柱サボテンを『胴切り』する方法&メリットを解説!鬼面角を増やした記録

切って増やす園芸術

自宅で育てているサボテンを増やしたい。

一本立ちに育つ柱サボテンを枝分かれさせたい。

そんなときに知っておきたいのが「胴切り」という園芸術です

柱サボテンの茎を途中で切断し、切り取った上部を挿し木にすることで、株数を増やせます。
また、一本立ちの柱サボテンを枝分かれ(分岐)させ、おしゃれな見た目にする「ブランチ仕立て」にすることもできます。

ただし胴切りを失敗してしまうと、最悪の場合、大切な植物を枯らしてしまうことにも……

胴切りをする際は、切断面の処理や植え付け後の管理など、失敗しないために知っておきたいポイントがあります。
今回は、胴切りに必要な道具から植え付けまで、自宅で育てている柱サボテン「鬼面角」を胴切りしたときの様子を紹介しながら解説していきます

目次

柱サボテンの『胴切り』

『胴切り』とは?

「胴切り」とは植物の胴体にあたる茎の部分に刃物を入れ、真っ二つに切断することです。

柱サボテンの胴切りで得られる5つの『メリット』

柱サボテンを「胴切り」すると、以下のメリットが得られます。

  • 株数を増やせる
  • 徒長した株を仕立て直せる
    • 健全な部分で切断すれば、親株の樹形を仕立て直しやすくなる
  • 傷んだ部分を取り除き、株の回復を図れる
  • 株を枝分かれさせる「ブランチ仕立て」を楽しめる
  • 大きくなりすぎた株をコンパクトにできる
筆者

柱サボテンにとってもメリットが多く、植物を生産する現場でも広く使われる手法です。

今回胴切りする柱サボテン『鬼面角(きめんかく)』

今回、胴切りするのは、自宅で数年間育てている柱サボテンの「鬼面角(きめんかく)」です

鬼面角は成長速度が早く、環境が整えば1年間で数十センチほど成長することもある植物。
自宅の鬼面角は成長が緩やかになり、鉢底から根があふれ出ているため、植え替えのタイミングを迎えているようです。

自宅ではこの一株しか育てていませんが、お気に入りの植物なので、あと何株か増やしたいところです。
今回は、植え替えにあわせて「胴切り」を行うことにしました。

筆者

あわせて親株の「ブランチ仕立て」にも挑戦していきます!

用意するもの

胴切りにあたり、用意するものは以下の通りです。

  • ナイフ(消毒済みのもの)
  • 新しい植木鉢と培養土
  • 癒合剤(ゆごうざい)
    • 切った後の断面を保護する用品
筆者

自宅の鬼面角はトゲがないタイプなので使いませんでしたが、トゲが鋭い品種を扱うなら、園芸用手袋も用意しましょう。

癒合剤は以下の「トップジン」も有名どころ。

「トップジン」は断面を保護するだけでなく殺菌効果もある癒合剤ですが、オレンジ色の薬剤で目立ちやすいのが難点です。
自然な色合いの「カルスメイト」も知名度が高い癒合剤のため、必要に応じてAmazonなどで探してみてください。

筆者

ちなみに今回は植え替えもしたので、固まった土をほぐす割りばしや、用土をすくう土入れなども使いました。

柱サボテンの『植え替え&胴切りの手順』

筆者

それぞれ項目ごとにご紹介しているため、参考にしてみてください。

  • 植え替え:手順①~③、⑦
  • 胴切り:手順④~⑥、⑦~⑨

今回は植え替えと胴切りを一緒に行いましたが、株のダメージを考えるなら、実施時期をずらすのが理想です。

手順①:株を鉢ごと横に倒す

株が小さな場合を除き、大きな植物を一人で扱うのは簡単なことではありません……。
作業を進めにくいと感じたら、まず鉢を横に倒しましょう。

鉢ごと横に倒したところです。
想像以上に根がびっしり……。

自宅の鬼面角はトゲのないタイプなので横に倒しても問題ありませんが、トゲのある品種は、自重でトゲが折れる可能性があります。

筆者

多少トゲが折れても生育に大きな影響はありませんが、トゲを折りたくない場合は、知り合いに作業を手伝ってもらうなど、別の方法を検討してみてください。

手順②:鉢から株を取り出す

今回の植え替えで、もっとも苦労したのが、鉢から「鬼面角」を取り出す作業。

株が抜けない場合は、鉢底から出ている根を切り落とす

スムーズに株が抜けない場合、まずは鉢底を確認してみてください。
鉢底から根があふれ出ているなら、その根を切り落とすことで株を取り出しやすくなります。

筆者

どうしても根を切りたくない場合は、鉢を壊して株を取り出す方法もありますが、柱サボテンは丈夫な品種が多いため、多少根を切っても問題ないでしょう。

それでも鉢から抜けないときの対処法

それでも株を取り出せない場合は、次の方法を試してみてください。

  • 鉢の側面を角度を変えながら叩く
  • 鉢を持ち上げ、側面の上部から下に向かって叩く
  • 鉢の中の土を少しずつ取り除く
    • 長い箸などがあると取り除きやすい
筆者

20分程度かかりましたが、なんとか鉢から取り出せました……!

まさに「根鉢」という状態です。

手順③:根にこびり付いている土を落とす

続いて、根にこびり付いた土を落としていきます。
購入してから一度も植え替えていなかったため、土の状態を確認するのは今回が初めてです。
これまで株は問題なく成長していたものの、使用されていたのは薄茶色の粘土状の土……。

筆者

こんな土で、よく今まで元気に育ってくれたな……。

と、鬼面角の強さに感心させられるほどでした。

シャワーと割り箸で土を洗い流しました。

土が劣化していなければ、根にこびり付いた土をすべて落とす必要はありません。

筆者

基本的に自宅では用土をリサイクルしていますが、今回の土は状態が悪かったため、再利用するのは避けました。

使用済みの土の状態がよければ、以下の記事を参考にリサイクルを検討してみてください

手順④:胴切りする位置を決める

胴切りする位置は、株の状態や目的に合わせて決めます。

徒長した部分を仕立て直す場合は、おもに元気な部分だけを残すように切断しましょう。
切り取った上部(本記事では「子株」とします。)を挿し木にするなら、発根させるための長さを十分に確保しておくことも大切です。

筆者

今回は株の形を整えつつ、切り取った部分も挿し木にできる位置で切断しました。

手順⑤:胴を切断する

土を落としたら、いよいよ鬼面角に刃を入れていきます。

胴を切断するときのポイントは切れ味のよい刃物を使い、一気に切り落とすこと。

刃物の切れ味が悪かったり、刃をゆっくり入れたりすると、断面に凹凸が生じやすくなり、かえって株が受けるダメージを大きくしてしまうことにも……。

今回は2つの“胴”を切り落としました。
筆者

大切な植物に刃物を入れることに躊躇してしまうかもしれませんが、思い切って切り落としましょう。

手順⑥:親株の切り口を塞ぐ

胴を切り落としたら、断面に癒合剤を塗り切り口を塞ぎます。

筆者

邪道ですが、今回は癒合剤を切らしてしまっていたため、木工用ボンドを使いました。

必ずやらなければいけない作業ではありませんが、雑菌が入り込むと、腐る原因にもなりかねません。

筆者

木工用ボンドは本来の用途とは異なる使い方なので、植物に使う場合は自己責任でお願いします……

手順⑦:親株を鉢に植え付ける

続いて、親株を植え付けます。

筆者

作業⑥と⑦は順不同です。先に株を植え付けてから癒合剤を塗っても、作業を進めやすいかもしれません。

自宅で使用している培養土の配合割合などについては、以下の記事でご紹介しているため、ご興味があればお読みください

大きく成長させたくない場合は、鉢の大きさを制限する

株を大きく育てたくない場合は、鉢のサイズを大きくしすぎないことが重要です。
根が伸びるスペースを制限することで、株の成長もある程度抑えられます。

筆者

自宅の鬼面角は成長を促したいため、元々の鉢より一回り大きな鉢に植え付けました。

固形肥料「マグァンプK」を使用

新しい土には、固形肥料「マグァンプK」を入れました。
「マグァンプK」の大粒は効果が2年も続くため、こまめに植え替えづらい大きな植物にも使いやすい肥料です。

手順⑧:切り口を乾燥させる

乾燥させることで腐るリスクを防げる

胴切り後は、切り口をしっかり乾燥させることが重要です。

切り口が湿ったままだと、雑菌が繁殖して腐敗するリスクが高まります

切り口から水分が抜けると、徐々に「カルス」と呼ばれる組織が形成され、過剰な水分や雑菌が入りにくくなります。

筆者

水分が不足することよりも、切り口がしっかり乾いていないことで腐ってしまうリスクを防ぐことが大切です。

乾燥させる期間は1~2週間ほど

乾燥させる期間は、1~2週間くらい。
新聞紙などで軽く包むと、より安全に乾燥させられます。

筆者

サボテンは水分不足で枯れるリスクは低いため、梅雨どきなどの乾きにくい季節は、乾かしすぎるくらいでもよいでしょう。

子株を植え付けるのは、切り口がしっかり乾燥してから

切り落とした子株は、切り口がしっかりと乾燥してから植え付けましょう。
しばらくは、雨水がかからない軒下で管理するのが安心です。

手順⑨:子株を植え付ける

さいごに、子株を植え付けます。

親株には根があるため水分を吸い上げられますが、根がない子株は親株以上に慎重に扱いたいところ。

筆者

子株については、室内の窓際で管理することにしました。

(更新中)

胴切りを成功させる6つの『ポイント』

胴切りの適期は春と秋

「胴切り」の適期は、春と秋。
暖かい季節は柱サボテンの生育が活発なので、親株のダメージ軽減につながり、子株の発根も早められます。

逆に真夏や冬は、柱サボテンの生育が停滞する季節。
このタイミングで「胴切り」をすると、株が受けるダメージが深刻化することもあるため、おすすめできません

消毒済みの刃物を使う

刃物は植物の切り口に直接触れるため、必ず消毒済みのものを使いましょう。

刃物の消毒方法
  • ライターなどの熱で消毒する
  • 食器用洗剤やアルコールなどで消毒する
筆者

消毒用のガーデニング用品も市販されていますが、個人的には自宅であるもので消毒すれば十分だと思います。

断面をキレイにする

重要なことなので繰り返しになりますが、断面をキレイにすることができると、胴切りの成功率を格段に上げられます。

断面に凹凸ができてしまった場合などは、株の体力を多少削ってしまったとしても、切り直してキレイにすることをおすすめします。

筆者

鉢に植わった状態よりも、株を倒した状態の方が作業しやすいため、うまく切れない場合は試してみてください。

無菌の培養土に植え付ける

子株を植え付ける培養土には、赤玉土や鹿沼土、ひゅうが土などの無菌のものを使いましょう。
腐葉土やピートモスには菌が含まれているため、子株を植え付ける土には向いていません。

筆者

親株を植え付ける培養土選びには、そこまで神経質になる必要はありません。

乾きやすい環境を維持する

柱サボテンは多湿の環境が苦手なため、土がいつまでも乾かない状態を嫌います。

筆者

これは胴切りに限ったことではありませんが、柱サボテンを元気に育てるために以下のポイントを押さえましょう。

  • 通気性・排水性のよい培養土を選ぶ
  • 風通しのよい場所に置く
  • 切れ目の入った鉢(スリット鉢)を使う

スリット鉢については下記の記事で解説していますので、よろしければ参考にしてみてください

癒合剤は子株には塗らない

筆者

子株の切り口には癒合剤を使わず、「日陰で自然乾燥させるだけ」で十分だと感じています。

癒合剤で塞いでしまうと発根が遅れたり、中で蒸れて腐ったりすることもあるため、植物自体の回復力に任せるのがよいでしょう。

胴切り後の管理方法

親株の切り口に水がかからないようにする

切り口をしっかりと癒合剤で塞いでいれば問題ありませんが、念のため、しばらくは切り口に水がかからないように管理しましょう。

筆者

雨がかからない軒下などで管理できると、より安心ですね。

いきなり直射日光に当てない

胴切りは、柱サボテンに大きなストレスがかかる行為です。
胴切り後、1~2週間ほどは直射日光に当てず、柱サボテンの休養期間にあててください。

筆者

子株に関しては、まずは発根させることが先決なので、成長が見られるまで直射日光に当てる必要はありません。

子株は成長が見られるまで肥料を与えない

胴切り直後の子株には、肥料を吸い上げる根が生えていません。
発根が確認でき、成長が見られるまで肥料は与えずに管理しましょう。

まとめ

柱サボテンの胴切りは、作業方法やその後の管理次第で成功率が大きく変わる園芸作業です。
大切な柱サボテンに刃物を入れるのは勇気がいりますが、正しい手順を知っておけば、株を増やしたり樹形を整えたりする方法として活用できます。

筆者

胴切りにご興味がある方は、ぜひ、本記事を参考にしながら試してみてください!

自宅で育てている、サボテンの成長記録や育成環境をご紹介した記事は、下記でまとめています
もしよろしければ、あわせてお読みください

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