【完全版】室内での多肉植物の育て方~メリットや注意点、必要なガーデニング用品~

実際の電気代もご紹介

室内で育てている多肉植物の、葉が間延びしてしまった…。

多肉植物の元気がなさそう…。

多肉植物を育てる上で、そんなお悩みを抱えていませんか?
多肉植物の育成がうまくいかないのは、光・水・風・温度・肥料分の「五角形のバランス」が崩れているのが原因かもしれません

多肉植物を室内で健康的に育てるには、環境づくりが鍵を握ります

この記事では多肉植物の育て方や、徒長したり枯れたりするリスクを避けるために、揃えたいガーデニング用品をご紹介します
気になるランニングコスト(電気代)を含め、デメリットがあるのも多肉植物の室内育成です。

室内育成はガーデニングの幅を広げる存在なので、本記事の内容を参考にして、前向きに取り組んでみてください

目次

多肉植物が元気よく成長する育成環境

多肉植物が元気よく成長するのは、どのような環境なのでしょうか?

まずは、多肉植物が元気よく成長する育成環境を確認しておきます。

多肉植物が元気よく成長するための条件

多肉植物は、以下の条件を整えることで元気よく成長します

  • 温度
  • 肥料分

多肉植物の育成には、上の表の五角形をバランスよく保つことが重要です。

5つの条件のうち1つでも不足したり、逆に過剰になったりすると、すぐに植物が枯れるわけではありません。

ただし長期的に五角形のバランスが崩れると、葉などが間延びする「徒長(とちょう)」を起こしたり、最悪の場合、枯れるリスクもあります

筆者

それぞれの条件を、深掘りしていきます。

光(よく日に当てる)

自生地の多肉植物は、強い日差しを浴びて暮らしている品種が多いです。

強い光が苦手な「ハオルチア」などもいますが、よく日に当てるのが、基本的な多肉植物の育成方法です。

水(乾燥気味にする)

自生地の年間降水量は、日本の半分以下

多肉植物は、雨が少ない地域で暮らしているため、多くの水分を必要としません。

筆者

多肉植物の自生地であるメキシコや、南アフリカの年間降水量は、日本の半分以下です。

ただし乾燥に強くても、まったく水がない環境では生き抜けないため、乾燥“気味”に育てるのが重要です。

湿度(多湿は避ける)

多肉植物は湿度が高い環境が苦手で、特に高温多湿になりやすい梅雨や真夏は、調子を崩しやすくなります。

水やりが少なく、風通しがあれば多湿の影響を受けにくいため、他の要素と一緒に考えると、湿度で失敗するリスクを抑えられます。

植物への「水やり」については、以下の記事で詳しくご紹介しているため、ご興味があれば参考にしてください

風(自然な風通しを確保)

植物が暮らす自然界では、空気の流れがまったくない環境は存在しません。

多肉植物の成長を促すためには、周囲に空気が滞留せず、適度に風通しがある環境が適しています。

風通しがよいことのメリット
  • 植物が植わっている土を早く乾かす
    • 土が乾きにくいと、根腐れのリスクが高まる
  • 葉焼けのリスクを減少させる
    • 植物の蒸散を促し、葉の表面温度を下げる
  • 植物の呼吸や光合成を後押しできる
    • 酸素や二酸化炭素の流れをつくれる

ただし、常に強い風が植物に直接当たる環境では、強いストレスを与えてしまいます

室内の空気が循環するほどの自然な風通しが、多肉植物にとって理想的な環境です。

温度(植物ごとの適温を確保)

生育型ごとの適温

多肉植物は、「春秋型」「夏型」「冬型」の3つの生育型に分かれます。
品種ごとに望ましい温度は異なりますが、生育型ごとの大まかな適温は、以下のとおりです。

生育型ごとの適温
  • 春秋型=10℃~25℃
    • エケベリア、グラプトペタルム、セダム など
  • 夏型=20℃~30℃
    • アガベ、アロエ、パキポディウム など
  • 冬型=5℃~20℃
    • アエオニウム、コノフィツム、リトープス など
筆者

どの生育型でも20℃前後は適温なので、複数の生育型を育てる場合は、20℃前後の暖かい室温を維持した方がよいです。

昼と夜の寒暖差を大きくする

多肉植物の多くは、昼と夜の寒暖差が大きい地域に暮らしています。
常に一定の気温が保たれている環境よりも、寒暖差がある環境の方が、健康的に育ちます。

肥料分(成長期に少量を与える)

多肉植物は、栄養分の少ない土壌に根を張り、暮らしている生きものです。

多くの肥料を与えると、多肉植物にとっては逆効果で、調子を崩すリスクが高まります

頻繁に与える必要はありませんが、成長期に少量の肥料を与えることで、多肉植物の成長を促せます。

筆者

繰り返しになりますが、光や水などとの五角形のバランスが重要です。
強い光が確保できない場合などは、規定量よりも、肥料を少なくするのがおすすめです。

多肉植物の肥料については、以下の記事で解説しています

多肉植物の室内育成における「メリット」

多肉植物の室内育成におけるメリットは、少なくありません。

筆者

ここでは、室内育成用のガーデニング用品を、ひと通り揃えられていることを前提としたメリットをご紹介します。

植物の成長面でのメリット

植物の成長面でのメリット
  • 植物育成用のLEDライトを使用することで、屋外より光合成を促しやすい
    • 植物の成長速度を加速できる
    • 葉などが間延びする「徒長(とちょう)」を防ぎやすい
  • 植物の成長期を再現できる
    • 一年中、植物を休眠させずに育てられる
    • 季節を選ばず、いつでも植物を購入したり、たねを蒔いたりすることができる

それ以外のメリット

それ以外のメリット
  • 寒い(暑い)季節に、屋外に足を運ばなくても、植物のお世話ができる
  • 屋外に植物を育成するスペースがなくても、室内にスペースがあれば植物を育てられる
  • 植物で、室内をオシャレに演出できる
  • 害虫の発生リスクを下げられる
  • 植物の盗難リスクを下げられる
筆者

多肉植物を早く育てたいから、室内で育成しているひとが多いです。
ただし、ひとによって、メリットに感じる部分は異なるでしょう。

最近は「高額な植物が盗難された。」という残念なニュースが報道されることがあります…。
室内育成は盗難されるリスクが低いため、愛情をもって多肉植物を育てているひとにとっては、うれしいメリットです

多肉植物の室内育成における「デメリット」

室内育成には、以下のデメリットもあります。

室内育成のデメリット
  • コストが発生する
    • 育成グッズを購入する費用が発生する
    • 電化製品を使用する場合、ランニングコスト(電気代)が発生する
  • 植物を育成するスペースをとる
  • LEDライトが、窓から屋外に漏れることがある
  • 植物が葉焼けを起こすリスクがある
    • 特にLEDライトと植物の照射距離が近いと、光が強くなりすぎる

以前、紫色の光を発する育成用のLEDライトを使用していたときは、

筆者

近隣住民から、どのように思われているのかな…。

と、気になっていました…!

多肉植物を室内で育てるために、揃えたいガーデニング用品

多肉植物を室内で育てるためにLEDライトが必要なのは分かるけど、それ以外に、必要なものはあるの?

と、疑問に思うかもしれません。
ここでは、多肉植物を室内で育てるために揃えたい、ガーデニング用品についてご紹介します

最低限揃えたいガーデニング用品

最低限揃えたいガーデニング用品
  • 植物育成用のLEDライト
  • サーキュレーター
筆者

強い光と自然な風通しがなければ、多肉植物の樹形を維持するのは、むずかしいです。
LEDライトとサーキュレーターは、最低限揃えたいガーデニング用品です。

揃えておくと便利なガーデニング用品

必須ではありませんが、揃えておくと便利なガーデニング用品は、以下のとおりです。

揃えておくと便利なガーデニング用品
  • コンセントタイマー
  • ヒーターマット(園芸用)
  • じょうろ(コンパクトなタイプがおすすめ)
  • ガーデンラック(多段式)
  • 受け皿(園芸用のトレー)
筆者

その他、培養土や鉢、肥料などは室内育成でなくても必要なため、ここでは省略します。

ガーデニング用品の目的や、選ぶときのポイント

植物育成用のLEDライト

窓からの光だけでは光量が不足しがち

植物育成用のLEDライトは、多肉植物を室内で育てるために、優先的に揃えたいガーデニング用品です

筆者

強い光がないと、多肉植物が十分に光合成できず、調子を崩しやすくなります。

強い光を好む多肉植物は、窓から差し込む光だけでは日照不足に陥りがちです。
特に日照時間が短い冬は、光量不足に注意が必要です

スポット型とパネル型

LEDライトには「スポット型」と「パネル型」があります。

スポット型とパネル型
  • スポット型
    • 広範囲には光が届かない
    • おもに育てている植物が少ない場合に使用
  • パネル型
    • 広範囲に光を届けられる
    • おもに育てている植物が多い場合に使用
筆者

育てている株数によりますが、最初はスポット型から導入するのがよいかもしれません。

サーキュレーター

サーキュレーターはLEDライトの次に重要

多肉植物の室内育成で、LEDライトの次に準備したいのが、サーキュレーターです

常に窓を開けていられるなら、サーキュレーターを使用して、空気の流れをつくる必要はありません。
ただし、温度面や防犯面を考えると、窓を開放状態にするのはむずかしいでしょう。

植物育成には、扇風機よりもサーキュレーターの方が向いている

扇風機もサーキュレーターと似ていますが、植物の育成には、サーキュレーターの方が向いています。

扇風機とサーキュレーターの違い
  • 扇風機
    • ひとが風に当たり、すずむことを目的とした設備
    • すぐ近くの広い範囲に、弱い風を送ることに長けている
    • 風圧が弱いため、遠いところに風を送りにくい
  • サーキュレーター
    • 室内の空気を循環させることを目的とした設備
    • 狭い範囲に、強い風を送ることに長けている
    • 風圧が強い分、音がうるさい傾向がある(最近の製品は静かになっている)

上記のように目的が異なるため、扇風機では室内の空気を効率よく循環させることはできません。

コンセントタイマー

室内育成で起こりうるミスを少なくするためには、コンセントタイマーも揃えておきたい用品です

コンセントタイマーは初期設定しておくことで、設定時刻になると、電源のON/OFFが切り替えられます。

筆者

最近は、スマートフォンで操作可能なSwitchBot(スイッチボット)が、注目されています。

毎日の照射時刻を一定にできるため、点灯や消灯をし忘れる心配がいりません。

ヒーターマット(園芸用)

鉢数が少ない場合は、有効に働く

鉢内を加温する設備には、園芸用のヒーターマットがあります

ただし、少ない枚数のヒーターマットでは室温を上げるのはむずかしく、マットの上に乗せられる鉢しか温められません。
多くの株数を管理する場合は、エアコンなどで室温を上げた方が、効率的な場合もあります。

夜の室温が下がりすぎないなら、昼にのみ加温するのもあり

多肉植物の多くは、昼と夜の寒暖差が大きい地域で自生しています。
日中だけ加温設備を稼働させれば、一日の中でも寒暖差が生まれるため、植物によい影響を与えられるかもしれません。

筆者

ただし夜間の温度が冷えすぎるのは避けた方がよいため、植物を休眠させたくない場合は、24時間稼働させた方が安心です。

以下のヒーターマットは、2024年12月に発売され、50℃まで温度が調整できるマットです。
植物育成用のLEDライトのメーカーとして知られるBRIM製で、省エネ機能や防水機能も付いています。
機能面や安全面でおすすめできるガーデニング用品です。

じょうろ(コンパクトなタイプ)

使いやすいじょうろがあると、育成スペースに並ぶ植物に、効率的に水やりをすることができます

筆者

育てている株数が多いと、植物の水やりは大変な作業です…。

適切なじょうろを使用していない場合、以下のような不都合が出てきます。

  • じょうろが大きすぎる場合
    • ガーデンラックの奥に置いている植物に、水やりがしづらい
  • じょうろが小さすぎる場合
    • 何度もじょうろに水を入れる必要があり、時間がかかる

植物の大きさや育てている場所によって、適切なじょうろは異なります。
自宅の育成環境には、100円ショップのコンパクトなじょうろが、ちょうどよいサイズ感です。

100円ショップで購入したじょうろ。
筆者

まずは室内の植物の数や大きさを確認し、育成環境を把握することで、適切なじょうろを選びやすくなります!

ガーデンラック(多段式)

多段式のガーデンラックは、置ける鉢数を増やしてくれるアイテムです

育てている植物が多いと、室内の限られたスペースに植物をどのように並べるのか、頭を悩ませることにも…。

筆者

特に春から秋にかけて増えた植物を、冬に室内に取り込もうとしたときに、困ることがあります。
単純計算ですが、ガーデンラックを使用すると、以下のように鉢数が増やせます。

  • 2段式のガーデンラック=並べられる鉢数が2倍になる
  • 3段式のガーデンラック=並べられる鉢数が3倍になる

ガーデンラックは、パネル型のLEDライトを設置しやすくなるメリットもあります

ガーデンラックは材質によって錆びやすさに違いがありますが、室内育成が目的なら、材質にこだわる必要はないでしょう。
ただし、ガーデンラックを屋外で使用する場合は、ステンレス製や錆びにくいように加工済みのものがおすすめです。
自宅では、以下のルミナス製のガーデンラックを、メインで使用しています。

受け皿(園芸用のトレー)

室内の植物に育成場所で水やりをするなら、受け皿(園芸用のトレー)は必須です

洗面台などに植物を持っていけば、直接水を与えられますが、あまり効率的な方法とは言えません。

筆者

植物を持って移動するのは、洗面台との往復の際に、誤って鉢を落とすリスクも恐いところです…。

鉢の下に受け皿があれば、育成場所で水やりをすることができます。
多くの株数がある場合は、受け皿の代わりに園芸用のトレーを使用することで、管理しやすくなります。

多肉植物の室内育成における「注意点」

屋外⇔室内は、頻繁に移動させない方が安心

植物を室内から屋外に出したり、屋外から室内に取り込んだりするのを頻繁に繰り返すのは、以下の理由からおすすめできません

  • 急激な環境の変化が頻繁に起こり、植物にストレスを与える可能性が高い
  • 植物を移動する際に、鉢を転倒させるリスクが高まる

強い光を当てられない場合は、休眠させる

根や茎を肥大させる「塊根(かいこん)植物」は、多肉植物の中でも特に強い光を必要とします。

強い光を必要とする植物は、中途半端な光量を当てていると、高い確率で徒長するでしょう

室内で十分な光量を確保できない場合は、休眠期にはムリに成長させようとせず、休眠させた方が安心です。

受け皿に溜まった水は捨てる

受け皿や園芸用のトレーに水が溜まっていると、培養土が乾きにくくなり、多肉植物が調子を崩す原因になります。

水やりをしたら、受け皿などに溜まった水は捨て、培養土を乾きやすくすることが重要です。

鉢の向きは定期的に変える

多肉植物は光の方角に成長するため、たとえば斜めからLEDライトに当たっていると、徐々に樹形が崩れてきます。

鉢の向きを定期的に変えることで、本来の樹形を維持できるため、気づいたら向きを変えるようにしましょう

ガーデニング用品を揃えるためには、どれくらいの費用がかかる!?

植物育成用のLEDライトをはじめとして、メーカーや商品の性能によって、販売価格には幅があります。
以下の2パターンで、実際の販売価格を比較します。

  • パターン1
    • 植物育成用のLEDライト(スポット型が1台)+ヒーターマット1枚+サーキュレーター1台
  • パターン2
    • 植物育成用のLEDライト(パネル型が2枚)+ヒーターマット2枚+サーキュレーター1台

(2025年7月時点の、Amazonの販売価格をもとに算出)

筆者

すべてのガーデニング用品の販売価格を比べると、分かりにくくなるため、今回は電化製品に的を絞って比較します。

初期費用:比較表

スクロールできます
パターン1
スポット型ライト:1台
 ヒーターマット:1枚
サーキュレーター:1台
パターン2
パネル型ライト:2枚
ヒーターマット:2枚
サーキュレーター:1台
植物育成用のLEDライト3,224円7,286円
ヒーターマット3,876円7,752円
サーキュレーター3,280円3,280円
合計金額10,380円18,318円

植物育成用のLEDライトは、同じメーカー(BRIM)の商品で、他のガーデニング用品は以下の製品で算出しました。
BRIM製のLEDライトは、販売価格も高くない割に性能がよいため、コスパに優れたライトです。

筆者

今回は機能性ではなく、リーズナブルに手に入る製品で比較します。

【スポット型ライト】

【パネル型ライト】

【ヒーターマット】

【サーキュレーター】

ランニングコスト(電気代)は、いくらかかる!?

ランニングコスト(電気代)がどれくらい発生するのか、事前にイメージしておきたいものです。

先ほど算出した2パターンで、以下のとおり、ランニングコスト(電気代)を算出しました。

電気代(月額):比較表

スクロールできます
パターン1
スポット型ライト:1台
 ヒーターマット:1枚
サーキュレーター:1台
パターン2
パネル型ライト:2枚
ヒーターマット:2枚
サーキュレーター:1台
植物育成用のLEDライト223.2円837円
ヒーターマット669.6円1,339.2円
サーキュレーター736.6円736.6円
合計電気料金1,629.4円2,912.8円

今回の算出条件では、「1,500円~3,000円」のランニングコストが毎月発生する結果になりました。

筆者

揃えるガーデニング用品は、育成環境ごとに異なりますが、ひとつの参考にしてみてください。

算出条件

ちなみに、以下の条件で算出しています。

W数

スポット型ライト:24W
パネル型ライト:45W
ヒーターマット:30W
サーキュレーター:33W

1日の稼働時間

LEDライト:10時間
ヒーターマット:24時間
サーキュレーター:24時間

単価・算出日数

単価:1kWhあたり31円
日数:1か月を30日とする

まとめ

多肉植物を室内で元気よく育てるのはむずかしそう…。

と思われがちですが、ポイントを押さえれば、環境の変化が激しい屋外よりもカンタンに育てられます

大切なのは、光・水・風・温度・肥料分の「五角形」のバランスです

この記事では、それぞれの要素を適切に保つために、必要なガーデニング用品をご紹介しました。
LEDライトやサーキュレーターがあれば、自宅の室内でも多肉植物がイキイキと育つ環境をつくれます

初期投資や電気代はかかるものの、室内にグリーンがある生活は、心を豊かにしてくれるでしょう

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