ボスウェリア・ネグレクタをたねから育てています!〜実生編〜(更新中)

灌木系コーデックス

灌木系(かんぼくけい)のコーデックスといえば、「オペルクリカリア・パキプス」や「オペルクリカリア・デカリー」、「センナ・メリディオナリス」などが代表種として知られています。
ただ、ほかにも灌木系コーデックスは存在します!

一般的に「灌木系」とは低木のことを指しますが、コーデックスにおける「灌木系」は大きな樹木を小さくしたような見た目をしている品種を指します。

本記事では灌木系コーデックスのひとつ、「ボスウェリア・ネグレクタ」のたねをまいたので、ご紹介します!

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目次

ボスウェリア・ネグレクタの基本データ

原 産 地:ケニア、エチオピア、ソマリア
原産地の特徴①:年間を通して、最低気温が10℃未満になることはあまりない。
原産地の特徴②:地域によるが、30℃を超える日はあまりない。
原産地の特徴③:年間降水量は日本の半分程度。

科・属:カンラン科 ボスウェリア属
学 名:Boswellia neglecta
別 名:乳香の木(にゅうこうのき)

「ボスウェリア・ネグレクタ(Boswellia neglecta)」は、「パキポディウム・グラキリス」のように塊根部分が丸々と太るというよりは樹木のような見た目から、わりと細い枝を伸ばしていくコーデックスの仲間です。

一枚あたりの葉はとても小さく、その小さな葉を無数に展開していく植物です。

ヨネヤマプランテイション本店で撮影(2023.1)

盆栽ともいえるような見た目に惹かれるモノがあり、海外の自然の中で育っている株を輸入している“現地球”(げんちきゅう)の「ネグレクタ」の購入を検討したこともありますが、耐寒温度が15℃ともいわれているので、お迎えするには少しハードルが高いと感じていました。
「ネグレクタ」が本来暮らしている地域であるケニアやエチオピアなどの情報を調べてみると、耐寒温度が15℃という情報もあながち嘘ではないように思います。

神奈川では5月でも最低気温が15℃を下回る日はあり、秋になれば10月でも同じように最低気温が15℃を下回る日が出はじめます。
そのため屋外で育てる場合には、6~9月の間の4か月間と、非常に短い育成期間になってきます。

海外の環境に慣れ親しんでいる現地球の育成はなかなか難しそうですが、日本でたねからうまく育てることができれば、現地球よりは寒さに強い「ネグレクタ」を作りあげることができるでしょう。

いつかは「ネグレクタ」のたねが欲しい!と思っていたところに、たねの入荷情報が入ってきたので、たねを購入してまいてみることにしました!

たねの金額もなかなかのものでしたが、現地球よりもはるかに安い金額ではあります。

「ネグレクタ」は“乳香の木”といった別名を持っていますが、乳香(にゅうこう)とはボスウェリア属の樹木から分泌される樹脂のことを指すようです。

ボスウェリア・ネグレクタのたねまき・その後の経過

たねまき初日(2023年5月3日)

まずは、たねまき初日の様子です。

「ネグレクタ」のたね蒔きについて、そこまで詳しい情報が手に入れられなかったので、ほかの多肉植物のたねを蒔くときと同じように、まくことにしました!

殺菌剤として「ダコニール」と「メネデール水溶液」を希釈した水を容器にためて、腰水での管理をすることにしました!

多肉植物のたねまきは、カビとの闘いになることも。
ダコニールはカビの発生を抑制させるために、そして、メネデール水溶液は“芽”と“根”を出してもらいたいときに、愛用しています。

赤丸を付けたのがたねのひとつで、計12粒蒔きました。

たねをまいた環境

たねを蒔いた環境は、下記のような環境です。
どの植物もそうですが、発芽を促すためには、気温と湿度が特に重要になってきます。

たねをまいた環境
  • たねまき後もこのまま育てていく想定のため、用土には赤玉土とひゅうが土を配合し、鉢の3~4cmの深さに緩効性肥料として「マグァンプ」を混ぜているものを使用しました。
    • 鹿沼土は多湿の環境では、苔が大量に発生させる原因になるので、使用しませんでした。
  • たねをまいたタイミングは5月だったので、室温は20℃を超えていましたが、発芽を促すために25℃以上はキープしたかったので、植物用のヒーターマットの上に置きました。
  • 発芽には高い湿度を保った方が良いので、以前は湿度を上げるために鉢にラップをかけることもありましたが、密封しているとカビの発生率が高く、一部のたねがカビたときにほかのたねにもカビが広がってしまうため、最近はラップを使用していません。
    • カビの観点だけでいえば、ラップをしなくなってからの方が断然少なくなったと思います。
  • そうはいいつつも、高温多湿の方が発芽率は高まると思うので、ラップをしない代わりに、なるべくこまめに霧吹きでたねを濡らすようにしています。

「好光性種子(こうこうせいしゅし)」といって、発芽をするために光を必要とする植物もいれば、「嫌光性種子(けんこうせいしゅし)」と呼ばれていて、発芽する際には光の当たらない土の中で発芽する植物もいます。
「ネグレクタ」は、どちらのタイプなのか分からなかったので、いったん土の中には埋めずに植物育成用のLEDライトの弱い光をあててみることに。

たねまきから4日後(2023年5月7日)

そして、「ネグレクタ」のたねをまいてから、4日が経過しました。

赤い丸の中に見える白いものが、根です。

早くも、複数のたねが根をだしました!

植物は、まず根をだして体を安定させてから、芽をだす作業に取りかかっていきます。
反応が早いのは、たねが新鮮だったからなのかもしれません!

たねの鮮度によっては、ひと粒も発芽しないこともあるので、まずはひと安心。

たねまきから8日後(2023年5月11日)

さらに、4日が経過しました。

早くも、青々として葉を展開させています!

意外なことに、「ネグレクタ」は成長が早いのかもしれませんが、一定の大きさまでは早く成長するものの、その後成長速度が落ちることはよくあること。
要経過観察が必要です

発芽して最初に出てくる葉である「子葉(しよう)」には、植物ごとの特徴が出づらいものですが、「ネグレクタ」の場合は、ほかの植物の子葉とは違ったユニークな見た目をしています。

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たねまきから14日後(2023年5月17日)

そしてたねを蒔いてから約2週間が経過したところです。

下の写真のように1株は根を出して立ち上がったものの、なかなか、たねの殻を脱ぐことができていません。

一度こうなってしまうとなかなか殻を脱げないまま、枯れてしまうことが多いですが、一部の葉が殻から出てきているので、少なからず光合成はできるように思います。
なんとか頑張ってほしいところですが、この株は今後、うまく育っていけるのでしょうか!?

ほかの植物が同じ状況になったときに、殻をピンセットなどで取ろうとしたことがありますが、なかなかうまくいかないのは経験済み。
この大きさの植物では手助けがむずかしく、かえってひとが手出しをしない方が、うまくいく可能性があるかもしれません。

今回は、このまま見守ります。

結局この殻を脱げないでいる株を含めると、発芽率は約40%(12粒蒔いて5つの発芽)という結果でした。
「ネグレクタ」として、この発芽率が40%という数値が高いのか低いのかすらも分かりませんが、まずは発芽したので良しとします!

たねまきの用土としては、“バーミキュライト”や“ピートモス”などの細かい用土を使用した方が良い植物もいますが、「ネグレクタ」の場合は、わりとスムーズに根を潜らせていってくれたので、菌の少ない用土であればそこまでこだわる必要は無いと思います。

たねまきから360日後(2024年4月27日)

一気に記録日が進みますが、たね蒔きから約1年が経過しました。

結局、殻を脱げずにいた「ネグレクタ」は、そのまま枯れてしまいました。

2023年は秋にさしかかるタイミングで、ほかの塊根植物よりも早いタイミングで葉を落とし、もしかしたら冬の寒さに備えた休眠ではなく、枯れてしまったのかとも思いましたが、生き残っていた株もいました!

正直半分諦めていましたが、念のため葉を落とした段階で室内に取り込み、その後も室内の植物育成スペースで育てていたので、春になり葉を展開させたのは、この春でもっとも嬉しいといってもよい出来事です!

ただこの1年で、結局かなりの数の「ネグレクタ」を枯らしてしまったので、育成レベルとしては、やさしい植物ではないと感じています。

たねまきから486日後(2024年8月31日)

そして、さらに4か月が経過したときの「ネグレクタ」の様子です。

夏の間には、毎日のように水やりをしていましたが、それでも葉焼けのような症状がでてしまい、葉焼けを起こしてから毎日水やりをしていましたが、葉焼けの症状はとまらず・・・。
その後は植物ラックの2段目に退避させていますが、葉焼けの症状は再発していません。

ひと株だけ、絶好調で枝を絶好調に伸ばしていますが、ほかのふた株からはそれほど元気な様子が伝わってきません。

今のところ、残っている株は3株。
当初まいたたねが12粒なので、生存確率が25%にまで下がってしまいました。

これ以上、枯らさないように育てていきたいところです!

(継続更新中)

自宅でたねから育てている多肉植物は、下記の記事でまとめています。
よろしければ、お読みください。

ボスウェリア・ネグレクタの育成環境

日当たり

植物育成用LEDライトを使用して育てた方が、高い室温をキープしやすく、光量も適切に保てるので、早く大きく成長させられるでしょう。

わたしは自然の環境の中で植物を育てることが好きなので、春から秋までの間はなるべく屋外の環境で、長い時間直射日光を当てています。

現地球は、強い光にも耐性を持っているようですが、自宅で育てている実生の「ネグレクタ」は、真夏の強い光を当てたところ葉焼けの症状がでたので、真夏は午前中だけ直射日光に当てるなど、植物の状態を観察しながら光量を調整した方が健康的に育てることができると思います。

「ネグレクタ」は耐寒温度が15℃という、寒さに強くない塊根植物の中でも、特に寒さには弱い植物。
“春から秋までの間は屋外にだす”というよりも、“最低気温を確認して”屋外にだすか、室内管理にするか考えた方が良いと思います。

安全をみるなら、最低気温15℃で取り込んだ方がよいものと思いますが、寒さに強いネグレクタに育てるのであればスパルタで行く必要もあるので、むずかしいところですね・・・。

水やり

「ネグレクタ」は、乾燥気味に育てていくのが基本的な育成方法。
水やりが多すぎると、根腐れのリスクが高まってしまうでしょう。

自宅で育てている実生の「ネグレクタ」は、まだサイズ的に小さい株で体内に蓄えておける水分量も少ないので、土の中の方まで乾いていなくても表土が乾いたら水やりをしています。

冬に休眠をしている場合には、ほとんど水やりをしていません。
寒い季節に、水やりをしてしまうと根腐れのリスクを高めてしまうだけではなく、耐寒性を下げてしまうことにもなるので、水やりは控えめにする方が無難な育成方法です。

肥料

用土の中に緩効性肥料を入れて、肥料分をゆっくりと効かせています。

液体肥料は1か月に1度程度の頻度で、サボテンの希釈率に薄めたモノを与えています。

実生の「ネグレクタ」は、肥料分を多く育てた方が、早く大きく成長するでしょう。
ただし、肥料を与えすぎてしまうと、植物にとっては“毒”になってしまうので、要注意です

自宅で「ネグレクタ」をはじめとして、塊根植物に与えて肥料は、ハイポネックスの粉タイプのものです。
正直なところ、少し粉を溶かす作業が面倒だと感じることもありますが、入っている肥料の成分や割合を考えると、この肥料がベターだと思います。

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