育成に特化した植木鉢
植物を育てる楽しみは、その成長を見守ることだけでなく、育成環境を整えることにもあります!
植物の魅力を引き立てるアイテムとして、ガーデンラックや化粧砂などがありますが、特に重要なのが「植木鉢」です。
植木鉢は、植物の見た目を引き立てるだけでなく、成長を左右する大切な要素となります。
植木鉢を選ぶ際に、
この植物には、どのような鉢が合うのだろう?
と、悩んだことはありませんか?
植物の品種や生育環境に応じて適切な鉢を選ぶことで、植物をより健康的に育てることができます。
スリット鉢は、植物の根の成長を促し、排水性や通気性がよいことで知られています。
一般的な鉢と異なり、側面にスリット(切れ目)が入っているため、根がぐるぐると巻き付く「サークリング現象」を防ぎ、根全体が均等に成長しやすくなるのが特徴です。
本記事では、植物が健やかに育つための環境づくりに役立つ「スリット鉢」の効果と、その具体的なメリット&デメリットについて、詳しくご紹介します
植物が成長するための要素&成長を促すためのグッズ
植物が成長する5つの要素
まず、植物の育成条件について整理しておきます。

太陽から降りそそぐ「光」を浴びて光合成し、根や葉などから「水」を吸い上げること。
「空気」の中で呼吸しながら、植物が過ごしやすい「温度」の中で、「肥料分」を吸い上げることで成長するのです!
いずれかの条件がひとつでも崩れてしまうと、植物が成長を見せないだけではなく、最終的に植物が枯れる原因にもなるでしょう。
植物の成長を促すためのグッズ
植物の成長を促すためのグッズは、さまざまなものが販売されています!
- 植物育成用のLEDライト
- 植物に使用することで、光合成を促進できる
- 反射シート
- 光を反射することで、光合成を促進できる
- サーキュレーター
- 室内で植物を育てるときに、植物の呼吸を助ける
- 肥料
- 園芸用土に加えたり、水に希釈して栄養分を届ける
それ以外にも、支柱を使用すれば植物の枝葉を誘引することができ、スムーズな光合成を促せるでしょう!
スリット鉢とは
“スリット”(slit)とは、英語で‟切れ目”や‟すき間”という意味です。
下の写真では、赤枠でくくっている部分がスリットです。
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「スリット鉢」の形状は、八角形で、色はモスグリーンのものがほとんどを占めていました。
しかし最近では、丸い「スリット鉢」も見かけることが増え、カラーもバリエーションが豊かになりつつあります。
スリット鉢の7つのメリット

「スリット鉢」のメリットは、下記の7つです!
- 排水性がよい
- 通気性がよい
- 鉢底石が不要
- 根のサークリング(鉢底でぐるぐる巻く現象)を防ぐ
- 水やりのタイミングが分かりやすい
- 軽い
- お花をたくさん咲かせ、多くの実を付ける
排水性がよい
鉢底1か所にだけ鉢底穴のある一般的な植木鉢では、水やりをしたときや雨が降ったときに水が流れ出てくる出口は、鉢底の1か所のみです。
一方「スリット鉢」は、鉢底のみならず側面にもスリット(穴)が開いているので、多くの箇所から水が流れ出てくることになります。
通気性がよい
鉢底穴は水を通しますが、鉢底穴は地面と密着しているので、風はほとんど通り抜けません。
通気性のよさは、乾燥した環境が好きなサボテンや多肉植物とは、特に相性がよい特徴です。
根に呼吸を促す
ひとや動物と同じように、植物の根は酸素を吸い、二酸化炭素を排出する「呼吸」をしています。
鉢の中の通気性が保たれ、新鮮な酸素が根に送り込まれるかどうかは、植物の育成面で重要な要素です!
根腐れ防止になる
土が乾くのが遅い環境では、鉢内で雑菌が繁殖し、植物に悪影響を及ぼすこともあります。
しかし「スリット鉢」は通気性がよいので、土が乾きやすくなり、根腐れのリスクを軽減できる点も、メリットといえるでしょう!
徒長対策は、下記の記事で解説しています
鉢底石が不要
一般的な「植物を鉢に植える手順」は、下記のようになります。
- 鉢底ネットを敷く
- 敷いた鉢底ネットの上に、鉢底石を入れる
- 少量の培養土を入れる
- 植物を鉢に植える
- 根と鉢のすき間を埋めるように、培養土を徐々に足していく
- さいごに、水やりをする
「鉢底ネット」と「鉢底石」を使用するのは、排水性や通気性の向上を目的としています。
「スリット鉢」の場合は、最初から排水性や通気性に優れているので、「鉢底ネット」や「鉢底石」を使用する必要はありません。(上記①&②が不要です。)
根のサークリング(鉢底でグルグル巻く現象)を防ぐ
一般的な植木鉢で植物を育てていると、植物の根が水や栄養分を求め、鉢内をらせん状に回る現象(サークリング)が生じやすくなります。
サークリング現象とは
植物は雨が降らない期間が続いても、水や栄養分を吸収できるように、なるべく広範囲に根を成長させようとします。
しかし植木鉢では、スペースに限りがあるので、一定の範囲内でしか根を張ることができません。
行き場をなくしてしまった根が、植木鉢の内側に張り付くように、グルグルとらせん状に伸びていきます。
植物を鉢から抜いたときに、根鉢の表面からは根が広範囲に成長できているように見えても、意外と根鉢の中央部分には根が成長できていないことがあります。
スリット鉢は、明るい環境を嫌う根の性質を利用している
根は、明るい環境を嫌う性質をもっています。
それは土の上に出てきて、光や風に当たると乾燥し、水を吸収するどころではなくなるから。
スリットが入っていることで、植物の根は下記のような流れで、成長していきます。
- 植物の根が、鉢底まで成長する
- 鉢底まで到達した根は、サークリング現象を開始しようとする
- サークリング現象をはじめた根が、途中でスリットにぶつかる
- スリットに差し込む、明るい光を感じ取った根は、それ以上成長するのをやめる
- 他のあたらしい根を、根元から伸ばす
- 植物の根が、鉢底まで成長する(①に戻る)
この過程が繰り返されることで、サークリング現象を起こしづらくなり、鉢の中央部分も含めて、まんべんなく根を張れるのです。
その結果、多くの根から効率よく、水や栄養素を吸い上げやすくなります!
‟根はり鉢”とも言われている
「スリット鉢」は、もともと生産農家さんのために開発され、“植物の育成に特化した”鉢です。
「スリット鉢」に植物を植えると、他の鉢と比べて鉢内に根がよく張るため、“根はり鉢”とも呼ばれています。
水やりのタイミングが分かりやすい
水やりは土が乾いてから与えるのが基本ですが、土が乾いたかどうかは、意外と分かりづらいもの…。
土が乾いているのかどうか、把握するための指標として、「土の色を確認する」方法があります。
水を与えた後と乾いているときの色が、異なる土も多いため、色を見て判断するのです。
表土は目で見て色の違いを確認できますが、土の中までは、カンタンには確認できません。
土が濡れているかどうかは、鉢を実際に持ち上げ、濡れているときと乾いているときの鉢の重さの違いで判断する方法もあります。
他にも、水やりチェッカーを用いたり、割り箸を使用して判断したりするのも、知られている方法です。
下記の記事で詳しくご紹介しているので、ご興味があればお読みください
また、植物の水やりについては、下記の記事で解説しています。
軽い
陶器製の「スリット鉢」も販売されていますが、おもに、プラスチック製のものが主流です。
植物の成長とともに、株自体の重みに加えて鉢が大きくなり、土の容量が増えるため、全体的な重みが増していきます。
特に、植物を移動するときや植え替えの際に感じる、「スリット鉢」のメリットでしょう!
お花をたくさん咲かせ、多くの実を付ける
限られたスペースでも多くのお花を楽しめ、家庭菜園では野菜やくだものの、収穫量をUPできます!
スリット鉢の5つのデメリット

「スリット鉢」のデメリットは、下記の5つです。
- デザイン性に優れていない
- 転倒しやすい
- 土がこぼれやすい
- 土が過度に乾燥しやすい
- 害虫が侵入してくる
デザイン性に優れていない
以前はモスグリーン一色とも言えるバリエーションでしたが、最近ではブラックやグレー、ピンクなどカラーバリエーションが増えてきました!
それでも、陶器製のオシャレな鉢などに慣れているひとからすれば、スリット鉢のデザイン性は気になるかもしれません。
陶器製の「スリット鉢」も、販売されているものの、その数は少ないのが現状です。
お気に入りの見た目をした「スリット鉢」を見つけることは、決して容易なことではないでしょう。
転倒しやすい
「スリット鉢」はプラスチック製であることが多く、軽いので、風の影響で鉢ごと転倒するリスクがあります。
土がこぼれやすい
「スリット鉢」を使用すると、植物を植えてからしばらくは、側面のスリットから土がこぼれてきてしまいます。
ただし土同士が絡み合い、根の成長していくにつれて、土をキャッチできるようになれば、いずれ土がこぼれてこなくなっていきます。
土こぼれの対策
土がこぼれてくるのが気になる場合には、いくつか対策を講じることで、こぼれづらくすることができるので、検討してみてください
- 大粒の軽石などを、鉢底に敷く(スリットが隠れる高さまで)
- 水切りネット、ティッシュ、園芸用ネットなどをスリットの内側に貼る
ただし、いずれの方法も「スリット鉢」の本来の機能を100%確保したまま、取れる対策とは言えません。
土が過度に乾燥しやすい
「スリット鉢」を使用すると、土が過度に乾燥しやすくなります。
場合によっては、真夏には毎日2回(朝と夕方)、水やりをする必要が出てくることもあります。
乾燥対策は、以下の通りです。
- 保水性のある土を使用する
- 水やりの頻度を上げる
乾燥した環境を嫌う品種を育てる場合は、無理に「スリット鉢」にこだわらず、別の鉢を選択した方がよいかもしれません。
害虫が侵入してくる
「スリット鉢」の場合、スリットから、「ナメクジ」や「ダンゴムシ」などの害虫が鉢内に侵入してくることもあります。
いちど害虫に侵入されると、その後の対処がむずかしいです。
「ナメクジ」や「ダンゴムシ」は、一見かわいい見た目をしていますが、園芸の分野では害虫の扱いになり、植物の根などを食べてしまうことも…。
害虫の一種「コバエ」対策については、下記の記事で詳しくご紹介しています。
スリット鉢を能力を最大限に発揮する4つの方法
鉢底ネット&鉢底石は、なるべく使用しない
鉢底ネットや鉢底石を使用すると、「スリット鉢」による効果を、半減させてしまうことになります。
「スリット鉢」は、鉢の底の方までしっかりと根が張れるように、設計されています。
しかし鉢底石が敷かれていると、鉢底の方まで根が張れなくなり、スペースが有効活用できません。
「スリット鉢」を使用する場合は、多少土がこぼれてしまいますが、鉢底ネットや鉢底石は併用しないことが基本です。
鉢カバーは使用しない&付近にものを置かない
前述のように、スリット部分によく光を当てて使用することで、根のサークリング現象を防ぐことができます。
植物をオシャレに彩るアイテムとして、鉢を覆うことのできる、「鉢カバー」があります。
しかし「スリット鉢」を鉢カバーに入れると、スリット部分に光が当たりづらくなるので、効果を最大限に発揮できなくなります。
また、同様の理由で「スリット鉢」のすぐ近くにものを置くと、スリット部分が日陰になってしまいます。
なるべく、周囲にはものを置かないようにしましょう。
スリットから雑草が生えてきた場合はすぐに抜く
スリット部分は、土がむき出しの状態です。
風に乗って運ばれてきた雑草のたねが、スリットの部分に着地し、そこから発芽するケースもあります。
もし、スリットの部分から他の植物の芽が出たら、その雑草が邪魔して光が鉢内に届かなくなるので、すぐに抜いてしまいましょう。
根が出ていたら、すぐに環境を変える
植物によっては、明るい光に当たっても、構わずに根を成長させる品種もいます。
また、鉢内が根でギュウギュウになると、やがてスリットから根が出てくるでしょう。
スリットから根が出ている状態は、「スリット鉢」の機能を発揮できないどころか、植物の成長に悪影響を及ぼします。
いずれ植物が鉢から抜けなくなり、根をバッサリ切り落とすか、スリット鉢を壊す必要が出てきます。
すでに日当たりがよい環境を確保できている場合は、植え替えて根を整理することや、大きな鉢に‟鉢増し”をすることでも、対策が取れます!
おすすめのスリット鉢
100円ショップで見つけたものや、わたしがいつも使用している「スリット鉢」などについて、いくつかご紹介します!
Seria(セリア)のスリット鉢
先日、100円ショップのSeria(セリア)を訪れたところ、モスグリーン色ではない「スリット鉢」が並んでいました。


形状は、よく見かける八角形です。
わたしが足を運んだ店舗では、3つのサイズの取り扱いがありました。
カラーバリエーションは写真にあるグレイ以外にも、クリーム色とブラウンのものがありました。
身近な100円ショップに置いてあるので、入手しやすい点もありがたいポイントです!
プレステラ
自宅では、‟プレステラ”という「スリット鉢」の使用頻度が高いです。
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黒い見た目のものは、ワイルドな植物に合わせやすく、他にも白いプレステラも販売されています。
ガーデニングショップや、ホームセンターに行くと取り扱いがあり、Amazonなどでも入手可能です。
100円ショップの腰水用のケース
プレステラの90というサイズに、ちょうどよいケースが100円ショップで販売されているので、あわせてご紹介します!
容器に水を貯めて鉢ごと浸けておく「腰水(こしみず)」をするときに、とても便利です。

園芸コーナーではなく、キッチンコーナーで販売されています。
このケースは、2つで税込110円という商品です。
実際にプレステラ90を入れてみると、サイズ感がピッタリなのがよく分かります!

一年を通して、腰水で管理することはありませんが、以下のような場面で使用します。
- 実生(みしょう)
- 植物をタネから育てること
- 発根管理(はっこんかんり)
- 根が生えていない植物に根を出してもらうこと
このケースには、XSからLまで、いくつかサイズがあります。
使い方次第では、園芸にも用いることのできる便利なグッズです!
腰水は、底面給水をさせるということ。
下記の記事では、底面給水について、詳しくご紹介しています。
まとめ
本記事では、「スリット鉢」の特長や短所、使用方法の注意点などをご紹介しました!
植物の育成環境を整える上で、植木鉢の選び方は非常に重要です。
特に「スリット鉢」は、通気性や排水性に優れ、根の健康的な成長をサポートするためのアイテムです。
根が鉢内でぐるぐる巻きになる「サークリング現象」を防ぎ、効率的に水や養分を吸収できるため、植物が健康に育ちやすくなります!
一方で、デザイン性や転倒しやすさ、土こぼれなどのデメリットもあるので、性質を細かく理解した上で使用することが望まれます。
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