サボテンを増やす方法
“柱サボテン”といえば、細長い姿をしたサボテンのことですが、もっともメジャーでポピュラーともいえる品種に「鬼面角(キメンカク)」がいます!
丸みを帯びたカタチとくっきりと浮き上がる稜(りょう)との相性が抜群で、かわいらしい見た目から、人気が集まっているサボテンです。
夏の暑い時期に「鬼面角」の植え替え、そして胴切りをしたので、その時のことをご紹介します!
柱サボテン:鬼面角(キメンカク)
「鬼面角」は、自生地では高さ10mまで成長するサボテンで、調子がよいタイミングであれば旺盛に成長をする植物です。
サボテン科に属する植物は、全体的に成長速度の遅い植物という印象をもたれる方も多いと思いますが、品種によっては驚くほどのスピードで成長をしていく品種もいます。
「鬼面角」も、驚くほど成長速度の早いサボテンのひとつということですね。
成長速度が早い分、日照不足などでカタチが細く間延びしてしまう“徒長”も起こしやすい植物です。
基本的に屋外でしっかりと直射日光を当てていれば問題ないかと思いますが、肥料や与えすぎや、水やりの回数を必要以上に増やすことは、この徒長につながるリスクが高くなるのでNG行為です
成長速度を加速させるためには、植物にとって望ましい条件が合致することが最低条件ですね。
日光を好む多肉植物ではあるものの、真夏の直射日光は避けた方が無難なようです。
ただ、自宅では一年を通して直射日光に長い時間当てていますが、今のところ真夏の直射日光による不調のサインは出ていません。
自宅で育てている「鬼面角」はおととしまでは旺盛な成長を見せてくれましたが、去年はほとんど成長をしませんでした。
数年前の冬ごろにお迎えし、その年の冬には寒さで凍傷と思われる症状が出てしましましたが、過度に凍傷の症状が進行することなく持ち直しました。
今もなお、胴の真ん中あたりの稜の部分に、当時の痛々しい傷跡が残っています・・・。
「鬼面角」はとても寒さに強く、氷点下-9.4℃まで耐えることもできるという情報もありますが、基本的に氷点下にまで最低気温の下がらない神奈川の育成環境で凍傷の症状がでてしまったのは、おそらく環境の変化も影響しているのだと思います。
室内の暖かい売り場から、いきなり冬のベランダに出してしまったので、それが原因のひとつですね。
寒さにとても強いという情報を信じすぎて、完全に油断してしまいました
胴切り
胴切りは、サボテンがヒョロヒョロとした見た目に成長してしまう“徒長”した姿になってしまった場合、根腐れをした部分を切り離して、調子を取り戻してもらうことが主な目的ですが、サボテンを増やすこともできます。
サボテンの胴を切ることで物理的に複数の株にし、複数のそれぞれの株がその後根を生やして健全に成長することで、株数を増やせる仕組みです。
胴切りを行うのに適した季節は、春と秋。
胴切りに限らず植物の動きがもっとも旺盛なタイミングなので、タネまきや挿し木などもこのタイミングで行うことで、成功率を上げることができます。
胴切りを行うための作業はいろいろと発生しますが、自宅で育てているお気に入りの植物を、新しく買い足すこともなく数を増やすことができることから、嬉しい園芸ワザのひとつですね。
鬼面角の植え替え・胴切り
それまでドンドンと成長していたのに、去年「鬼面角」が思うような成長を見せなかったのは、根が育ちすぎて鉢内の環境がギュウギュウに詰まっている“根詰まり”が原因であると考えて、今年の春ごろに植え替えようと思っていましたが、結局は7月まで植え替えができず・・・。
すでに季節は暑い季節を迎えてしまい、植え替えの適期ではない季節に突入していましたが、なんとかなるものと考えて植え替えと胴切りを決行することに。
数年間実際に育ててみて、「鬼面角」がとても強い植物であることは分かっているつもりなので、この季節に植え替えなどを行っても大丈夫だと判断しました。
数年前に失敗をしておきながら、その失敗を教訓にせずにまた完全に油断をしていることは自分でも感じていますが、果たして大丈夫でしょうか・・・!?
用意したもの
今回の植え替えと胴切りにあたり、用意したものは下記の通り。
- 新しい多肉植物用の土
- ふるい(結局使用せず)
- 土入れ
- 新しい鉢
- ナイフ(消毒済みのもの)
- ハサミ
- 木工用ボンド
- 割りばし
鉢植え・胴切りの手順
ここから柱サボテン「鬼面角」の植え替え、胴切りの手順をご紹介します。
鉢を倒します
まずは、「鬼面角」が植えられている鉢を横に倒しました。
なるべく株を支えながらゆっくりと倒すことで、株へのダメージを軽減させることができます。
わたしは株を持ち上げても鉢から抜くことができず、横に倒しさないと鉢から抜けないと判断したので横に倒しましたが、株をスムーズに取り出せるのであれば、この工程は省いても構わないと思います。
鉢底からかなりの根があふれ出てきているので、やはり鉢の中でも根詰まりが進行している模様です。
鉢底から出ている根は整理をしないと、鉢から株を取り出すのに悪戦苦闘することになるので、今回この根はハサミで切り取りました。
たまに鉢底からとても太い根が出てきている植物もありますが、その時は思い切って太い根をぶった切るか、または植わっている鉢の一部を壊さないと取り出すことが難しい状況に陥ります。
鉢から抜く
鉢を倒したら、株を抜きます。
今回の植え替えと胴切りを行った中で、もっとも大変だったのがこの鉢から抜く作業でした。
なにより大変だったのが、「鬼面角」の重さ!
自宅で育てている「鬼面角」も1m以上に成長していますが、もっと大きなサイズまで成長した株は、ひとりで植え替え作業を行うのは困難になることが想定されるため、誰かに手伝ってもらう必要がでてくると思います。
そして次に大変だったのが気温・・・神奈川でも7月上旬でも最高気温35℃というのが当たり前になってきましたが、外にいるだけで汗だくになり、とにかく暑すぎる・・・。
なかなか鉢から株を抜けないときには、いくつかの工程を踏むことで、鉢から取り出しやすくなります。
- 鉢底から根が出ている場合は、出ている根を整理する(前の工程です)
- 鉢の側面から鉢を叩く
- 鉢を持ち上げて、鉢の側面の上部から下に向かって鉢を叩く
- 細い棒(割りばしでも可)を使用し、中に入っている土をほじくり出す
徐々に鉢の中に入っている土を取り出して、鉢内に隙間をつくり、株が取り出しやすい状況をつくっていくイメージです。
「鬼面角」に与える影響は最小限に済ませたいので、なるべく優しくいきたいところですが、結局は割と強めにそして根気強く土をほじくり出す作業も必要になりました。
株に多少のダメージが出るのは覚悟の上、鉢内の土を取り出しながら、徐々に株を取り出していきます。
根にからみ付いた土を落とす
数年植え替えていない場合は、鉢の中の土の粒が砕けてしまっていて、通気性や排水性に悪影響を及ぼしている可能性が高いです。
そのため、根にからみ付いた土も含めて、なるべく土は落としましょう。
この作業時にだいぶ驚いたのですが、「鬼面角」が植えられていた用土には、薄い茶色の粘土のようなものも使われていて、「こんな土でよく今まで生きてこれたな。」と感心してしまうぐらい悪い土に植えられていました・・・!!
まるで、ヘドロのようでした。
季節は植え替えの適期ではなかったものの、このタイミングで植え替えをして土を入れ替えることができたことは、良かったのかもしれません。
粘土のような土はかなり根にこびりついていたため、シャワーの水をかけながら徐々に落としていきました。
まだ土がそこまで劣化していないのであれば、土のリサイクルを検討してもいいかもしれませんが、今回の土はリサイクルに回すことは避けました。
胴を切る
植え替えと胴切りのどちらも行うにしても、できれば植え替えと胴切りは別のタイミングで実施をしてあげた方がベストだと思いますが、今回は植え替えのタイミングにあわせて胴切りを行いました。
胴を切るときには、切れ味の良い刃物で切ることが重要です。
切れ味の良くない刃物を使用すると植物の切り口をキレイに切ることができず、少なからずその後の植物の成育にも悪い影響がでてしまいます。
また刃物は植物の傷口に直接触れる部分なので、消毒した上で使用しましょう。
わたしは食器用洗剤を使用して消毒しましたが、ライターやチャッカマンなどの火の熱で消毒する方も多いですね。
胴切りの作業を行うのであれば、土に植えられた状態でもできなくはないですが、横向きにして行った方が切りやすいので、断面をキレイにしやすくなります。
鉢に植える
胴切りをしたら、親株を新しい多肉植物用の土に植えます。
(ここでは、もともとの大きな植物を「親株」、切り取った頭の方を「子株」とします。)
今回は一回り大きな鉢に植え替えましたが、根がそこまで成育していなくて、もともとの鉢でも植えられるサイズであれば、同じ鉢にあらためて植え直しても良いと思います。
植物の大きく成長させたくない場合にも、鉢のサイズを大きくしないことで、ある程度植物の成長を抑制させることができます。
新しい土は粘土状の土ではなく、サボテンが好む水はけや通気性を重視したオリジナル培養土を使用しました。
少し前まで鹿沼土もある程度配合していましたが、自宅の環境にはそこまで合わないような気もしているので、最近は鹿沼土を配合する量は1割程度まで減らしています。
土の中には、緩効性肥料として「マグァンプ」、殺虫剤として「オルトラン」を混ぜ込んで使用しています。
「マグァンプ」の大粒は、使用から2年間の効き目があるので、特になかなか植え替えができないひとには、ありがたい特徴です。
切り口をふさぐ
胴切りをしたあとは、断面の消毒をし乾燥させるのがベストです。
乾燥させているタイミングで雨水などが当たってしまうと、切り口から雑菌が入り込み腐ってしまう原因になるので、今回は木工用ボンドを使用して切り口をふさぎました。
この切り口をふさぐためのガーデニンググッズとして、「癒合剤(ゆごうざい)」が市販されているので、ベストなのは木工用ボンドではなく癒合剤を使用することですね。
切り口を乾燥させる
一方の子株については、通常は新聞紙などで軽く包み、1週間程度日陰で切り口を乾燥させることがベターな方法です。
わたしは、特に乾燥させる工程は踏まずに、子株をそのまま用土に植えました。
乾燥させる作業を省いたことが吉と出るか凶と出るか、まだ分かりませんが、無菌の用土を使用しているのとナイフは消毒を行っているので、そこまで過剰な作業を行いませんでした。
このときに発根促進剤を使用することで、さらに発根確率を上げることができます。
子株の方にはしばらく水やりは厳禁なので、たとえ台風が来ても雨水の当たらない室内の窓際に移動しました。
黒いスリット鉢が、ガーデニングショップにも並んでいたので、子株のうちひと株に早速使用してみました。
黒いスリット鉢の名前は「根っこつよし」・・・少しネーミングセンスは気になるところですが、効果は抜群なはず!
なお、スリット鉢の効果については別の記事で書いていますので、よろしければお読みください。
現在、経過観察期間中ですが、失敗しても成功しても結果については更新していきたいと思います。
(更新中)
まとめ
今回は、柱サボテン「鬼面角」の胴切りについて、ご紹介しました!
「鬼面角」は胴切りをし、カタチをつくっていく楽しみ方もできる柱サボテンなので、根腐れの対策や増やすためではなく、カタチをつくり上げるために胴切りをする方も多いです。
お気に入りの植物が自宅にいるのであれば、新しく購入することなく、植物を増やしていくのもひとつの楽しみ方です!
たくさんの植物に囲まれた“植物Life”も、楽しくてオススメです
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