ゲラルダンサス・マクロリザス(眠り布袋)をたねから育てる成長記録~実生編~

ウリ科の塊根植物

植物とは思えないそのすがたに、思わず目を奪われるのが「塊根植物」です。

中でも「おまんじゅう」のようなユニークなフォルムが特徴の「ゲラルダンサス・マクロリザス(Gerrardanthus macrorhizus)」は、その別名「眠り布袋」も相まって、いちど見たら忘れられない存在です

本記事では、「ゲラルダンサス・マクロリザス」を種から育てている記録をご紹介します
発芽したばかりの幼苗が冬を乗り越え、目覚ましく成長していく様子からは、植物の力強さを間近に感じられます。
園芸初心者の方も、すでに愛好家の方も、ウリ科の塊根植物の魅力にどっぷり浸れること間違いなしです!

目次

ゲラルダンサス・マクロリザスの基本データ

原産地:南アフリカ・東ケープ州
科・属:ウリ科・ゲラルダンサス属
学 名:Gerrardanthus macrorhizus(ゲラルダンサス・マクロリザス)
別 名:眠り布袋(ねむりほてい)

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ゲラルダンサス・マクロリザスの特徴&たね蒔きどき

ゲラルダンサス・マクロリザスの特徴

「ゲラルダンサス・マクロリザス」は、春から秋までの暑い(暖かい)季節が成長期の“夏型”の塊根植物です。

ちなみに塊根植物とは、乾燥した環境でも生き抜けるように根や茎を肥大させ、多くの水分を体内に蓄えられる植物のことです。

寒さを苦手としているため、冬のあいだは葉を落とし、休眠状態になります。

ゲラルダンサス・マクロリザスのたねの蒔きどきは春か秋

春がベストだが、秋にも蒔ける

「ゲラルダンサス・マクロリザス」の発芽温度は20~25℃のため、暖かい季節にたねを蒔くのがベストです。
発芽後の成長のことを考えると、春がベストなタイミングですが、秋に蒔くこともできます。

たねを秋に蒔いた株を冬越しさせるためには、対策が必要

塊根植物を元気に育てる上で、寒い季節を乗り越える‟冬越し”は、ひとつのハードルです

春にたね蒔きをした株は、冬までに半年ほどのスパンがあるため、1年目の株でも冬越しできる体力をつけやすいです。
ただし秋にたねを蒔くと、休眠期までの期間が短い分、株が大きく成長できず、十分な体力が養われないまま冬を迎えることになります…。

体力が少ない状態で休眠状態に入ると、休眠から覚めることなく、そのまま枯れてしまうこともあります

秋にたねから発芽した1年目の株は、冬に休眠しないように、強い光と暖かい温度を確保するのが理想です。

ただし植物育成用のLEDライトを使用したり、暖かい温度を保ったりするためには、それなりに電気代が発生します…。
多肉植物の室内育成については、以下の記事で詳しくご紹介しているため、ご興味があれば参考にしてみてください

ゲラルダンサス・マクロリザスのたね蒔き後の経過

たね蒔き初日:2023年10月1日

たねは容易に入手できない

「ゲラルダンサス・マクロリザス」は、カンタンにたねを入手できるわけではありません。
季節は秋を迎えているため、このタイミングでたねを蒔くと、1年目の冬のあいだは、電気代をかけて室内で育成する必要がありますが、

筆者

このチャンスを逃したら、次にいつ実生できるか分からないし…。

と考え、実生することにしました

たねは消毒せずに播種しました

塊根植物のたねはカビが発生しやすく、たねを蒔く前には、消毒作業が必須な品種も存在します。

「ゲラルダンサス・マクロリザス」のたねはカビるリスクは高くないようなので、今回はたねを消毒せず、風通しのよい屋外で、多肉植物用の培養土に蒔きました。
用土が濡れた状態を保てるように、水を入れた容器に鉢ごと浸ける「腰水」の状態で「ゲラルダンサス・マクロリザス」の発芽を待ってみます。

多肉植物のたねの蒔き方については、以下の記事で解説しているため、ご興味があれば参考にしてみてください

たね蒔き14日後:2023年10月14日

「ゲラルダンサス・マクロリザス」のたねを蒔いてから、14日が経過しました。

たねを蒔いてから4~5日目には、複数のたねが動き出していました
今回入手したたねは、鮮度がよかったのでしょう。

茎がしっかり直立し、最初に展開する子葉(しよう)を左右に広げている株もいれば、これから起き上がろうとしている株も見られます

起き上がろうとしている株。

多肉植物の実生は、せっかく蒔いたたねが発芽しなかったり、たねの殻を脱げないまま枯れたりと、すべてのたねが順調に発芽するケースは稀です。

たねを蒔いてから間もないタイミングでも、植物の個性が見られるのは、実生をしてみないと感じられない魅力です

ちなみに今回は「プレステラ90」という、黒いプラスチック鉢を使用しました。
鉢底の側面に切れ目(スリット)が入っていて、排水性や通気性に優れているため、乾燥した環境を好む塊根植物と相性がよい鉢です。

スリット鉢のメリットやデメリットについては、以下の記事で詳しくご紹介しています

たね蒔き20日後:2023年10月20日

「ゲラルダンサス・マクロリザス」のたねを蒔いてから、20日が経過しました。

子葉の段階を終え、本葉を展開させている「ゲラルダンサス・マクロリザス」もいます

どの植物でもそうですが、子葉と本葉では形状が異なります。

ゲラルダンサス・マクロリザスの子葉と本葉
  • 子葉(しよう)
    • 左右対称に、縦長な形状をしている
    • 葉の血管とも言える葉脈(ようみゃく)は、縦に入っている
  • 本葉(ほんば)
    • 葉はトランプのスペードのような形状をしている
    • 葉は左右対称ではない(1枚ずつ展開)
    • 葉脈の入り方も、子葉と異なる

一部の株は、子葉の葉先が黄色く変色していますが、株自体は元気がよさそうです

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たね蒔き35日後:2023年11月4日

たねを蒔いてから、35日が経過した「ゲラルダンサス・マクロリザス」です。

発芽した「ゲラルダンサス・マクロリザス」は、どの株も本葉を展開し、塊根部分が肥大してきました

今はまだ塊根植物とは思えないすがたですが、さらに塊根部分が形成されると、塊根植物としての存在感が増すのではないでしょうか。

今は11月に突入していますが、最低気温は15℃以上あるため、直射日光が1~2時間ほど当たる屋外で育てています。

「ゲラルダンサス・マクロリザス」が休眠状態に入る前に、室内育成に切り替える予定です。

たね蒔き70日後:2023年12月9日

「ゲラルダンサス・マクロリザス」のたねを蒔いてから、70日が経過しました。

塊根植物の中では成長速度が早い

発芽してから2か月余りで、塊根部分が直径2cmほどまで大きく成長しました

塊根植物は成長速度が遅い品種が多いですが、「ゲラルダンサス・マクロリザス」は成長が早いです

耐寒温度は5℃程度

「ゲラルダンサス・マクロリザス」の耐寒温度は5℃程度です。

自宅の育成環境は、11月中旬から最低気温がひと桁に差しかかったため、今は室内で育てています

植物の寒さ対策については、以下の記事で詳しくご紹介しています

使用しているLEDライトはBRIM製

ちなみに、自宅で使用している植物育成用のLEDライトは、以下のBRIM製のパネル型のものです。
もっと強い光量を出せるライトも市販されていますが、このLEDライトはリーズナブルな割に性能が悪くないため、コスパに優れています。

たね蒔き91日後:2023年12月30日

「ゲラルダンサス・マクロリザス」のたねを蒔いてから、約3か月が経過しました。

前回の記録時と比べると、木質化がはじまり、幹の部分が茶色くなってきました
幹の色が変わるだけで、塊根植物としての頭角をあらわします。

「ゲラルダンサス・マクロリザス」はつる性の植物のため、周囲のものに絡まりながら枝葉を伸ばします。
室内の置き場所は、一段の高さが40~50cmほどある、多段式のガーデンラックの中段です。
室内に取り込んだときは周囲との距離感に余裕がありましたが、今は上段のラックにつるを絡ませそうなくらい、枝葉の成長が旺盛です。

筆者

ある程度のサイズまで成長したため、株に体力が備わり、今から休眠に入っても、春には問題なく目覚めるだろう

と考えていますが、今回の冬はなるべく休眠させずに、春まで育てていきます。

ちなみに「ゲラルダンサス・マクロリザス」は、少し大きく育った株をガーデニングショップで購入し、その後の成長記録を付けています
以下の記事でご紹介しているので、よろしければお読みください

たね蒔き231日後:2024年5月18日

前回の記録から、約半年が経過したときの様子です。

今は5月の中旬です。
気温の上昇とともに、無事に休眠から目覚め、葉を展開しはじめました

まだ1年経っていませんが、ひと目で「ゲラルダンサス・マクロリザス」と分かるすがたまで、成長を遂げています
ただし、休眠する前の調子がよかったころとは異なり、葉を黄緑色に染めた株も見られます。

筆者

この株は展開している葉のサイズも小さいため、調子が悪そうです…。

最低気温が12~13℃に下がったタイミングで休眠に入った

冬のあいだ、エアコンを稼働させていない室内で育てていたところ、すべての株が2月ごろに落葉し、休眠に入りました。
「ゲラルダンサス・マクロリザス」が休眠を迎えたのは、室温が12~13℃ほどまで下がったタイミングです。

「ゲラルダンサス・マクロリザス」を休眠させたくない場合は、15℃以上の環境で水やりを継続していれば、葉を落とさずに冬を乗り越えられると思います。

たね蒔き372日後:2024年10月6日

「ゲラルダンサス・マクロリザス」のたねを蒔いてから、約1年が経過しました。

使用している鉢の直径(約8cm)と比べると、大きな株で、塊根部の直径が4~5cmほどまで成長したことが分かります

一方で、小さめな「ゲラルダンサス・マクロリザス」は、直径2~3cmといったところです。

筆者

鉢に単独で植えられているか、他の株と同じ鉢に植えられているかによって、大きさに差が出ています。

それぞれの鉢に同じ数のたねを蒔きましたが、発芽しなかったたねもあるため、鉢内の株数に違いが出ています。
根を張れる土の量によって、株ごとの成長速度に差が出ているのでしょう。

環境が整った室内で育成するならまだしも、春から秋までの成長期を屋外で育て、これだけ大きく成長する塊根植物は、そう多くありません。

自宅ではこまめに植え替えていませんが、定期的に鉢増しをすれば、短期間でもっと立派な塊根植物に成長すると思います。

たね蒔き631日後:2025年6月22日

前回の記録から、8か月半が経過しました。
株同士がギュウギュウに押し合い、窮屈に見えたため、このタイミングで植え替えることにしました。

鉢から抜いたときの様子です。
筆者

根の量は、ものすごく多いわけではありませんが、調子はよさそうです!

写真の一番左側に映る株の塊根部分に、深さ1cmほどの穴が開いていますが、これは害虫に食べられた跡かもしれません…。
今は元気がよさそうなため、殺虫&防虫のスプレーを吹きかけて、このまま様子を見ていきます。

このタイミングは、最高気温が30℃を超えています。
植え替えの適期とは言えませんが、「ゲラルダンサス・マクロリザス」は強いため、暑い時期に植え替えても、大きな問題はないと思います。

ただし、株へのダメージを最小限にするなら、休眠から目覚める3~5月くらいに植え替えるのがベストです。

植え替えが完了しました。

1株が冬に調子を崩し、春になっても芽吹くことなく枯れてしまい、今は8株が生き残っています。

筆者

冬に水やりをしなさすぎたのが、枯らした原因だと思います。

ちなみに今回使用した培養土は、自宅で配合しているものです
以下の記事で配合割合をご紹介しているため、ご興味があればチェックしてみてください
アガベに焦点を当てて書いた記事ですが、自宅の多肉植物には全般的に使用している培養土です。

それぞれ単独の鉢に植え、根が張れるスペースが増え、あわせて固形肥料も補充したため、今後のさらなる成長に期待しています

(更新中)

自宅で育てている多肉植物の実生記録は、以下の記事でまとめています
「ゲラルダンサス・マクロリザス」以外にも魅力的な品種を育てているため、よろしければお読みください

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