植物の春の迎え方:冬から春に変わるタイミングで植物を枯らさないようにする6つの対策

夏型植物の成長のために

春は年度の切り替わりの季節で、新しい生活が始まる季節でもあります。

卒業式や入学式、そして社会人のスタート、故郷を離れることになるタイミングも、この季節が多いでしょう。
ひとにとっては、新しい生活になじむまでの間は、環境の変化が大きな季節です。

そして植物にとっても、寒い季節を好む「冬型の植物」を除いて、暑い季節を好む「夏型の植物」や観葉植物にとって“春”は目覚めの季節、そして成長を再開させる季節でもあります!

落葉する植物は冬の間には葉を落として休眠期に入り、一年を通して緑を付けている常緑の植物も成長を停滞していた時期。
その植物たちが、葉を展開させたり花芽を上げたりと、育てている植物からエネルギーを感じる季節に突入します!

日照時間が長くなり気温も上昇していくので、暖かい季節を好む植物たちにとっては成育条件がよくなっていく季節ですが、意外とこの時期に植物が体調を崩すことはあります。

「環境の変化」は植物へ大きなストレスを与えてしまうので、季節の変わり目は植物にとってはデリケートなタイミングなのです。

そして、冬を乗り越えたタイミングでは、下記のような疑問を持たれている方もいるのではないでしょうか!?

  • 冬に寒さ対策で控えめにしていた水やりは、いつから再開すればいいのか!?
  • 冬を迎える前に室内に取り込んだ植物は、いつから外に出せばいいのか!?

今回は「季節の冬から春に切り替わるタイミングで、気を付けること」についてまとめました!

是非、この時期に気を付けるべきことを確認して、暖かい季節の植物の成長を促しましょう!

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目次

季節の変わり目(冬から春)の6つの対策

それでは、具体的な対策についてご紹介していきます

①天気予報を詳細にチェックする

まず、ひとつめの対策は「天気予報を詳細にチェックする」ことです!

夏に向けて気温が上昇してくるため、気温だけで判断すると、多くの植物が屋外で過ごすことのできる日が増えてきます。

しかし、春は気温が高まってきますが、気圧の関係で1年でもっとも風が強い季節でもあります。
ひとも同じですが、強い風にあたってしまうと実際の気温よりも寒く感じてしまうので、最低気温はもちろん、どれぐらいの風速なのかも含めて、天気予報をいつも以上に詳細にチェックする必要があります。

風速が1m増すと体感温度が1℃下がると言われているので、冬の間に室内へ取り込んでいた植物を屋外に出すかどうかは、慎重に判断した方がよいです。

また、朝は晴れていたけど夕方から雨が降ることもよくあります。
まだ水やりを控えた方がよい植物に雨水があたってしまうことも避けるべきなので、朝の天気だけではなく少し先の天気までチェックする必要があるでしょう。

個人的には、一度会社に出勤したら夕方までは帰ってこれないので、降水確率が30%~40%のときは、雨が降る前提で捉えています。

②水やりは徐々に再開していく

植物が体内に蓄えている水分は葉からも蒸散していきますが、冬の間は落葉している植物もあり、植物自体の代謝が下がっているため、植物が必要とする水分量は低下しています。
必要ないモノを体内に取り入れる必要は無いため、冬の間は植物が水を吸い上げる力が落ちているのです。

また冬の間に断水気味に育てていた場合には、根が枯れてしまっていたり弱っていたりする場合もあるので、生きている根が少なくなっていることも多く、その面からもさらに水を吸い上げる力が落ちています。

暖かい季節になると徐々に植物が水を吸い上げる力も戻っていきますが、一気に吸水力が元に戻るわけではないので、水やりは植物の状態をみながら、徐々に増やしていく必要があります!

株が萎んでいる場合を除いて、最初のうちは表土が濡れるぐらいの水やりで大丈夫です。

必要以上に水やりをしてしまうと、鉢内の水が長い時間乾かず、根が呼吸できないことにより“根腐れ”の原因になってしまいます。

これは植物の品種によりますが、デリケートな多肉植物については、葉が完全に生え揃ってから水やりを再開するぐらいがちょうどよいです。

植物の「水やり」については、下記の記事で詳しくご紹介しているので、ご興味があればお読みください!

③太陽光に徐々に慣らしていく

室内の窓辺の環境はひとの目で見ると明るい環境に見えますが、実は屋外の日陰の方がよっぽど明るい環境です。

冬に室内で過ごしていた植物は室内の弱い光に慣れているため、いきなり屋外の直射日光を浴びると、強いストレスを感じてしまいます。

強い光を好む植物でも室内から屋外に移動させる場合には、いきなり直射日光に長時間当てることはせず、屋外の日陰で慣らしていくなどの工夫が必要です。

ただし、冬の間も植物育成用LEDを使用して強い光をあてていた場合は、植物が光に慣れているためそこまで慎重にならなくても大丈夫でしょう。

大切な植物が求める太陽光に当ててあげたい気持ちはわかりますが、早まる気持ちをおさえて、植物をやさしく育てる気持ちが重要となります。

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④「環境の変化」を意識する

凍てつくような寒い冬と比較すると、暖かい春は植物にとって過ごしやすい気温に上昇していきます。

寒い季節をなんとか乗り越えた植物が成長期に突入し、早く植物の成長を見たい気持ちだけが早まってしまっても植物のエンジンは意外とかかっておらず、ひとと植物の間にギャップが生じやすい季節でもあります。

暑い季節や寒い季節に突入するタイミングと同じように、季節の変わり目(環境の変化)は植物に強いストレスを与えることを意識することが必要です。

⑤肥料をいきなりあげない

「春には肥料を与える」というのが植物の基本的な育て方で、肥料を与える時期が適切であれば、植物が春の成長期のスタートダッシュを切ることができます!

ただ、肥料をまだ欲していないのにも関わらず与えてしまうと、逆に植物にとっては“毒”になってしまいます。

肥料がないと植物がすぐに枯れてしまうわけではなく、「成長の手助けをしてくれる存在」だと割り切って慎重に与える必要があります。

たとえ育てている植物が成長期のスタートダッシュを切れなかったとしても、焦らずに植物が成長を再開してから肥料を与え始めることで、肥料を再開するタイミングとしては遅くないといえるでしょう。

スポーツ競技でも、合図よりも早くスタートしてしまうとフライングとなり失格となってしまいますが、植物にとっても適切なタイミングで肥料を与えるスタートを切りたいものですね!

「液体肥料」と「固形肥料」の特徴については、下記の記事でご紹介しているので、もしよろしければお読みください!

⑥剪定(せんてい)をする

これはちょっと先を見据えた対策となりますが、春の季節に植物の枝葉を切る「剪定」も、その後に植物が健康的に成長していけるかどうか、重要なカギを握っています!

植物は春に目覚めてから剪定をすると、植物が枝葉にエネルギーを送ったあとに剪定をすることに。
要するに枝葉にエネルギーを預けたまま、枝葉を切り落とされると余計なエネルギーをロスしてしまうことになるのです。

植物の枝葉が密集している場合には、枝葉にエネルギーを送ってしまう前に、植物の枝葉を剪定することで、余計なエネルギーをロスすることなく、植物を健康的な状態に保つことができるでしょう。

剪定は樹形を整えるだけではなく、植物を取りまく風通しを改善したり、害虫対策になったりと、植物にとっても良い影響を与えるものです。
タイミングをしっかりと見極めて行うことで、植物へのダメージを減らすことができますよ。

剪定した後の断面には、下記のような「癒合剤(ゆごうざい)」を塗ることで、植物へのダメージをさらに減らすことができます。

100円ショップでも売られている“木工用ボンド”を、癒合剤の代替品として使用する方法もありますが、もし安心して使用したいのであれば「カルスメイト」という癒合材がオススメです。

春は植え替え・受粉・たねまきの季節

植物の植え替え

「夏型の植物」にとって、春は植え替えの適期となります。
冬の間に落葉していた植物たちが、春を迎えても葉を展開させずに、いつまでも休眠から目覚めない「寝ぼすけ植物」も中にはいます。
同じ品種の中にも、株ごとに個性があるのも、植物の魅力のひとつだったりします。

葉を展開させる直前がもっとも植え替えに適したタイミングとなりますが、正直なところ、植物が葉を展開させる直前のタイミングを把握することは、なかなかむずかしいこと。

自宅で育てている植物は基本的に春を迎えて、葉が展開を開始してから植え替えをしているので、「植物が春を感じて動き出したタイミングが植え替え時期」と捉えても問題ないでしょう。

根詰まりをしている場合は、このタイミングで植え替えをすることで春以降の成長を活発なものにし、目を見張るほど大きく成長することにも。

春を通り越して夏に突入してしまうと、いくら「夏型の植物」といえども夏の暑さで疲弊してしまっていることもあります。
そのタイミングで植え替えをするのは、ひとも汗だくになりますし、なにより植物へのダメージも深刻なものに・・・。

春に切り替わるタイミングで植え替えが必要な植物は、植え替えを完了させることで、春の成長を促してあげましょう!

植物の受粉・たねまき

春にお花を咲かせる植物もいれば、サルスベリのように真夏のタイミングでお花を咲かせる植物もいて、逆に秋や冬にも植物のお花を楽しむことができます。

ただし、植物の開花は春がもっとも多いと感じています。
冬に成長速度が緩慢になっていた植物たちが目を覚ました、つぼみを上げて花びらを開き、虫などによって受粉が進む季節になるでしょう。

虫などの力を借りずに、ひとが受粉のお手伝いをするケースもめずらしくありません。

受粉によって実ができ、実の中からたねができる。
できたたねを蒔いて、新しい個体として育てることができます。

ほかの季節では、あまり行うことのできない「実生(みしょう)」の楽しみが待っている季節でもあります!

春の季節を慎重に迎えて、植物の植え替え、受粉、たねまきを実施したいものですね!
「実生」の楽しみは、ほかに変えられないものがあると感じています!!

まとめ

わたし自身も春を迎えた季節に、これまで何度もやらかしてしまった実体験があります。

春は植物にとって成長期を迎える季節ではありますが、焦る気持ちをおさえて、この季節に少しでも植物に関するトラブルが減ればいいと思っています。

逆に夏から涼しい季節・寒い季節に差し掛かるときは、寒さに用心するようになるのですが、この季節は油断が・・・。

油断せずに、環境の変化を一緒に乗り越えて、素晴らしいガーデニングライフをおくることができればいいですね!

植物の寒さ対策については、下記の記事で書いています!

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