冬でも塊根植物を楽しむ
冬の訪れとともに、多くの植物が活動を休止する中、アガベや塊根植物などの「コーデックス」もまた、休眠期に入ります。
季節の花々のような華やかな魅力とは異なり、そのユニークなフォルムに魅せられたファンにとっては、冬の過ごし方も気になるところではないでしょうか!?
本記事では、そんな寒い季節でも「コーデックス」をもっと深く、もっと楽しく愛でるための7つの方法をご紹介します

コーデックスの特徴
「コーデックス」は、その荒々しいすがたが楽しまれ、人気が高まっている植物です
コーデックスという言葉に明確な定義はない
雨量が少なく乾燥した地域でも生き抜くために、根や茎の部分に多くの水分を蓄えておけるように進化したのが「塊根植物(かいこんしょくぶつ)」です。
また、葉をロゼット状に展開させる植物のひとつに「アガベ」がいます。
成長期と休眠期がある
「塊根植物」には他の植物と同じく、旺盛に成長する‟成長期”と、成長が停滞気味になる“休眠期”があります。
- 成長期
- 葉を展開し、根を成長させ、水や肥料分をよく吸い上げる
- 休眠期
- 葉を落とし、活動エネルギーを最小限にすることで、苦手な季節に備える
成長期はたねまきや植え替え、剪定など、いろいろな作業を伴う園芸ハイシーズンを迎えますが、休眠期はあまり作業がない点も特徴的です。
コーデックスの育て方
「コーデックス」の育て方について、カンタンにご紹介します
より詳しく確認したい場合は、以下の記事でご紹介しているため、参考にしてみてください
日当たり
多くの日光を確保できないと、葉や幹がヒョロヒョロに間延びする「徒長」を起こし、本来のワイルドな樹形に仕立てるのがむずかしくなります。
水やり
「コーデックス」は、体内に多くの水分を蓄えているため、頻繁に水やりをする必要はありません。
水やりの頻度は、土が完全に乾いてから3~4日後に与えるのが基本です。
風通し
「コーデックス」には特別強い風を当てる必要はありませんが、空気の流れがない環境では、成育不良を起こす可能性が高いです。
- 土が乾きやすくなり、根腐れを防止できる
- 光合成を促せる
- 幹などが肥大しやすくなる など
周囲にものを置かず、鉢同士の間隔を空けるだけでも、風通しをよくできます。
用土
「コーデックス」は、多湿を苦手としているため、排水性や通気性に優れた用土に植えることが望まれます。
- 排水性がよい土
- 水やりの際に、鉢底からスムーズに水が流れ出てくる
- 水が鉢内に留まりづらいため、土が乾きやすい
- 通気性がよい土
- 鉢内の用土に、空気が入り込みやすいため、土が乾きやすい
- 新鮮な酸素を鉢内(根)に届けられる
培養土については、以下の記事で詳しくご紹介しているため、ご興味があれば参考にしてみてください
肥料
「コーデックス」が本来暮らしている地域の土壌は、栄養分が少ないため、多くの肥料分を与えないことが重要です。
その他、「コーデックス」の肥料については、以下の記事で詳しくご紹介しています
ご興味があれば、あわせてお読みください
冬のコーデックスの楽しみ方
「コーデックス」は夏型の品種が多いため、冬に行う園芸作業が少なくなる傾向があります。
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コーデックスにハマり出したころは、冬に時間を持て余していたな~。
以下で、具体的な楽しみ方をご紹介します。
冬型の植物を育ててみる
- 亀甲竜(キッコウリュウ)
- オトンナ
- チレコドン など
夏型の「コーデックス」が寒さを感じ、休眠期に差しかかったころには、冬型の品種が成長期に突入しています
冬型の「コーデックス」も成長期には水をよく吸い上げますが、冬は土が乾きづらい季節です。
夏型の「コーデックス」より、水やりを少なめに抑えたり、排水性や通気性がよい培養土を使用したりする工夫が必要です。
以下の記事では、冬型の「コーデックス」を含めて、塊根植物の成長記録をまとめてご紹介しています
よろしければ、お読みください
室内育成で夏型の品種を育成する
成長のための条件&必要なガーデニング用品
夏型の「コーデックス」が健康的に成長するためには、複数の条件を満たす必要があります。
具体的には、以下の用品を揃えることで、室内育成が可能になります。
- 温度(20℃以上あれば望ましい)
- エアコン、ストーブ、園芸用ヒーターマット など
- 光量
- 植物育成用のLEDライト など
- 風通し
- サーキュレーター、扇風機 など
条件を満たしたら、成長期と同じ頻度で水や肥料を与え、夏型の「コーデックス」の成長をサポートします。
懸念点は育成スペースの確保&コスト面
室内育成の懸念点は、育成スペースの確保とコスト面です。
ガーデニング用品を購入する初期費用だけではなく、電気代というランニングコストが発生する点にも、注意が必要です
最低気温が10℃になる前に室内に取り込むことで、旺盛な成長を継続できる
多くの夏型の「コーデックス」は、耐寒温度が10℃程度とされています。
夏型の「コーデックス」を屋外で育成している場合、多くの地域で、冬は室内に取り込む必要があります。
最低気温が10℃程度に下がってから室内に取り込むと、すでに葉を落としている「コーデックス」もいるでしょう。
その場合は、またあたらしく葉を展開することに、余計な体力を使わせてしまいます。
ただし「コーデックス」は本来、成長期と休眠期を交互に繰り返しながら、徐々に成長する生きものです。
冬に休眠させることなく、室内で育成すると、「コーデックス」の成育サイクルを崩してしまうことになります。
落葉や新芽など、季節ごとに変化する「コーデックス」のすがたにも魅力はあるため、意図的に休眠期をつくらない育成方法には、一長一短あります。
植物の室内育成にどれほどの費用が発生するのかなど、以下の記事で詳しくご紹介しているため、ご興味があれば参考にしてみてください
一年間の成長記録を付けてみる
「コーデックス」は成長速度が遅い品種が多いため、日ごろ育てている中で、
最近、「コーデックス」がまったく成長していない気がする…。
と感じることがあります。
成長記録を付ける中で、
この品種は調子が悪かったから、来年は育成環境を変えた方がよさそう。
など植物の育成について、より一層知れるキッカケにもなります。
ブログやアプリなどでも成長記録が付けられるため、オススメな手段です。
春以降の園芸計画を立てる
春は大忙しな園芸ハイシーズンになる
園芸を趣味にしていると、春には園芸ハイシーズンを迎えます。
- 植え替え
- たね蒔き
- 剪定
- 株分け など
暖かくなる前に年間計画を立てておけば、春以降のガーデニング作業がスムーズに進み、充実度を高められるでしょう。
培養土をつくる&植木鉢を探す
あらかじめ園芸用土を購入し、オリジナルの培養土を配合したり、肥料や殺虫剤などを買い足したりすることで、春以降の作業を少しでも軽減できます。
お気に入りの植木鉢を見つけておけば、春に行う植え替えのモチベーションが上がり、園芸ハイシーズンの作業が順調に進められるかもしれません。
コーデックスについて勉強してみる
勉強方法①:ガーデニングショップ&多肉植物のイベント
ガーデニングショップや多肉植物のイベントに足を運べば、プロの方から直接、育成技術や「コーデックス」の性質について話を聞くことができます。
勉強方法②:インターネット&SNS
今は、インターネットやSNSを通じて、あらゆる情報が入手できます。
勉強方法③:専門書
特に以下のように出版社がしっかりとしている専門書は、載っている情報の精度が高いため、正しい知識を習得しやすいです。
今までとは違った角度から「コーデックス」を知ることになり、育成技術が向上するキッカケになるかもしれません。
温室のある植物園に行ってみる
温室は太陽光で温められた熱を、温室内にため込むことで、暖かい気温を保つことができる空間です。
植物園で展示されている「コーデックス」は、鉢植えの株とは、比べものにならないくらい大きい株もいるため、
本当に、同じ品種の植物なの!?
と疑ってしまうこともあります。
これまで足を運んだ植物園は、以下の記事でご紹介しています
暖かい地域に移住してみる
かなり思い切った方法ですが…。
沖縄などの暖かい地域では、冬でも「コーデックス」が成長できる温度を確保しやすいのも魅力です。
意外と沖縄は日照時間が少ない
ただし意外にも、沖縄は快晴の日が少ないため、日照が不足しやすい面もあります。
適温を維持しやすいものの、日照不足で「コーデックス」が徒長しないように、地域ごとに適切な育成環境を整える必要はあるでしょう。
番外編として、「コーデックス」とともに移住することを挙げさせてもらいました!
まとめ
冬の寒さとともに休眠期に入る夏型の「コーデックス」。
春から秋の成長期と比べて、手入れが減るこの時期は、一見すると寂しく感じるかもしれません。
冬型品種の育成に挑戦したり、室内育成で一年中楽しむ環境を整えたり、あるいは来シーズンの園芸計画を立てたりと、楽しみ方は無限大です。
植物園で規格外の「コーデックス」に出逢うのも、あたらしい発見があるかもしれません。
冬にも行える園芸作業にも目を向け、「コーデックス」の沼に、さらにハマってみてはいかがでしょうか!?
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