植物を飾る道具をつくる

エアープランツ（チランジア）

「エアープランツ」とよばれている植物の正式な学名は“チランジア”といい、タイミングによっては100円ショップでもお迎えできる植物のひとつです。

「エアープランツ」という通称は空気中（エアー）の水分を吸収し、成育していく植物（プランツ）であることが由来となっていて、ガーデニングショップで販売されているのはもちろん、街なかにあるオシャレなカフェや雑貨屋さんでもインテリアのひとつとして見かける植物です！

花言葉は“不屈”で、土が無く本来植物が生きていくには困難な環境の中でも、空気中の水分を吸収し生き抜けることから名付けられているようです。

植物のジャンルを超えて、おしゃれアイテムの立ち位置にいる「エアープランツ」ですが、飾り方という面では意外と判断に迷うのも事実です！
それもそのはず！土に植えなくても育てられるからこそ、飾り方は多岐にわたるのです。

土に植わっている植物は、植える鉢や置き場所などを迷うことはあっても「飾り方」にそこまで悩むことは無いので、選択肢が多い「エアープランツ」ならではの贅沢な悩みといえますね！

今回は、「エアープランツ」をオシャレに飾ることのできるヒンメリの作り方についてのご紹介です！
飾るためのグッズを購入しなくても、もしかしたら既にご自宅にあるモノで、飾れる道具をつくれるかも！？

ヒンメリ（himmeli）とは

「ヒンメリ（himmeli）」は中央ヨーロッパで生まれ、その後スウェーデンを経由してフィンランドに伝わったとされる装飾品のひとつで、言葉の語源はスウェーデン語で“空”や“天”を意味する「ヒンメル（himmel）」が由来とされています！

フィンランドの冬は、太陽が空に昇っている時間が非常に短く、暗い世界が長い時間にわたって広がっています。
冬至は1年で日照時間がもっとも短い日ですが、この日を境にして日照時間は徐々に長くなっていくので、冬至を「太陽神の誕生祭」として、フィンランドでは盛大にお祝いをしてきました！
この誕生祭は、北欧のクリスマスの起源とされていて、いまだにクリスマスや結婚式などのお祝いの時にはこの「ヒンメリ」が飾られています！

わたしはエアープランツを育て始めるまで、恥ずかしながらこの「ヒンメリ」のことは知りませんでした。
エアープランツを飾るためにつくられたモノではなく、「ヒンメリ」の飾り方のひとつとして、そしてエアープランツの飾り方のひとつとして、二つを組み合わせる飾り方が生まれたのです！

ヒンメリの作り方

「ヒンメリ」の材料には、本来“麦のわら”と“ひも”が使用されますが、ひもはともかく“麦のわら”を使用するとなると、少しハードルが高くなってしまいます！

今回は、麦のわらの代替えとして“ストロー”を使用し、「ヒンメリ」をつくっていきます！
ストローであれば、既に自宅に置いてある確率も高いと思います！

用意するもの

まずは、「ヒンメリ」をつくるにあたって、用意するものから紹介します！

今回わたしがつくった「ヒンメリ」はすこし小さなサイズなので、大きなヒンメリをつくりたい場合は、ストローや縫い糸、タコ糸の長さは、必要な長さが変わってきます。

①ストローを同じ長さに切る

まずはじめに、必要な材料のひとつであるストローの準備をします。
必要なストローの本数は12本なので、ストローを均等の長さ（今回は5cm）に切っていきます。

このときに定規などを使用して長さを測っていきますが、スマートフォンのアプリでも長さを測れるものがあるので、自宅になければ一時的に“定規アプリ”をダウンロードしても良いかもしれません。

あわせて、糸も必要な長さ（今回は100cmと20cmのふたつ）に切っていきます。

②ストローで三角形を作る

均一な長さに揃ったストローを準備したら、「ヒンメリ」を組み立てていく作業に入っていきます。

切ったストロー12本のうち3本に、100cmの縫い糸またはタコ糸を通していきます！
ストローの中を通すことができる細さで、ある程度の強度がある糸であれば、何の糸でも大丈夫ですが、今回は縫い糸を使用しました。

手先が器用なひとにとっては、なんでも無い作業かもしれませんが、細かい作業が苦手なひとにとっては早くも苦戦するかもしれませんね。
わたしも細かい作業は苦手ですが、がんばりましょう！

縫い糸を通す作業が終わったら、3本のストローで三角形をつくります！

三角形をつくることができたら、ここで糸を固結びしてしまいます！
このとき、短い方の糸は最後に固結びをする作業があるので、10cm程度の長さを残しておきます。

③最初に作った三角形に新たな三角形をつなぎ合わせる

三角形をつくって固結びをしたら、長い方の糸にさらにストロー2本を追加して縫い糸を通します！

縫い糸を追加で通したら、先につくった三角形につなぎ合わせて、三角形をふたつつくります。
つなぎ合わせる箇所は、下の写真のピンク色の部分と赤色の目印を参考にしてください。

④初めに作った三角形の角に結ぶ

先ほど作った三角形の角につなぎ合わせたら、固結びをして固定してしまいます！

外枠の形状でいうと、“ひし形”のカタチになりますね。

まだまだ、まったく完成品の「ヒンメリ」のカタチとはほど遠いですね。

⑤この作業を繰り返す

ここまでと同じ要領で、合計5つの三角形をつなぎあわせていきます。

5つの三角形には、合計で11本のストローを使用することになります。

三角形を3つ作ったところ！

最初よりは、カタチが出来上がってきましたね。

三角形を4つ作ったところ！

三角形が増えていくにつれて、最後に出来上がる「ヒンメリ」のイメージも少しずつ湧いてきます。

三角形を5つ作ったら、三角形の制作は終わり！

うんうん、ここまで来たらどのようにして「ヒンメリ」のカタチに仕上がっていくのか、具体的にイメージがふくらんでいきます！

⑥12本目のストローを長い方の糸に通す

下の写真のように、残っている最後のストロー1本を長い方の糸に通します！

⑦糸同士を結ぶ

最初に10㎝程度余らせていた糸と、長い糸を固結びします。

写真を見てもらった方が分かりやすいので、写真を参考にしながら、制作を進めていきます。

結んだ後に余った糸はストローの中に入れて、表に出てこないようにします。
糸がストローに入らず、表に出てきてしまうときは糸を短く切って出てこないように調整します。

あとで糸が垂れ下がってきてしまうと、完成品の見た目に影響がでるので、ここは面倒でも慎重に行いたいところですね。

⑧開いている三角形同士を結ぶ

ここで、ようやく2本目の糸の出番です！
最初に準備しておいた20㎝の糸を使用して、開いている（まだ固定していない）三角形同士を、下の写真のようなイメージでつなぎあわせていきます！

三角形同士をつなぎ合わせたら、糸をくぐらせます！

くぐらせた糸を固結びして、しっかりと固定します！

余っている糸はこのままフックなどに吊り下げるときに使用するので、誤って切らないように注意します。

⑨形を整えます

最後に、「ヒンメリ」のカタチを整えたら、ついに完成です！

伝統的な工芸品のひとつ「ヒンメリ」でエアープランツを飾ると、「文化的に歴史あるもの」と「オシャレさ」の融合を室内で感じることができるので、オススメですよ！

「ヒンメリ」は既に完成されたものも市販されていますが、自分の手でつくることで手作業による温かみが加わり、ヒンメリに特有の魅力がさらに引き立たされるように思います！
また、ストローの色や材質を変えることで、自分好みのものをつくりあげることができ、部屋の印象にも合うものが作成できるのも魅力のひとつです！
ここが、市販されている既製品と、自分でオリジナルのものをつくることの最大の違いだと思います。

自宅で愛情をもって育てている自分だけの「エアープランツ」に、世界に同じものが無い自分だけの「ヒンメリ」を組み合わせることで、相乗効果を生み出し、植物をより一層楽しめるきっかけにもなるのではないでしょうか！？

「ヒンメリ」の制作については、以上です！

100円ショップでもストローを入手できますが、Amazonなどでもカラフルなストローの入手が可能です。

エアープランツの基本情報

育 て 易 さ：★★★★☆
成 長 速 度：★★☆☆☆
入手し易さ：★★★★★
耐　寒　性：★★★☆☆（耐寒温度（目安）：10℃）
耐　暑　性：★★★★☆

原産地：南アメリカ
花言葉：『不屈』
科・属：パイナップル科　チランジア属
学名：Tillandsia

ストローでつくるタイプではないですが、「ヒンメリ」の手作りキットも販売されています。