東京23区内の植物館
約700種類、そして2000本もの植物が育てられている「板橋区立熱帯環境植物館」に行ってきたので、ご紹介します!
板橋区の公式HP内のランキング評価によると、板橋区は、日本経済新聞社が実施した「SDGs(持続可能な開発目標)先進度調査」で全国第8位に、そして東京都内では栄光の第1位に輝いている区です!
「板橋区立熱帯環境植物館」は、“熱帯の環境を楽しみながら学べる博物館型植物館”をテーマに掲げている施設で、植物はもちろん、植物以外にも多くの魚類や爬虫類とも出逢うことができる施設でした!
「板橋区立熱帯環境植物館」には、最寄り駅である高島平駅から歩いていくことにしました!
ただ、電車に揺られ、高島平駅に到着したときにはランチタイムを迎えていたので、高島平駅にあるカレー屋さんでランチを取り、カレー屋さんから向かうことに。
そのため、最寄り駅からの最短コースで向かったワケではないですが、「板橋区立熱帯環境植物館」の近くにある、のんびり歩ける遊歩道をゆっくりとテクテク歩いて向かいました!
東京都内といえばせわしない街というイメージで、駅前などは人通りも多く疲れてしまうこともありますが、このようなのんびりスポットも点在しているので、時の流れが違い過ぎてギャップに驚くこともあります!
わたしが「板橋区立熱帯環境植物館」に訪れたのは12月だったので、館内に入ったところにはサンタさんとクリスマスツリーが飾られていました!
平日は小~中学生の入館料が130円かかるところ、土曜日と日曜日は、小~中学生は無料で入ることができます!
この日は土曜日だったこともあると思いますが、ほかの植物館や植物園に比べると、来館者は小さなお子さんが多めでにぎわっていました!
夏休みの期間も小~中学生の入館料はかからないので、夏休みの間も、ほかの季節と比べて子どもたちで溢れている施設なのかもしれません。
入り口~ミニ水族館
入館料を支払ってから、地下へとつづく階段を下りていくと、まずは「ネジレフサマメの板根(ばんこん)」が展示されている空間に!
そして、そのすぐ奥には「インドシナウォータードラゴン」の“グリちゃん”がいました!
「板根(ばんこん)」とは、根が深く潜っていくことのできない土壌の浅い箇所でも、自分自身のバランスを保つために板のように発達した植物の根のことです。
植物がもつ、環境への適応能力には、動物以上にもの凄いものがあると感じています!
一方の“グリちゃん”は水槽に入っていましたが、わたしが身に付けているアクセサリーか何かをエサと勘違いしたのか、水槽の中から飛び掛かってこようとしました・・・!
その場では、一瞬退いてしまいましたが、写真で見ると愛嬌のある顔立ちをしていて、爬虫類が好きなひとからしたらとてもかわいらしい姿をしていることでしょう!
「インドシナウォータードラゴン」は昆虫だけではなく果物なども食べる雑食で、自分の身体の色をある程度変化させることもできる、トカゲの仲間です。
“グリちゃん”というあだ名は、お客さんからの公募の中から決められたようです!
ミニ水族館
「植物館」という名前をしていますが、わりと序盤の位置には、魚たちが水槽の中を行ったり来たりしている「ミニ水族館」が設けられています!
名前に“ミニ”と付いていますが、想像していたよりも大きく、魚類・爬虫類は約150種類、2500匹が飼育されています!
「ミニ水族館」の水槽の中では、カラフルな熱帯魚や、毒のありそうなクラゲなどが忙しなく泳いでいました!
油断していると、ほかの魚に食べられてしまうこともあるからなのか、小さい魚の方が活動的で動きが早いように思います。
こちらの建物内では、すぐ近くにある「板橋清掃工場」の余熱を利用しているので、魚たちが暮らしている水槽内の水温は、高めに保つこともでき、25℃前後の水温を保つ必要のある熱帯魚の飼育も可能となっているのでしょう。
「ミニ水族館」では、海⽔・淡⽔、そして“汽⽔(きすい)”と呼ばれる塩水と淡水の両方から構成されている水域の魚たちが、育てられています!
スポッテッド・ナイフフィッシュ(Chitala ornata)
そして、ユニークな見た目をしている魚も、堂々と暮らしていました!
ネームプレートは掲げられていませんでしたが、おそらく「スポッテッド・ナイフフィッシュ」という、名前の魚だと思われます!
体にいくつか入っている魚の目のような模様で、敵をカモフラージュしているのかもしれません。
高級魚のイメージが強い「アロワナ」の仲間で、生息している地域では、揚げ物などで食べられることもあるそうです!
エイ(Batoidea)
そして「ミニ水族館」で、もっとも注目を集めていたのは、忙しなく泳ぎまわっていた巨大なエイです!
「エイ」の大きさと比べると、飼育されている水槽の大きさはすこし小さめです。
ご存知の方も多いと思いますが、「エイ」は、尾の先に毒をもっている生き物です。
水族館でエイを見ると、ほかの魚と近い距離を泳いでいることがあるので、水槽内にいるほかの魚にエイの毒針が誤って刺さってしまうことはないのかと、疑問に思うことがあります。
植物館
「ミニ水族館」をひと通り堪能して、いよいよ植物館へ!
「板橋区立熱帯植物館」の特徴のひとつは、ネームプレートが付いていない植物が多いところです!
植物の本来のありのままの姿、そして自生地の雰囲気を少しでもリアルに再現したいことから、ネームプレートを設置されていないのだと思われます。
「板橋区立熱帯植物館」の公式HPに載っている「植物図鑑」では、館内で育てられている主要な植物が確認できるので、スマートフォンを片手に、植物の解説を見ながら館内を進んでいくことで、より一層植物館を楽しむことができるでしょう!
植物が育つエリアは、4つのゾーンに分かれています!
- 潮間帯ゾーン
- 熱帯低地林ゾーン
- 集落景観ゾーン
- 雲霧林ゾーン
潮間帯ゾーン
まずはひとつ目の「潮間帯ゾーン」へ!
そもそも「潮間帯(ちょうかんたい)」とは、陸と海の狭間のエリアで、満潮で海面が高くなると水中になり、干潮で海面が低くなると陸地になる場所を指します。
本来、植物が成育する場所として望ましいといえない環境になるので、植物が成育しやすい陸地で成育する植物との生存戦略に負けた植物たちが、成育しているエリアともいえるでしょう
エイが棲んでいる水槽と潮間帯ゾーンは同じ建物内にあり、扉などで仕切られているワケではないので、同じ空間を共にしています。
ゴハンノアシ(Barringtonia asiatica)、ホペア・オドラタ(Hopea Odorata)
このゾーンで、特に印象的だった植物は、「ゴハンノアシ」と「ホペア・オドラタ」です!
「ゴハンノアシ」は、囲碁を打つ碁盤(ごばん)の脚(あし)の部分に似ていることが名前の由来となっている植物で、日本でも暖かい南の地域で自生している植物です。
「ゴハンノアシ」が付ける果実は水に浮くことができるため、海の上を漂流して遠くの陸地に到着し、到着後には中に入っているタネが発芽することで、広い地域で子孫を増やすことのできる植物でもあります。
植物は果実を食べる鳥や動物などにタネを運んでもらっていますが、「ゴハンノアシ」のように、最初から鳥などの力を借りるつもりがなく、海を漂流するつもりなのであれば、わざわざ美味しい果実を付ける必要はないのではないか。とも思いますが・・・!?
気になったのでよくよく調べてみると、「ゴハンノアシ」の果実には、魚に食べられないように毒が入っているようです。
魚に食べられてしまうことのないための役割、そして魚釣りでいう“ウキ”の役割として、果実を付けているのです。
果実をつけている理由がほかの植物とは違った理由で、植物の繁殖戦略は奥が深いことに、あらためて気付かされました!
一方の「ホペア・オドラタ」に関しては、高さが40メートルにまで大きくなる植物で、ひたすらに直立不動といったように、起立していました!
樹高の高さのわりに、幹がそこまで太くないので、あまり強い風が吹かない地域で育つ植物なのかもしれません。
熱帯低地林ゾーン
「潮間帯ゾーン」をあとにし、つづいて「熱帯低地林ゾーン」へ!
「低地林」は、漢字の意味から察するに、標高の低い土地で育つ植物たちのことを指しているのだと思われます。
ちなみに低地ではなく“低木”の定義は、成長時の樹高が2~3メートル以下の植物を意味します。
標高の低いところで育つ植物たちは、ずっと滝の水に当たりっぱなしの状態でも青々とした葉を展開していました!
普通はこれだけの水に当たりっぱなしの状態だと、腐ってしまう可能性が高いですが、見事に水に適応しています!
ウナズキヒメフヨウ(Malvaviscus arboreus var. mexicanus)、ビヨウタコノキ(Pandanus utilis)
ここのゾーンで目に留まったのは、垂れ下げるようにして赤い花を咲かせていた「ウナズキヒメフヨウ」、そしてボーリング玉サイズの実を付けた「ビヨウタコノキ」です!
「ウナズキヒメフヨウ」はハイビスカスの仲間で、ほか植物がお花が咲させるように上や横向きに花びらを開くことはなく、下向きに花を咲かせるユニークな植物です!
花言葉は「優しい感受性」で、咲かせたお花はたったの1日で散ってしまうので、おとずれた時は、タイミングが良かったということでしょう!
「ビヨウタコノキ」は、美しい見た目をしていて、幹の下がタコの足ように分岐するため“美容”+“タコノキ”で「ビヨウタコノキ」と名付けられていて、大きくなると20メートルの高さにまで成長する植物です!
「板橋区立熱帯植物館」では、この「ビヨウタコノキ」が付けた実を、実際に手に取って持つことができましたが、ずっしりとした重量感があり、大きさも重さもボーリング玉ぐらいでした!
これはあくまで、わたしの推定ですが、3kg程度あったと思います。
20メートルの高さからこの実が落下してくることを考えたら、「ビヨウタコノキ」が実を成らせる季節には、周囲をなるべく通らない方が安全です!
貴重な経験ができるのも、「板橋区立熱帯植物館」ならではのこと!
イクソラ・コッキネア(Ixora coccinea)
「イクソラ・コッキネア」という植物も開花していました!
原産地であるインドでは、神様へのお供え物としても用いられる植物です。
お花がどのように咲いているのか、あまり分からない見た目をしていますが、目を見張る赤色です!
ビルマムツアシガメの「ムッちゃん」
ビルマムツアシガメの「ムッちゃん」も、順路脇にいらっしゃいました!
世界最大のカメはオサガメというウミガメですが、ビルマムツアシガメも大きくなると60cm程度まで成長し、アジアでは最大のカメです。
「板橋区立熱帯植物館」で実施されるイベントに登場することもあるので、マスコットキャラクター的な存在です!
今は、イベントの間の休憩中のよう。
このあと、従業員の方々が台車で移動させ、クリスマスイベントに登場されていました!
マスコットキャラクターは、さぞ忙しい日々を過ごしているかと思いますが、休憩中ぐらいはゆっくりと過ごさせてあげたいところ!
コモチクジャクヤシ(Caryota mitis)
「コモチクジャクヤシ」の樹は、付けた実を垂れ下げ、その付近には中を通れることのできる緑のトンネルも!
緑のトンネルには春になると、「ヒスイカズラ」がユニークな花を垂れ下げるようです。
オシャレな雑誌の1ページを飾るようなスポットともいえるでしょう!
「コモチクジャクヤシ」は、クジャクの羽のような葉を展開させることが名前の由来ともなっており、6~8月ごろの暑い季節に花を咲かせます!
そして開花後には、海の中に漂っている魚類の卵のような、ミステリアスな実を付けます。
熱帯系のエリアだけあって、南国の雰囲気をかもし出す植物。
なかなか、街なかで見られる植物ではないので、一見の価値があります!
集落景観ゾーン
つづいては、「集落景観ゾーン」です!
このゾーンでも、満開を迎えているお花をいくつも楽しめました!
植物館などでは育てている植物の数が違うので、どのタイミングで行っても、いろいろなお花が見れるところが魅力のひとつです!
モクセンナ(Senna surattensis)、カリアンドラ・ハエマトケファラ(Caliandra haematocephala)
黄色い花を咲かせていた「モクセンナ」、そして、真っ白な綿毛にタネを乗せた“たんぽぽ”を赤く塗ったようなお花を開いている、「カリアンドラ・ハエマトケファラ」です!
「モクセンナ」は薬用にも用いられる植物で、樹脂や葉を煎じて飲むことで、痛風や糖尿病にも効き止血に用いられることもあるそうです。
黄色いお花がスクランブルエッグに似ていることから、海外では、“スクランブルエッグツリー”という別名で呼ばれることもあるのだとか!
「カリアンドラ・ハエマトケファラ」は日本では“オオベニゴウカン”とも呼ばれていて、赤いお花の品種だけではなく、白いお花を咲かせる品種もあるようです!
これは植物ではよくあることですが、和名・学名・英名など、複数の名前を持ち合わせているのが、植物のややこしいところでもある一方で、奥深さであったりします。
爬虫類エリア
ミニ水族館と植物エリアの境目もあいまいでしたが、植物エリアと爬虫類エリアもはっきりと分かれているワケではなく、植物エリアの中に、時折爬虫類を見ることのできるスペースが設けられていました!
こちらでは、まるで天狗のような鼻をしている、「ライノラットスネーク」も飼育されていました!
「板橋区立熱帯植物館」で飼育されている個体は、鮮やかな緑色をしていますが、小さなうちは茶色をしているそうです。
鳥などの外敵から身を守るために、小さなうちは地表に近い位置で生活をするため、茶色の土や幹に近い色にあわせ、大きくなると木の上に上がり、周囲にある植物の付ける葉の色に体の色をあわせるように、進化したのかもしれません。
雲霧林ゾーン
4つの植物ゾーンの締めくくり、「雲霧林ゾーン」です!
漢字のとおりですが、「雲霧林(うんむりん)」とは霧が多く、湿度が高い場所にある林のことを指します。
霧は、標高の高いところに発生しやすいので、標高が高く涼しい環境が好きな植物たちが見られるゾーンです。
セロジオ ムルチ フローラ スワダ(Coelogyne malfiflora`Suwada’)
「セロジオ ムルチ フローラ スワダ」という植物が、白いお花が連ならせている光景は圧巻でした!
ほかの植物ももちろんキレイでしたが、個人的にもっとも印象に残ったこのお花でした!
「これでもか!」といったように、花を縦に並べて周囲に垂れ下げている姿は、一度実物を見に行く価値があると思います!
そしてわたしが足を運んだタイミングでは、もっとも多くのお花が咲いていたのがこのゾーンです!
涼しいエリアで暮らしている植物を育てていくために、夏の間でも涼しい温度に保たれているようなので、暑い季節にはひと休みできるゾーンとなっているかもしれません。
白、ピンク、紫、赤など、カラフルなお花がいろいろなカタチで花を咲かせたエリアなので、特にお花が好きな方にとっては癒しの空間が広がっています!
この「雲霧林ゾーン」には、ミストシャワーも設置されていて、霧の中までとはいかずとも高い湿度を保つための工夫がされているエリアでした!
パイナップル(Ananas comosus)、チランジア(Tillandsia)
また、「パイナップル」や「チランジア(エアプランツ)」も!
「チランジア」は、ガーデニングショップに置かれているぐらいの小型~中型サイズから、植物館ならではといえるBIGサイズまで展示されていました!
ガーデニングショップで見かける「チランジア」は、流木などの上に置かれていることも多いですが、ここでは木の板とあわせて展示されています。
プラスチック製などの無機質なモノではなく、木の材質のモノと合わせると、「チランジア」の魅力をさらに倍増させることができるように思います!
その他のエリア
ミニ水族館と植物館の4つのゾーンを見て回った後には、最後に「常設展示コーナー」と「植物販売コーナー」が設けられているコーナーが待っていました!
「常設展示コーナー」では、昆虫ジオラマの展示がされています。
この日は“植物を見て楽しむモード”だったので、植物を購入する予定は無かったのですが、冬のガーデニングを代表する植物のひとつ「ポインセチア」がガーデニングショップの半額ぐらいの値段で売られていたので、思わず、衝動買いしてしまいました・・・!
「板橋区立熱帯環境植物館」では、魚や植物の説明をプロの方から直接聞くことのできる「館内ガイドツアー」や、魚がご飯を食べる様子を見ることのできる「水族館のごはんのじかん」も開催されていて、それぞれの時期によって独自のイベントも実施されています!
入園料、喫茶室、館内で販売されている植物などの支払いは、すべて現金のみでしたので注意が必要です!(2023.12時点)
以上です!
植物館や植物園の中では大きすぎず、小さすぎずといった規模感で、見て回りやすい「板橋区立熱帯環境植物館」をご紹介した記事でした!
関東圏内の植物園については、下記の記事でまとめています。
もしご興味があれば、あわせてお読みください。
板橋区立熱帯環境植物館の基本情報
入園料
大人260円 小・中学生130円(土日等は小・中学生無料)
住所・アクセス
東京都板橋区⾼島平8-29-2
隣接の高島平温室プールに有料駐車場有り
都営三田線「高島平駅」東口より徒歩約7分
開園時間・定休日
AM10時00分からPM6時00分まで(入館はPM5時30分まで)
月曜日(月曜日が祝日、休日の場合は翌日)・年末年始
電話番号・公式HP・メールアドレス
03-5920-1131
板橋区立熱帯環境植物館の公式HP
nettaikan@seibu-la.co.jp
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