植物が落葉する6つの理由:落葉は寒い季節だけではなく、年中起こる生理現象

落葉=枯れるではない

植物は葉を展開させることで、太陽から降り注ぐエネルギーを自らが生きていくエネルギーに変換し、生きています。
根からも栄養素を吸い上げていますが、大部分は葉から吸収した光合成エネルギーによって得ています。

春には伸ばした枝からを葉を展開させ、展開させた葉を大きく広げ、夏にはさらに旺盛に葉が生い茂り、秋になると葉を紅色に染め始め、そして冬になると茶色くなった葉を落とす「植物の葉の成育サイクル」。

実は日本のように植物がいっせいに紅葉する国はめずらしく、海外から来た方は紅葉におどろくことも多いようです。

日本での紅葉は、四季折々変わっていく中で毎年見られる現象の一つですが、季節のうつり変わりだけではなく条件が重なることによって、植物が葉を失うことは起こりえます。

本記事では、植物が落葉する主な理由についてご紹介しています。

目次

植物が落葉する理由

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1. 季節の変化

一般的に“落葉”というものに抱かれるイメージの通りです。
夏が終わって、気温が低下したり日照時間が短くなったり、さらに雨が降る日が経るなどの変化が起こることで、「落葉樹」とよばれる植物は紅葉を進め、最終的に葉を落とします。

日照時間が短い季節に葉を展開させていても、植物が本来必要とする光の量を確保できない日が続いてしまいます。
また、氷点下などの気温では葉の中に貯めている水分が凍結することもあり、葉を付けていることで逆に植物を与えることになってしまいます。
そのため、「コスパ」の面や「自己防衛」の観点から、植物は葉に預けている水分や栄養分を幹に回収したうえで、葉を落とします。

一般的に葉が緑色から紅色に変わっていく理由は、葉に預けていた葉緑体を幹に回収するために引き起こされる現象とされています。

2. 水が足りない

植物が必要としている水分量が、充分に体内に蓄えられていない状態が続いた場合にも、落葉する場合があります。

ひとが暑いときに汗をかくように、植物は葉の温度を調整するために葉から水分を出します。
水分が不足しているときは、光合成をしてエネルギーをつくりだすことよりも、葉から水分をだす「蒸散」を防ぐことを優先して、葉を落とします。

自分自身が大きく「成長」していくことよりも、自分の「生命」がだいじなわけです。

3. 栄養分が足りない

植物が必要としている栄養分が不足している場合にも、葉が黄色くなり落葉することがあります。

植物が必要としている肥料分で、三大栄養素として「窒素(ちっそ)」「リン」「カリウム」が知られていますが、このうち葉肥ともいえわているのは、「窒素」です。
窒素が不足すると落葉に直結しますが、窒素だけではなくいずれかでも栄養分が不足すると、本調子をだせずに落葉することもあるでしょう。

4. 病気や虫

植物が病気にかかってしまったり、植物を食べてしまう害虫からの攻撃を受けたりすると、ダメージを受けた葉を落とすことがあります。

病気が植物全体に広がらないうちに、被害を受けた葉のみを意図的に落とすのです。
これはひとや動物には到底できない、植物の“再生力”があってこそ成せるワザです。

また、害虫が葉の一部を食べると栄養の循環がうまくいかずに、最終的に落葉することがあります。

5. ストレス

植物が突然の環境変化や、何らかのストレスを受けると、葉にダメージを負うことがあります。

ひとも新しい環境に変わったときにストレスを受けやすいですが、それは植物にとっても同じ。
主に植物がストレスを感じるときは、環境の変化によるものが多く、具体的には下記のような場面でストレスを感じます。

植物が受けるストレス
  • あまり光のあたらない屋内で育てていた植物を急に強い光があたる屋外に出したとき
    • 強い光により、葉焼けを起こすことがあります
  • 台風などの短期的に強い雨風が植物に当たったとき
    • 葉や枝、茎などが折れてしまうことがあります
  • 寒い冬に、霜や雪が当たってしまったとき
    • 特に霜は植物の大敵なので、凍傷の被害が出てしまうことがあります
  • 夏に、植物が耐えられる気温以上に気温が上昇してしまったとき
    • あまりの暑さに、体調を崩してしまうことがあります

その他、栄養分や水の与えすぎによっても、植物がストレスを感じることになります。
こういったストレスを受けた植物は、体調を崩し最終的に落葉をすることにも。

意外と、成育環境が良くなる場合にも、植物にとってはストレスになります。
たとえば寒い屋外から暖かい室内に取り込むときに、徐々に環境に慣らさないとそれは植物にとってのストレスになり、葉を落とすことがあります。

6. 成長サイクル

“落葉樹”に限らず、常に緑を付けている“常緑樹”とよばれる植物でも、葉を落とす成長サイクルを持っています。

たとえば植物が成長し下葉に光が当たらなくなった場合に、下の葉を維持するよりも、高い位置に新しい葉をつけた方が効率よく光合成によるエネルギーをつくり出すことができます。
また、特に害を受けていない葉も日数が経過していくにつれて、葉の表面に傷や汚れが蓄積していくこととなります。
今展開している葉よりも新しい葉を展開させた方が、光合成が効率よくできると植物自身が判断したときにも、落葉します。

植物が成長していく過程で「落葉」は自然に起こるものであり、健康な植物であっても葉を落とすことがあります。

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まとめ

今回ご紹介したように、植物が「落葉」をする理由は、季節によった落葉だけではなく様々な理由があります。

「落葉」は、植物が生命を保っていくために必要なメカニズムであり、植物の成育にとって重要な役割を果たしています。

自然界では落葉した葉が土壌改良剤となり、改良された土壌で植物がまた成長するという循環が成り立っています

前述のように、植物は葉を落とす前に葉に預けた栄養分を回収しているため、地面に落ちた葉はすでに栄養分が少なくなっていますが、落ちた葉を虫が食べてさらに微生物が分解することで、土壌改良剤として生まれ変わります。

自宅の環境では落葉した葉が土に還っていく。といったサイクルは再現しづらいので「肥料」という存在が重要となります。
別の記事で、肥料について詳しく書いていますので、もしご興味があればお読みください。

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