日本で誕生した園芸品種
アガベ:ポタトラム「吉祥冠錦」の基本データ
育 て 易 さ:★★★☆☆
成 長 速 度:★★★★☆
入手し易さ:★★★☆☆
耐 寒 性:★★★★☆(0℃程度:雪や霜には当てないように、注意が必要)
耐 暑 性:★★★★☆
原産地:メキシコ:プエブラ州&オアハカ州 ※原種のポタトラムのデータ
花言葉:繊細、気高い貴婦人
科・属:キジカクシ科(クサスギカズラ科)・リュウゼツラン(アガベ)属
学 名:Agave potatorum ‘Kissho Kan’ variegata(アガベ ポタトラム キッショウカン バリエガータ)
アガベ:ポタトラム「吉祥冠錦」の成長記録
2022年7月にお迎えしたアガベ、「吉祥冠錦(Agave potatorum ‘Kissho Kan’ variegata)」の成長記録を付けていきます!
2022年7月22日(July 22, 2022)
自宅に届いた、「吉祥冠錦」の様子です。
淡い緑色の葉に黄色っぽい斑を織り交ぜ、葉の先端と縁にワインレッドの鋸歯(きょし)を付けるすがたが、「吉祥冠錦」の特徴です。
以下のように、アガベ愛好家やプロの生産農家さんに言わせるほど、「吉祥冠錦」はアガベの特徴を凝縮した品種なのだそうです!
これからアガベを育てようと思っている方は、「吉祥冠錦」から育ててみてもよいでしょう。
「ベアルート株」として入手
ガーデニングショップで、調度よい大きさの「吉祥冠錦」を見つけることができなかったため、フリマアプリを活用して入手しました。
鉢に植えられていない状態の、“ベアルート”として購入した株です。
届いた「吉祥冠錦」に根が生えていなければ、植物に根を出してもらう“発根管理”から行う必要があります。
ただし実際に送られてきた株は、すでに発根していたので、そのままスリット鉢に植え付けました!
ポタトラムは、斑の入り方で品種名が異なる
「吉祥冠錦」は、“ポタトラム”というアガベに覆輪斑が入った品種ですが、ポタトラムは斑の入り方が違うことで、品種名が異なります。
- 吉祥冠錦
- 本記事で紹介している品種
- スーパークラウン
- 吉祥冠錦よりも、黄色の覆輪斑が広い品種
- ベッキー
- 淡いグリーンの斑が、葉の中心に入る品種
さまざまな園芸品種が存在することからも、ポタトラムの人気の高さが、うかがえます。
ちなみに斑が入っていない品種の「吉祥冠」は、日本でつくられた園芸品種。
交配させたり、個性が強い『子株の選抜』を繰り返したりすることで、優良品種が生み出されました!
吉祥冠錦の名前の由来
名前についている“吉祥”(きっしょう)とは、「幸福」や「繁栄」など、“めでたいこと”をあらわす言葉。
めでたいタイミングに、頭にかぶる冠というのが、名前の由来になっているのだと思います!
また、“錦”(にしき)とは、「斑入り品種」のことを意味します。
培養土の配合割合
ちなみに、今回「吉祥冠錦」を植えた培養土の配合は、下記の割合です。
- 赤玉土(あかだまつち):5
- 日向土(ひゅうがつち):5
- オルトラン:少量
- 殺虫成分を植物に吸収させ、その植物を食べた害虫に効果を発揮する殺虫剤
- マグァンプK(中粒):少量
- ゆっくりと効果を発揮する固形肥料(緩効性肥料)
自宅で使用している培養土は、その都度、使用する園芸用土を変更したり、配合割合を調整したりしていますが、「オルトラン」と、「マグァンプK」は、いつも使用しています。
詳しくは、下記の記事でご紹介していますので、ご興味があればお読みください。
2022年12月3日(December 3, 2022)
前回の記録から、4か月半が経過したときの「吉祥冠錦」の様子です。
「吉祥冠錦」を早く大きく成長させようと思い、水やりの頻度を高くしていたところ、葉が間延びする「徒長」(とちょう)を起こしてしまいました…。
「吉祥冠錦」が徒長を起こしたといっても、現時点では、まだまだ仕立て直せるレベルだと思います。
ただしこのまま過度に徒長が進行すると、株自体が弱くなってしまい、最悪の場合枯れてしまう原因にも…。
これ以上、徒長が進行しないように、水やりを控えめにします。
徒長はしてしまったものの、自宅の環境には慣れてくれたようです。
育てはじめてから、1か月ほど動きがありませんでしたが、ここ3か月ほどのあいだに葉を4~5枚展開しました!
これまで、屋外で育ててきた「吉祥冠錦」ですが、寒くなってきたので、これから室内に取り込む予定です
2023年9月24日(September 24, 2023)
前回の記録から、9か月半が経過したときの「吉祥冠錦」の様子です。
前回から比べると、葉数は2~3倍に増え、徒長したすがたが改善されてきました!
徒長していたころに比べると、あたらしい葉は短く、詰まったカタチをしています!
ヒョロヒョロに伸びた葉は、あたらしい葉が展開するにつれて下の方に回り込み、目立たなくなりました。
4~5か月前に成長を促すため、ふた回りほど大きな鉢に「鉢増し」を行い、根が成育できるスペースを拡大しました!
鉢増しを行ったことも、「吉祥冠錦」の成育に、よい影響を与えたようです。
秋の成長期はまだ残されていますが、これから季節が進むにつれて日照時間が短くなっていくので、水やりは徐々に控えめにしていきます
2024年3月24日(March 24, 2024)
前回の記録から、半年が経過した「吉祥冠錦」の様子です。
以前の様子と比べると、葉の先端に付ける鋸歯にも変化があらわれています。
鋸歯の赤色に深みが増し、太さや長さも、以前までとは見違えるような見た目をしています!
うねうねしたカタチも、これまでには見られなかったものです!
「吉祥冠錦」は、ある程度の寒さなら耐えられると思うので、最低気温が氷点下にならない地域では屋外でも育てられるかもしれません。
ただし自宅では、安全を見て室内に取り込み、ガーデンラックの上で、植物育成用LEDライトを当てて育てています。
自宅で「吉祥冠錦」に使用している植物育成用LEDライトは、以下のBRIMのものを使用しています
価格が安い割に育てている植物は全体的に調子がよいので、購入を検討されている方は、候補のひとつにしてみてください。
植物の室内育成は、下記の記事で解説しています
2024年8月15日(August 15, 2024)
前回の記録から、約5か月が経過した「吉祥冠錦」です。
6月ごろに、一部の葉の先端が茶色く変色し、ボロボロなすがたに…。
心配していましたが、あたらしい葉の状態はキレイな状態なので、これでも立ち直ってきたところです
すぐ隣で育てているアガベたちが、まったくの無傷なので、不調になった原因は正直分かりません…。
もしかしたら、梅雨どきの多量な雨量によって、水分過多になったのかもしれません。
育てはじめてから2年以上経過して「吉祥冠錦」に抱く印象は、育成環境の善し悪しが、早い段階で株の見た目にあらわれるという点。
少しでも、育成環境のバランスが崩れると、すぐにカタチが崩れてしまいます。
2025年1月17日(January 17, 2025)
前回の記録から、約5か月が経過しました。
1月中旬のため、季節は寒さのピークに達していますが、室内でぬくぬくと暮らしています。
LEDライトで育てていますが、光を真上から当てられていないので、「吉祥冠錦」の向きが少し傾いてきてしまいました…。
相変わらず、半年ほど前に受けたダメージの跡が痛々しいですが、徐々に傷を負った葉が下の方にきています!
あと半年も育てていたら、見ごたえのあるすがたに仕立てられそうです!
子株のひとつは、真っ白に近い見た目をしているので、通称“おばけ”と呼ばれる個体かもしれません。
“おばけ”は葉緑体をもっていないので、親株から取り外したら枯れてしまいます…。
いずれにしても、鉢がギュウギュウになってきたので、春になったら植え替え&株分けをしたいと思います!
(更新中)
自宅では、他にもアガベを育てています
下記の記事で、他のアガベの成長記録も付けているので、よろしければチェックしてください
アガベ:ポタトラム「吉祥冠錦」の育成環境
日当たり
「吉祥冠錦」は、暖かい季節を好むので、春から秋にかけて成長期を迎える植物です。
「吉祥冠錦」の原種である“ポタトラム”の自生地は、メキシコ。
標高が約1,200m~2,000mほどの、涼しい場所で暮らしています。
そのため、お迎えする前は、『寒さには強くて、暑さには弱い品種』という印象をもっていました。
ただし自宅の環境では、今のところ真夏の強い光を浴びても、葉焼けを起こしたことはありません。
自宅では、春から秋までの期間は、朝から夕方まで直射日光がよく当たる場所で育てています。
冬は室内に取り込み、植物育成用LEDライトを当てています。
植物が1日に光合成できる量には限度があるので、LEDライトの照射時間を長くしたら、長くした分だけ、成育によい影響を与えるわけではありません。
タイマーで10時間に設定して、毎日一定の光量を確保しています。
耐寒温度が-5℃という情報を見かけることもありますが、自宅の株は、そこまで寒さに強い印象はありません。
冬に室内に取り込む場合は、最適気温が0~5℃になったタイミングを、目安にしています。
光の量が足りないと徒長しやすい点も、「吉祥冠錦」の特徴のひとつ。
なるべく長い時間、日が当たる環境で育てることがベストですが、真夏の光が年々強くなってきているので、様子をみながら育てていく必要があるでしょう
水やり
アガベが自生しているメキシコは雨が少なく、年間降水量で比較すると、日本の半分以下しかありません。
そのため、水やりを控えめにするのが、基本的な育て方です。
春から秋までは、雨が直接当たる“雨ざらし”の環境で育てているので、基本的に水やりは雨任せ。
夏に雨が降らない日が1~2週間続く場合や、液体肥料を与える際に水やりをすることはありますが、それ以外のタイミングで水やりをしてしまうと、水分過多によって調子を崩す原因にも、なりかねません。
冬は室内に取り込み、植物育成用LEDライトで一定の光量を確保できているので、土が完全に乾いたら水やりをしています。
水やりをするときは、一年を通して鉢底から溢れ出てくるまで、たっぷりと与えています。
株がまだ小さいうちは、株の成長を促すために、ほとんど毎日のように水やりをしていました。
ただしそれは、土の排水性がよいからできること。
水持ちのよい土を使用している中で水やりを頻度を上げると、根が呼吸できず、「根腐れ」の原因となってしまうでしょう。
「吉祥冠錦」は体内に多くの水分を蓄えているので、霧吹きで水をかける葉水(はみず)を行う必要はありません。
自宅では、「乾燥させるときはしっかりと乾燥させ、水を与えるときはガッツリ与える」ことを、基本的な水やりサイクルとしています。
肥料
「吉祥冠錦」は、多くの肥料分を必要としません。
肥料の与え過ぎは、徒長につながるリスクが高まります。
植え替えの際に、ゆっくりと効果を発揮する固形肥料「マグァンプK」を土に混ぜ込んでいます。
「マグァンプK」は、肥料焼けのリスクが低く、オススメの肥料です。
また春から秋の成長期にかけて、年に3~4回と頻度は低いものの、液体肥料を与えています。
ただし、固形肥料の効果が持続しているのであれば、液体肥料を与えなくても健康的な成育ができると思います。
液体肥料を与える場合には、サボテン類と同じ濃度に薄めて使用し、過剰に与えることは避けましょう
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