肥料の与えすぎには注意
個性的なすがたに、ひと目惚れした!と、お迎えした大切な「コーデックス」。
水やりや日当たりには気を付けているけど、肥料ってあげたほうがよいのかな?
と疑問に思い調べてみると、
肥料は与えすぎると、徒長の原因になる。
積極的に肥料を与えないと、株が成長しない。
とさまざまな情報もあり、どうしたらよいか迷ってしまうかもしれません。
せっかくのユニークなすがたが台無しになってしまったら…と考えると、肥料に慎重になるのも当然です。
「コーデックス」を健康的に、そして理想のすがたに育てるためのヒントになれば幸いです。
「コーデックス」は塊根植物のみを指すこともありますが、本記事では、塊根植物やアガベなどを総称して「コーデックス」としています

「コーデックス」の自生地の土壌には、多少の栄養分が含まれている
コーデックスって、栄養のない土で育つんでしょ?
そう思われる方もいるかもしれません。
しかし、自生地であるメキシコやマダガスカルの土壌には、まったく栄養分が含まれていないわけではありません。
以下のように、自生地の土壌にも最低限の栄養分が含まれています。
- 雑草など、他の植物が生えている
- 植物が枯れて土に還ることで、栄養分になる
- 虫や動物が暮らしている
- フンや死骸などが、虫や微生物によって分解される
- 雨が降る
- 雨には、窒素が含まれている
- 雨が降ることで、土壌のミネラルが溶け出す

「コーデックス」にとって望ましい生育環境
「コーデックス」の成長に必要な5つの要素

「コーデックス」も、上記の五角形のバランスを保つことで、元気な成長につながります
望ましい「光」、「水」、「風」、「温度」、「肥料分」のバランスは、以下のとおりです。
- 光:強め
- 水:少なめ
- 風:適度に必要
- 温度:品種による
- 10~25℃(春秋型)
- 20~30℃(夏型)
- 5~20℃(冬型)
- 肥料分:少なめ
品種によっても、望ましい生育環境は異なります。
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コーデックスに与える肥料の頻度などは、他の要素とのバランスや株の状態を見ながら、決めていく必要があるでしょう。
現地球と実生株で望ましい生育環境は異なる
海外で育つ植物を輸入した「現地球(げんちきゅう)」と、日本でタネから育てた「実生(みしょう)株」では、望ましい生育環境が異なります。
一般的に、現地球の方がデリケートな性質をもち、実生株の方が育てやすいです。
夏型の品種に焦点を当てた記事ですが、現地球と実生株の違いは、以下の記事で詳しくご紹介しています
光・水・風・温度・肥料分のバランスが崩れたら!?
バランスを保てないと、カタチが崩れてしまう
「光」、「水」、「風」、「温度」、「肥料分」の5つのバランスが崩れたら、すぐに「コーデックス」が枯れてしまうわけではありません。
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おまんじゅうのようにまん丸とした見た目や、ギュッと締まったすがたを楽しむ「コーデックス」にとって、カタチが崩れてしまうのは、かなりの痛手です…。
肥料が多すぎたり、少なすぎると徒長のリスクが高まる
「コーデックス」に与える肥料が多すぎたり、少なすぎたりすると、以下の理由から徒長するリスクが高まります。
- 肥料が多すぎる場合
- 栄養過多になり、不健康に成長する
- 肥料が少なすぎる場合
- 栄養が少ないと、それを補うために、不自然に葉や茎を成長させる
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コーデックス愛好家は、株を枯らさないためというよりも、徒長を防止するために、肥料に頭を悩ませることが多いです。
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「コーデックス」の成長期と休眠期
旺盛に成長する「成長期」と成長が停滞する「休眠期」がある
「コーデックス」は、成長期と休眠期の生育サイクルを繰り返しながら、暮らしています
- 成長期
- 葉をたくさん展開し、グングン成長する
- 休眠期
- (落葉する品種は)葉を落とし、成長が停滞する
生育型は、夏型と冬型に分かれる
ほとんどの「コーデックス」は、暑い季節を好む‟夏型”の品種と、すずしい季節が好きな“冬型”の品種に分類されます。
- 夏型のコーデックス
- パキポディウム、アガベ、アデニウム など
- 暑い(暖かい)季節が成長期で、寒い季節が休眠期
- 冬型のコーデックス
- オトンナ、チレコドン、亀甲竜 など
- 寒い(すずしい)季節が成長期で、暑い季節が休眠期
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最近の日本は暑すぎるため、季節よりも、気温に応じた育て方が求められています。
「コーデックス」に適切な肥料の量とタイミング
サボテンと同じ希釈率で与える
液体肥料のパッケージには、以下のように希釈率(倍率)が示されています。
- 庭植え植物・・・●●●倍
- 観葉植物・・・・☆☆☆倍
- サボテン・・・・◇◇◇倍
多くの肥料には、「コーデックス」や「多肉植物」は何倍で薄めましょう。という内容は書かれていません。
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コーデックスやサボテンは、いずれも多肉植物の仲間です。
サボテンと同じ希釈率で与えることで、コーデックスに肥料分を効かせられ、肥料によるミスも減らせます。
多くの液体肥料は、2週間に1度ほどの頻度で少量を与えます。
固形肥料も与えすぎに注意し、肥料焼けなどのミスが少ない、緩効性(かんこうせい)肥料を使用するのがおすすめです。
肥料は成長期に与える
「コーデックス」の成長期に肥料を与えることで、成長を加速できますが、休眠期には肥料分を必要としません。
休眠期に肥料を与えてしまうと、根の周囲に肥料分が残り、「コーデックス」が調子を崩す原因になります。
規定量より少なめに肥料を与え、徐々に増やす
- 「休眠期」から「成長期」に切り替わるタイミング
- 最初は規定量より少なめに肥料を与え、徐々に頻度や量を上げていく
- 「成長期」から「休眠期」に切り替わるタイミング
- 肥料をいきなり切るのではなく、徐々に減らす
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季節や生育サイクルの切り替わりに、早めに備えたい場合は、上記の対応がおすすめです。
よかれと思って行ったことが、「コーデックス」に大きなストレスを与えることもあるため、急激な環境の変化がないように育てるのが重要です。
季節の変わり目(冬から春)は、特に植物を枯らしがちなタイミング…。
春を迎えたタイミングで植物を枯らさないための対策は、以下の記事でご紹介しているため、ご興味があれば参考にしてください
「コーデックス」が必要とする3つの栄養素
- 窒素(チッソ:N)
- リン酸(P)
- カリウム(K)


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コーデックスにとっても、3つの栄養素が重要な存在です。
肥料成分は単独で機能するのではなく、お互いの働きを助け合っています。
ここでは肥料成分ごとの、おもな特徴を深掘りしていきます
窒素(チッソ:N)
適切に窒素を与えられれば、「コーデックス」が元気に茎を伸ばし、健康的な色合いの葉を展開します
特に葉や茎の部分を食べる野菜や、葉を鑑賞する観葉植物などにとっては、窒素が重要です。
窒素は多すぎても少なすぎても、植物に悪影響を及ぼします。
- 窒素が不足した場合
- 葉色が薄くなる
- 葉が小さくなる など
- 窒素が過剰になった場合
- 葉や茎が徒長する
- 茎や葉が軟弱になり、病害虫の被害に遭いやすくなる など
リン酸(P)
適切にリン酸を与えられれば、お花を咲かせやすくなり、受粉させるチャンスが広がります
特に花を観賞したり、果物を収穫したりすることで楽しむ植物にとっては、リン酸が重要です。
リン酸も過不足があると、植物に悪影響を及ぼします。
- リン酸が不足した場合
- 開花や実付きが悪くなる
- リン酸が過剰になった場合
- 植物の生育が悪くなることがあるが、目に見える特徴的な不調は少ない
カリウム(K)
適切にカリウムを与えられれば、土台となる根の成長が促されるため、株が丈夫になります。
- カリウムが不足した場合
- 根張りが弱く、株全体の生育が悪くなる
- カリウムが過剰になった場合
- 他の栄養素の吸収を阻害する
「コーデックス」には窒素を少なめに、カリウムを積極的に与える
繰り返しになりますが、肥料はお互いに連携しているため、バランスよく与えるのが重要です。
「コーデックス」にとって、適切な成分比率の肥料を使用することで、本来のすがたを維持しやすくなります。
窒素は与えすぎに注意
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特にアガベやディッキアなど、おもに葉で構成された植物の葉が伸びるのは、致命的なダメージです…。
タネを取りたいときや、花を観賞したいときは、リン酸を積極的に与える
タネを収穫し、実生を楽しみたい場合は、リン酸を積極的に与えましょう。
元気な花をたくさん咲かせることで、受粉の確率が上がるため、タネの収穫量を増やせます
カリウムは優先して与える
カリウムは、優先して与えたい肥料成分です。
「コーデックス」が元気に育つためには、根の成長が欠かせません。
窒素は少なめ、リン酸は目的に応じて、カリウムは積極的に
- 窒素:与えすぎに注意
- リン酸:タネの採取や、花を観賞したいときに積極的に与える
- カリウム:優先して与える
上記は、自宅での肥料比率の考え方です。
どう育てたいか、また育てる品種によっても、肥料成分の考え方は変わってきます。
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本来の育て方ではありませんが、意図的に葉を徒長させ、光合成の効率を上げて、コーデックスを育てる方もいます。
おすすめは微粉ハイポネックス
「コーデックス」におすすめの液体肥料は、以下の微粉ハイポネックスです。
窒素やリン酸に比べて、カリウムは多めに配合されています。
多肉植物専門店でも、微粉ハイポネックスが使用されていることは多く、生産農家さんからも選ばれている肥料です。
ちなみに、液体肥料と固形肥料については、以下の記事で使い分けなどを詳しくご紹介しています
ご興味があれば、あわせてお読みください
「コーデックス」の品種ごとの特徴
一概に「コーデックス」と言っても、多岐にわたる品種が存在します。
徒長してもリセットしやすい品種や、いちど徒長してしまうと仕立て直すのがむずかしい品種など、それぞれの違いについてご紹介します
(強)剪定をすることで、リセットしやすい品種
以下のような特徴がある品種は、たとえ徒長してしまっても、リセットしやすいです。
- 枝を根元から切り落とす強剪定(きょうせんてい)を繰り返し、徐々に塊根部を肥大させる品種
- 剪定した跡が目立ちにくい品種
強剪定を繰り返し行う品種や、剪定の跡が目立ちにくい具体的な品種は、以下のとおりです。
- プセウドボンバックス・エリプティクム
- アデニア・グラウカ
- センナ・メリディオナリス
- 亀甲竜(きっこうりゅう) など
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ただし植物が徒長するのは、健康的な状態とは言えないため、できれば徒長のリスクは避けたいところです。
成長(葉の展開)とともに、リセットしやすい品種
「コーデックス」の中には、葉をロゼット状に展開する植物もいます。
植物の中心部からあたらしい葉を展開し、古くなった葉は外側(下葉)に回り込み、やがて葉を落とす品種です。
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徒長しても、成長とともに古い葉が自然に更新されるため、環境を改善すればリセットが可能です。
葉をロゼット状に展開する植物は、以下のとおりです。
- アガベ
- ディッキア など
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上記の植物は、育成環境が適切であれば、1~2年ほどで徒長したすがたを仕立て直せます。
徒長すると、リセットがむずかしい品種
徒長すると短期間でのリセットがむずかしく、徒長が過度に進んだ場合は、仕立て直せない品種もいます…。
- パキポディウム
- サボテン
- ユーフォルビア
- オベサ、ギラウミニアナなど
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最初は薄い希釈率で肥料を与え、株の調子を見ながら、規定量に近づけていく対応がよいと思います。
タネから収穫したり、胴切りしたりする方法もある
タネを蒔いた数か月後には、花を咲かせる「コーデックス」もいます。
株が過度に徒長してしまっても、咲かせた花で受粉しタネを採取できれば、あたらしい個体を育てられます。
上下に切断する「胴切り」や「株分け」、「枝挿し」なども、植物を増やせる方法です。
アガベの胴切りについては、以下の記事で手順などを詳しくご紹介しています


まとめ
徒長を防ぎ、理想のすがたを保つためには、肥料が非常に重要です。
窒素・リン酸・カリウムのバランスや、成長期と休眠期の肥料の与え方など、少し工夫するだけで株は丈夫に成長します。
「コーデックス」にとって、肥料は成長を加速させる一方で、与え方を間違えると「徒長」という致命的なダメージにもつながります。
以下の記事では、多肉植物の室内育成についてご紹介しています
室内育成は、植物育成の幅を広げてくれる存在です


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