観葉植物のコバエ対策:発生させづらくする方法・発生してしまった場合の対策

コバエのいないクリーンな室内育成

観葉植物は春から秋までの暖かい季節であれば、屋外でも育てることができますが、室内でグリーンを楽しまれることも多い植物です。

品種にもよりますが、観葉植物にとって望ましい日当たりは屋外の日陰や午前中だけ直射日光があたる環境などで、サボテンなどの多肉植物と比較すると、あまり強い光を必要としない植物です。
そのため室内でも育てることのできる植物ですが、観葉植物を育てていると、時としてコバエが発生することがあります。

コバエは蚊のように人の血液をエサにするなど、人に直接的な影響を与えることはありませんが、室内を小さな虫がとんでいる中ではなかなか良い気持ちで生活できないので、“ストレス”という間接的な影響を与えてくる害虫といえます。

また、土の中にある有機物がコバエに食べられてしまうことで、育てている観葉植物に適切な栄養が届かなくなることもあります。

本記事では、コバエをなるべく発生させずにグリーンを楽しめるように、コバエの対策をご紹介します!

目次

コバエの正体

昆虫愛好家には申し訳ないですが、コバエと聞いてあまり良い気持ちになる方は少ないでしょう。
言わずと知れた室内を飛び交うコバエの特徴のひとつは、旺盛な繁殖力にあります。
「卵から孵化」→「幼虫から成虫」→「成虫が新たに卵を産む」→「卵から孵化」という繁殖サイクルが早く、全てがメスのため交尾を必要とせずに60~80個の卵を産むため、一度発生すると大量に増えていきます。

コバエは蚊などよりも小さく、その小ささから網戸も通り抜けることができ、気付けばどこからか室内に入り込みその後どんどん増えていきます。
いつの間にか発生して繁殖していくことが、『コバエが“湧く”』というコトバの由来になっているのでしょう。

実はコバエの繁殖力は遺伝子の研究や実験においても着目されていて、遺伝子学や生物学的にも重要な知見が得られているという、ひとにとってプラスに働いている面もあります。

コバエは世界中の暖かい地域に生息している虫で、幼虫や成虫の過程の中では、果実や腐敗物、有機物や微生物などを食べています。

観葉植物を育てているといつの間にか発生するコバエですが、“コバエ”という名前は通称名で、観葉植物を育てている環境下で発生するのは「クロバネキノコバエ」という正式名称をもっています。
また、他にも「ショウジョウバエ」と呼ばれているコバエもいます。

コバエの発生原因

本来、植物は虫に受粉を手伝ってもらったり、逆に根や葉を虫に食べられてしまったりと、自然界では切っても切れない関係性が植物と虫の間には存在しますが、室内で植物を育てる場合はできれば「植物」と「虫」を切り分けて「植物」だけを室内に飾りたいものです。

コバエが好む環境は、観葉植物自体ではなく観葉植物が植わっている「土」の中の環境です。
屋外から飛んできて観葉植物の土に卵を産み付けたり、もともと土の中に入っていた卵が孵化することもあります。

それでは、コバエはどうして観葉植物の土から発生するのでしょうか。

過湿・温度・通気性

多くの観葉植物は、本来暖かい国で育っている品種が多いので、最低気温が10℃程度以下になると体調を崩しやすいもの。
そのため、凍てつくような寒い冬の間であっても、暖かい環境を提供してあげる必要があります。
また観葉植物の土には多少の保温性があるので、土の中の環境は空気中よりも温度が安定する特徴があります。

観葉植物と同じように暖かい環境を好むコバエにとって、暖かく保たれている観葉植物の土の中は必然的に過ごしやすい温度になってしまうのです。

土の表面から見ると乾いているように見える観葉植物の土ですが、観葉植物の土は適度な水持ちがあるので、土の中は濡れたままになっていることも。
ずっと湿っている環境はコバエが好む環境なので、湿った状態にもなりやすい観葉植物の土の中は、「コバエにとってのオアシス」のような環境といえます。

有機物

土の状態をより良い状態にしてくれる土壌改良の役割をもっている腐葉土(ふようど)は、葉が腐敗したものが材料となっています。
また動物のフンや魚粕(ぎょかす)などの有機肥料は、人工的に作られた化成肥料と比べて、環境に優しいというメリットもありますが、コバエの幼虫のエサにもなってしまうもの。
有機肥料が土壌の中の微生物を活性化させるのは観葉植物には良いことですが、微生物を食べるコバエの幼虫にとっても住みやすさが増してしまいます。

観葉植物のために良い環境を提供したのに、それがコバエの発生や繁殖につながっているのです。

コバエを発生させづらくするには!?

コバエの発生原因が分かったところで、ここからコバエを発生させづらくする方法をご紹介します。

有機物を避ける

コバエのエサとなる有機物を避けることができれば、コバエを寄せ付けるリスクを抑えることができます。

天然由来のものが材料となっている有機物を使用したい方もいると思いますが、ここは天然由来のものを使用したい気持ちを優先するのか、コバエ対策を優先的に考えるのかの違いになってきます。

有機物を避けるために、行うことのできる具体的な対策をご紹介します。

コバエが発生しづらい土を使用する

有機肥料などを配合していない「観葉植物の土」を使用する対策があります。

たとえ繁殖力が旺盛なコバエであっても、食べものとなるエサが無ければ、繁殖するのはもちろん、生きていくことができません。

有機物の入っていない土は他にも市販されていますが、以前使用して良かったのはプロトリーフの室内向けの土です。
そこまで金額的にも高くなく、多湿を好まない多肉植物にも使用できるぐらい水はけも良いので、土が乾きやすく湿った状態となりづらい点からもコバエ対策となる土です。

ハイドロカルチャーで育てる

粘土を高温で焼くことで人工的につくられた土「ハイドロボール」は、無菌でコバエだけではなく、他の害虫も寄せ付けないメリットがあります。
また、ハイドロボールはインテリア性も高い土として、より観葉植物をオシャレに飾ることにも長けているでしょう。

劣化しづらく繰り返し使用することができる点もハイドロボールの長所となりますが、普段観葉植物を土で育てている方からすると、ハイドロボールは観葉植物の土よりも水持ちが良すぎる点や、育成面だと土の方が大きく成長させやすいなどの特徴もあります。

コツさえつかんでしまえばハイドロカルチャーでも観葉植物を上手く育てることはできますので、特徴をつかんだ上で用いる手法といえます。

水耕栽培で育てる

観葉植物を土に植えるのではなく、水を溜めた容器の中に植物の根を直接入れて育てる“水耕(すいこう)栽培”で育てることによる対策も可能です。

ただし、観葉植物の中には水耕栽培に向かない品種もあり、溜めている水を定期的に取り換える必要があるので、主に小型の観葉植物に限った方法となります。

また放置してしまうと水も腐ってしまうので、水を取り替えたり容器を洗ったりする分、土やハイドロボールを使用した育成方法よりも手間がかかる方法です。

ちなみに長い時間、観葉植物の鉢ごと水に漬け込むのは、植物の根が呼吸をすることができずに根腐れにつながってしまうのでNG行為です。
特に有機物が入っている土の場合には、根腐れだけではなくカビの発生にもつながってしまうでしょう。

化成肥料を使用する

植物の肥料は大きく分けると、米ぬかや鶏糞などからつくられる「有機肥料」と、窒素ガスなどの無機物から化学の力でつくられた「化成肥料」に分類されます。

有機肥料の方が環境にやさしい肥料ですが、自然由来のものは害虫の発生や繁殖にもつながりやすいもの。
化成肥料を使用することで、有機物を避けながらも植物に適切な肥料を与えることができます。

持続可能な園芸Lifeへとつなげやすいのは有機肥料ですが、化成肥料の方が害虫には有効ということですね。

化粧石を使用する

観葉植物の植わっている土の表面を、オシャレに装飾してくれる「化粧石」。

化粧石の効果は見た目のみに留まらず、その効果は害虫対策にも有効で、化粧石を土の表面に敷くことでコバエが土に潜っていきづらくなり、コバエの発生を抑制させる効果が期待できます。

化粧石のひとつ、バークチップ(ウッドチップ)は環境次第では虫の食べものとなる場合もあるので、化粧石には無菌のものを使用することでさらに害虫対策の効果UPが期待できます。

化粧石にも、次の植え替え時に化粧石と観葉植物の土に分ける作業が発生したり、土が乾いているのか濡れているのか見た目で判断しづらくなるので、化粧石を使用する場合であってもデメリットは理解した上で使用しましょう。

木酢液を散布する

木を燃やした際に生じた煙を、冷やして液体にした「木酢液(もくさくえき)」を使用することも、コバエ対策となります。
木酢液には、コバエだけではなく他の害虫を寄せ付けない成分が含まれています。

また、適切な濃度で使用することで植物の成長を促したり土壌を改良したりと、植物の成育にとっても良い影響を与えることができます。

植物を育てているひとであれば、肥料や活力剤であれば準備するひとも多いのですが、木酢液となるとあまり知られていないために、一気にハードが上がってしまうもの。

売られている木酢液の価格帯は、結構ピンキリですが、その効果は値段にも比例するようです!

わたしは100均のものを使用したことが無いのですが、100均でも取り扱いはあるようなので、安いものからお試しで使用してみるのもひとつの方法ですね。

正直、与えた直後は臭いがきつかったりもするのですが、植物の万能薬としては優秀な木酢液。
木酢液と完全に同じ効果を発揮するのは難しいと思いますが、市販されているお酢を100倍程度に薄めて使用する方法もあるようです。
お酢であれば安くてスーパーに行けば入手できるし、料理の調味料としても使用できるので、取り入れやすいですね。

水やりの仕方に気を付ける・土が乾きやすい環境をつくる

いつまでも土が濡れた状態のままだと、コバエが好む高い湿度の状態が続くことになります。

「土が乾いたら水やりをする」ことが観葉植物の基本的な水やりなので、基本に忠実に、土が濡れた状態では水やりをしないことで観葉植物の成育にとっても望ましく、なおかつコバエの発生も抑えることのできる方法となります。

植木鉢の下に置いている受け皿にたまった水は、必ず水やりの都度捨てるようにします。

またこれは洗濯物も同じですが、風通しの悪い環境では乾きづらいもの。
室内に置く場合にはなるべく風通しの良い環境に置き、風通しの良くない環境で観葉植物を育てる場合は、サーキュレーターを使用し植物の周囲に風の流れをつくれるようにしましょう。
サーキュレーターを使用する場合には、植物に強い風がずっと当たる環境は避け、あくまで空気の流れをつくり出すイメージで使用するのがベストです。

お部屋の環境をキレイに保つ

コバエは、観葉植物の土の中だけで繁殖するワケではありません。

生ごみが放置されていたり、キッチンなどの水回りが汚い状態になっていることが、発生や繁殖の原因となってしまうので、お部屋をキレイに保つこともコバエを発生させづらい環境をつくるための方法です。

お部屋の違う場所で繁殖してしまったコバエが、お部屋の中を飛び観葉植物の土に潜り込んでしまうこともあるので、間接的な影響を避けるためにもお部屋はいつでもキレイな状態に保ちましょう。

お部屋がキレイだと、飾っている観葉植物もより一層オシャレに見えるかもしれません!!

もし発生してしまったら!?

いくら対策をしていたとしても、発生してしまう時には発生してしまうのが害虫というものです。

コバエが発生してしまった時に、とれる対策もご紹介します。

清潔な土に植え替える

今すぐコバエを根絶させたい場合には、新しい土に植え替えることがもっとも有効な方法となります。
植え替えは、コバエが発生する根本を断つ方法です。

可能であれば、植え替えの適期である暖かい春か秋に植え替えるのがベストですが、もし適期でないのであれば土の表土だけ取り換えることでもコバエの卵を駆除できます。
それは、コバエは2~3cmの深さに卵を産み付けるから。
上手くいけば、表土だけ取り換えてもコバエを根絶させることができるでしょう。

もし植え替える場合、新しく使用する土には前述の「バエが発生しづらい土」や「ハイドロカルチャー」を使用することで、コバエによる被害の再発防止にもつなげることができます。

植物用の殺虫剤を使用する

コバエの駆除の際に植物用ではない殺虫剤を使用すると、大事な観葉植物にも被害が出てしまうことがあります。
市販の「植物用の殺虫剤」を使用することで、観葉植物への薬剤の影響を軽減させることができます。

殺虫剤は、時期を選ばずに使用することができるので、植え替えができない季節でもとれる対策のひとつです。

植物用の殺虫用品としては粘着性のあるテープもあり、土に刺して使用するタイプや高いところから吊り下げるタイプもあります。
ちなみに、粘着テープとして黄色のものが多いのは、黄色いものに虫が引き寄せられる習性を利用したためです。

粘着テープにももちろん効果はありますが、美観を求めるのであればスプレータイプがおすすめです。

スプレータイプの殺虫剤は、商品によって成分が異なるので、どの害虫に効果を発揮するのか違いがあります。
パッケージに、対象となる害虫の種類が記載されているので、購入の際にはどの害虫に効くのか必ずチェックしましょう。
アース製薬の「花いとし」という殺虫スプレーは、コバエも対象としています。

10分だけ鉢ごと水に入れる

土の中にいるコバエの幼虫は、多湿を好むものの、水の中で生きることはできません。
そのため、10分程度、水の入っている容器に鉢ごと入れることで、コバエの駆除ができます。

水耕栽培に適さない植物であっても、10分程度水に浸けるだけでは被害が出づらいので、あまり品種による違いは考えなくてもとれる対策です。

コバエの卵は表土から2~3cm程度の位置にあるので、浅く浸けても効果が薄れてしまいます。
また、あまり深くまで漬けてしまうと観葉植物の土があふれ出てしまうことにも。
鉢ごと水に浸ける場合には、水の高さに注意が必要です。

食虫植物の力を借りる

小さな虫を食べてくれる食虫植物を、育てている観葉植物の近くに置くことも発生したコバエを駆除する方法ですが、ひとつの食虫植物が食べられる虫の量はそこまで多くなく、コバエの繁殖力に対応する力は備えていません。
かといって、大量の食虫植物をお迎えするのはスペース的にも現実的ではないでしょう。

食虫植物はコバエの成虫を食べてくれますが、コバエの卵に対して効果を発揮することは難しく、あくまで他の対策をとった上での補助的な役割を果たす方法といえます。

また、食虫植物は虫を食べるために、虫を引き寄せる力も備えている植物です。
コバエの駆除のために食虫植物を育てはじめたら別の害虫が寄ってきた。という二次被害にもつながりかねないリスクもあります。

ただ、人工的な薬剤を使用する方法ではない点や、ユニークな見た目をしているので食虫植物単体でも育てていて楽しい点はメリットといえるでしょう。

まとめ

植物を育てることや、お部屋のインテリアのひとつとして植物を取り入れることは、とても魅力のあることです。

一方で、植物の育成手間がかかることや時には害虫が発生してしまうなど、メリットだけではなくデメリットも発生するのがガーデニングという趣味です。

常にうまくいくワケではなく、ときにはトラブルが生じるのも含めて植物Lifeを楽しみましょう!

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