徒長を防ぐ!コーデックスを『肥料』で台無しにしない育て方~塊根植物&アガベ~

肥料の与えすぎには注意

個性的なすがたに、ひと目惚れした!と、お迎えした大切な「コーデックス」。

水やりや日当たりには気を付けているけど、肥料ってあげたほうがよいのかな?

と疑問に思い調べてみると、

肥料は与えすぎると、徒長の原因になる。

積極的に肥料を与えないと、株が成長しない。

とさまざまな情報もあり、どうしたらよいか迷ってしまうかもしれません。
せっかくのユニークなすがたが台無しになってしまったら…と考えると、肥料に慎重になるのも当然です。

この記事では、肥料の三要素である窒素・リン酸・カリウムの役割、望ましい成分割合、おすすめの肥料まで、「コーデックス」の肥料を解説します

「コーデックス」を健康的に、そして理想のすがたに育てるためのヒントになれば幸いです。

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「コーデックス」は塊根植物のみを指すこともありますが、本記事では、塊根植物やアガベなどを総称して「コーデックス」としています

目次

「コーデックス」の自生地の土壌には、多少の栄養分が含まれている

コーデックスって、栄養のない土で育つんでしょ?

そう思われる方もいるかもしれません。
しかし、自生地であるメキシコやマダガスカルの土壌には、まったく栄養分が含まれていないわけではありません。
以下のように、自生地の土壌にも最低限の栄養分が含まれています。

栄養分のもとになる最低限の要素
  • 雑草など、他の植物が生えている
    • 植物が枯れて土に還ることで、栄養分になる
  • 虫や動物が暮らしている
    • フンや死骸などが、虫や微生物によって分解される
  • 雨が降る
    • 雨には、窒素が含まれている
    • 雨が降ることで、土壌のミネラルが溶け出す

自生地の土壌の環境に、「コーデックス」を元気に育てるためのヒントが転がっています

「コーデックス」にとって望ましい生育環境

「コーデックス」の成長に必要な5つの要素

植物が元気に成長するためには、5つの要素が関係します。
それは「光」、「水」、「風」、「温度」、「肥料分」です。

「コーデックス」も、上記の五角形のバランスを保つことで、元気な成長につながります
望ましい「光」、「水」、「風」、「温度」、「肥料分」のバランスは、以下のとおりです。

望ましい生育環境のバランス
  • 光:強め
  • 水:少なめ
  • 風:適度に必要
  • 温度:品種による
    • 10~25℃(春秋型)
    • 20~30℃(夏型)
    • 5~20℃(冬型)
  • 肥料分:少なめ

品種によっても、望ましい生育環境は異なります。

筆者

コーデックスに与える肥料の頻度などは、他の要素とのバランスや株の状態を見ながら、決めていく必要があるでしょう。

現地球と実生株で望ましい生育環境は異なる

海外で育つ植物を輸入した「現地球(げんちきゅう)」と、日本でタネから育てた「実生(みしょう)株」では、望ましい生育環境が異なります。
一般的に、現地球の方がデリケートな性質をもち、実生株の方が育てやすいです。

夏型の品種に焦点を当てた記事ですが、現地球と実生株の違いは、以下の記事で詳しくご紹介しています

光・水・風・温度・肥料分のバランスが崩れたら!?

バランスを保てないと、カタチが崩れてしまう

「光」、「水」、「風」、「温度」、「肥料分」の5つのバランスが崩れたら、すぐに「コーデックス」が枯れてしまうわけではありません。

ただしバランスを保てないと、本来のユニークなカタチが崩れてしまう原因になります

筆者

おまんじゅうのようにまん丸とした見た目や、ギュッと締まったすがたを楽しむ「コーデックス」にとって、カタチが崩れてしまうのは、かなりの痛手です…。

肥料が多すぎたり、少なすぎると徒長のリスクが高まる

葉や枝などが不健康に間延びし、植物がヒョロヒョロに成長することを「徒長(とちょう)」と言います。

「コーデックス」に与える肥料が多すぎたり、少なすぎたりすると、以下の理由から徒長するリスクが高まります。

  • 肥料が多すぎる場合
    • 栄養過多になり、不健康に成長する
  • 肥料が少なすぎる場合
    • 栄養が少ないと、それを補うために、不自然に葉や茎を成長させる
筆者

コーデックス愛好家は、株を枯らさないためというよりも、徒長を防止するために、肥料に頭を悩ませることが多いです。

「コーデックス」の成長期と休眠期

旺盛に成長する「成長期」と成長が停滞する「休眠期」がある

「コーデックス」は、成長期と休眠期の生育サイクルを繰り返しながら、暮らしています

植物の成長期と休眠期
  • 成長期
    • 葉をたくさん展開し、グングン成長する
  • 休眠期
    • (落葉する品種は)葉を落とし、成長が停滞する

生育型は、夏型と冬型に分かれる

ほとんどの「コーデックス」は、暑い季節を好む‟夏型”の品種と、すずしい季節が好きな“冬型”の品種に分類されます。

コーデックスの夏型と冬型
  • 夏型のコーデックス
    • パキポディウム、アガベ、アデニウム など
    • 暑い(暖かい)季節が成長期で、寒い季節が休眠期
  • 冬型のコーデックス
    • オトンナ、チレコドン、亀甲竜 など
    • 寒い(すずしい)季節が成長期で、暑い季節が休眠期
筆者

最近の日本は暑すぎるため、季節よりも、気温に応じた育て方が求められています。

「コーデックス」に適切な肥料の量とタイミング

サボテンと同じ希釈率で与える

液体肥料のパッケージには、以下のように希釈率(倍率)が示されています。

  • 庭植え植物・・・●●●倍
  • 観葉植物・・・・☆☆☆倍
  • サボテン・・・・◇◇◇倍

多くの肥料には、「コーデックス」や「多肉植物」は何倍で薄めましょう。という内容は書かれていません。

筆者

コーデックスやサボテンは、いずれも多肉植物の仲間です。
サボテンと同じ希釈率で与えることで、コーデックスに肥料分を効かせられ、肥料によるミスも減らせます。

多くの液体肥料は、2週間に1度ほどの頻度で少量を与えます。
固形肥料も与えすぎに注意し、肥料焼けなどのミスが少ない、緩効性(かんこうせい)肥料を使用するのがおすすめです。

肥料は成長期に与える

「コーデックス」の成長期に肥料を与えることで、成長を加速できますが、休眠期には肥料分を必要としません。
休眠期に肥料を与えてしまうと、根の周囲に肥料分が残り、「コーデックス」が調子を崩す原因になります。

成長期に適量の肥料を与え、休眠期には肥料を切らす、メリハリを付けた育て方が「コーデックス」を元気に育てるポイントです

規定量より少なめに肥料を与え、徐々に増やす

「コーデックス」は環境の変化にデリケートなため、生育サイクルが切り替わるタイミングには、肥料の与え方に注意しましょう

  • 「休眠期」から「成長期」に切り替わるタイミング
    • 最初は規定量より少なめに肥料を与え、徐々に頻度や量を上げていく
  • 「成長期」から「休眠期」に切り替わるタイミング
    • 肥料をいきなり切るのではなく、徐々に減らす
筆者

季節や生育サイクルの切り替わりに、早めに備えたい場合は、上記の対応がおすすめです。

よかれと思って行ったことが、「コーデックス」に大きなストレスを与えることもあるため、急激な環境の変化がないように育てるのが重要です。

季節の変わり目(冬から春)は、特に植物を枯らしがちなタイミング…。
春を迎えたタイミングで植物を枯らさないための対策は、以下の記事でご紹介しているため、ご興味があれば参考にしてください

「コーデックス」が必要とする3つの栄養素

植物の生育に必要な成分は17種類あると言われていますが、その中でも、特に影響が大きいのが「3つの栄養素」です

植物の3つの三要素
  • 窒素(チッソ:N)
  • リン酸(P)
  • カリウム(K)
筆者

コーデックスにとっても、3つの栄養素が重要な存在です。

肥料成分は単独で機能するのではなく、お互いの働きを助け合っています。
ここでは肥料成分ごとの、おもな特徴を深掘りしていきます

窒素(チッソ:N)

「窒素(チッソ)」は“葉肥”(はごえ)とも呼ばれ、植物の葉や茎の成長を促す肥料成分です。

適切に窒素を与えられれば、「コーデックス」が元気に茎を伸ばし、健康的な色合いの葉を展開します
特に葉や茎の部分を食べる野菜や、葉を鑑賞する観葉植物などにとっては、窒素が重要です。
窒素は多すぎても少なすぎても、植物に悪影響を及ぼします。

  • 窒素が不足した場合
    • 葉色が薄くなる
    • 葉が小さくなる など
  • 窒素が過剰になった場合
    • 葉や茎が徒長する
    • 茎や葉が軟弱になり、病害虫の被害に遭いやすくなる など

「コーデックス」に上記のようなサインがあらわれたときは、窒素の過不足を疑ってみてください。

リン酸(P)

「リン酸」は“実肥”(みごえ)とも呼ばれ、植物の花や実の成長を後押しする肥料成分です。

適切にリン酸を与えられれば、お花を咲かせやすくなり、受粉させるチャンスが広がります
特に花を観賞したり、果物を収穫したりすることで楽しむ植物にとっては、リン酸が重要です。
リン酸も過不足があると、植物に悪影響を及ぼします。

  • リン酸が不足した場合
    • 開花や実付きが悪くなる
  • リン酸が過剰になった場合
    • 植物の生育が悪くなることがあるが、目に見える特徴的な不調は少ない

毎年開花していた「コーデックス」が、花を咲かせなかったら、リン酸が不足している可能性があります。

カリウム(K)

「カリウム」は“根肥”(ねごえ)とも呼ばれ、植物の根の成長を促進する肥料成分です。

適切にカリウムを与えられれば、土台となる根の成長が促されるため、株が丈夫になります。

  • カリウムが不足した場合
    • 根張りが弱く、株全体の生育が悪くなる
  • カリウムが過剰になった場合
    • 他の栄養素の吸収を阻害する

根の生育が悪かったり、株が丈夫に育っていなかったりしたら、カリウムが適切に供給できているか確認してみてください

「コーデックス」には窒素を少なめに、カリウムを積極的に与える

繰り返しになりますが、肥料はお互いに連携しているため、バランスよく与えるのが重要です。
「コーデックス」にとって、適切な成分比率の肥料を使用することで、本来のすがたを維持しやすくなります。

窒素は与えすぎに注意

「コーデックス」に窒素を与えすぎると、徒長のリスクを高めるため、特に気を付けたい要素です

筆者

特にアガベやディッキアなど、おもに葉で構成された植物の葉が伸びるのは、致命的なダメージです…。

タネを取りたいときや、花を観賞したいときは、リン酸を積極的に与える

タネを収穫し、実生を楽しみたい場合は、リン酸を積極的に与えましょう。
元気な花をたくさん咲かせることで、受粉の確率が上がるため、タネの収穫量を増やせます

「コーデックス」は、普段のワイルドなすがたとのギャップを感じさせる、色あざやかな花を咲かせる品種が多いです
観賞価値の高い花々を楽しみたいときにも、リン酸を積極的に与えましょう

カリウムは優先して与える

カリウムは、優先して与えたい肥料成分です。
「コーデックス」が元気に育つためには、根の成長が欠かせません。

成長期にカリウムを積極的に与え、根をグングン成長させることで、「コーデックス」を丈夫にできます

窒素は少なめ、リン酸は目的に応じて、カリウムは積極的に

適切な肥料成分(割合)
  • 窒素:与えすぎに注意
  • リン酸:タネの採取や、花を観賞したいときに積極的に与える
  • カリウム:優先して与える

上記は、自宅での肥料比率の考え方です。
どう育てたいか、また育てる品種によっても、肥料成分の考え方は変わってきます。

筆者

本来の育て方ではありませんが、意図的に葉を徒長させ、光合成の効率を上げて、コーデックスを育てる方もいます。

おすすめは微粉ハイポネックス

「コーデックス」におすすめの液体肥料は、以下の微粉ハイポネックスです。
窒素やリン酸に比べて、カリウムは多めに配合されています。
多肉植物専門店でも、微粉ハイポネックスが使用されていることは多く、生産農家さんからも選ばれている肥料です。

ちなみに、液体肥料と固形肥料については、以下の記事で使い分けなどを詳しくご紹介しています
ご興味があれば、あわせてお読みください

「コーデックス」の品種ごとの特徴

一概に「コーデックス」と言っても、多岐にわたる品種が存在します。
徒長してもリセットしやすい品種や、いちど徒長してしまうと仕立て直すのがむずかしい品種など、それぞれの違いについてご紹介します

(強)剪定をすることで、リセットしやすい品種

以下のような特徴がある品種は、たとえ徒長してしまっても、リセットしやすいです。

  • 枝を根元から切り落とす強剪定(きょうせんてい)を繰り返し、徐々に塊根部を肥大させる品種
  • 剪定した跡が目立ちにくい品種

強剪定を繰り返し行う品種や、剪定の跡が目立ちにくい具体的な品種は、以下のとおりです。

剪定でリセットしやすい品種
  • プセウドボンバックス・エリプティクム
  • アデニア・グラウカ
  • センナ・メリディオナリス
  • 亀甲竜(きっこうりゅう)  など
筆者

ただし植物が徒長するのは、健康的な状態とは言えないため、できれば徒長のリスクは避けたいところです。

成長(葉の展開)とともに、リセットしやすい品種

「コーデックス」の中には、葉をロゼット状に展開する植物もいます。
植物の中心部からあたらしい葉を展開し、古くなった葉は外側(下葉)に回り込み、やがて葉を落とす品種です。

筆者

徒長しても、成長とともに古い葉が自然に更新されるため、環境を改善すればリセットが可能です。

葉をロゼット状に展開する植物は、以下のとおりです。

葉が更新される品種
  • アガベ
  • ディッキア など
筆者

上記の植物は、育成環境が適切であれば、1~2年ほどで徒長したすがたを仕立て直せます。

徒長すると、リセットがむずかしい品種

徒長すると短期間でのリセットがむずかしく、徒長が過度に進んだ場合は、仕立て直せない品種もいます…。

リセットがむずかしい品種
  • パキポディウム
  • サボテン
  • ユーフォルビア
    • オベサ、ギラウミニアナなど

上記の植物に肥料を与える場合は、特に慎重な対応が必要です

筆者

最初は薄い希釈率で肥料を与え、株の調子を見ながら、規定量に近づけていく対応がよいと思います。

タネから収穫したり、胴切りしたりする方法もある

タネを蒔いた数か月後には、花を咲かせる「コーデックス」もいます。
株が過度に徒長してしまっても、咲かせた花で受粉しタネを採取できれば、あたらしい個体を育てられます。
上下に切断する「胴切り」や「株分け」、「枝挿し」なども、植物を増やせる方法です。

徒長した株を、本来のワイルドなすがたに戻すわけではありませんが、株数を増やすことができます。
徒長した植物への対応方法としては、上記の方法で、株を育て直すことも選択肢に入れてみてください

アガベの胴切りについては、以下の記事で手順などを詳しくご紹介しています

まとめ

この記事では、「コーデックス」を健康的に育てるための、肥料の‟コツ”をご紹介しました

徒長を防ぎ、理想のすがたを保つためには、肥料が非常に重要です。
窒素・リン酸・カリウムのバランスや、成長期と休眠期の肥料の与え方など、少し工夫するだけで株は丈夫に成長します。
「コーデックス」にとって、肥料は成長を加速させる一方で、与え方を間違えると「徒長」という致命的なダメージにもつながります。

この記事が、皆さんの「コーデックス」育成のヒントになれば、うれしいです

以下の記事では、多肉植物の室内育成についてご紹介しています
室内育成は、植物育成の幅を広げてくれる存在です

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