アガベを増やす方法「胴切り」に挑戦!~適切な時期や具体的なやり方~

子株を収穫する園芸手法

アガベを育てていて、

この株を、もっと増やしたい!

と思ったことが、ありませんか?
特にお気に入りの品種やレアなアガベを増やせたら、ガーデニングの楽しみがさらに広がるでしょう!

そんなときに活用するのが、「胴切り」という増殖方法です

胴切りとは、アガベの成長点の下を切断し、あたらしい子株を生み出すテクニック。
適切に行えば、ただ増やすだけでなく、ひょろひょろと不格好に育ってしまったアガベの形を整えられます。
しかし、切る位置や方法を誤ると、株をダメにしてしまうことも…。

本記事では、胴切りの適切な時期や、具体的なやり方について詳しくご紹介します!

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目次

胴切りとは

胴切りの目的

おもに、胴切りの目的は2つあります!

胴切りの目的
  • アガベを増やせる
  • 本来のすがたではなくなった株を、仕立て直せる

増やせるだけではなく、葉が間延びした“徒長”株や、害虫被害を受けた株の仕立て直しも可能です!

胴切りは、株を真っ二つに切断すること

アガベの胴切りとは、アガベの成長点の下の部分を、株の真横から上下に真っ二つに切断することです。
胴切りをすることで、アガベが子株を吹きやすい環境を、半強制的につくり出せます。

「胴切り」した後
  • 切断した上の部分
    • 根がなくなった状態
      あたらしく発根させる必要がある
  • 切断後に下に残った部分
    • 成長点を失うため、自らは成長できなくなるが、子株をいくつも出す(=株を増やせる)

切断した上の部分を、「天」(てん)と呼びます。

胴切りを行うのに、適切な時期は?

胴切りは、春か秋の暖かいタイミングで行うのが、望ましいです!

アガベにとっての適温は20~30℃なので、この季節に行うことで、さまざまなメリットが生まれます。

暖かい季節に、胴切りを行うことのメリット
  • 株が胴切りのダメージから、回復しやすくなる
  • 子株を吹きやすくなる
  • あたらしく吹いた子株も、発根しやすくなる

アガベにとって望ましい環境が揃えられている室内などでは、胴切りを行う季節を選びませんが、それ以外の場合は避けた方がよいでしょう。

失敗すると、株を失ってしまうリスクも…

ただし、いくら生命力の強いアガベでも、胴切りの切断箇所や方法を誤ると、大切なアガベを失ってしまうことにもなりかねません。

“天”は多くの葉がバラバラになり、下に残った部分も1株も子吹きをしない、というリスクも兼ね備えています。

エケベリアなどの多肉植物であれば、1枚の葉から発根させ、あたらしい株として育てる‟葉挿し”の成功率が高いです。
ただしアガベは、葉挿しの成功率がかなり低い品種。
葉が1枚ずつバラバラになるのは、アガベにとって、かなり危機的な状況になります…。

子株を吹きづらい品種でも増やせる

胴切りをしなくても、1~2年アガベを育てていると、子株を吹くことの方が多いです。
しかし、

育てはじめてから数年が経過しているのに、子株を1つも付けない…。

なんてことが起こるのも、めずらしくありません。

そんなときに、効果的に増やせるのが胴切りです

アガベは自家採種がむずかしいため、胴切りは効果的な増やし方

植物を増やす方法として、「たねをまく」ことをイメージする場合も多いでしょう。

しかしアガベは、『発芽してから開花するまでに100年かかる』という意味から、“センチュリー・プラント”という別名をもつ植物です。
自宅で育てているアガベを開花させるのは、容易なことではありません。

開花した後にたねを採る、『自家採種』がカンタンではないアガベにとって、胴切りは効果的な増やし方と言えるでしょう!

アガベの自家採種がむずかしくても、ネットショップでたねを購入し、育てる方法はあります
たねまきも、アガベの楽しみ方のひとつ
たねの購入先のレビューは、以下の記事で、詳しくご紹介しています

植物を選び、行う必要がある

胴切りは、アガベが生命力の強い植物だからこそ行える、園芸手法です。
植物を選ばずに胴切りをすると、ほとんどの品種は枯れてしまうでしょう…。

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胴切りを行うために用意するもの

胴切り実施時

胴切りを行うために用意するもの
  • 園芸用ハサミ、カッター、包丁、テグスなど
    • アガベを切断するために使用
  • ライターなど、火がつけられるもの
    • 刃物を消毒するために使用
  • 消毒剤、癒合剤(ゆごうざい)
    • 胴切りした切り口を消毒するために使用
  • 園芸用手袋
    • 分厚いものがベスト

食器用洗剤などで洗っても、刃物を消毒できます

胴切り実施後

胴切り後には、アガベを発根させる「発根管理」を行う必要があります。
以下のようなものがあると、胴切り後の作業をスムーズに進められるでしょう

胴切り後に必要なもの
  • 多肉植物用の培養土
    • 排水性&通気性に優れたもの
  • 植木鉢
  • 発根促進剤
    • ルートン、メネデール、オキシベロンなど
  • 土入れ
  • 園芸用シート(新聞紙)

アガベの培養土は、以下の記事で詳しくご紹介しています

チタノタ(オテロイ)の胴切り作業

2023年5月5日(May 5, 2023)

今回胴切りを行う株は、チタノタ(オテロイ)の姫厳竜(ひめげんりゅう)です!
まずは、胴切りを行う前の様子です。

少し頭デッカチな見た目をしていますが、葉がひょろひょろに間延びする‟徒長”(とちょう)を起こしているわけではありません。

アガベは、鉢相応のサイズに成長する特徴をもっています。

大きな鉢に植え替えたときに、あたらしい葉が大きく成長しやすいので、上下間のバランスが崩れることがあります。
半年ほど前に、姫厳竜を大きな鉢に植え替えたので、一時的に株のバランスが崩れているのでしょう。

テグス(釣り糸)を使用した胴切り(失敗談)

まずは、「テグス(釣り糸)」を使用して、胴切りにチャレンジしました!
結論から言うと、この方法はうまくいきませんでした…。

使用したテグスです。

素手で直接テグスをもって引っ張ると、テグスが手指に食い込み、作業を円滑に進めることに支障が出ます。

このときは、テグスをペンに巻き付け、胴切りを行いました。

テグスを姫厳竜の葉の隙間を通し、テグスの両端を、思いっきり引っ張りました!
その結果、「ブチッ」と、嫌な効果音が…。
両手の感触&効果音で何が起きたのか、なんとなく分かりましたが、姫厳竜ではなくテグスの方が切れてしまったようです。

切れてしまったテグス。

あきらめずに、再挑戦しましたが、同じ結果になりました…。
テグスにも太いものから細いものまでありますが、自宅にあったのは細いテグスです。
残念ながら、テグスによる胴切りは、失敗に終わりました。

テグスにより、中途半端に姫厳竜の葉が傷んでしまったので、太くて丈夫なものが準備できない場合は、この方法はやめた方がよさそうです。

自宅では、他にテグスはないので、カッターでの胴切りに切り替えることにしました。

カッターを使用した胴切り

カッターを使用した胴切りの手順は、以下の流れです。

カッターでの胴切り手順
  • まずは、カッターを消毒する
    • メジャーなのは、ライターなどを使用して熱消毒する方法
    • 食器用洗剤で洗ってもよい
  • 株の芯まで、カッターを刺し込む
    • 姫厳竜のすこし下の方から、若干斜め下に向かって刺していく
      (後ほど紹介する、写真を参照)
  • 刃をしっかり押し込んだら、一旦カッターを抜く
  • 鉢を回転させ、違う角度から、株の芯までカッターを刺し込む
  • ①~④の作業を、何度か繰り返す

上記をふまえ、実際の作業に入っていきます!

株の芯まで、カッターを刺し込む

カッターを消毒したら、株の芯までカッターを刺し込みます

胴切りは、切断する位置が重要です
正しい位置で行えれば成功する確率を上げられ、誤った位置だと、高い確率で失敗することに…。
株の大きさにもよりますが、下葉を1~2段ほど残すことで、胴切りの成功率を上げられるでしょう

アガベの胴切りは、下に残った方の葉の枚数だけ、子株を吹くと言われています。

胴切りの位置
  • 胴切りをする位置が下すぎる
    • 下の方に葉があまり残らず、子株を吹く数が減る
  • 切る位置が上すぎる
    • ‟天”の部分の葉が、バラバラになってしまう

またアガベは結構硬いので、力を込めないと切断できません。

カッターの刃にも気を付ける必要がありますが、アガベの鋸歯でケガしないように、注意が必要です

園芸用手袋をはめておくと、ケガをするリスクを軽減させることができます。

刃をしっかり押し込んだら、一旦カッターを抜く

株に刺し込んだ刃は、左右にグリグリと、押し込んでいきます。

そしてカッターは一旦抜くので、どの部分にどういう角度で刃を入れたのか、しっかりと覚えておきましょう

鉢を回転させ、違う角度から、株の芯までカッターを刺し込む

鉢を回転させ、違う角度から、株の芯までカッターを刺し込んでいきます。

鉢を回転させながら、姫厳竜に刃を入れていき、無事に切断することができました!
最終的に、4箇所ぐらいから刺し込み、ようやく株を切り落とせました。

切断した断面の様子。

テグスで失敗してしまった際に、一部の葉にキズ跡が残ってしまいましたが、カッターを使用した方法できれいに胴切りできたのではないでしょうか

一部のアガベは自生地のメキシコで、食用としても活躍し、テキーラの原材料としても用いられています。
胴切りをした直後には、野菜のような匂いがしたので、アガベが食用になっていることが納得できました。

切断面を消毒する

アガベの胴切り後の消毒剤として、よく使用されるのは、ダコニール粉剤です。
ただし自宅では、ベニカのスプレーを使用して、消毒しています。
粉のタイプだと筆などで塗る必要がありますが、スプレータイプはかけるだけなので、使用のしやすさではスプレータイプがオススメです。

天の部分の発根管理をする

切断した“天”の部分については、風通しのよい場所でしっかりと乾燥させてから、発根管理を行います。

アガベは根元の茎から発根するので、すでに落ちかけている葉は取り除き、茎をむき出しにした方がよいです。
ただし天の部分に、新鮮な茎の部分が見えている場合には、不必要に葉を取り除く必要はありません。
葉を4~5枚ほど取り除けば、株元に茎の部分が見えてきます。

アガベの子株と比較すると、天の部分は発根しづらいです。
アガベの発根管理については、以下の記事で詳しくご紹介しているので、よろしければ参考にしてみてください

成長点に切れ込みを入れる

下に残った部分は、成長点がまだ生きていると、アガベが成長を再開し、子株を出さないことがあります。

最後に、成長点にグッと切れ込みを入れることで、アガベの成長点を止めることが重要です。

結構奥の方まで、グッと押し込むことで、成長点を止められます。

また切れ込みは一本だけではなく、十字型に入れていきます。

中心部だけであれば、奥まで刃を入れても、株がバラバラになることはありません。

下の部分は、今まで通り水やりを継続する

下の部分は子株を出すときに体力を必要とするので、胴切りをした後も、継続して水やりをする必要があります。
ただし、上から普通に水を与え切り口を濡らしてしまうと、株が腐ってしまうでしょう…。

胴切り後に望ましい水やり方法は、容器に水を溜めて鉢ごと水に浸け、鉢底から吸水させる「底面吸水」がベストです!

底面給水については、以下の記事で詳しくご紹介しているので、参考にしてみてください

チタノタ(オテロイ)の胴切り後の経過

2023年9月10日(September 10, 2023)

チタノタ「姫厳竜」の胴切りを行ってから、約4か月が経過しました。

下の部分は葉のしわが増え、全体的にボロボロなすがたになりました…。

それでも今付いている株で、4つ目の子株を出しています
“天”の部分も、約4か月という長い期間がかかりましたが、無事に発根しました

株の調子により、子株を吹く数は異なる

他にも同じタイミングで複数のアガベを胴切りし、同じように作業を進めましたが、中には子株を1つも吹かなかった株もいました。
株ごとに吹く子株の数に差があるのは、いくつか要因がありそうですが、もっとも大きな要因は、胴切りしたときのアガベの調子だと感じています。
根詰まりを起こしていたり、成長速度が鈍ったりしている場合には、植え替えをし、調子が上がるのを待つなど、頃合いを探った方が無難です。

2025年2月24日(February 24, 2025)

胴切りをしてから、2年弱が経過しました。

すでに子株はいくつも収穫していますが、このタイミングでも7~8株は付けています

最終的な合計だと、15株ほど子株を吹いた姫厳竜ですが、さすがに今付いている子株を収穫したら、株の体力が底をつきそうです。

子株の収穫方法

吹いた子株を収穫するときは、根元をしっかりと持って、左右に揺らしながら引っ張ります。

周囲の株の鋸歯が手に刺さるので、根元を持つのがむずかしいですが、園芸用手袋をはめれば、作業が進めやすくなります
今回は素手で行いましたが、収穫しづらい場合は、鋸歯対策を講じた上で収穫しましょう。

株の手前の部分を持って引っ張ると、アガベが途中で切れることがあるので、慎重に対応したいところです。

そして無事に、収穫できました

あとは、土耕でも水耕でもよいので、発根管理に進みます!
今回はすでに株が大きくなり、自分の根を生やしているので、発根管理は行うことなく、そのまま土に植え込みました

胴切りの作業は、以上で完了です!

アガベを増やす胴切りのまとめ

最後に、胴切りのポイントについて、あらためて確認しておきます。

胴切りのポイント
  • 胴切りを行うなら、春か秋の季節がベスト
  • テグスで行うのであれば、太くて丈夫なものを準備する
  • 胴切りを行ったあとに、成長点を止めることで、子株を吹きやすくなる
  • 胴切りに使用する刃物や、胴切りをしたアガベの断面は、しっかりと消毒を行う
  • アガベが不調であれば、植え替えなどをし、調子が戻ったタイミングで行う

アガベの「胴切り」は、株を増やすだけでなく、徒長した株のカタチを整える有効な方法です。
適切なタイミングは春や秋の暖かい季節で、株のダメージからの回復を助け、子株を吹きやすくします。

特に切断位置を誤ると、株がダメになってしまうリスクもあるため、注意が必要です。

記事内では、テグスを使った方法の失敗談や、カッターを使った具体的な手順を紹介しました。
特に重要なのは、切断前の刃物の消毒&切断後の切り口の消毒、そして成長点を止める作業です!

アガベは自家採種が難しいため、胴切りは効率的な増殖方法です。

株ごとの成長状況に合わせて、胴切りを適切に行うことで、アガベを増やせるでしょう!

自宅で育てているアガベの成長記録は、以下の記事でまとめています
よろしければ、あわせてお読みください

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