スリット鉢(slit pot)~植物がグングン成長するオススメの植木鉢~

育成に特化した植木鉢

植物を購入するときには、植物とセットで植物の魅力をさらに引き立ててくれる、植木鉢を探したくなります!

鉢を目の前にして、あれこれと考えることもあるのではないでしょうか!?

鉢を購入するときに考えること
  • 「イカついトゲのある植物だから、ワイルドな鉢がいいのではないか。」
  • 「わりと控え目な植物だから、シンプルな鉢にしようかな。」
  • 「この鉢、部屋の印象に合うかな」  等々

植木鉢は植物との相性だけではなく、植物を置く周囲の雰囲気にも合わせることができれば、さらなる相乗効果が期待でき、植物の良さをより一層引き立たせることもできます!

さまざまなデザインがある植木鉢ですが、モノによって違うのは「デザイン」だけではなく、「育てやすさ」や「成長速度」という面でも大きな違いがでます。

今回は、植物がグングン成長する「スリット鉢についてご紹介します!

目次

スリット鉢とは

まず名前についている、“スリット”(slit)とは「切れ目」・「隙間」という意味なので、スリット鉢は「切れ目の入っている鉢」という意味です。

植物の育成にスリット鉢を使用すると、ほかの鉢と比較して鉢内によく根が張るため、“根張り鉢”ともよばれています。

一般的に「スリット鉢」といえば丸い鉢や、八角形でモスグリーン色の鉢が主流ですが、私は“プレステラ”という黒くて四角いスリット鉢を愛用しています。

鉢を比較する際に、スリットが入っているかどうかまでは気にしない方も多いと思いますが、この「スリット」は植物育成に絶大な効果を生み出します!

スリット鉢の7つの特長

それでは、具体的にどのような特長があるのかというと、下記の7つが挙げられます!

7つの特長
  • 水はけがよい
  • 通気性がよい
  • 鉢底石が不要
  • 根のサークリング(鉢底でぐるぐる巻く現象)を防ぐ
  • 水やりのタイミングが分かりやすい
  • 軽くて、落としても割れにくい
  • 花や実をたくさんつける

特長①:水はけがよい

水やりをしたときに鉢底にのみ穴が開いている植木鉢では、当然ながら水が流れ出てくるのは鉢底からのみです。

一方のスリット鉢では鉢底のみならず側面からも水が流れ出てきます。
またスリットは鉢の複数箇所に入っているモノなので、水が流れ出てくる出口の数を比較しても、水はけの良さはあきらかに良いです。

特に雨ざらしの環境で植物を育てる場合や、梅雨の時期、湿度の高い夏等のじめじめした環境のときは蒸れにくい機能が有効に働きます!

特長②:通気性がよい

一般的な鉢に開いている鉢底穴は水を通しますが、地面との隙間がほとんどないため、風の通り道にはなりづらいです。
一方のスリット鉢では、側面にスリットが入っているため、鉢を地面に置いていても側面のスリットから鉢のなかを風が通り抜けることができます。

ひとと同じように植物の根は酸素を吸い、二酸化炭素を排出する「呼吸」をしているので、鉢のなかの通気性が保たれていて酸素が根まで届くかどうかは、植物の育成面で重要な要素となります。

また、土がなかなか乾かない環境では鉢内で雑菌が繁殖し、植物に悪影響を及ぼすこともありますが、スリットから通気されることで土が乾きやすくなり、根腐れ防止にもなるのも特長の一つです!

特長③:鉢底石が不要

一般的な鉢では、通気性向上ために鉢底にネットを敷き、その上に鉢底石を入れてから用土を入れる必要がありますが、スリット鉢の場合は、最初から通気性に優れている設計になっているので鉢底石を入れる必要はありません。
最初こそ、スリットから多少の土がこぼれでてきますが、土同士が絡み合い根が土をキャッチするようになれば、いずれこぼれてこなくなっていきます。

鉢内は限られたスペースですが、鉢底石が鉢内のスペースを使わない分、植物が根を張ることのできるスペースが確保されるため、「根の成育範囲の確保」という面でも優れています!

特長④:根のサークリング(鉢底でグルグル巻く現象)を防ぐ

一般的な植木鉢で植物を育てていると、植物の根が水などを求めて、鉢内をらせん状に回ってしまう現象(サークリング)が起きやすいです。
植物は雨が降らない期間であっても水や栄養分を吸収できるように、根を広くそして土の奥深くにまで潜らせていこうとしますが、植木鉢ではスペースに限りがあるので、限りある範囲でしか根を張ることができません。
行き場をなくしてしまった根が植木鉢の内側に張り付くように、グルグルとらせん状に伸びていってしまうのです。
植物を鉢から出したときに、表面からは根が一面にビッシリ広がっているように見えても、意外と鉢の中央部分には根が張っていないことがあります。

根は地上に出てきて光や風に当たると乾燥してしまい、水を吸収するどころでは無くなってしまうことから、明るい光を嫌う習性をもっています。
スリットから鉢内に差し込む光が根にあたると、日の光を感じ取った根はそれ以上伸びていくのをやめ、株からほかの新しい根を出していきます。
これが繰り返されることによって、鉢の中央部分にもまんべんなく根を張ることができます。
偏った範囲に根が張らないことになるので、水や栄養素を確保しやすくなるのです。
スリット鉢は、鉢の中のスペースを90%以上活用できる植木鉢といわれています!

特長⑤:水やりのタイミングが分かりやすい

植えている用土にもよりますが、水やり直後と乾いたときの色が異なるため、水やりのタイミングを把握するためのひとつの方法として、「用土の色を確認する」こともあります。
表土は目で見て色の違いを確認できますが、スリット鉢であれば鉢の側面からも用土の色を確認できるので、用土の乾き具合が分かりやすく、結果として水やりのタイミングが分かりやすくなります!

特長⑥:軽くて、落としても割れにくい

スリット鉢は、プラスチックでできているモノが主流です。
そのため軽くて持ち運びがしやすく、また誤って落としてしまったとしても割れにくい特長があります。

植物が大きくなると、植物自体の重みに加えて、用土も重みを増していきます。
また季節の変化や、お部屋の模様替えのタイミングで植物を移動するときや、植え替え作業のときにも、うれしい特長の一つです。

特長⑦:花や実をたくさんつける

これは間接的な効果といえますが、スリット鉢を使用することで、植物が元気よく育ちやすくなります。

スリット鉢の機能を理解し、“根張り鉢”の特長を最大限いかして、植物育成に努めることができれば、花や実をたくさんつけてくれるでしょう。

以上が、スリット鉢の7つの長所となります!
それではスリット鉢には特長しかないのかというと、短所もあります。

スリット鉢の6つの短所

短所①:デザイン性に優れていない

スリット鉢は、もともと生産農家のために作られた鉢なので、「見た目」ではなく「植物の生産」に焦点を当ててつくられた植木鉢です。

昔はモスグリーンが主流でしたが、最近ではブラックやグレー、ピンクなどカラーバリエーションが増えてきました。
しかしながら、陶器鉢のオシャレな鉢などに慣れているひとからすれば、どうしてもスリット鉢のデザイン性は気になるかもしれません。

短所②:倒れやすい

スリット鉢の特長でも挙げましたが、スリット鉢はプラスチック製であることが多く、軽いので、風などの影響で鉢ごと倒れてしまうリスクは高くなります。

特長の裏返しのような短所ですが、安定感という意味では重い鉢の方が安定します。

短所③:用土がこぼれやすい

植物の根が成長し用土をキャッチするようになれば、徐々にこぼれてこなくなりますが、植えてからしばらく間は側面に開いているスリットから土がこぼれてきてしまいます。

用土がこぼれてくるのが気になる場合には、鉢底の方には大粒の用土を使用することなどで多少こぼれにくくなります。

短所④:用土が乾燥しやすい

乾燥を好む植物にとっては良い面にもなりえますが、スリット鉢に植えていると、用土が乾きやすく夏の時期は1日2回(朝と夕方)以上、水やりをする必要がでることもあります。

水やりが面倒だと思うひとには、乾きやすいスリット鉢は、少し億劫な特徴をもっています。

短所⑤:害虫が入ってくる

側面のスリットから、ナメクジなどが鉢内に侵入してくることもあります。
ナメクジは植物の根などを食べてしまうので、園芸界では害虫とされています。

害虫が気になる場合には、スリット鉢の効果を半減させてしまうことになりますが、園芸用ネットをスリットの内側から設置することで対策ができます。

短所⑥:地面に根がもぐっていく

一般的な鉢でも起こりえる現象ですが、スリット鉢を土の上に置いておくと、スリット鉢からでてきた根がそのまま地面のなかに潜っていくことがあります。

植物のなかにはあまり光を嫌うことのない根を伸ばす植物もいるので、そのような事態になるケースもありますが、スリット部分が日陰になっていないか今一度確認し、植物の変化を見逃さないように、日ごろから植物を観察することが重要です。

スリット鉢の使用上の注意点

鉢底ネットや鉢底石は使用しない

鉢底ネットや鉢底石は、スリットの効果を半減させてしまうことになります。

スリット鉢を使用する場合には、多少用土がこぼれてしまうこととなりますが、スリット鉢の特長を最大限いかすのであれば鉢底ネットや鉢底石は併用しないことが基本的な使用方法となります。

鉢カバーは使用しない

鉢カバーもスリット部分を日陰にしてしまう要因となるので、スリット鉢の効果を引き出すことができなくなります。

普通の鉢を使用していたとしても、鉢カバーを併用すると通気性を妨害してしまうので、育成面では好まれないケースが多いです。

「美観」を重視しているわけではなく、「育成面」を重視するのであれば、スリット鉢と鉢カバーを併用するのはオススメできません。

スリットから雑草が生えてきた場合はすぐに抜く

スリット部分は、用土がむき出しの状態となります。

そのため、風に乗って運ばれてきた植物のタネがスリット部分で発芽し、芽が出てくるケースもありますが、その場合はすぐに抜いてしまいましょう。

子株をだす植物は、スリット部分から子株がでてくることもあります。
もし増やしたい植物であるならば、すぐに抜いてしまうのではなく、外せる大きさになってから親株から外しても良いと思います。

根が出てきたら環境を変える

通常、植物の根は明るい光を感じると成長をとめますが、なかには明るい光や空気を感じても構わずに根を成長させる植物もいます。

また、周囲にモノがあることでスリット部分が影になってしまって、スリット鉢本来の機能を発揮できていない可能性もあります。

いずれにしても、スリットから根がでてくると、いずれ抜けなくなり植物の根をバッサリ切るかスリット鉢を壊す必要がでてくるので、そうなってしまう前に、早めに日のよくあたる場所に移動させるか、または植え替えをするなど、なるべく早めに環境を変えてあげましょう。

まとめ

短所についてもいろいろと挙げましたが、短所を上回る特長を持ち合わせているのが「スリット鉢」だと実感しています!

Seriaのスリット鉢

先日100円ショップのSeriaに行ったところ、見た目的にも「有り」なスリット鉢が並んでいたので、ご紹介します!
わたしが行った店舗には3サイズ置かれていて、色はグレイ以外にも、クリーム色と茶色のカラーバリエーションがありました!

わたしは初めて見かけましたが、以前からあったのでしょうか。
機能的にも優れているし、100円ショップに置いてあると、なにかのついでに入手することもできるかもしれませんね!

プレステラ

わたしは育てている植物の8割以上をスリット鉢に植えていて、スリット鉢の中でも特に「プレステラ」という植木鉢を気に入って使用しています!
あえてプレステラの弱点をあげるとしたら、大きなサイズが無いことですがそれ以外は満足しています!

販売価格も100円ショップに負けず劣らずのお手頃価格です!

左がプレステラ90 右がプレステラ120深型

腰水用のケース

プレステラの90というサイズで腰水(水が切れないように水をためて鉢をつけておく)をするときに、ジャストフィットするケースが100均で売られているので、あわせてご紹介します!

園芸コーナーに置いているモノではなく、キッチンコーナーにあり、植物にハマっているひとのなかではちょっとした話題になっている商品です!

2つで110円という商品ですが、実際にプレステラ90を入れてみると、ジャストサイズなのがよく分かります!

特に、植物をタネから育てる「実生」のときや、根のない植物に根をだしてもらう「発根管理」のときに重宝されるアイテムのひとつです。

このケースはほかにもいくつかサイズがありますが、使い方を工夫すればなにかと園芸にも用いることのできる便利なグッズですよ。

以上、今回はスリット鉢のご紹介でした!

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