アガベ、ユーフォルビア、塊根植物の原産地の特徴~多肉植物の元気な育て方~

ほかの植物よりも、体内に多くの水分を貯めておける植物のことを、「多肉植物」と呼びます!

多肉植物の品種は多岐にわたりますが、多くの多肉植物が寒さに弱く、乾燥した環境を好むのは、本来暮らしているエリアが暖かくそして乾燥地帯だからです!

根など身体の一部をプックリと肥大させる「塊根植物(かいこんしょくぶつ)」は、苦手としている季節には展開している葉を落とし、休眠状態に入るもの。
その理由は、葉から水分が出ていく「蒸散」を防ぐことで体力を温存し、雨が長期的に降らない乾燥した季節を乗り切るためです!
また、休眠状態に入っている状態の方が暑さや寒さに強くなる性質をもっているので、その意味でも意図的に休眠状態を設けているのでしょう!

植物がもっている性質や、成長期と休眠期を繰り返していく成長サイクルには、理由があるもの!

その植物が暑さや寒さにどれだけ強いかといった「耐暑性」や「耐寒性」は、植物ごとに異なりますが、それは原産地の環境が異なるからです!

本植物が慣れ親しんでいる原産地の環境によって、それぞれの植物にとって適切な育成方法が決まることになるので、原産地の環境を把握することは、植物を育成する上でとても重要なことです!

植物は本来生きている環境に近い環境で育てていくことで、健康的に成育していくので、多肉植物の自生地の気温や降水量を日本(東京)と比較しました!

本記事の内容が、多肉植物を元気に育てていくために、少しでも参考になれば幸いです!

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目次

多肉植物の自生地について

多肉植物は世界中に存在している生きもので、細かく自生地を分類していくと、正直なところキリがありません・・・!
そのため本記事では、主な多肉植物の自生地を、4つのグループに分類しています。

代表的な植物をグループごとに分類していくと、下記のようなグループになります!

それぞれの自生地の特徴を大まかに挙げていくと、下記のような分類に分かれるでしょう。

  • メキシコや南アメリカ
    • アガベやアロエ、サボテンなどが多く自生している
  • 南アフリカ
    • ユーフォルビアや塊根植物など、多種多様な品種が自生している
  • マダガスカル
    • 塊根植物が多く自生している

ここでは代表的な品種のみを挙げていますが、多肉植物の品種数は、世界中で10,000種類を超えていると言われています。
原産地を調べても情報が出てこない場合には、同じ科や属の植物の情報を調べていくと、類似した情報が手に入れられるかもしれません!
また、ガーデニングショップの店員さんに確認することも、原産地を知ることができる方法のひとつです!

日本(東京)の環境

※本記事で使用しているグラフやデータは、「Weather Spark」より引用させていただいています。
(https://ja.weatherspark.com/)

まずは、原産地との比較対象となる「日本(東京)」の環境を、確認していきます!
植物の成育に必要な条件である「気温」、「降水量」、「風速」、「日照時間」に焦点を当てています!

もうひとつの条件に、「肥料分」がありますが、多肉植物は多くの肥料分を必要としない生きもの。
本記事では、「肥料分」の情報は割愛しています。

最高気温・最低気温

1年間でもっとも暑い月:8月(平均最高気温は30℃/平均最低気温は24℃)
1年間でもっとも寒い月:1月(平均最低気温は3℃/平均最高気温は9℃)

降雨量

1年間でもっとも降雨の多い月:9月(平均降雨量は187mm)
1年間でもっとも降雨の少ない月は:1月(平均降雨量は48mm)
年間降水量:1,326.8mm

風速

1年間でもっとも風が強い月:3月(14.5km/h)
1年間でもっとも風が弱い月:7月(11.6km/h)

日照時間

1年間でもっとも短い日(冬至):9 時間44 分
1年間でもっとも長い日(夏至):14 時間35 分

「気温」の面はともかく、自分の住んでいる国の「降雨量」や「風速」などのことを、把握しているひとも少ないのではないでしょうか!?

今後、地中温暖化の影響により気温はどんどん上昇していくものと思われますが、それは世界共通なこと・・・!
日本(東京)のデータをもとに、各原産地のデータと比較をしていきます!

メキシコ(オアハカ):Mexico

メキシコは北アメリカ南部に位置し、日本の5倍の面積で人口は1憶2,600万人の国です。

メキシコの首都は「メキシコシティ」ですが、リュウゼツラン属のアガベ「チタノタ」の原産地「オアハカ」のデータを取り上げていきます!

最高気温・最低気温

1年間でもっとも暑い月:5月(平均最高気温は30℃/平均最低気温は16℃)
1年間でもっとも寒い月:1月(平均最低気温は9℃/平均最高気温は26℃)

  • 東京と比較した特徴①
    • 暑い月の平均最高気温は東京と同じですが、平均最低気温は東京が24℃に対してオアハカは16℃なので、1日の寒暖差が大きい。
  • 東京と比較した特徴②
    • 寒い月の平均最低気温は、東京が3℃なのに対してオアハカは9℃なので、寒い月でも東京よりは暖かい。
  • 東京と比較した特徴③
    • 東京の寒い月の平均最高気温が9℃なのに対して、オアハカは26℃なので、暑い月と同じく1日の寒暖差が大きい。

降雨量

1年間でもっとも降雨の多い月:9月(平均降雨量は164mm)
1年間でもっとも降雨の少ない月:12月(平均降雨量は6mm)
年間降水量:845.3mm

  • 東京と比較した特徴①
    • 東京の年間降水量と比較すると、約64%の降水量しかない。
  • 東京と比較した特徴②
    • 東京は、もっとも平均降水量が少ない月でも48mmの降水量があるのに対して、オアハカは6mmなので、乾燥する月はほとんど雨が降らない。
  • 東京と比較した特徴③
    • 東京はもっとも平均降水量が多い月で187mmなのに対して、オアハカも降水量が多い月には164mmあるので、降水量が多い月は存在する。
  • 東京と比較した特徴④
    • 上記②と③から、「乾燥」した季節と「湿潤」した季節が、明確に分かれている地域といえる。

風速

1年間でもっとも風が強い月:11月(11.4km/h)
1年間でもっとも風が弱い月:5月(8.3km/h)

  • 東京と比較した特徴
    • 年間を通して、風速は東京より弱い。

日照時間

1年間でもっとも短い日(冬至):11時間7分
1年間でもっとも長い日(夏至):13時間9分

  • 東京と比較した特徴①
    • 冬至と夏至の差が短いので、東京よりも季節による日照時間の差が小さい。

メキシコ(オアハカ)原産の植物の育成環境

以上のことから、メキシコ(オアハカ)原産の植物を日本(東京)で育成するときには、下記のような育成環境が望ましいと考えられます。

  • 最高気温はあまり気にしなくてもよいが、冬は耐寒対策をする必要がある。
  • 日中と夜間で寒暖差をつける。
  • 乾燥気味に育てる。
  • 屋外育成の場合は風量は気にしなくてよい。また、室内育成の場合に特別な強い風をあてる必要はない。
  • 冬は光量が不足する可能性があるので水やりを少なくし、枝や葉などが間延びしてしまう徒長(とちょう)を防ぐ必要がある。

南アフリカ(ケープタウン):South Africa

つづいて、多品種にわたる多肉植物が暮らしている「南アフリカ」の特徴について!

南アフリカはアフリカ大陸最南端にある国で、首都は、なんと3つもあります!
データは3つある首都のうちの1つ、「ケープタウン」のものです!

最高気温・最低気温

1年間でもっとも暑い月:1月(平均最高気温は24℃/平均最低気温は17℃)
1年間でもっとも寒い月:7月(平均最低気温は9℃/平均最高気温は17℃)

  • 東京と比較した特徴①
    • 暑い月の平均最高気温は東京よりも6℃低く、東京の夏のように高温にならない。
  • 東京と比較した特徴②
    • 寒い月の平均最低気温は東京よりも6℃高く、寒い月でも東京より暖かい。
  • 東京と比較した特徴③
    • 夏は東京より涼しく、冬は東京よりも暖かいので、年間での寒暖差が小さい。

降雨量

1年間でもっとも降雨の多い月:6月(平均降雨量は74mm)
1年間でもっとも降雨の少ない月は:2月(平均降雨量は10mm)
年間降水量:411mm

  • 東京と比較した特徴①
    • 東京の年間降水量と比較すると、約31%の降水量しかない。
  • 東京と比較した特徴②
    • 東京はもっとも平均降水量が多い月で187mmに対して、ケープタウンは74mmなので、東京のように降水量が多い月はない。

風速

1年間でもっとも風が強い月:1月(22.0km/h)
1年間でもっとも風が弱い月:5月(17.3km/h)

  • 東京と比較した特徴
    • 年間を通して、東京より約1.5倍風速が強い。

日照時間

1年間でもっとも短い日(冬至):9時間54分
1年間でもっとも長い日(夏至):14時間25分

  • 東京と比較した特徴
    • 東京と比べて、大きな違いはない。

南アフリカ(ケープタウン)原産の植物の育成環境

以上のことから、南アフリカ(ケープタウン)原産の植物を日本(東京)で育成するときには、下記のような育成環境が望ましいと考えられます。

  • 夏には耐暑対策、そして冬には耐寒対策をする必要がある。
  • メキシコ(オアハカ)よりも、さらに乾燥気味に育てる。
  • 風通しのよい場所に置く。室内の場合はやや強い風通しを作った方がよい。
  • 特に気温の高い季節は、直射日光などの強い光を避けた方がよい。
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マダガスカル(トゥリアラ):Madagascar

「マダガスカル」は、島国の中では世界4番目の面積を誇っています!

地域によって気候はさまざまで東側の地域は雨量が多く森林地帯で、西側の地域は乾燥していて塊根植物などが多いことが、マダガスカルの特徴です!

塊根植物の王様「オペルクリカリア・パキプス」の原産地であるトゥリアラに焦点を当てていきます!

最高気温・最低気温

1年間でもっとも暑い月:2月(平均最高気温は32℃/平均最低気温は24℃)
1年間でもっとも寒い月:7月(平均最低気温は16℃/平均最高気温は26℃)

  • 東京と比較した特徴①
    • 暑い月の平均最高気温は、東京よりも2℃高い。
  • 東京と比較した特徴②
    • 寒い月の平均最低気温は、東京よりも13℃高く、東京のような寒さが到来することはない。

降雨量

1年間でもっとも降雨の多い月:1月(平均降雨量は126mm)
1年間でもっとも降雨の少ない月は:7月(平均降雨量は3mm)
年間降水量:453.1mm

  • 東京と比較した特徴①
    • 東京の年間降水量と比較すると、約34%の降雨量しかない。
  • 東京と比較した特徴②
    • 東京はもっとも平均降水量が多い月で187mmに対して、トゥリアラは126mmなので、東京ほどではないが降雨量が多い季節は存在する。
  • 東京と比較した特徴③
    • 「雨季」と「乾季」が、しっかりと分かれている。

風速

1年間でもっとも風が強い月:10月(19.1km/h)
1年間でもっとも風が弱い月:3月(16.2km/h)

  • 東京と比較した特徴
    • 年間を通して、東京より約1.3~1.4倍風速が強い。

日照時間

1年間でもっとも短い日(冬至):10時間42分
1年間でもっとも長い日(夏至):13時間35分

  • 東京と比較した特徴
    • 冬至と夏至の差が小さいので、日照時間が、季節によって大きく変わらない。

マダガスカル(トゥリアラ)原産の植物の育成環境

以上のことから、マダガスカル(トゥリアラ)原産の植物を日本(東京)で育成するときには、下記のような育成環境が望ましいと考えられます。

  • 夏には耐暑対策をする必要はないが、冬は早いタイミングから耐寒対策をする必要がある。
  • かなり乾燥気味に育てる。
  • 風通しのよい場所に置く。室内の場合はやや強い風通しを作った方がよい。
  • 冬は、光量が不足する可能性があるので水やりなどを少なくする。

南アメリカ(サンパウロ):South America

「南アメリカ」はボリビア、チリ、アルゼンチン、ブラジルなどの国で成り立っていますが、今回はブラジルの都市である「サンパウロ」に焦点を当てました!

「南アメリカ」の面積は1,784km2と広大な面積を誇り、4憶2千万人の人口で成り立っています!

最高気温・最低気温

1年間でもっとも暑い月:2月(平均最高気温は28℃/平均最低気温は21℃)
1年間でもっとも寒い月:7月(平均最低気温は13℃/平均最高気温は22℃)

  • 東京と比較した特徴①
    • 暑い月の平均最高気温でも、東京より2℃低い。
  • 東京と比較した特徴②
    • 寒い月の平均最低気温は、東京よりも10℃高く、東京のような寒さが到来することはない。

降雨量

1年間でもっとも降雨の多い月:1月(平均降雨量は217mm)
1年間でもっとも降雨の少ない月は:8月(平均降雨量は42mm)
年間降水量:1,365.1mm

  • 東京と比較した特徴①
    • 東京の年間降水量とほとんど同じ。
  • 東京と比較した特徴②
    • 東京は、もっとも平均降水量が多い月で187mmに対して、サンパウロは217mmなので、東京よりも降雨量が多い月が存在する。
  • 東京と比較した特徴③
    • 「雨季」と「乾季」が、しっかりと分かれている。

風速

1年間でもっとも風が強い月:10月(13.8km/h)
1年間でもっとも風が弱い月:2月(10.8km/h)

  • 東京と比較した特徴
    • 大きな差ではないものの、東京と比べると若干風速が弱い。

日照時間

1年間でもっとも短い日(冬至):10時間41分
1年間でもっとも長い日(夏至):13時間35分

  • 東京と比較した特徴
    • 冬至と夏至の差が小さいので、日照時間が、季節によって大きく変わらない。

南アメリカ(サンパウロ)原産の植物の育成環境

以上のことから、南アメリカ(サンパウロ)原産の植物を日本(東京)で育成するときには、下記のような育成環境が望ましいと考えられます。

  • 夏には耐暑対策、そして冬には耐寒対策をする必要がある。
  • 水を好むため、水やりはほかの多肉植物より多めに与える。
  • 風通しのよい場所に置く。室内の場合に強めの風を当てる必要はない。
  • 冬は、光量が不足する可能性があるので、水やりなどを少なくし、徒長を防ぐ必要がある。

まとめ

本記事では、多肉植物の原産地の違いについて、各地域ごとに比較しました!

そこまで面積が大きくない日本でも、北海道と沖縄では天候や気温などに大きな違いがあるもの。
それと同じことがほかの国でも当てはまり、同じ国内であっても、東西南北で植物を取り巻く環境は大きく異なることもあるでしょう。
同じ国で育っている多肉植物でも、地方による違いまでしっかりと確認した上で育てていくことができれば、大切な多肉植物を枯らしてしまうリスクを下げることもできます!

今回ご紹介してきたのは世界各国の一部のエリアなので、ほかのエリアで育つ植物は、あらためて確認していくことが望まれます!
そのときに確認しておきたいポイントは、「気温」、「降水量」、「風速」、「日照時間」の4つ!

多肉植物は、肥料は少なめに与えていくことが基本的な育成方法ですが、適切な肥料を与えることで、健康的な成育を見せてくれるでしょう!
多肉植物への「肥料」については、下記の記事で詳しくご紹介しているので、よろしければ参考にしてみてください!

雨が少ない地域で育つ植物は、雨ざらしの環境を避けることや水はけのよい用土に植えるなど、植物によって最適な育成環境を見つけていきたいところです!

自宅で使用している多肉植物用の培養土については、下記の記事でご紹介しています。
アガベに焦点を当てている記事ですが、多肉植物全般に使用できる用土になっています!

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