冬型コーデックス(オトンナ)の発根管理~根が無い植物(ベアルート株)を購入してきたら~

塊根植物の発根管理

植物を輸入する場合には、害虫などを持ち運ばないように、植物の“根”を切った上で日本に輸入する必要があります。
それは、日本から海外に植物を輸出する場合にも適用される、国際的なルールになっていること。
害虫がひとに危害を加えたり、生態系を崩さないようにするために取られている、対策のひとつです。

植物は水分を根から吸い上げているだけではなく葉からも吸水しているので、葉だけでもある程度の水は吸えますが、やはり大部分は、根から水分補給を行っている生き物です。
大部分の植物は、根が存在しない状態ではすぐに水分不足に陥ってしまい、長い間生きていくことができません。

しかしながら“多肉植物”と呼ばれる植物は、雨が少なく乾燥した環境で暮らしていくために、ほかの植物よりも体内に多くの水分を蓄えるように進化した植物です。
そのため根が生えておらず根から水を吸い上げられなくても、体内に蓄えている水分を少しずつ消耗しながら、しばらくの間は生きていくことができます。

こういった多肉植物の性質を利用し、海外から輸入された多肉植物が、根の生えていない状態(=未発根株)で売られていることもあります。

今回は、根が生えていない“冬型コーデックス”を購入してきたあとに、根を出してもらう「発根管理」についての記事です!
※冬型コーデックスは、秋から春までの間の涼しい季節が成長期とされている、塊根植物のことを指します。

目次

「オトンナ」の基本データ

原産地:南アフリカ、ナミビア
原産地の特徴①:気温が上昇する季節(夏)は1〜3月で、気温が低下する季節(冬)は6~8月頃。(日本とは季節感が真逆)
原産地の特徴②:年間を通してみると、日本の夏と冬ほど気温差はない。
原産地の特徴③:雨があまり降らない乾燥地帯で、降水量は日本の3分の1程度。

科・属:キク科 オトンナ属
学名:Othonna herrei(オトンナ ヘレー)
   Othonna cacalioides(オトンナ カカリオイデス)

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コーデックス(塊根植物)の発根管理について

植物が生き物である以上、たとえ植物に関連した職業に就かれているプロの方でも、未発根の植物を100%発根させられる方はいないでしょう。
一般的に未発根の植物よりも、しっかりと発根している植物の方が販売価格は高くなるので、すべての未発根株をすぐに発根させる方法が確立されていれば、発根させてから販売されることになると思います。
それでも、未発根の植物が売られているということは「この方法で管理すれば必ず発根します!」といった方法が、そもそも無いということの裏付けともいえるのではないでしょうか。

海外の自然の中で育っていた植物を、日本に輸入した株は“現地球”や“現地株”などと呼ばれることがありますが、最近では、現地球の中にも“山採り株”と“現地発根株”という株が存在するもの。

山採り株は、現地で採取した植物をそのまま日本に輸出した株で、現地発根株は、現地で採取した後に現地の畑でいちど発根させてから日本に輸出しているので、日本に到着してからの発根確率が上がる傾向にあります。

その分、現地発根株の方が金額が上がりますが、輸入までの手間を考えると、ある程度は仕方ないと思います。

発根管理株について

2023年11月19日(November 19, 2023)

購入品

五反田のTOCビルで開催された多肉植物専門のイベント、「サボテン・多肉植物ビッグバザール」に参加し、冬型の塊根植物をふた株購入してきました!

塊根植物は根の部分を大きく肥大させて、大きくなった根の部分に、水分を多く蓄えておくことのできる多肉植物です。

購入してきたふた株
  • オトンナ ヘレー(Othonna herre)
  • オトンナ カカリオイデス(Othonna cacalioides)

写真の左側に映っている、大きくてゴツゴツしたボディを持つ塊根植物がオトンナ属の「ヘレー」という品種です。
一方の右側、株が小さくてまん丸なボディの上に葉を乗せている塊根植物が、同じくオトンナ属の「カカリオイデス」という品種になります!

未発根株の選び方

一概に“未発根株”といっても、株が蓄えている水分量などには、それぞれの株によって異なるもの。

株の水分量の見分け方は、株自体の柔らかさ、重み、そして株にシワが入っているかどうかです!
株自体が柔らかかったり軽かったりすると、体内に蓄えている水分が消耗されているので、株に残された体力が切れかかっている状態になります。
また、株に過度にシワが入っている状態でも、同じように水分がすでに消耗されている証拠になります。

発根確率を重要視するのであれば、硬さや重みがあり、過度にシワの入っていない株が発根確率が高いので、できれば自分の手で実際に持ってみて株の状態を確認した方が良いでしょう。
未発根株を購入するのであれば、塊根植物を実際に触れることのできる多肉植物の専門店や、植物のイベントなどで入手することが望ましい方法になります。

発根管理は“株の鮮度が命”なので、気に入った株があっても、株の状態が悪いのであれば見送る勇気が必要になることもあります。

購入品の状態

購入してきたときの「ヘレー」と「カカリオイデス」の、根元の部分は、上の写真のような状態です。
購入時点では「ヘレー」には根のようなモノは確認できず、「カカリオイデス」は根が付いてはいるものの、黒くてカサカサなので、すでに機能していない根だと思われます。
この機能していない根は、発根管理をする前に切り落としました。

株を持ってみたときには、ずっしりとした重みがあり、変な柔らかさもありません。
「カカリオイデス」には、少しだけシワが入っていますが、これぐらいのシワであれば許容範囲だと思います。

「オトンナ」の発根管理の記録

オキシベロン液剤(発根促進剤)に浸ける

春から秋までの暖かい季節が成長期とされる塊根植物、いわゆる“夏型コーデックス”には「パキポディウム・グラキリス」や「オペルクリカリア・パキプス」などの塊根植物がいます。
夏型コーデックスの場合には、根の先端を切れ味のよいカッターやガーデニング用のハサミで切り落とし、植物の新鮮な断面を出してから発根管理をするのが一般的です。

ただしその作業は“冬型コーデックス”には、必要ないと言われています。

わたしも根の先端を切り落とす作業は行わずに、そのまま発根促進剤である「オキシベロン液剤」を薄めた水に浸けることにしました。
「オキシベロン液剤」は50倍に薄めて、5時間程度浸けました。

オキシベロンを薄めた“水風呂”に入ってもらっている様子

「オキシベロン液剤」は、発根管理以外に使用できないのが難点ですが、発根管理には有能なグッズです。

この水に薄める作業は少しだけ手間ですが、容量を量るときは、「オキシベロン液剤」のキャップを使用することもできます。
キャップ1杯あたりが、10mlとなっています。

ただ、10mlは意外と量があるので、もっと少ない分量を量りたいときは、スポイトを使用すると便利です。
スポイトがあると、「オキシベロン液剤」を使用するとき以外にも、液体肥料や活力剤などを薄めるときにも便利なもの!
ガーデニング用品に代用できるスポイトは、100円ショップなどでも入手可能です!

発根を促す園芸資材には、「ルートン」もメジャーどころです。

水耕で発根を促す

そして、「オキシベロン液剤」に浸けたあとは2~3日程度乾かし、水に浸けて発根を促す“水耕(すいこう)”で発根管理をすることに!
使用する水は、ミネラルウォーターではなく、水道水です。
ミネラルウォーターは、栄養が豊富に含まれているため、植物に使用する水としては適しません。

“冬型コーデックス”は“夏型コーデックス”よりも、発根管理の難易度は低いとされていますが、すぐに発根してくれるでしょうか。

ほかにできることがあるとすれば、定期的に水を取り換える作業を行うことと、コーデックスの神様に対して発根祈願を行うことのみです!!

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2023年12月1日(December 1, 2023)

正直なところ、発根までにもう少し時間がかかると思っていましたが、「ヘレー」も「カカリオイデス」も根を出しました!

発根管理には、2週間も経っていません。

赤い矢印の先に、白い根が確認できます。
カカリオイデスも発根したようです。

「ヘレー」の方が勢いよく発根し、「カカリオイデス」はこの時点では微発根といったところですが、いずれにしても発根までの速度が早い!

水耕での発根管理は、あまり深い位置まで浸けてしまうと株自体が腐ってしまうこともあり、かといって浸ける位置が浅いと発根を促すことができません。
そのため、根が生えてくるであろうと想定される位置が、ギリギリ水に浸かっているような状態を保つことが望まれます。

言葉ではなかなか分かりづらいと思いますが、だいたい下の写真ぐらいの位置となります。

水耕での管理で発根した根は、用土の中ではなく、水の中で水が吸えるような根です。
その後もずっと水耕で育てていくなら話は別ですが、多くの水を体内に蓄えている塊根植物を水耕で育てていくのは、現実的とはいえません。
水に馴染んだ根は用土には馴染みづらいので、水耕で発根管理を行う場合には、発根が確認できたらすぐに土に植える“土耕(どこう)”に切り替えることが望まれます。

最後に、自宅で使用している多肉植物用の培養土に植えて、水やりをして終了です!

植物を土に植えてから、最初に水を与えるときは、用土が細かく砕けてドロのようになっている微塵(みじん)を抜くことが望まれるので、鉢底から流れてくる水の色が透明になるまで、たっぷりと水やりをします。

以上です!

“冬型コーデックス”である、オトンナの「ヘレー」と「カカリオイデス」の発根管理をご紹介させていただきました!

その後の、成長記録については、下記の記事でご紹介しています。

↓オトンナ・ヘレーの成長記録・その後の育成環境↓

↓オトンナ・カカリオイデスの成長記録・その後の育成環境↓

わたしは今回使用しませんでしたが、もし心配であれば、発根促進剤に浸けたあとに、ベンレート水和剤などの殺菌剤を使用することで、万全な体制で発根管理に取り組めると思います。

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