多肉植物のタネの蒔き方をご紹介!発芽しないタネは何をやっても発芽しない!?

多肉の実生を楽しむために

わたしはこれまで、多くの多肉植物のタネを蒔いてきて、自宅でタネから発芽した多肉植物を育てています。
正確な数は把握していませんが、おそらく何千粒という数になるでしょう。

これまでの経験で分かってきたことや、まだまだ試行錯誤していることもありますが、この記事では本記事では、多肉植物のタネの蒔き方をご紹介しています!主に下記の内容を書いています!

タネ蒔きへの疑問・本記事で書いている内容
  • タネ蒔きに必要なモノは!?
  • どのような用土に蒔けばいいの!?
  • タネや用土の消毒は必要なのか!?
  • タネを蒔いた後、水やりは毎日行った方がいいのか!?
  • 太陽の光には、どの程度当てた方がいいの!?
  • 温度は何℃に保てばいいの!?
  • 肥料は必要なのか!?
目次

タネ蒔きに必要なグッズ!

多肉植物のタネを蒔く際に必要なモノは、下記のとおりです!

まずは、必要最低限揃える必要のあるモノからです。

必要最低限揃えるモノ
  • 多肉植物のタネ
    • 当然ですが、タネが無いと蒔けません。
    • 言ってしまえば、用土を入れておける容器があればOKです。
  • タネを蒔く用土
    • 水耕栽培という手段もありますが、基本的に多肉植物が育っていくために用土は必要です。

続いて、あれば望ましいモノについてです。

必要に応じて揃えるモノ
  • 腰水に使用する容器
    • 鉢ごと水につける(腰水)をする場合に、必要となります。
  • 熱湯
    • 鉢や用土を殺菌する場合、お湯をかける手段も有効です。
  • 殺菌剤
    • 多肉植物のタネを消毒する場合に、必要となります。
  • ラップ
    • 高い湿度を保ちたい場合に、ラップを使用する方法もあります。
  • 霧吹き
    • 高い湿度を保ちたい場合に、定期的に霧吹きで水をかける方法もあります。
  • ピンセット
    • 多肉植物のタネを扱う際や、細かい作業時にピンセットがあると便利です。
  • 園芸ラベル
    • 複数種類の多肉植物のタネを蒔く場合に、ラベルがあると植物が分からなくなることを避けることができます。

こうして挙げてみると結構な数のグッズが必要だと思えてきますが、最低限「タネ」「鉢」「用土」の3点セットがあれば、タネを蒔くこと自体はできます!
実際に多肉植物のタネを蒔いてみて、もし必要性を感じることがあれば、徐々に買い足していけば充分だと思います。

タネはどのような用土に蒔けばいいのか!?

つづいて、タネ蒔きに用いる「用土」について。

多肉植物のタネ蒔きには、高い湿度を保っていく必要があります。
“有機質”の用土にタネを蒔き、湿度の高い状態を保っていると、カビや苔が発生する可能性が高まるので、用土は“無機質”の用土を使用し、無菌の状態を保つことが望まれます。

有機質・無機質
  • 有機質の用土 : 腐葉土(ふようど)、堆肥(たいひ)など、または腐葉土や堆肥などが配合されている用土
  • 無機質の用土 : 赤玉土(あかだまつち)、鹿沼土(かぬまつち)、ひゅうが土など

実際に、多肉植物のタネ蒔きに使用する用土をパターン別にご紹介します!

パターン1:タネ蒔き専用の用土を使用する

まずは、市販されているタネ蒔き専用の用土を使用する方法です!
パッケージには「タネ蒔き・さし芽の土」などと記載され、売られている商品が多いです。

タネ蒔き用の土は非常に柔らかくて、まるで座ると沈み込みすぎるソファのように、フッカフカな質感をしています!
はじめて使用したときは、これまで触れたことの無いような質感で、新鮮な感覚を覚えました。

植物が新しく出した根が、どんどん用土の中に潜り込むことのできるように作られているので、発芽してからしばらくの間は問題なく成育していきますが、あくまで“タネ蒔き・さし芽用の”土である点には注意が必要です。
植物が大人になるまで成育していくことを考慮して作られていないので、発芽した後もこの用土でずっと育てていくわけではなく、早い段階で通常使用する用土に植え替えることが必要となります。

また潜り込みやすい用土で育った根は、丈夫とはいえない細い根に育ちやすいのもデメリットの一つです。
ひとも同じですが、すこし過酷な環境で育った方が、強い植物へとなりやすいのです。

わたしは、タネ蒔き専用の用土としては「サカタのタネ」の商品を使用しています。

パターン2:多肉植物の土を使用する

ふたつめのパターンとしては、一般的な多肉植物も育てることのできる「多肉植物の土」にタネを蒔く方法です。
この用土にタネを蒔くのは、発芽してからもしばらくの間、植え替える必要がなく、もっとも楽な方法といえるでしょう。

品種にもよりますが、粒が細かい「小粒(こつぶ)」の用土を使用しても、発芽後にうまく植物の根が用土の中に潜っていけないこともあります。
可能であれば、小粒よりさらに小さい粒である「細粒(さいりゅう)」の用土を使用するのがオススメです!

植物を植え替えるのは、自然界ではほとんど起こりえない状況なので、植物にとってはストレスとなります。
多肉植物の中には、植え替えで根を触られるのを、ほかの品種以上に嫌がる品種もいます。
そのような品種は発芽後に植え替えをすると、ロスしてしまうことが多いので、ある程度の大きさに成長するまで、同じ用土に植えたまま育てた方が良いです。

多肉植物の用土は「花ごころ」のモノか、「プロトリーフ」のモノがオススメです!

パターン3:複数の用土を併用して使用する

上の部分と下の部分で、タネを蒔く用土を変える方法もあります。
用土の上の部分には、根が潜っていきやすい柔らかい用土を使用し、用土の下の部分には「多肉植物の土」などの多肉植物の育成に使用している用土を使用する方法です。

上の部分にはタネ蒔き専用の用土だけではなく、粒がより細かい「バーミキュライト」や「ピートモス」などを敷くと、根が潜っていきやすくなります。

タネのどこから植物の根が出てくるのかが分かる場合には、根が出てくる面を土に少し刺すと、より一層植物の根が用土の中に潜っていきやすくなります。

用土やタネには消毒を!

タネの発芽を促すには、高い湿度を保つことが求められます。
多肉植物が生きている環境では、雨季と乾季がはっきり分かれてることが多く、雨季にあわせて発芽をすることで、多肉植物もスムーズな成育につなげられるので、雨季を再現するために湿度を上げる必要があるのです。

湿度を高めに保つと、どんどん発生するカビや苔との戦いとなり、特にカビは一度発生すると周囲のタネに伝染していくこともあります。
特に、多肉植物の中でも人気な「パキポディウム」という品種は、カビが発生しやすいです。

カビの繁殖力はあなどれないので、一度カビてしまったタネは、見つけ次第すぐに取り除きます。
一度、タネに発生したカビをキレイに除去した後に、もう一度タネを蒔き直して発芽したこともありましたが、まずは周囲に蒔いているタネの安全を最優先に確保するべきです。
そのため、カビを除去してあらためてチャレンジするとしても、一旦カビたタネを取り除き、別の場所でチャレンジすることが望ましいでしょう。

品種によっては、特にこれといった消毒作業をしなくてもカビが発生しづらい種類もいます。
ただ、必要以上にタネを消毒すると発芽率に影響してしまうことも考えられますが、基本的には消毒によって発芽率が下がる可能性は低いので、タネを蒔く前にはタネや用土の消毒を行った方が無難といえるでしょう。

用土の消毒

まずは、タネを蒔く用土の消毒に関してです!
用土を消毒するには、下記2つの方法があります!

用土の消毒・殺菌
  1. ガーデニング用の殺菌剤を使用する
  2. 熱湯をかける
  3. 黒い袋に入れて、直射日光にあてる

①ガーデニング用の殺菌剤を使用する

ガーデニンググッズには、水に薄めて使用するタイプのものやスプレータイプなど、殺菌用のグッズも市販されています!
用土を殺菌する場合には、一度だけ用土に殺菌剤をかけるというよりは、殺菌剤を薄めた水に、しばらく用土を入れた鉢ごと漬け込むことで殺菌をします。

わたしは、用土の殺菌には「ダコニール」という水に薄めるタイプの殺菌剤を使用しています。
ほかに、ガーデニング用の殺菌剤でメジャーなものは、「ベンレート」や「ホーマイ」などがあります。
3つのガーデニンググッズのうち、いずれか1つを使用しておけば、まず間違いはないと思います。

タネを蒔いた後にも、薄めた殺菌剤を霧吹きなどを使用して定期的にかけていくことで、タネを蒔いた後の殺菌作業にも使うことができます。

②熱湯をかける

タネを蒔く前の用土に、湧かした熱湯をかけて殺菌をする方法もあります。
「用土にお湯をかけるの!?」と意外に思われる方もいると思いますが、ガーデニングの世界で熱湯での消毒は一般的な方法のひとつです。
60度以上でカビの菌は死滅するようですが、わざわざ60度に測る必要は無く、沸騰させた熱湯をかければ事足ります。

熱湯を使用して作業する場合にはやけどに注意し、熱湯をかけた後にはしばらくそのまま放置して、用土を冷まします。

②黒い袋に入れて、直射日光にあてる

そのほかにも少し手間がかかりますが、太陽の熱を利用して殺菌する方法もあります。
この殺菌方法は、植え替えた後の用土をリサイクルするときに用いられることがありますが、植物が小さい間はデリケートなため、タネを蒔くときには新しい用土を使用した方が無難なため、あまりタネ蒔き用土としてはオススメできません。

多肉植物のタネ蒔きには、未使用の新しい用土を使用し、さらに必要に応じて殺菌することでベストな用土が準備できるでしょう。

タネの消毒

タネに熱湯をかけたり高温にすることはできないので、タネを消毒する場合には、ガーデニンググッズ(殺菌剤)を使用する一択になります。

殺菌剤をどの程度まで薄めて使用するのかは、それぞれの商品によって異なりますが、殺菌する時間は12時間~24時間を目安にタネをつけ込みます。

「カビキラー」をタネに直接吹きかけて消毒する方法もありますが、「カビキラー」は園芸用に開発されているものではなく、タネへの影響も少なからずあると思うので、個人的におすすめはしません。

水やり・腰水・ラップ

多肉植物は体内に多くの水をたくわえている植物なので、基本的な育成方法は、水やりを少なめにしていくことです。
タネを蒔いた後はタネが乾いてしまうことの無いようにし、湿度は高い状態を維持します。

用土を清潔に保つために水やりを毎日行う方法もありますが、水やりは勢いよく与えてしまうと、タネが用土の奥深くに潜っていってしまうこともあるため、発芽までは「腰水(容器に水を溜めて鉢ごと漬け込む方法)」で、水の管理をするのも有効な方法といえるでしょう。
「腰水」をする場合には、2~3日おきに水を交換します。
発芽後も腰水での管理を続けても良いですが、水も劣化していき、いずれは腐ってしまうので、忘れないように水を取り換えます。
水道水も、季節や地域によって水温が異なるので、腰水に使用する水は半日から一日は室内に置き、水温が室温程度になってきてから使用します。

鉢の上にラップや透明なカバーをかけて、湿度を上げる方法もありますが、個人的にはこの方法もオススメしません。
ラップなどをオススメしない理由は、湿度が必要以上に高くなりすぎてカビが繁殖しやすく、一度発芽しかけたタネもカビにやられてしまったことも何度もあるからです。
多肉植物が本来タネから発芽し、育っている自然界にも、「そこまで湿度が高くなる環境はあまり無いのでは!?」と思っています。

最初はラップなどをかけずに、いくら待っていても発芽しない場合の最終手段として、ラップなどをかけるのはアリだと思います!

必要な光の量は!?

タネには暗い環境で発芽する「嫌光性(けんこうせい)種子」と、明るい光に照らされてはじめて発芽する「好光性(こうこうせい)種子」があります。
そのため、「嫌光性種子」の多肉植物のタネを蒔くのであれば、用土をタネの上に被せるなどして暗い環境にし、「好光性種子」のタネを蒔くのであれば、用土を上に被せずに明るい環境にすることで、発芽を促すことができます。

多肉植物の中でもマニアックな品種だと、調べてみても“嫌光性”なのか“好光性”なのか分からない品種もいます。
その場合は、タネが10粒あるなら5粒には土をかけずに光にあてる環境にして、残りの5粒には土を被せて暗い環境にしてみるなど、半分ずつ光の環境を分けて蒔いてみることをオススメします。

発芽に必要な光の量は、直射日光などの強い光は不要で、屋外であれば日陰ぐらいの光の量、屋内ならレースのカーテン越しの光だと足りないので窓越しの光を1時間程度あてたり、場合によっては植物育成用のLEDライトを少し遠くから当てます。

植物育成用のLEDライトをこれから購入するのであれば、ある程度育成した後にも使えるような、強い光を出すことのできるライトをオススメします!
「Haru Design」の「HASU38」は知名度もあり、実際に自宅でも使用していますが、植物が早く成育しています。

発芽をした後に必要な光の量は、本来は直射日光を好む植物でも小さなうちから直射日光に当ててしまうと、枯れるリスクが高いです。
すぐに直射日光にあてることはせず、少なくても1~2か月は屋外の日陰などの弱い光の環境で育てていきます。
その後は、多肉植物の成育状況を観察しながら、徐々に光の量を調整していきます。

温度は何℃にすれば良い!?

多肉植物によって、発芽するために必要な温度は違いますが、大体の目安としては下記のようになります。

発芽するための適温
  • 暑い季節に成長する“夏型”の多肉植物:20℃~25℃程度
  • 寒い季節に成長する“冬型”の多肉植物:15℃~20℃程度

1~2℃でも適温を保てなければ、必ず発芽をしないということではないですが、適温を保つことができることで発芽率をUPさせることにつながります!

肥料は必要なの!?

続いて、タネ蒔きに伴う肥料について!
結論からいえば、多肉植物のタネ蒔きに、肥料は必要ありません。

むしろ多肉植物の根がまだ成育していない状態で肥料を与えてしまうと、多肉植物にとってはそれ以上根を張り巡らせて肥料を求める必要がなくなってしまうため、小さいうちに肥料を与えてしまうと、その後の多肉植物の成長にマイナスに働くこととなります。

水に薄めて使用する液体肥料などの「速効性肥料」を与える場合には、発芽をした後最低1か月ぐらいは使用を控え、用土にマグァンプなどの「遅効性肥料」を混ぜて使用する場合には、ある程度用土の下の方に混ぜ込むなどの工夫をして、多肉植物がまだすごく小さいうちには、肥料を容易に吸い上げられない環境をつくることが重要です。

多肉植物のタネの蒔き方(まとめ)

以上を踏まえて、多肉植物のタネ蒔き方法は、下記のとおりとなります!

タネ蒔き方法
  • タネ、タネ蒔きグッズを準備する
  • タネ、用土の消毒をする
  • タネを蒔く
  • (かける場合は)ラップをかける
  • 毎日の水やり、もしくは腰水での管理
  • 適温、そして適度な光量の維持

おまじない程度ともいわれていますが、タネを消毒する際や腰水をする際には、「メネデール活力剤」を使用してタネの発芽を促す方法もあります!
「メネデール活力剤」は植物のタネ蒔きだけではなく、肥料と一緒に与えることもできるので、ひとつ持っておいて損は無いと思います。

また、タネを蒔く前に用土が濡れていないのであれば先に水をかけて用土を濡らし、用土の中に入っている微塵(みじん)を抜いておくことも推奨します。

タネ蒔きの作業は細かい作業なので、ピンセットがあると便利です!
また特に小さいうちは植物の特徴が出づらいので、複数の品種を同時に蒔く場合には園芸ラベルと刺しておくと、あとで品種が分からなくなる事故を未然に防ぐことができます!
いずれも100円ショップで販売されているので、高いものを購入する必要は無いと考えます。

以上です!

多肉植物のタネ蒔きは、ガーデニングの中でも結構手間のかかる作業です。
そのため、多肉植物にものすごい興味が湧いている方だけがたどり着く世界だと思っていますが、タネ蒔きは一度やってみると“多肉植物の沼”にハマること間違いなしです!

今回は、多肉植物のタネ蒔きに関する記事でした!

実際に、タネを蒔いた多肉植物の成長記録も別の記事で紹介しています。

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