冬型の多肉植物
「コノフィツム」は大人になってもコンパクトサイズのまま大型にならず、秋から春までの涼しい季節に成長する“冬型の多肉植物”です。
逆に春から秋までの暖かい季節は、成長速度は緩やかになり、休眠期に入る特徴を持つ植物。
多肉植物の中には数万円から数十万円といった高額な植物もありますが、「コノフィツム」の販売価格はそこまで高くなく、ガーデニングショップでの取り扱いも少なくないので、専門店に行けば、成熟している株を入手することもできます。
自宅では成熟した株を購入し育てていますが、本記事では「コノフィツム」を、たねから育てることについてご紹介をしています!
ちなみに植物の世界では、植物をたねから育てることを「実生(みしょう)」といい、実生は植物に愛着がわきやすいので、実生にハマっているひとは意外と多いものです!
コノフィツムの基本データ
育 て 易 さ:★★☆☆☆(実生はむずかしい)
成 長 速 度:★☆☆☆☆
入手し易さ:★★★☆☆
耐 寒 性:★★★★☆(耐寒温度(目安):5℃)
耐 暑 性:★★★☆☆
原産地:南アフリカ・ナミビア
花言葉:『似たもの同士』
科・属:ハマミズナ科 コノフィツム属
学 名:Conophytum(コノフィツム)
たねの購入
Yahoo!ショッピングを通じて、主に多肉植物のたねの購入ができる「多肉植物ワールド」をチェックしていたところ、“コノフィツム ミックス”という名前のたねを見つけました!
コノフィツム属の植物の中にもいろいろな品種があるものの、正直なところ品種による違いはよく分からなかったので、いろいろな品種が入っているたねの方が面白そうだと考え、“コノフィツム ミックス”を購入することに!
たねは「seed stock」という多肉植物や観葉植物のたねを販売しているサイトから購入することが多いですが、欲しい植物のたねが「seed stock」に取り扱いがなければ、たまに「多肉植物ワールド」をのぞきにいくこともあります。
「多肉植物ワールド」は下記から、サイトに飛ぶことができます。
これまでいろいろなところからたねを購入してきましたが、下記の記事で詳しく書いているので、もしご興味があれば参考にしてみてください。
たねを蒔いた環境
多肉植物に限ったことではありませんが、植物は“この方法でたねを蒔かなければいけない”という方法はなく、ひとによってたねの蒔き方が違うこともあるので、あくまで、わたしが今回たねを蒔いた環境のご紹介となります!
たね蒔き用土
ガーデニングショップに足を運べば、「たね蒔き専用の土」が売られていることもあります。
「たね蒔き専用の土」はとてもフカフカの土で、ほかの土にはないような質感をしていますが、たねが発芽することに長けているものの、発芽後の育成には向いていません。
今回わたしは、発芽した後も同じ用土で育てていくつもりなので、自宅で育てている多肉植物に使用している培養土を使用しました。
ちなみに、「赤玉土(あかだまつち)」、「鹿沼土(かぬまつち)」、「日向土(ひゅうがつち)」などの無機質の用土を混ぜているモノです。
- 赤玉土(小粒):3
- 鹿沼土(小粒):3
- 日向土(小粒):3
- くん炭:0.5
- パーライト:0.5
※数字は配合割合を記載。
多肉植物は雨が少なく乾燥した地域で育っていくために、葉や茎などに水分を多く蓄えているので、乾燥気味に育てていくのが基本的な育成方法です。
ですが、たねが発芽するまでの間、そして発芽してから約2~3か月の間は、多肉植物といえども乾燥に耐えられるだけの体力が備えられていません。
株が小さく体力のないうちは、水が切れることのないように育てることが望ましいので、有機質な肥料が入っている用土を使用すると、“カビ”や“コケ”の発生などにつながってしまいます。
用土には、粒の大きさによって“大粒”、“中粒”、“小粒”、“細粒”といった種類があります。
植物が発芽した後に、植物の根が用土の中に潜っていきやすいように、粒の大きさは“細粒”と呼ばれる、もっとも小さな粒のものが理想的といえますが、今回は細粒よりも少し大きい粒である「小粒」を使用しました。
また、なぜか「鹿沼土」を使用すると、土の表面にコケが発生しやすいと感じています。
コケの発生は育てている植物にとってプラスに働くことはないので、特に実生の場合には、鹿沼土を使用しない方が良いかもしれません。
水やり
本来、多肉植物である「コノフィツム」は乾燥している環境を好む植物ですが、前述のように株がまだ小さいうちは水を切らしてしまうと、成育がうまく進みません。
たねを蒔いてから数か月間は、乾燥しないように水を容器にためて、鉢ごと水に浸ける「腰水(こしみず)」で管理します。
腰水で使用する水は、3~4日の頻度で交換することが望まれます。
腰水をしない場合は、毎日水やりをすることでも水を切らさない状態をつくれますが、たねや苗がまだ安定していないため、勢いのある水道の蛇口から直接水やりをすると、植物の発芽や成育に与えることにも。
水やりの際には、ジョウロのシャワーなどを使用し、やさしく与える必要があります。
また、水やりの際にあまり冷たい水を使用すると、それはそれで植物に悪影響を与えてしまいます。
半日から丸一日は水を溜めて室内に置いておき、水温を調整する対応が必要となるでしょう。
また、たねを蒔く前に事前に半日~丸一日程度水に浸けておくと、たねが吸水しやすくなるので、植物が発芽する確率が上がります。
日当たり
「コノフィツム」は、基本的に日当たりの良い環境を好む植物ですが、株がまだ小さいうちは、強い光へ耐性を持っていないことから、直射日光は避けた方が無難です。
夏の強い直射日光は、なおさら避けるべきでしょう。
たねを蒔いてから1か月ほど経過するまでは、室内の窓際でレースのカーテン越しの光を当てます。
ただ、それでは日照が不足してしまうので、夜間に3時間ほど、植物育成用LEDライトを少し遠く(50cmぐらいの距離)から当てます。
今回、使用した植物育成LEDライトはHaruDesign製の、「HASU38」というスポット型のライトです。
温度
「コノフィツム」が発芽するために必要な温度は、“15℃から20℃程度”なので、なるべく適温を保つようにします。
暖かい季節を好む植物のたねを蒔くのは春が適期ですが、「コノフィツム」は涼しい環境を好む植物です。
室内育成で環境を整えられる場合を除いて、秋になって、気温が下がってきたタイミングがたね蒔きの適期となるでしょう。
具体的には、9月~11月ごろを目安にたね蒔きをします。
ただ、“●月になったらたねを蒔く”というワケではなく、まだ残暑が残っているのであれば、たね蒔き時期を後ろ倒しにする対応が必要になります。
肥料
「コノフィツム」が発芽するために、肥料は必要としません。
また、株が小さいうちに肥料分が効いている用土に植えてしまったり、液体肥料を与えてしまうと、その後の株の育成にマイナスに働くことになるでしょう。
たね蒔き後の経過
たね蒔き時
「コノフィツム」のたねはピンセットでつかむことが、むずかしいぐらい小さいため、事前に水に浸ける作業はせずに、そのまま蒔いた方が等間隔でたねを蒔くことができると思います。
発芽をした後に、あまりにもたねが密集した状態で発芽してしまうと、株同士がお互いの成長を阻害することにもなり、その後の成長に悪影響が出てしまいます。
発芽をした後の成育面まで考えたら、たねを事前に水に浸ける作業は省いて、普通にたねを蒔き、蒔いた後は「メネデール」などを薄めた腰水で、発芽までの管理をするのがベストだと思います!
ちなみにわたしは、一晩メネデール希釈水に浸けてからたねを蒔いたので、たねを等間隔で蒔くことができませんでした。
たねを蒔いてからも、「コノフィツム」はカビることがなかったので、事前に殺菌剤を薄めた水に浸ける必要性も高くないといえる植物です。
たね蒔きから4日後(2023年11月8日)
たねを蒔いてから、4日が経過しました。
何粒発芽しているのか、数えるのも困難なほど小さいですが、早くも発芽したことが確認できました!
よく見ないと分からないぐらいのサイズ感ですが、たねの状態が悪ければ1つも発芽しないこともあるので、とりあえずひと安心!
発芽したからといって油断せずに、定期的に腰水で使用している水を交換して、清潔に保っていきます。
たね蒔きから8日後(2023年11月12日)
たねを蒔いてから約1週間が経過しました。
次々に、「コノフィツム」が発芽している様子が確認できています!
発芽するにつれて、たねを等間隔に蒔けていなかった状況が浮き彫りになってきました。
たね蒔きは3つの鉢に分けて行いましたが、今のところ発芽率は高いように思います。
たね蒔きから15日後(2023年11月19日)
たねを蒔いてから、半月が経過しました。
ほんとに少しずつですが、「コノフィツム」の赤ちゃんが成長しています。
たね蒔きから35日後(2023年12月9日)
たねを蒔いてから約1か月、前回から約3週間が経過したところです。
コノフィツムの中心部に、うっすらと一本の線が入っているのが確認できます。
ひとつひとつの「コノフィツム」が大きくなってきて、場所によってはかなりの人口密集地帯となっています。
この人口密度では、植物の育成に良い影響は出ませんが、この大きさで下手に調整しようとすると、逆にトラブルが発生することもあるので、このまま様子見とします。
今のところ、成長速度はかなり遅いです。
「コノフィツム」はうまく育てることができても、花を咲かせるまでは2~3年程度かかるようですが、今のところ「コノフィツム」が開花するイメージが持てません。
もちろん将来的には、「コノフィツム」が咲かせたお花を見たい気持ちもありますが、それよりも、まずは枯らさないことを優先的に考えて育てていきたいところです。
たね蒔きから56日後(2023年12月30日)
毎日観察をしていると、逆に植物が日々成長していることに気づけませんが、3週間前の写真を比べると、少しずつ大きくなっています!
すこしずつ、コケが生えてきてしまいました。
腰水を行っていて加湿な環境となっていたので、多少のコケが発生するのは仕方ないことですが、これ以上コケの発生が進行しないように、このタイミングから腰水の管理はやめました。
コケは日当たりの悪い場所では緑色ではなく茶色く発色するようですが、コケの色は緑色をしています。
コケの色から判断すると、植物育成LEDで日当たりの良さは確保されているということでしょう。
多肉植物によっては、たね蒔き後にひたすらカビとの闘いになるといえるほど、カビが発生しやすい品種もありますが、「コノフィツム」はカビがひとつも発生していません。
たね蒔きから77日後(2024年1月20日)
さらに3週間後の様子です。
さらに、サイズが大きくなったように思います。
「コノフィツム」も無事に年越しをしましたが、あいかわらずのマイペースな成長速度を見せています!
「コノフィツム“ミックス”」というたねなので、いろいろな品種が混ざっているはずですが、さすがにこの大きさではどれも同じ品種に見えます。
ちなみに、植物の室内育成に関する記事は下記で書いているので、もしご興味があればお読みください。
たね蒔きから184日後(2024年5月6日)
前回から約3か月半が経過しました。
だいぶ溶かしてしまった株も多いですが、なんとかまだ生き残っている「コノフィツム」たちです。
屋外が暖かくなってきた段階でも室内管理をしたままだったので、屋外より高温な室内で育てていたことが、「コノフィツム」が溶けてしまった原因だと思います。
周囲の石などに擬態するように進化した植物ですが、たしかにこうして見ると、どこに「コノフィツム」がいるのか、非常に分かりづらいです。
「コノフィツム」は比較的寒さに強い植物ですが、耐寒温度は5℃程度。
まだ株が小さい状態では、冬の間に神奈川の屋外で越冬するのは、寒さの面から厳しいと思います。
冬の間に室内に取り込んでいた場合でも、厳しい冬の寒さを乗り越えたら、春先には屋外に出した方が良かったのかもしれません。
たね蒔きから313日後(2024年9月12日)
さらに4か月後の「コノフィツム」です。
夏に入ってからは意外と枯れてしまう株は少なく、まだ全部で15株ぐらいは生き残ってくれています!
そして、周囲の石よりも大きな見た目に成長したので、存在感が出てきたように思います!
暖かい季節に入ってから、ほとんど成長しないだろうと思っていましたが、直近の4か月がもっとも大きく成長してくれているのではないでしょうか。
順調に育てることができても、お花を咲かせてくれるまではあと1~2年ほどかかると思いますが、なんとかこれ以上ロスすることなく、育てていきたいところです。
(更新中)
「コノフィツム」とよく似た見た目をしている多肉植物「リトープス」の実生も、下記の記事でご紹介しているので、よろしければお読みください。
コノフィツムの育成環境(たね蒔き以降)
たねを蒔いた環境と、たねが発芽してから1~2か月ほど経過してから、育成環境を変えているので、ここでは1~2か月後から育てている環境のご紹介をします。
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