園芸用土のリサイクルについて~リサイクル用土の特徴と具体的なリサイクル手順~

自然環境に優しい園芸を

植物は成育期には旺盛な成長を見せる生きものです。
植木鉢で育てている植物は、植物の成長や用土の劣化にあわせて、数年ごとに植え替えをしていく必要があります。

自然の中では虫や微生物が枯れ葉や枯れ木から養分をつくりだし、「用土の劣化→用土の再生」というサイクルを生み出していますが、鉢内の限られた環境では、いったん用土が劣化してしまうと、自然に置いておくだけではなかなか再生することはありません。

植え替えのときに出た用土は劣化していますが、そのまま廃棄するだけではなく、また使用することもできます!

今回は「新しい用土とリサイクル用土の比較」、そして「劣化した用土のリサイクル方法」についてご紹介します!

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目次

使い終わった園芸用土の処理

地方自治体によっては、植え替えのときにでた用土をゴミとして回収してくれません。
結果として、公共の公園の敷地内に園芸用土が捨てられてしまっているというニュースが報道されていました。
捨てられた用土の中に本来日本で育っていない植物のタネがまぎれていて、捨てられた用土の中から発芽し公園内で繁殖してしまい、公園内の生態系が崩れてしまう事態になっているようです。

お庭のある一戸建てに住んでいれば、使い終わった用土をお庭にまいて、自然環境の中でまた良い土によみがえらせることもできますが、集合住宅の場合は深刻な問題になっているようですね。

わたしの住んでいる地域では、使い終わった用土をゴミとしても出せるので深刻化している問題ではありませんが、たしかにゴミとして出せないと困ってしまう事態にもなるでしょう。

ここは、地方自治体のルールを確認するしかありませんが、もし自治体が回収をしていなくても用土を回収してくれる業者もありますので、公園に用土を捨てることはせずに、今一度よく確認をしてみましょう。

リサイクル用土の特徴

それでは、リサイクル用土の特徴について!

費用が安価

使い終わった用土をリサイクルをするときには、もともと植わっていた植物が用土の中にある肥料を吸い上げてしまっているコトが多いです。
そのため、リサイクル用土には足りなくなった肥料分や用土の再生材を追加する必要があり、お金をまったくかけずにリサイクル用土をつくりあげるのは、なかなか困難なものです。
それでも、肥料分やその他必要な園芸グッズはそれほど高いモノではないので、「コスパの良さ」はリサイクル用土を使うときの最大の特徴といえますね!

新品の用土を購入するよりも、リーズナブルに園芸用土を入手することができます!

病気・ウイルスのリスク

植物も生きものなので、ときとして枯れてしまうこともあります。
もともと植わっていた植物が、病気やウイルスに感染していた場合、用土にもウイルスなどが残っている可能性があります。

周囲で育てている植物が元気なのに特定の植物だけが急に枯れてしまい、枯れてしまった原因がわからない場合には、植わっていた用土をリサイクルすることはせずに、廃棄してしまった方が無難です。

肥料が不足している

前述のように、もともと育てていた植物が用土の中に入っていた肥料分をすでに使い切っているときは、古い用土には充分な肥料分が残っていないことがあります。

ゴミ・不要物

植物の根や枯れ葉などの不要物が、古い用土の中に残っていることがあります。

葉が腐敗してできた「腐葉土」が土づくりに用いられるように、自然界では植物の根や葉は虫や微生物によって分解され、新しく栄養素に生まれ変わります。
しかし、鉢の中は短期間で腐葉土のようなものができる環境ではなく、また鉢内のスペースにも限りがあることから、根や葉は残しておかずに取り除くことが望まれます。

結構やっかいなのは近くで育てていた植物や、どこからか自然ととんできた植物のタネがまぎれていた場合です。
植え替えをしたあとに発芽することもあるため、なんとか取り除きたいところですが、タネの大きさによってはふるいでも取り除くことができず、植物のタネだと分かりづらい見た目をしているものもあります。

微塵・団粒構造

“良い土”と呼ばれる用土は、ひとつひとつの用土の粒が、“団粒(だんりゅう)”と呼ばれる小さな集合体を形成しています。
団粒構造によって用土の中にもある程度の隙間ができ、通気性や水はけが良い影響をもたらしますが、古い用土の場合は粒が崩れてしまっているコトがあるので、団粒構造が機能しなくなっています。

また用土が崩れてしまうと、泥のような性質になってしまい、水はけや通気性の面から好ましくない影響を与える“微塵(みじん)”と呼ばれるモノになってしまいます。

自然界の中でも、泥のようなエリアに植物が生い茂っている光景を見ることはあまり無いと思いますが、そのような環境が鉢の中にも生じてしまうことになります。

環境配慮

古い用土は一般ごみに出したり、住んでいる地域によっては処理業者にお金を出して処理してもらったりと何かと困ります。

また用土を購入したときに用土が入っているビニール袋を削減することができ、天然資源である用土の使用量もおさえることができます!

今まさに求められている“環境に優しい”特徴ですね。

新しい用土とリサイクル用土の比較表

以上のことをまとめると、こんな感じになります!

スクロールできます

新しい用土

リサイクル用土
費用発生リサイクル材のみ発生
病気・ウイルス低い可能性あり
肥料分商品による基本的に補充が必要
ゴミ・不要物少ないふるいが必要
微塵少ないふるいが必要
環境配慮配慮している
「新しい用土」と「リサイクル用土」の比較表

劣化した用土のリサイクル方法

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それでは、劣化した用土はどのようにリサイクルすればよいのでしょうか!?

用意するもの

まずは、用意するものからです。

  • 園芸用手袋
  • 用土を広げることのできるシート
  • ふるい
  • 黒いビニール袋
  • 用土のリサイクル材(遅効性肥料など)
STEP
もともと植わっていた植物を鉢からだします

植物は自然界では強い風が吹き荒れる日でも、屋外でなんとか踏ん張って育っています。
そのため、植物の根は用土に絡みつくようにして成長しているため、植物を鉢から出したときには結構な量の用土が根についています。

植物の根をほぐしながら、根に絡み付いている用土を少しずつ落としていくと用土が取りやすいですね。
また、用土が濡れているとうまく用土がとれないことにもなるので、なるべく土を乾燥させてから植物を鉢からだすことをオススメします。

※この作業時には、ケガ防止の観点から園芸用手袋をつけた方が無難です。

STEP
古い用土を広げて乾かします

用土は極力広範囲にわたって広げた方が、その分多くの空気にふれることになるので、短い時間で乾かすことができます。
強風時には、軽い用土が風に乗って飛んでいってしまうことにもなりかねないので、屋外で乾かす場合には雨が降らずに風が比較的落ち着いているタイミングで実施することをオススメします。

※このときに、園芸用のシートがあると用土も広げやすく、スムーズにリサイクル作業を進められますよ!

STEP
ふるいにかけて不要物・微塵を取り除きます

園芸用のふるいを使用して、用土の中にまぎれている枯れ葉や根、ごみ、微塵などを取り除いていきます。
ふるいは「大きな網目→中ぐらいの大きさの網目→小さな網目」の順番で使用します。

:園芸用のふるい:使用手順
  • 大きな網目
    • まずは、大きなごみなどを取り除きます。
      • ヤシのチップや大粒の用土などは、ふるいにかけてもふるいの上に残ってしまいますが、これらはそのまま再利用できるので、不要な根やごみだけを取り除きます。
  • 中ぐらいの大きさの網目
    • 大きな網目をくぐり抜けたごみなどを取り除きます。
  • 小さな網目
    • 最後に細かく砕けてしまった微塵を取り除きます。

最後に小さな網目のふるいの上に残った用土が、また使用できる用土となります!

中ぐらいの大きさの網目のモノは使用せずに、大きめな網目のふるいと小さめな網目を使用するだけでも、おおかた不要物と微塵を取り除くことができます!

100円ショップで販売されているふるいは少し小さいので、用土の量が多い場合には何度もふるにかけることになります。
ただし、機能的には100円ショップのモノでも充分なので、ここは自宅での園芸用土の量に応じて準備するふるいを決めましょう。

Amazonなどでは、サビづらいステンレス製のふるいも購入可能です。

STEP
用土を殺菌します

ふるいにかけ終わった用土を黒いビニール袋にいれて、充分に水をかけて直射日光をあてます。

園芸用土は60℃以上のお湯に30分以上つけることで、充分な殺菌効果が期待できます。
ここは、その時の季節や天候、気温によりきりですが、太陽光にあてる期間は2~3週間程度を目安にします。

用土が少量であれば、沸騰させたお湯をかけて殺菌をする方法もありますが、沸騰させたお湯を使用する場合にはやけどに注意しましょう!

STEP
用土のリサイクル材を使用します

観葉植物や野菜・花などに使用する用土には、「用土のリサイクル材」を使用して肥料や、酸性・アルカリ性の調整を行います。
このリサイクル材をつくるのは、結構大変なので、最低限用意した方が良いものと考えます。

乾燥を好む多肉植物の土の場合には、市販のリサイクル材は使用せずに、遅効性肥料と用土にまぜるタイプの殺虫剤を入れるだけで充分です。

以上です!

用土をリサイクルするには時間を要することもありますが、そもそも園芸自体が長いスパンで楽しむ趣味です!

リサイクルするためにはいろいろとやることが多いので、手間がかかりそうだとも捉えがちでますが、新しい用土を使用する場合には、用土の購入や廃棄などの手間がかかるので、リサイクルと新しく用土を購入するのを比べてみると、そこまで労力はかからないのかもしれませんね!

「持続可能な園芸」をひとりひとりが実践していけば、長きにわたって植物を楽しむことにもつながると思います。

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