アガベの胴切り後(天)の発根管理について~10個のコツをおさえて発根促進~

アガベを増やす

強い植物を増やすときに用いられる「胴切り」という園芸技術。

アガベは根が無い状態でも、数か月から数年間は生きることのできる強い植物なので、「胴切り」はアガベに用いられることもあります。
刃物などを使用して、アガベを上下に真っ二つにすると、アガベを増やすことができるのです。

アガベの胴切り
  • 真っ二つにした上の部分は、切断すると根が無い状態になりますが、成長点は残っているので根を出させて新しく1つの個体になります。
  • 下の部分は成長点がなくなっているため成長自体はできなくなりますが、まだ生きている状態です。自らが成長ができなくても、自らの子孫を残そうとして新たに子株を吹きます。

以上のことから結果として、同じ遺伝子をもったアガベを増やすことができる仕組みです。

胴切りによって新しく吹いた子株が発根した様子
目次

アガベの“天”の発根管理

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この胴切りについて、もっとも気を張るのは愛情をもって育ててきた大切なアガベに刃物を入れていくときですが、もっとも根気強さが必要になるのは切った後の上の部分(天と呼ばれます)の発根管理です!

本来は根が生えてくる部分ではない部分から、新しく根を出してもらう必要があるため、時間がかかって当たり前といえば当たり前ですが、根が出ないときはいくら待てど暮らせど、本当に発根しないです。

わたし自身は数百株という株を発根管理してきたわけでは無いですが、ベアルートや子株、そして胴切り後の天の発根管理を行ってきて、自分なりに分かってきたこともあります!

発根を促す10個のコツ

アガベの天の発根については、コツが10個あると考えています!

①:下葉を取りすぎない

下葉を剥くと葉の付け根が剥き出しになるため、その部分(新しい組織)から発根しやすいですが、下葉をとった分だけ天の体力が削られることにもなるため、古くなった下葉を必要以上にとらないことが重要です。
天の発根管理は、長期戦になることも多いので、体力を無駄に消費させないことが必要となります。

ただし、まったく下葉をとらないと発根を促すことにつながらないので、胴切りを行った直後に数枚程度下葉をとるのはいいと思います。

②:消毒作業

胴切りをした切断面は、アガベの組織がむき出しの状態となっています。
傷口から雑菌が入らないように、傷口の消毒をしてから1週間程度乾燥させます。

消毒には、下記のスプレータイプのモノを使用しています。
消毒だけではなく殺虫もできるので、ひとつ持っていても損は無いと思います。

③:水の量に気をつける

新しい根は、下葉の付け根付近から発根することがほとんどなので、水に浸けて発根を促す「水耕(すいこう)」や濡らした水苔を使用して発根管理をする場合は、アガベの上の方まで水に浸けることはせず、下葉の付け根が浸かる程度の位置で管理をします。

④:適温を保つ

アガベは、メキシコなどの地域で暮らしていて暖かい環境を好む植物なので、発根に適した温度は25℃前後です。
適温を保てない季節は、なるべく適温を保てるように置き場所を工夫したり、植物用のヒーターマットなどを使用したりすることで、適温を保ちます。

⑤:風通しを良くする

自然のなかでは、空気の流れすらない環境はなかなかありません。
そのため、風通しのよい場所で管理をすることが望まれます。
室内で発根管理を行うのであれば、空気の流れをつくり出すことのできるサーキュレーターを使用した方が良いです。

⑥:ガーデニング用品を重要視しすぎない

発根管理の際によく使用されるガーデニング用品として、「ルートン」、「メネデール」、「オキシベロン」などがありますが、“この用品を使用したら絶対に発根する”モノは、残念ながら存在しません。
ガーデニング用品を使用することよりも、気温や風通しなどの条件を整えることの方が重要です。
もちろん、できるならプラスαの要素としてガーデニング用品を使用した方が望ましいですが、ガーデニング用品に頼り過ぎない方が良いです。

もし使用するなら、メネデールが無難ですね。
価格も安いですし、その後水やりの際に活力剤として使用できるなど、いろいろな場面で活躍できるガーデニング用品です。

⑦:ガーデニング用品の用法容量は守る

アガベは強い生き物です。
強い刺激を与えれば発根をするというワケではないので、何週間、何カ月と発根をしなくても焦らないことが重要です。
もしも、ガーデニング用品を使用する場合には、用法容量を守り、必要以上に使用しないようにします。
必要以上に使用してしまうと、逆に腐りの原因などにつながってしまいます。

⑧:ヌルヌルしたモノは取る

水耕や水苔で発根管理する場合、定期的に水を取り替えるのはもちろんですが、水を入れている容器やアガベが水に浸かっている部分にヌメりけがある場合があります。
必要以上にゴシゴシと落とす必要はありませんが、軽く手で水洗いをしてヌメりけをとります。

このヌメりけのあるものは自らを守るために出している物質だと思いますが、アガベの発根を阻害しているとされています。
ほかの植物のたねにも、発芽を抑制させるためにヌメヌメしている成分が付いていることがあります。

⑨:直射日光にあてない

アガベの天は、本来成育に必要な水が吸えていない状態になっています。
この状態で直射日光にあててしまうと、体温調整のために葉から水分がどんどん体の外に出ていってしまうため、すぐに萎れてしまいます。

人間でいうと暑くて汗をかいているのに水分補給ができない状態なので、屋外で発根管理を行うのであれば日陰に、そして室内で発根管理を行う場合でも、植物育成用LEDなどの強い光は当てないようにします。

⑩:リセットする

まったく発根をする気配すら無い場合には、一度発根管理をやめて、消毒液(あれば)を塗布します。
その後、3~4日間乾燥させてからあらためて発根管理を行うと、アガベが腐ってしまうリスクを軽減させることができます。
また、ずっと同じ状態でいるよりも、アガベに対して新しい刺激を与えることもできます。
リセットする目安の期間は、2週間~1か月に1度程度の頻度です。

発根管理から5カ月でようやく発根したアガベ

以上です!

天に限ったことではなく、子株やベアルート株の発根管理と同様ですよね。
要するに、天だからといっても、特別な作業は必要ないということです。

アガベの子株には、発根管理を開始してから数日で発根する株もありますが、天は大体いつも長期戦に持ち込まれます。
しかしながら、たとえ数週間から数か月間水を吸えないからといって、すぐに枯れてしまう植物ではないのも事実。

いずれ必ず発根することを信じて、焦って必要以上に発根を促す作業をせずに、アガベが腐ってしまうリスクには気をつけて、我慢比べのような長期戦に臨む心構えが重要です!

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