液体肥料と固形肥料の特徴:成育環境や植物によって使い分ける!?併用はあり?

植物を成長を倍増させる

植物は太陽の光を浴びて光合成をすることで、自らが生きていくためのエネルギーをつくり出しているため、人工的につくられた太陽光パネルとも似通った特徴をもっています。

自然界では葉が腐って土に還ったり動物の排せつ物があったりと、植物の成育にとって栄養素となるものがそこら中に落ちています。
しかしながらお庭や鉢の環境では動物が立ち入ることも少なく、落ち葉も土に還る前にひとの手により回収されてしまうことが多いので、なかなか“栄養素の原石”となるものがありません。

そのため、植物に適切な栄養素を届けるためには、人工的に土の中に植物が育つ栄養素を足す必要があります。
その栄養素を足すために用いられるグッズに、「肥料」という存在があります!

上手に使えば植物の良好な生育につなげることができますが、過剰な量を与えたり間違った使い方をすると“肥料焼け”など、植物が弱ってしまうこともある「肥料」。
本記事では「液体肥料」と「固形肥料」のメリットやデメリット、使い分け、実際の使用方法などのご説明をしています。

目次

液体肥料:liquid fertilizer

「液体肥料」とは水に薄めて使用する肥料のことで、短縮して“液肥(えきひ)”といわれることも多いです。

肥料を与える植物によって、どの程度に薄めればいいのかは異なるので、パッケージなどに記載されている“希釈(きしゃく)倍率”をよく読み、適切な濃度に薄めた上で植物に与えます。

市販されている「液体肥料」のなかには、水に薄めることなくそのまま使用できる液体肥料もあります。

液体肥料のメリット

ここからは、「液体肥料」のメリットについて書いていきます。

即効性が高い

「液体肥料」は即効性が高く、すぐに植物に栄養素を届けることのできる肥料です。

霧吹きで葉に水をかける“葉水(はみず)”にも使用することができるので、植物が根から上手く栄養素を吸収できない場合には、葉からも栄養素を吸収させることができるので、肥料の与え方の幅が広いのも「液体肥料」のメリットです。
ジョウロで液体肥料を薄めた水で水やりをする場合にも、葉や茎に与えた水がかかれば葉や茎から栄養素を吸収させることも可能となりますが、葉や茎は根よりも栄養素を吸収しやすいため、通常時よりも2倍程度に薄めて使用することで適切な栄養素を届けることができます。
たとえば、通常500倍に薄めて肥料を与える植物には、1000倍に薄めて与えるということです。

無駄遣いが少ない

「液体肥料」は、必要なタイミングで必要な量をピンポイントで与えることができます。

水に溶けるタイプの固形肥料では、梅雨どきなどの長い雨が降っているタイミングだとずっと肥料が溶けっぱなしという状態にも。
一方の「液体肥料」には、そういった事態は発生しづらく、必要なだけ使う肥料なので無駄遣いの少ない肥料ともいえるでしょう。

均一性の確保

大きめな「固形肥料」を使用する場合には、どこに置くかで植物への効果にもバラつきがでることも考えられますが、「液体肥料」は水に溶かしてから使用するため、植物が均一に肥料分を吸収しやすい特徴があります。

「液体肥料」の効果を最大限に引き出すためには、肥料を溶かした水は、植物に対してまんべんなく使用することがポイントです。

「液体肥料」でオススメなのは、ハイポネックス社からでている肥料ですね。
特に観葉植物に与えていると目に見えて植物が元気になってくることもあるので、定期的に肥料を与えるのが楽しくなることもあります。

わたしも最初に購入した「液体肥料」は、こちらの肥料です。
液体は青色をしていて、水でしっかりと薄まっているのかが分かりやすいので、使用のしやすい肥料のひとつです。

液体肥料のデメリット

メリットも多い「液体肥料」ですが、いくつかデメリットも挙げられます。

持続性が低い

「液体肥料」は即効性がある反面、持続性が低い肥料です。
植物が植わっている土壌を改良して効果を発揮する肥料ではなく、水に溶けていることでスムーズに植物に吸収されるので、液体肥料が溶けている水が鉢底や土壌から流れていってしまえば、効果がなくなります。
また即効性があるということは、植物にすぐに吸収されることでもあるため、植物に吸収されてしまえばその時点で栄養素がなくなります。

肥料の効果を持続させたい場合には、短いサイクルで継続して与えていかなければなりません。

ただし、もともと肥料の少ない土壌で育っているサボテンなどの植物や、いつまでも肥料分が残っている環境よりもメリハリのある環境の方が健全な成育につながることもあります。
そのため、肥料が切れやすい持続性の観点は、一概に「液体肥料」のデメリットとは言い切れない特徴ではあります。

水に薄める作業が都度発生

「液体肥料」の原液は濃度が高く設計されているので、基本的に水に薄めて使用しないと、植物に“肥料焼け”などのダメージを与えてしまうことになりかねません。
実際に、先ほどご紹介した「液体肥料」を使用する場合には、下記のような倍率で薄める必要があります。

希釈濃度(ハイポネックスの場合)
  • 庭植え植物(庭木・果樹など)
    • 250倍
  • バラ、キク、観葉植物など
    • 500倍
  • 洋ラン、球根、ハーブなど
    • 1,000倍
  • サボテン、盆栽など
    • 2,000倍

この500倍、2,000倍といった希釈率が厄介だったりします・・・。
「2,000倍に薄めて使用するといわれても、どれぐらいの原液を何Lの水に薄めればよいの!?」といったことは、意外と分かりづらいもの。
また、ジョウロで水を量って水を薄めようとする場合に、「自宅にあるジョウロが、何Lの水が入るジョウロなのか分からないから使用しづらい・・・。」なんてことにも。

「液体肥料」の種類によっては、肥料に付いているフタである程度の容量を量ることができますが、原液を量ることのできるグッズを別途購入する必要が出てくることもあります。
100均でも売っている“スポイト”や“注射器”は、「液体肥料」の希釈率を適切に薄めるために使われることもあり、実際に使用しても特段問題なく使えるので、とてもコスパの良いガーデニンググッズになりえます!

使用できる「液体肥料」の種類は限定されますが、原液を溶かしながら植物への水やりができるガーデニンググッズを使用することで、原液を水に希釈する時間を短縮できるでしょう。

ガーデニングショップやホームセンターでは、水に薄めなくても良いタイプの液体肥料(最初から薄められている)が売られていますが、コスパの観点からは少し手間でも水に薄めて使用するタイプの方がオススメできます。

固形肥料:solid fertilizer

「固形肥料」とは粉末や粒状の肥料のことで、用土に配合したり、用土の上に置いたりして使用します。
用土の上に置くタイプは“置き肥”と呼ばれることもあります。
水やりや雨の水によって「固形肥料」の栄養素が溶け出し、ゆっくりと浸透していくことが特徴です。

「液体肥料」が“液肥”と短縮されることはありますが、一般的には「固形肥料」が“固肥”と呼ばれることはありません。

同じ肥料であっても、「液体肥料」と「固形肥料」を比べると、真逆ともいえる特徴を持ち合わせています。

固形肥料のメリット

持続性

「固形肥料」は徐々に水に溶けていき、ゆっくりとしたペースで効果を発揮します。
固形肥料の中には「即効性肥料」とよばれる即効性が高いものと、「緩効性肥料」や「遅効性肥料」とよばれる即効性の低いタイプがあり、持続性の高いタイプであれば数か月から数年にわたって効果を発揮します。

また、持続性が高いということは、「環境が急に変化しづらい」ことにも。
室内に置いていた植物を、急に直射日光に当ててしまうと葉焼けを起こしてしまうように、植物は環境変化には気を付けなければいけない生きものです。
急な環境変化は日当たりだけではなく、土壌の中の環境にも当てはまり、固形肥料の“持続性”という点は急な環境変化になりづらく、植物の安定的な成育につながりやすいといったメリットも挙げられます。

この持続性という点は、肥料を与えたくないときにも肥料の効き目が継続されてしまうことになるため、植物の種類や植物が休眠をする時期や体調を崩してしまったときには、デメリットともいえる特徴です。

手間が少ない

「固形肥料」は持続性が高いので、一度用土に配合したり表土に置いてしまえば、「固形肥料」の効果が切れるまで基本的に追加で与える必要はありません。
植物へ水やりをする際や、雨の水で自動的に溶けて効き目を発揮するので、「液体肥料」のように肥料を与えるときに、毎回水に薄める作業が発生しない点は「固形肥料」のメリットといえるでしょう。

安価

肥料に含まれている成分もさまざまで、商品により金額差もあるので一概にいえませんが、「液体肥料」に比べて「固形肥料」の方がコスパがよいケースが多いと感じています!

「液体肥料」も「固形肥料」もある程度容量のあるものを買ってしまえば、どちらも長持ちするので、育てている植物の数がものすごく多くなければ大差がでない範囲内ではおさまります。

固形肥料のデメリット

ここからは、デメリットについてご紹介します。

即効性が低い

「固形肥料」は、水に栄養素が溶けてから初めて効果が発揮されるため、「液体肥料」のような即効性はありません。
特に、効果が長く効くタイプは成分が溶けにくいものが多いので、「固形肥料」を与えたあとからすぐに植物に効くわけではありません。

「固形肥料」の中でも、特に“遅効性肥料”は即効性が低い肥料なので、植物に早く効かせたいのであれば即効性のあるタイプの「固形肥料」か、または「液体肥料」を使用した方がよいです。

無駄遣いが多い

「固形肥料」は、一度与えると水やりや雨の際に効果が持続します。

ずっと雨が降っている環境では、ずっと肥料分が溶け続けている状態になり、効率面が低いといえるでしょう。

鉢で植物を育てている場合で、用土に配合して使用する「固形肥料」の場合には、「固形肥料」が溶けて植物に栄養素が吸収される前に、鉢底やスリット等のすき間から肥料が抜け出してしまうこともあり得ます。

商品による使用方法の違い

「固形肥料」は、用土の上に置くタイプがあれば植物を植える前に用土の中にあらかじめ入れていくタイプもあり、使用方法が商品によって違います。

また、根に近すぎる場所に置くと、濃度障害を起こし植物の体調不良につながることもあります。
そのため根から適度に離して置いたり、用土の深い位置に埋めたりする必要があり、「液体肥料」よりも使用方法には工夫が必要なもの。

使用方法は一般的にパッケージに書いてあるので、少し面倒だとしても、必ずよく読んでから使用しましょう。

「固形肥料」でオススメなのは、「マグァンプ」という肥料です。
植物が肥料分を欲している時にしか肥料の効果が発揮されない特徴を持っていることから、肥料過多による肥料焼けのリスクも少なく、初心者の方からプロの方まで愛用されている肥料です。
肥料分だけではなく、防虫効果も発揮する「マグァンプ」も市販されていますね。

肥料の使い分け

ここまでご紹介してきたように、「液体肥料」にも「固形肥料」にも、メリットだけではなくデメリットもあります。
植物の種類や状態だけではなく、植物を植えている用土の保肥力(肥料を蓄えておける力)など、いろいろな要因によって、望ましい肥料の種類や与える量が変わってきます。

ここからは、「液体肥料」と「固形肥料」の使い分けに関するポイントをご紹介していきます!

自分の性格を考えてみる

「液体肥料」がいいのか、それとも「固形肥料」がいいのかは、実際に肥料を使用するひとの性格によります。

前述のように、都度水に薄めて使用する「液体肥料」よりも、土に置いて使用する「固形肥料」の方が、育成にかかる手間が少ない特徴があります。

植物に手間をかけるのが苦にならない方には、「液体肥料」を溶かす作業もそれほど負荷がなく行えますが、日々時間に追われている方や、植物の育成手間を少しでも省きたい方は、「固形肥料」を使用することで、手間を省くことができます。

「液体肥料」を使用したことが無い方でも、「固形肥料」は使用したことがある方が多いのは、この育成手間の差によるものがかなり影響があるといえるでしょう。

季節に合わせる

春に植物が動き出したタイミング、または動き出す直前に固形肥料を与えると、成長のエンジンをかけることができます。
その後植物の成長速度が上がってきたら、さらに旺盛な成長につなげるために、液体肥料を与える。という季節に合わせた、肥料の与え方が望ましい
と感じています。

また、アメやチョコレートが暑い季節に溶けやすくなるように、固形肥料も温度によって溶けやすさに変化が生じます。
夏は暑さによって固形肥料が溶けやすくなるので、固形肥料を控えめにしたり、植物が栄養素を欲しがらない冬の間は肥料が切れ気味で育てた方がよいので、秋から冬にかけて固形肥料の効果が薄れている状態をつくりだせたら理想的だといえます。

固形肥料によっては効果が3年間持続するものもあるので、なかなか難しいことですが、植物の成育期には固形肥料の効果が発揮され、休眠期までには固形肥料が溶けだして、ほとんど用土に残っていないようなサイクルを生み出すことができたら、植物の成長が緩慢になる時期にも植物へのダメージを軽減させることができるでしょう。

肥料の使用方法

ここからは、肥料の使用方法についてのご紹介です。

「液体肥料」でも「固形肥料」でも、与えるタイミングに違いはあれど、使用方法は同じ考え方です。

肥料は規定量の範囲内で使用する

肥料を多く与えると、植物が早く成長すると考えている方は意外と多いです。
たしかに植物によっては肥料過多な状況で、通常よりも早く成長することもありますが、一般的には肥料の与えすぎは植物の成長に逆効果を及ぼします。

植物は必要としている以上の肥料を与えられても、うまく栄養素を吸収できないどころか、逆に体調を崩してしまうのです。

ひとや動物も、食べ過ぎたり過度に栄養を採りすぎたりすると逆に体調を崩すこともありますが、植物にとってもそれは同じことがいえます。

植物に肥料を与えるときには、必ず規定量の範囲内で使用することが重要です。
これまでに、肥料分を与えたことのない植物に肥料を与えるときは、いきなり与えてしまうと植物が驚いてしまうかもしれないので、規定量より少なめの肥料を与えることから始め、徐々に規定量に調整していくイメージでいると失敗が少なくなるでしょう。

植物に応じて調整する

植物の成育に必要な栄養素に“3大栄養素”といわれている成分があります。

3大栄養素は、下記の成分です。

植物にとっての3大栄養素
  • 窒素(ちっそ)(N)
    • 葉や茎の成長に効果を発揮する成分
  • リン酸(P)
    • 花や実の成長に効果を発揮する成分
  • カリウム(K)
    • 根の成長に効果を発揮する成分

植物によって、与えるべき栄養素は変わってきます。

たとえば、レタスやキャベツなどの葉物野菜やハーブなどは、葉や茎を大きくする“窒素(ちっそ)”が多く含まれている肥料を与えることで、大きく成長させたい葉などが成長するでしょう。
また、花を楽しんだり果実をつける植物には、花や実の成長を促す“リン酸”が多く含まれている肥料を与えます。
あわせて根の成長は、基本的に植物全般に必要な栄養素なので、「カリウム」は植物の成長期にあわせて与えることで、植物の健全な成長へとつなげることができます。

植物の品種や成長期や開花期など、植物の成育過程によっても、必要な栄養素やその量が異なりますが、まずは植物の品種によって適切な栄養素が含まれている肥料を選び、成長期などにあわせて適切な肥料を与えていくことで、植物を健康的に育てることができるでしょう。

まとめ

ここまで、「液体肥料」と「固形肥料」のメリットやデメリット、使い分けや使用方法などについてご紹介しましたが、どちらが優れていて逆にどちらが劣っているということはありません。

実際に、自宅の植物育成を育てている環境ではどちらの肥料も使用していますが、優劣をつけることはできません。

「液体肥料」と「固形肥料」を上手に組み合わせることができれば、さらに園芸を楽しむことにつながるでしょう!

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