アガベ、ユーフォルビア、塊根植物の原産地の特徴~多肉植物の元気な育て方~

ほかの植物よりも、体内に水を多くためておくことのできる植物を“多肉植物”と呼びます。

多肉植物の品種は多岐にわたりますが、多くの多肉植物が寒さに弱く乾燥した環境を好む理由は、本来くらしているエリアが暖かくそして乾燥地帯だからです。
根をプックリと太らせる「塊根植物(かいこんしょくぶつ)」が、成長期ではないタイミングで葉を落とし休眠をする理由は、葉から水分が出ていく“蒸散”をふせぐことで体力を温存し、雨が長期的に降らない乾燥した季節を乗り切るためです。
さらに、暑さや寒さにどれだけ強いかといった“耐暑性”や“耐寒性”も、原産地の環境によります。

本植物が慣れ親しんでいる原産地の環境によって、それぞれの植物にとって適切な育成方法が決まるといってもいいぐらい、原産地の環境を把握するコトは植物を育成する上でとても重要なことです!

植物は本来生きている環境に少しでも近付けることで、健康的に成育していくので、多肉植物の自生地の気温や降水量を日本(東京)と比較しました!

本記事を通じて、多肉植物を元気に育てるための参考になれば嬉しいです!

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目次

多肉植物:自生地一覧

多肉植物は世界中に存在している植物で、こまかく自生地を分類していくと正直キリがないので、本記事では主な自生地を4つに分けます。

カテゴリーごとに代表的な植物を分けると、こんな感じになりました!

自生地の特徴を大まかに分けると、下記のような分類に分かれています。

  • メキシコや南アメリカ
    • アガベやアロエ、サボテン等が多く自生
  • 南アフリカ
    • ユーフォルビアやコーデックス等、多種多様な種類が自生
  • マダガスカル
    • コーデックスが多く自生

日本(東京)の環境

まずは、原産地と比較しやすいように日本(東京)の環境を、確認していきますが、植物の育成に必要な条件である“気温”、“雨の量”、“風速”、“日照時間”に焦点を当てています。

※本記事のグラフやデータは「Weather Spark」より引用させていただいています。
(https://ja.weatherspark.com/)

最高気温・最低気温

最も暑い月:8月(平均最高気温は30℃/平均最低気温は24℃)
最も寒い月:1月(平均最低気温は3℃/平均最高気温は9℃)

降雨量

最も降雨の多い月:9月(平均降雨量は187mm)
最も降雨の少ない月は:1月(平均降雨量は48mm)
年間降水量:1,326.8mm

風速

最も風が強い月:3月(14.5km/h)
最も風が弱い月:7月(11.6km/h)

日照時間

最も短い日(冬至):9 時間44 分
最も長い日(夏至):14 時間35 分

今後、地中温暖化の影響により気温はどんどん上昇していくものと思われますが、日本(東京)のデータをもとに、各原産地のデータと比較をしていきます!

メキシコ(オアハカ):Mexico

メキシコは北アメリカ南部に位置し、日本の5倍の面積で人口は1憶2,600万人の国です。

メキシコの首都は「メキシコシティ」ですが、アガベチタノタの原産地「オアハカ」のデータを取り上げました!

最高気温・最低気温

最も暑い月:5月(平均最高気温は30℃/平均最低気温は16℃)
最も寒い月:1月(平均最低気温は9℃/平均最高気温は26℃)

  • 東京と比較した特徴①
    • 暑い月の平均最高気温は東京と同じですが、平均最低気温は東京が24℃に対してオアハカは16℃なので、1日の寒暖差が大きい。
  • 東京と比較した特徴②
    • 寒い月の平均最低気温は東京が3℃なのに対してオアハカは9℃なので、寒い月でも東京よりは暖かい。
  • 東京と比較した特徴③
    • 東京の寒い月の平均最高気温が9℃なのに対してオアハカは26℃なので、暑い月と同じく1日の寒暖差が大きい。

降雨量

最も降雨の多い月:9月(平均降雨量は164mm)
最も降雨の少ない月:12月(平均降雨量は6mm)
年間降水量:845.3mm

  • 東京と比較した特徴①
    • 東京の年間降水量と比較すると、約64%の降水量しかない。
  • 東京と比較した特徴②
    • 東京は最も平均降水量が少ない月でも48mmの降水量があるのに対してオアハカは6mmなので、乾燥する月はほとんど雨が降らない。
  • 東京と比較した特徴③
    • 東京は最も平均降水量が多い月で187mmに対してオアハカも164mmあるので、降水量が多い月はある。
  • 東京と比較した特徴④
    • 上記②と③から、乾燥の季節と湿潤の季節が明確に分かれている地域といえる。

風速

最も風が強い月:11月(11.4km/h)
最も風が弱い月:5月(8.3km/h)

  • 東京と比較した特徴
    • 年間を通して、風速は東京より弱い。

日照時間

最も短い日(冬至):11時間7分
最も長い日(夏至):13時間9分

  • 東京と比較した特徴①
    • 冬至と夏至の差が短いので、東京よりも季節による日照時間の差が小さい。

メキシコ(オアハカ)原産の植物の育成環境

以上のことから、メキシコ(オアハカ)原産の植物を日本(東京)で育成するときには、下記のような育成環境が望ましいと考えられます。

  • 最高気温はあまり気にしなくてもよいが、冬は耐寒対策をする必要がある。
  • 日中と夜間で寒暖差をつける。
  • 乾燥気味に育てる。
  • 屋外育成の場合は風量は気にしなくてよい。また、室内育成の場合に特別な強い風をあてる必要はない。
  • 冬は光量が不足する可能性があるので水やりを少なくし、枝や葉などが間延びしてしまう徒長(とちょう)を防ぐ。

南アフリカ(ケープタウン):South Africa

続いて、多品種にわたる多肉植物が暮らしている南アフリカです!

南アフリカはアフリカ大陸最南端にある国で、首都は、なんと3つもあります!
データは3つある首都のうちの1つ「ケープタウン」のものです!

最高気温・最低気温

最も暑い月:1月(平均最高気温は24℃/平均最低気温は17℃)
最も寒い月:7月(平均最低気温は9℃/平均最高気温は17℃)

  • 東京と比較した特徴①
    • 暑い月の平均最高気温は東京よりも6℃低く、暑くならない。
  • 東京と比較した特徴②
    • 寒い月の平均最低気温は東京よりも6℃高く、寒い月でも東京より暖かい。
  • 東京と比較した特徴③
    • 夏は東京より涼しく、冬は東京よりも暖かいので年間での寒暖差が小さい。

降雨量

最も降雨の多い月:6月(平均降雨量は74mm)
最も降雨の少ない月は:2月(平均降雨量は10mm)
年間降水量:411mm

  • 東京と比較した特徴①
    • 東京の年間降水量と比較すると、約31%の降水量しかない。
  • 東京と比較した特徴②
    • 東京は最も平均降水量が多い月で187mmに対してケープタウンは74mmなので、東京のように降水量が多い月はない。

風速

最も風が強い月:1月(22.0km/h)
最も風が弱い月:5月(17.3km/h)

  • 東京と比較した特徴
    • 年間を通して、東京より約1.5倍風速が強い。

日照時間

最も短い日(冬至):9時間54分
最も長い日(夏至):14時間25分

  • 東京と比較した特徴
    • 東京と大きな違いはない。

南アフリカ(ケープタウン)原産の植物の育成環境

以上のことから、南アフリカ(ケープタウン)原産の植物を日本(東京)で育成するときには、下記のような育成環境が望ましいと考えられます。

  • 夏には耐暑対策、そして冬には耐寒対策をする必要がある。
  • メキシコ(オアハカ)よりも、さらに乾燥気味に育てる。
  • 風通しのよい場所に置く。室内の場合はやや強い風通しを作った方がよい。
  • 特に気温の高い季節は直射日光を避けた方がよい。
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マダガスカル(トゥリアラ):Madagascar

マダガスカルは、島国の中では世界4番目の面積です!

地域によって気候はさまざまで東側の地域は雨量が多く森林地帯で、西側の地域は乾燥していて塊根植物などが多いのがマダガスカルの特徴です!

塊根植物の王様「オペルクリカリア・パキプス」の原産地であるトゥリアラに焦点をあてます!

最高気温・最低気温

最も暑い月:2月(平均最高気温は32℃/平均最低気温は24℃)
最も寒い月:7月(平均最低気温は16℃/平均最高気温は26℃)

  • 東京と比較した特徴①
    • 暑い月の平均最高気温は東京よりも2℃高い。
  • 東京と比較した特徴②
    • 寒い月の平均最低気温は東京よりも13℃高く、東京のような寒さは訪れない。

降雨量

最も降雨の多い月:1月(平均降雨量は126mm)
最も降雨の少ない月は:7月(平均降雨量は3mm)
年間降水量:453.1mm

  • 東京と比較した特徴①
    • 東京の年間降水量と比較すると、約34%の降雨量しかない。
  • 東京と比較した特徴②
    • 東京は最も平均降水量が多い月で187mmに対してトゥリアラは126mmなので、東京ほどではないですが降雨量があるときは存在する。
  • 東京と比較した特徴③
    • 雨季と乾季がしっかりと分かれている。

風速

最も風が強い月:10月(19.1km/h)
最も風が弱い月:3月(16.2km/h)

  • 東京と比較した特徴
    • 年間を通して、東京より約1.3~1.4倍風速が強い。

日照時間

最も短い日(冬至):10時間42分
最も長い日(夏至):13時間35分

  • 東京と比較した特徴
    • 冬至と夏至の差が小さいので、東京よりも日照時間が安定している。

マダガスカル(トゥリアラ)原産の植物の育成環境

以上のことから、マダガスカル(トゥリアラ)原産の植物を日本(東京)で育成するときには、下記のような育成環境が望ましいと考えられます。

  • 夏には耐暑対策をする必要はないが、冬は早いタイミングから耐寒対策をする必要がある。
  • かなり乾燥気味に育てる。
  • 風通しのよい場所に置く。室内の場合はやや強い風通しを作った方がよい。
  • 冬は、光量が不足する可能性があるので水やりなどを少なくする。

南アメリカ(サンパウロ):South America

南アメリカはボリビア、チリ、アルゼンチン、ブラジル等の国で成り立っていますが、今回はブラジルの都市であるサンパウロに焦点を当てました!

南アメリカの面積は1,784km2と広大な面積をもち、4憶2千万人の人口で成り立っています!

最高気温・最低気温

最も暑い月:2月(平均最高気温は28℃/平均最低気温は21℃)
最も寒い月:7月(平均最低気温は13℃/平均最高気温は22℃)

  • 東京と比較した特徴①
    • 暑い月の平均最高気温は東京よりも2℃低い。
  • 東京と比較した特徴②
    • 寒い月の平均最低気温は東京よりも10℃高く、東京のような寒さは訪れない。

降雨量

最も降雨の多い月:1月(平均降雨量は217mm)
最も降雨の少ない月は:8月(平均降雨量は42mm)
年間降水量:1,365.1mm

  • 東京と比較した特徴①
    • 東京の年間降水量とほとんど同じ。
  • 東京と比較した特徴②
    • 東京は最も平均降水量が多い月で187mmに対してサンパウロは217mmなので、東京よりも降雨量が多い月が存在する。
  • 東京と比較した特徴③
    • 雨季と乾季がしっかりと分かれている。

風速

最も風が強い月:10月(13.8km/h)
最も風が弱い月:2月(10.8km/h)

  • 東京と比較した特徴
    • 大きな差ではないですが、東京と比べると若干風速が弱い。

日照時間

最も短い日(冬至):10時間41分
最も長い日(夏至):13時間35分

  • 東京と比較した特徴
    • 冬至と夏至の差が短いので、東京よりも日照時間が安定している。

南アメリカ(サンパウロ)原産の植物の育成環境

以上のことから、南アメリカ(サンパウロ)原産の植物を日本(東京)で育成するときには、下記のような育成環境が望ましいと考えられます。

  • 夏には耐暑対策、そして冬には耐寒対策をする必要がある。
  • 水を好むため、水やりは他の多肉植物より多めに与える。
  • 風通しのよい場所に置く。室内の場合に強めの風をあてる必要はない。
  • 冬は、光量が不足する可能性があるので水やりなどを少なくする。

まとめ

本記事では、多肉植物の原産地の違いについて、各地域ごとに比較しました。

そこまで面積が大きくない日本でも北海道と沖縄では天候や気温などにかなりの違いがあるのと同じく、同じ国でも東西南北で植物を取り巻く環境は大きく異なるものと思います。

ガーデニングショップでもあまり見かけないような、珍しい植物の特徴や原産地を確認するのはなかなか難しいことです。
(調べても出てこない・・・)
ただ、調べられる植物に関しては、可能な範囲で情報を集めて育成環境に反映させることができれば、植物を健康的に育てることにつなげられると思います。

雨が少ない地域で育つ植物は、雨ざらしの環境を避けることや水はけのよい用土に植えるなど、植物によって最適な育成環境を見つけていきたいところですね。

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