【保存版】サボテンは多肉植物?共通点と違いをわかりやすく解説

サボテンは多肉の仲間

植物にあまり詳しくない方でも、「サボテン」と「多肉植物」は知っているかもしれません。
水やりを頻繁に行う必要がなく、手軽に育てられることもあり、多くの人びとに愛されています。

ところで、

サボテンと多肉植物って、どう違うの?

と疑問に思ったことはありませんか?

実は、サボテンは多肉植物の仲間で、どちらも雨が少ない環境で生き抜くために、体内に多くの水分を蓄えられるように進化しました。

サボテンの丸く肉厚な胴体や、多肉植物のぷっくりとした葉は、その進化の証です。

この記事では、それぞれの植物がもつ特徴や、日本の園芸における区別のポイントについて詳しくご紹介します。

知識を深めることで、植物のあたらしい魅力を発見できるかもしれません

ぜひ、この記事をきっかけに、サボテンと多肉植物の奥深い世界に触れてみてください。

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目次

『サボテン』の特徴

「サボテン」は、日本でも身近な植物のひとつです。

鋭いトゲを身につけ、他に類を見ないサボテンは、日本でも古くから愛されてきました。
近年では、観葉植物としてその人気が再燃しており、インテリアのアクセントとしてさまざまな場所で活躍を見せています。

筆者

特にトゲがない柱サボテンは、触れてもケガをする心配がないため、見かける機会が多いです。

「サボテン」には、以下の5つの特徴があります。

  • 日射しに強い
  • 万能ツール「トゲ」を身につける
  • 多くの水分を蓄えられる
  • 根を広く(浅く)張る
  • 夜間に花を咲かせる
筆者

ひとつずつ、深掘りしていきます。

特徴1:日射しに強い

サボテンは、以下の理由から真夏にサンサンと降り注ぐ強い光でも、ダメージを負うことが少ない植物です。

  • 表面積が少ない (球状や柱状)
  • トゲによる日よけ
  • 厚い表皮と丈夫な膜(クチクラ層)
  • CAM型光合成

表面積が少ない (球状や柱状)

球状や柱状などのサボテンの形状は、直射日光を受ける表面積を最小限に抑え、水分の蒸発を抑えることができます。

筆者

光合成できる量は限られますが、強い日射しから身を守れます。

トゲによる日よけ

サボテンのトゲには、さまざまな特徴がありますが、強い日射しを遮る「日よけ」もトゲの重要な役割です。

厚い表皮と丈夫な膜(クチクラ層)

サボテンの皮膚は分厚く、体の表面を「クチクラ層」と呼ばれる保護膜で覆っています。

筆者

クチクラ層は強い日射しを和らげ、水分の蒸発を防ぐ役割を果たします。

CAM型光合成

多くの植物は昼間に気孔を開けて光合成を行いますが、サボテンが気孔を開くのは夜間です。
夜間のうちに気孔から二酸化炭素を取り込み、昼間は気孔を閉じて、取り込んでいた二酸化炭素を使って光合成を行います。

このような特殊な仕組みを、「CAM(ベンケイソウ型有機酸代謝)型光合成」と言います。

「CAM植物」は二酸化炭素を体内に蓄えておく作業が発生し、昼に二酸化炭素を取り込めない分、成長は早くありません。
それでも暑い昼に気孔から水分が蒸散するのを防げるため、日射し強く、乾燥が進む地域でも生きていけます。

一般的に、植物は「葉」に気孔がありますが、サボテンは「茎」に気孔があります。

特徴2:万能ツール「トゲ」を身につける

筆者

サボテンの特徴と言われると、鋭い「トゲ」を思い浮かべるひとが多いでしょう。

ちなみに、サボテンのトゲは「葉」を退化させたもので、「茎」ではありません。
乾燥地帯では葉が大きいと、水分の使用量が多くなくなることもあり、サボテンは葉を退化させてトゲに変えました。
トゲの役割は外敵から身を守る「防御」の役割だけでなく、乾燥地帯で生き抜くために、以下のように多くの機能をもっています。

サボテンのトゲの役割
  • 遮光機能
    • 強い日差しを遮る
  • 暑さ・寒さ対策(断熱効果)
    • 極端な気温変化の影響を軽減する
    • 特に成長点付近に密集するトゲは、寒暖差から身を守る役割が強い
  • 水分の回収
    • 霧や朝露をキャッチし、空気中の水分を効率よく集める
  • 生息地域の拡大
    • タネを付けた体の一部が動物に引っかかってちぎれ、遠くへ運ばれ、その地で発芽することで、子孫を増やすユニークな品種もいる

サボテンのトゲは、単なる防御手段ではなく、なくてはならない万能ツールなのです。

筆者

トゲ(葉)では光合成せずに、茎の部分で光合成をしています。
さまざまな点でユニークな進化を遂げたのが、サボテンの特徴です。

特徴3:多くの水分を蓄えられる

サボテンは「茎」を肉厚に変化させ、ユニークなフォルムを形成しています。

サボテンは乾燥した環境でも生き抜くために、多くの水分を体内に蓄えられるように、茎を大きく進化させました。
あわせて「稜(りょう)」と呼ばれるヒダの部分は、乾燥すると水分を失って収縮し、水分を吸収すると膨らみます。

筆者

サボテンは、茎と稜の存在により、多くの水分を蓄えられる植物です。

特徴4:根を広く(浅く)張る

水分や栄養分を効率的に吸い上げる

多くのサボテンは、乾燥した砂漠地帯に自生しています。
特に乾季に雨が降るのはめずらしく、降っても短時間で終わることがほとんどです。
水分や栄養分が地中深くまで届くことが少なく、地表近くに降ったわずかな雨を、素早く吸収する必要があります。

多くのサボテンが地表近くの広範囲に根を張るのは、深くまで根を張っても、メリットが少ないからです。

強風に耐えられるだけの根は生やしている

乾燥地帯では、強い風が吹くこともめずらしくありません。

深く根を張らないと、強風で倒れてしまうのでは…!?

と思うかもしれませんが、樹木などに比べてサボテンは、風の影響を受けにくい低重心な形状をしているため、倒れるリスクは低いです。

筆者

ウチワサボテンなど、風の影響を受けやすい品種でも、強風に負けないだけの最低限の根は生やしています。

特徴5:夜に花を咲かせる

多くの植物は昼間に花を咲かせますが、サボテンは夜に開花する品種がたくさんいます。

夜に花を咲かせる理由
  • 日中の暑さで水分が蒸発するのを防ぐため
  • 夜行性のコウモリや虫に、受粉を手伝ってもらうため

控えめな見た目のサボテンが、あざやかな花を咲かせるのは、普段のすがたとのギャップを感じさせます。

筆者

開花期間は短く、一日しか開花しないサボテンも少なくありません。
すぐに花が散ってしまうはかなさも、サボテンの魅力のひとつです。

過酷な環境を生き抜く強い生命力から、サボテンには「枯れない愛」や「燃える心」、「温かい心」という花言葉が付けられています。

『多肉植物』の特徴

「多肉植物」は葉や茎などを肥大させ、水分をたっぷり蓄えられるように進化した植物の総称です。

乾燥した場所でも生きていけるのが最大の特徴で、その種類はサボテンを含めて、15,000種以上あると言われています。

筆者

中には絶滅してしまう種もいますが、あたらしい品種が人工的に生み出されているので、その数は増えつづけています。

「多肉植物」には、以下の2つの特徴があります。

  • 葉や茎、根に水分を貯められる
  • 個性豊かな見た目

特徴1:葉や茎、根に水分を貯められる

多肉植物の大きな特徴は、葉や茎、根に水分を貯められることです。

サボテンと同じく、乾燥した環境でも育てるように、体の一部を肥大させて水分を蓄えられるように進化しました。
体内の水分量が多いため、他の植物よりも水やりを控えめにするのが、多肉植物を元気に育てるポイントです。

筆者

十分な水分を蓄えていると張りがあり(ふくらみ)、水分が足りない場合は体の一部が萎れたり、シワが入ったりします。

特徴2:個性豊かな見た目

多肉植物にはさまざまな品種が存在し、それぞれが個性豊かな見た目をしています。

多岐にわたる多肉植物のすがた
  • 外敵から身を守るため、体の大部分を土に埋めた品種
    • 塊根植物(アデニア属、火星人など)
  • 小石や砂利に擬態した品種
    • リトープス、コノフィツム
  • 効率的に光を取り込むために、葉の先端が半透明にした品種
    • ハオルチア

季節によってキレイな斑が葉にあらわれたり、葉挿しによって容易に繁殖できたりと、見た目だけでなく、その生態にもユニークな個性が見られます。

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サボテンと多肉植物の『共通点』

植物学的にサボテンは、多肉植物という大きなカテゴリーに含まれる植物です。
園芸の世界では、サボテン科に属する植物を「サボテン」、それ以外の植物を「多肉植物」と分けて呼ぶことが多いです。

具体的な共通点は以下のとおりです。

  • 多くの光量と乾燥した環境を好む
  • 食用に用いられる

多くの光量と乾燥した環境を好む

サボテンも多肉植物も、強い光と乾燥した環境を好みます。

いずれの植物も日陰になる樹木が少なく、日射しが強いエリアに自生するため、太陽光をたっぷり浴びることが成長に不可欠です。

筆者

中には日陰を好む品種もいますが、ほとんどの品種は日当たりが悪い環境では元気に育ちません。

また、雨が少ない環境に耐えられるように、水分を体内に蓄える能力が発達しており、頻繁な水やりが必要ない点も共通しています。

食用に用いられる

サボテンと多肉植物は、どちらも食用にされることがあります。
たとえば、サボテンの中でも「ウチワサボテン」は、メキシコで古くから野菜として親しまれている植物です。
また、多肉植物の「アガベ」は、テキーラやシロップの原料の植物として知られています。

筆者

アロエやグラパラリーフは、日本でも食用として流通する多肉植物です。

以下の記事ではメキシコ料理において、なくてはならない「アガベ」について、詳しくご紹介しています

枯れにくく、育てやすい

サボテンや多肉植物は「水やりは少なめに、日光はたっぷりと」というポイントさえ押さえれば、初心者でも育てやすい植物です

特に、水はけのよい土を使うことで、根腐れのリスクを減らし、さらに丈夫に育ちます。
以下の記事では、水はけのよい多肉植物の培養土について紹介しています

筆者

サボテンはCAM植物ですが、多肉植物もCAM植物の品種が多いため、ゆっくりとした成長を見せるのも共通点のひとつです。

サボテンと多肉植物の『違い』

サボテンは多肉植物に含まれますが、多肉植物はサボテンだけではありません。

トゲはサボテン科の植物にしかないのでは?

と思うかもしれませんが、サボテン以外でも鋭いトゲを身につけた多肉植物はいます。
ですが、サボテン科の植物にしか見られない特徴もあります。
サボテンと多肉植物の違いは、以下のとおりです。

  • 刺座(しざ)の有無
  • サボテンはアメリカ大陸のみ、多肉植物は世界中に自生する
  • 生育型(夏型・春秋型・冬型)
  • 多くの水分を蓄えられる器官が異なる

刺座(しざ)の有無

サボテンと多肉植物の違いが明確にあらわれる点に、トゲの根元にある「刺座(しざ)」があります。

サボテンには必ず刺座があり、ここからトゲや綿毛を生やし、花を咲かせます。
一方、多肉植物には刺座がありません。

サボテンの棘の根元には、綿のような刺座があります。
(サボテン科/般若(はんにゃ))
多肉植物は、茎から直接棘を付けています。
(キョウチクトウ科/パキポディウム・ホロンベンセ)

この刺座は学術的には「アレオーレ(areole)」とも呼ばれ、サボテン科の植物かどうかを判断する特徴です。
たとえ外見では刺座がないように見えても、小さかったり、見えにくかったりするだけです。

サボテンや多肉植物は、刺座以外にも、さまざまな専門用語が存在します。
多肉植物にまつわる専門用語については、以下記事でまとめているので、ご興味があればお読みください。

サボテンはアメリカ大陸のみ、多肉植物は世界中に自生する

原産地が異なる

サボテンと多肉植物の大きな違いは、原産地です。

サボテンのふるさとは、北アメリカから南アメリカにかけた砂漠地帯です。
一方、多肉植物は南北アメリカ大陸だけでなく、アフリカ大陸を中心に世界中のさまざまな地域に自生しています。

サボテンは海外から伝わったが、多肉植物には日本原産の品種もいる

日本での歴史にも、違いがあります。

サボテンは外来種、多肉植物は日本原産の品種もいる、という点が両者の違いのひとつです。

今や観葉植物として定番のサボテンですが、もともと日本には自生していませんでした。
「16世紀後半に、ポルトガルから持ち込まれた」という説が有力視されていますが、諸説あります。

一方、多肉植物は外国から海を渡って伝わったものもあれば、日本に古くから自生していた品種もあります。

生育型(夏型・春秋型・冬型)

サボテンと多肉植物は、よく成長する時期(生育型)が異なるのも特徴です。

サボテンは「夏型」の植物で、気温が高くなる夏に活発に成長します。
夏に十分な日光浴をさせ、たっぷりと水を与えることで、グングン大きくなります。

多肉植物の生育型は、以下のように品種によってさまざまです。

多肉植物の生育型
  • 夏型:夏によく成長し、寒い季節は成長が停滞する
  • 春秋型:春と秋に成長し、それ以外の季節は成長が停滞する
  • 冬型:冬に成長するタイプ、暑い季節は成長が停滞する

夏型に分類されるサボテンと、品種によって多様な生育型をもつ多肉植物は、季節ごとに育て方が異なるのが特徴です。

多くの水分を蓄えられる器官が異なる

サボテンと多肉植物は、水を蓄えられる体の器官にも違いが見られます。

サボテンは、肥大した「茎」に水分を貯蔵します。
一方の多肉植物は「茎」だけでなく、「葉」や「根」にも水分を蓄えているため、乾燥に強いです。

まとめ

この記事では、サボテンと多肉植物の違いや、共通点を掘り下げました

サボテンは多肉植物の仲間であり、どちらも乾燥に強く、個性豊かな姿で私たちを楽しませてくれます。
水やりの手間も少なく、忙しい日々を送る方でも手軽に育てられるのが大きな魅力です。

多肉植物の世界は、「タニラー」と呼ばれる愛好家がいるほど、奥深い魅力があります

これを機に、サボテンや多肉植物を暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか!?

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