冬でも園芸を楽しむ方法
育てている植物に愛着がわけばわくほど、過剰に反応してしまうのが、「季節の変化」です。
日本には四季があるため、季節の変化が大きい国です。
「春」には過ごしやすい気温に上昇し、「夏」には激しい暑さが到来し、「秋」には高かった気温が落ち着いてくるものの、「冬」には凍てつく寒さが訪れます。
それ以外にも、下記のような季節の変化があるのが日本という環境です。
- 春
- “春一番”と呼ばれる、一年でもっとも強い風が吹く季節です。
また、植物にとっての害虫も活発な活動をはじめる季節でもあります。
- “春一番”と呼ばれる、一年でもっとも強い風が吹く季節です。
- 夏
- 太陽の光がガンガン降りそそぐ季節です。
- 秋
- 夏から秋にかけて“台風シーズン”と呼ばれ、暴風雨を連れてくる台風が訪れやすい季節です。
- 冬
- 雨が少なく、乾燥しやすい季節となります。
天候や気温によっては、霜や雪が降ることもあります。
- 雨が少なく、乾燥しやすい季節となります。
「ハワイ」や「コスタリカ」など、季節によって気温の変動、気候の変化があまり無い地域と比べると、日本は気温の変動や気候の変化が激しい国といえるでしょう。
そして、室内だけではなく屋外でも育つ植物にとって、環境の変化はなかなか過酷な状況となります。
植物にとって春と秋は成育しやすい季節となりますが、夏の暑さと冬の寒さには、最悪の場合は枯れてしまうことにもつながってしまうので、取れる対策は取りたいところ!
本記事では植物にとっての山場のひとつともいえる、冬越し、植物の冬の寒さ対策をご紹介します!
厳しい寒さで植物が枯れてしまう3つの理由
前提として、植物はなぜ寒い冬に枯れてしまうことがあるのでしょうか!?
植物が枯れる理由は多岐にわたるものですが、この季節に植物が調子を崩しやすくなる原因を、3つご紹介します!
1.自生地との温度の乖離
もとから日本の土地で暮らしている植物は、昔から日本の環境に慣れ親しんでいるので、日本の環境に適応できています。
自分自身が寒暖差に耐えられるように進化した植物がいれば、タネの姿で季節を乗り切り、環境の変化を生き抜く植物もいますが、どんなカタチであれ子孫をつなげているわけです。
しかし、日本は世界中から植物が輸入され、販売され、そして育てられている国のひとつ。
本来の自生地では同じ株から2年以上花を咲かせる「多年草」として育っている植物も、日本では一年以内に枯れてしまう「一年草」とされている植物もあります。
植物が自生地では経験できないほどの寒さにあたると、あまりの寒さに耐えることができずに調子を崩し、最終的には枯れてしまうことにも。
たとえば、生まれも育ちも沖縄で寒さに免疫の無いひとが上京してきて、冬に経験したことのない寒さにあたり、風邪をひいてしまうのと同じことです。
2.凍結
ものすごく暑い地域で育つ植物もいれば、凍てつくような寒さの中でも生き抜くことのできる植物もいます。
寒さに強い植物は、気温の低下とともに体内の樹液を調整していき、体内の水分を凍りにくくしていますが、それでも植物の中に蓄えられている水が凍ってしまうことがあります。
植物が葉や茎などの体内に溜めている水分や内部の細胞が、寒さによって凍結してしまうと、その細胞は修復不可能な状態になってしまうことも。
いちど凍結した細胞は、暖かくなっても元のカタチに戻れないことも多いので、細胞が壊れてしまうことによって最悪の場合には枯れてしまいます。
3.根腐れ
冬は雨も少なく空気が乾燥していますが、太陽が昇ってる時間も短く空気も冷たいため、暖かい季節より植物を植えている用土が乾きづらいです。
冬に洗濯物を屋外に干しても、なかなか乾かないのと同じです。
また用土が乾きにくいだけではなく、植物も暑い季節は体温調整のために水分を葉から外に出していますが、冬には葉からの蒸散も多くありません。
また、植物自体も成長期ではないことから、そこまで多くの水分を必要としません。
冬に旺盛な成長を見せる「冬型」と呼ばれる植物もいますが、葉の蒸散が少ないのに変わりはないといえるでしょう。
その結果、植物が植わっている用土がいつまでも乾きづらい状況となり、根腐れを起こしてしまうリスクが高まることにも。
根腐れを起こすと、健康的に生きていくことが難しくなり、枯れてしまうことがあります。
冬以外の季節でも、植物が枯れてしまうことはあります。
植物が枯れる理由は、下記の記事でもっと詳しく書いていますので、ご興味があればお読みください!
植物に取れる12個の寒さ対策
冬に植物が調子を崩してしまう理由について確認をしたところで、具体的に取れる寒さ対策をご紹介していきます!
植物を育てている場所や成育環境によっては、取れない対策もあると思いますが、複数の寒さ対策を講じることで、少しでも植物を枯らすリスクを下げることができるでしょう
対策1:室内に取り込む
寒さ対策としては、植物を「室内に取り込む」ことがもっとも確実な方法です。
室内ではエアコンを使用していなくても、冷蔵庫やTVなど稼働時間の長い家電製品の熱や、室内で生活しているひとの体温によって、屋外の気温よりも暖かい環境が自然とつくられていくものです。
ただし温かい環境で育てると植物は成育しやすくなりますが、室内では太陽光の光を確保しづらく、植物の育成に必要な条件のバランスが崩れてしまい、植物が間延びする“徒長”につながってしまうリスクは高まってしまうことにも。
室内に植物を取り込む場合には、なるべく日の光にあてることで、徒長を防止することができます。
また植物を室内で育てるということは、育成場所の分だけ、ひとの生活スペースが削られるということになります。
少しの植物であればそこまでスペースをとりませんが、我が家のように多くの植物を育てていると、冬の間には部屋が“ジャングル化”してしまうことにも・・・。
また、屋外の植物を室内に取り込む場合には、植物にとって大きなストレスとなる“環境の変化”が生じます。
屋外から一気に暖かい室内に入れてしまうと、環境の変化が大きくなってしまうので、まずは屋外と室内の中間の環境となるような玄関などで、1~2週間ほど慣らせてから室内に取り込むことで、環境の変化による失敗を軽減させることができます。
寒さをしのぐために講じた対策によって、植物が体調を崩してしまっては元も子もありません。
対策2:(簡易)ビニール温室を利用する
ガーデニングショップやホームセンターなどで購入でき、雨、風、雪、霜を防ぐことのできる「簡易ビニール温室」も有効な対策のひとつです!
「簡易ビニール温室」は“簡易”と付いているので、生産農家さんの使用しているビニール温室よりも、コンパクトな大きさとなりますが、それでも大小さまざま。
バルコニーのちょっとしたスペースに置けるものもあれば、結構な株数を格納しておけるタイプもあります。
ただし、ビニール自体の強度は高くなく、自宅のバルコニーではワンシーズンでビニールの一部に穴があいて使えなくなってしまうので、毎年ビニールを購入する費用が発生しています。
「簡易ビニール温室」の価格は数千円ですが、使い方によっては費用帯効果は大きいので、購入を検討してもいいかもしれません。
ただし「簡易ビニール温室」については、一長一短あるのも事実。
下記の記事で詳しく書いているので、導入を検討されている方は参考にしてみてください!
わたしも毎年使用しているので、参考になるものがあると思います。
対策3:マルチング材を使用する
植物の株元を覆うことは「マルチング」と呼ばれる園芸手法。
農家さんが作物を育てている畑で、作物が黒いビニールで覆われている光景を見たことがあると思います。
このビニールで作物を覆うことも「マルチング」と呼びますが、バークチップやウッドチップなどの資材を、植物が植わっている株元の表面に敷くことも「マルチング」と呼びます。
「マルチング」は害虫の侵入や雑草を防止するだけではなく、保温効果もあるので、寒さから植物の根を守る役割も担う存在になります!
おしゃれな見た目から「マルチング」を取り入れられることもありますが、効果は見た目に限ったものではなく植物の成育にもメリットを与えてくれるものです!
他にも、水分を保持する効果も生まれる「マルチング」ですが、「マルチング」を導入することでいくつかデメリットが生じるもの。
具体的には、下記のようなデメリットがあげられます。
- 用土が乾いているのか濡れているのかといった、鉢内の状態が分かりづらくなる。
- 水やりの難易度が上がってしまう。
- 固形肥料を使用しづらくなる。
- 鉢の中の通気性が悪化してしまう。
- マルチング材を購入するための費用が発生してしまう。
マルチング材は購入せずに、無料(タダ)で入手できるモノを代用することもできます。
その“モノ”とは、、、「雑草」です
季節によって雑草の量に違いはあれど、どの季節でも何かしらの雑草は生えているので、自然に手に入れることのできる存在ですが、特にイネ科の植物はマルチング材に向いている植物です!
逆にマルチング材に向いていない植物もいるので、雑草をマルチング材に代用するときは、よく調べてから使用しましょう!
対策4:軒下に移動する
屋外ではあるものの屋根の下の部分にあたる「軒下(のきした)」があれば、軒下に植物を移動させるだけでも、想像以上に大きな寒さ対策になります!
ひとも雨が降ったときに、雨宿りをすることで雨に濡れることなく、寒さからも身を守れることになるでしょう。
植物が雨にあたらなければ、植物が余計な水分を吸収しないことになり、植物の大敵である「霜」がおりづらい環境にもなります。
植物は体内の水分量を少なくすることで、耐寒性を向上させることができる生き物なので、雨に当たらないことは大きな耐寒対策に。
体内の水分量を少なくできれば、植物の体内に蓄えている樹液を濃くすることができるので、寒い冬に耐えることができるのです。
植物にハマっていると、「軒下」という言葉はよく耳にするので、植物好きにとって軒下は重要な植物育成スペースとなっています。
軒下であれば、室内の生活スペースも取らず、寒さの対策グッズを買い揃える必要もないので、手軽にとれる寒さ対策の方法といえるでしょう。
対策5:フラワースタンドなどを使用する
植物を植えている植木鉢を地面に直接置いている場合、コンクリートなどの地表の冷気が、鉢を通して植物の根に伝わることになります。
地面からの冷気を防ぐために、フラワースタンドやガーデンラックと呼ばれる園芸グッズを使用して鉢植えを地面よりも少し高いところに設置することで、寒さへの対策となります!
フラワースタンドは寒さ対策になるだけではなく、ほかにもメリットが多く、デメリットをあえてあげるなら出費になることと、強風時にフラワースタンドごと転倒したら植物に与えるダメージが増大することです。
フラワースタンドの下段に重量のあるものを置くことで、転倒防止策を講じることができるので、事故の被害を大きくしないために取れる対策は、あらかじめ講じておくことが必要です。
- お気に入りの鉢を取り入れることで、おしゃれな見た目になり、立体感が演出できる。
- 特に真夏の季節には、コンクリートなどが高温になるので、高温対策にも有効な対策になる。
- 鉢底やスリットなどの穴から、害虫が侵入することを防止することができる。
- 上下の空間を有効活用できるので、育てることのできる植物の数を増やすことができる。
- 設置場所によっては、風通しや日当たりが向上することもある。
フラワースタンドは、100円ショップでも入手できるお手軽アイテムでもあります。
ただし、100円ショップのものは1鉢だけに使用できるものが基本となるので、育てている鉢数が多い場合には、値が張ったとしてもホームセンターなどで購入することをオススメします。
スチール製のものよりも高くなってしまいますが、ステンレス製のものやアルミ製のものを選ぶことで、錆びが発生しづらくなるので、植物と長く付き合っていきたいなら、材質にもこだわりたいところです。
対策6:鉢を二重にする
植物が植わっている鉢を、鉢がスッポリと入る大きめな鉢やプランターに入れることも、寒い季節に取れる対策となります。
直接風が鉢にあたりづらくなることによって、多少の保温効果が期待できますが、単体での寒さ対策というよりは他の対策と合わせて行った方がよいでしょう。
鉢が余っている場合にとれる複合技としては、オススメできる方法です!
また、鉢に通称“プチプチ”と呼ばれている「気泡緩衝材」を貼り付けることでも防寒対策となりますが、美観的には二重鉢が優れているのかもしれません。
鉢を二重にすることで防げるのは、寒さだけではなく暑さも防ぐことのできる手段です。
対策7:よく日にあてる
日中、植物をよく太陽の光にあびせることによって、植物がもっている耐寒性をUPさせることができます!
ひとが食事をとっていなくて栄養が不足していると調子を崩しがちになるのと同様に、植物も成育環境が整っていないと枯れやすくなります。
ただし一定期間、強い光にあたらない環境に置かれていた植物を、いきなり強い直射日光に長い時間あててしまうと、逆に葉焼けなどを引き起こしてしまう原因となるので注意が必要です。
対策8:寒さに徐々に慣れさせる
自然の中では、昨日まで最高気温が35℃まで上昇していたのに、ある日を境に急に最高気温が5℃までしか上がらなくなる。なんてことは発生しないことです。
砂漠では、昼と夜で気温が30~40℃も違うといった、恐ろしいほどの寒暖差が生まれることもありますが、砂漠にはほとんど植物が育っていないもの。
多くの植物が育っているエリアには、急激な環境の変化が発生しづらいものです。
本来は寒さに強いとされる植物でも、暖かった環境から唐突に寒い環境に変化してしまうと、寒さに耐え切れず調子を崩してしまうことがあります。
冬の間も植物を屋外で育てるのであれば、涼しくなる秋には屋外に出しておき、気温が低下していく環境に徐々に慣れさせる過程が必要です。
判断に迷うところではありますが、一時的に多少屋外の環境が悪くなったとしても、思い切って屋外に出したままにしておくことで、植物が感じるストレスを軽減させることができるでしょう。
数年単位で徐々に寒い環境に慣れさせることによって、植物が想像以上に寒さに強くなることもあります。
対策9:植物の耐寒性を知る
どれだけの寒さに耐えられるかは、植物によってさまざま。
特に寒さへの対策を取らなくても、雪をかぶっても霜が降りても、何事も無かったかのように越冬できる植物もいます。
それぞれの植物によって耐寒温度は違うので、植物のことを知り、対策方法や対策をとり始めるタイミングなどを検討しましょう。
対策10:水やりで使用する水は室温で温める
関東地域でも、真冬の季節は、水道水の水温が7〜8℃まで下がっています。
水道水の温度のまま水やりをしてしまうと水の冷たさから、植物にストレスがかかるため、植物に水やりをするときは、じょうろに水を溜め半日~1日以上は室温で温めてから水やりをすることで、植物へのストレスを軽減させることができます!
ただ、水をあげたい状態であっても水を温めていると、水のやりどきを逃してしまうことにも。
「水やりをしたあとには、じょうろに水を溜めておく」ことをルーティン化すると、植物への水やりのタイミングを逃す心配がありません!
水が溜まっているじょうろには、誤ってぶつかってしまうことのないように注意が必要です
対策11:水やりの頻度、1回あたりの量を減らす
植物の体中に蓄えている水分が減り、樹液の濃度があがると植物自体がもっている耐寒性を上げることができるため、水やりの回数を減らすことも有効な対策のひとつとなります。
基本的に、寒い季節には鉢底から水が流れ出るほどの水量を与えてしまうと、用土がなかなか乾かないため、1回の水やりで与える水量も数日間で乾く程度に調整することで、水やりによる失敗も減らすこともできるでしょう。
少量の水を与えるのであれば、少しずつ水が出てくる便利なグッズが100均にも売られていますよ!
このガーデニンググッズであれば、株元にピンポイントで水を届けられます。
さすがに110円とまではいきませんが、Amazonなどでも類似品の入手が可能です!
対策12:風が直接あたらないようにする
風速1mの風がひとの体に直接あたると、体感温度が1℃下がると言われていますが、これは植物にとっても同じことが言えます。
本来は植物が枯れない温度だったとしても、強い風にあたればあたるほど植物が感じ取る寒さは厳しいものになるので、吹く風への対策を取ることで寒さによる影響を軽減させることができます。
そのため、段ボールや発泡スチロール、ビニール、さらには不織布などを使用し、風が直接あたらない環境をつくってあげることも越冬への手助けとなるでしょう。
不織布は何重にも重ねることで、さらに大きな効果を発揮します!
植物自体が大きく植物ごと包むことが難しい場合には、植木鉢を段ボールや発泡スチロール等で覆うだけでも、風からくる寒さから根を守ることができるため、耐寒性を向上させることができます。
まとめ
植物は多くの品種がいますが、ひとが長袖一枚で快適に過ごせる季節を好む品種が多いと言われています。
そのため、多くの植物にとって成育期は春と秋の季節。
この季節は植物も快適に過ごすことができるので、植物を育てている環境が多少悪かったとしても、調子を崩さずに生きていくことができるものです。
暑い時期や寒い時期は、特に注意しないと大切な植物が傷んでしまったり、最悪の場合に枯れてしまうこともありますので、本記事では、寒さ対策をご紹介しました!
植物には、大きく成長する「成長期」とほとんど成長しない「休眠期」があります。
成長期である暖かい春を迎えるためにも、しっかりと寒さ対策を取って、一緒に冬の季節を乗り越えていきましょう!!
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