなか枯れにくい特徴をもった植物です。

乾きやすい用土を使用することで、枯らしてしまうリスクはさらに下げることができるでしょう。
いずれの植物も育てやすく、初心者向けの植物だといえます!

下記の記事では、自宅で育てている多肉植物のオリジナル培養土を紹介しています。

まとめ

本記事では、日本の園芸における「サボテン」と「多肉植物」の共通点などについて、ご紹介してきました

冒頭にも触れましたが、「サボテン」は「多肉植物」の仲間なので、違いよりも共通点の方が多いです!

成長速度はいずれも遅い品種が多く、短期間では成長しているのか分かりづらい植物ではありますが、インテリアのひとつとして楽しむことができ、なによりほかの植物にはないユニークな見た目には心奪われるものがあります!

多肉植物の愛好家を言いあらわす言葉に「タニラー」という言葉があるように、サボテンや多肉植物にドハマりしているひとは意外と多いもの!

少しでも知識を習得していけば、さらに多肉植物の奥深い魅力に、引き込まれるかもしれません!

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