多肉植物(エケベリア)は鉢の大きさで、成長にどれほど差が出るのか!?

コンパクトな多肉植物は、ギュッと詰まった株に人気が集まります
大きな多肉植物は、自生地で育つようなワイルド感があふれ、また違ったよさがあるもの

『植物は、植わっている鉢のサイズに比例するように成長する』と言われます。
ただし、これまで同じ品種の植物を異なるサイズの鉢に植えたことはなかったので、鉢の大きさが植物の成長にどのような影響を与えるのか、気になっていました。
本記事では、同じ遺伝子をもった多肉植物「エケベリア」を、異なるサイズの鉢で育てたときの様子をご紹介します

今回の検証結果によっては、自分好みに植物を仕立てられるヒントが得られるでしょう

スポンサーリンク
目次

多肉植物を大きく成長させるには

多肉植物を大きく成長させたい場合は、株が開放的に元気よく過ごせる環境を提供し、その環境を保つことがもっとも有効な方法です!

多肉植物が元気よく過ごすためには、以下の環境が必要です。

多肉植物が元気よく過ごせる環境
  1. 日によく当てる
  2. 水やりをする(乾燥気味に)
  3. 成長期に少量の肥料を与える
  4. 風通しがよい環境で育てる
  5. 排水性&通気性がよい培養土を使用する
  6. 暖かい気温を保つ
  7. 根が開放的に伸ばせる環境で育てる  など

要するに『光合成をし、水や肥料分を吸い上げ、葉や根で呼吸をし、快適な気温の中で開放的に根を伸ばす。』ことで、多肉植物は大きく成長するということです!

『根が開放的に伸ばせる環境で育てる』の効果を検証

今回は、『根が開放的に伸ばせる環境で育てる』の効果を検証します。

極端に大きな鉢は、なるべく使用しない方がよいとされる理由

植物を鉢で育成する際に『株のサイズよりも、極端に大きな鉢に植えることは避けた方がよい。』とされています。
大きな鉢を使用しない方がよい理由は、水やりをしたあとに、鉢内の土が乾きづらくなるため。
土が濡れた状態がつづくと、鉢内で雑菌が増殖し、植物の根が酸素を吸えないことで、根腐れにつながってしまいます。

裏を返せば、たとえ極端に大きな鉢に植物を植えたとしても、土が乾きやすい環境がつくれれば、根腐れのリスクは高まらないということになります。

根腐れ防止の対策

そこで今回の検証では、根腐れ防止のために、以下の対策を講じました。

根腐れ防止策
  • 排水性&通気性を重視した培養土を使用
    • 「日向土(ひゅうがつち)」や「鹿沼土(かぬまつち)」、「赤玉土(あかだまつち)」などを中心に配合
  • 乾きやすい鉢を使用
    • 鉢の側面に切れ目が入った「スリット鉢」に植え付け

「スリット鉢」については、以下の記事でメリットやデメリットについて、詳しく解説しています
ご興味があれば、あわせてお読みください

多肉植物(エケベリア)の成長記録

株ごとの個体差があると検証結果に影響が与えるため、同じ遺伝子をもった「エケベリア」を準備しました。

同じ親株から採った葉から、葉挿しをして育てている「エケベリア」がいたので、検証に参加してもらいます

2023年9月19日(September 19, 2023)

しばらく植え替えていない多肉植物「エケベリア」

ここ2~3年ほど植え替えていない、多肉植物「エケベリア」です。

鉢から抜いたときの様子。

水気を失い、茶色く枯れ込んだ下葉が、二重三重になっています…。
この「エケベリア」は、いずれも同じ鉢に植えていたので、お互いの根が絡まっています。

培養土は園芸用のふるいにかけ、まだ使用できるものは、なるべく再利用しました。

不要な葉は取り除きました

枯れた下葉は付けたままにしていると、蒸れる原因になり、株にとってメリットはないため取り除きました。
また下向きに展開している葉は、培養土に植え付ける際に厄介なので、あわせて取り除きます。

取り除いた葉のうち、水分を蓄えている健康的な葉は、このあと「葉挿し」をしました。

枯れた根も整理しました

根の状態もよくなかったので、このタイミングで整理しました
元気がよさそうな白い根だけを残し、それ以外の不要な根は切り落としています。

「エケベリア」はとても強い植物なので、葉や根を多少失ったところで、大きな影響はないでしょう。

整理したあとの「エケベリア」の様子。

葉&根を整理し、スッキリした見た目になりました

その後は、それぞれの株を鉢に植え付けていきます。

植え付けが完了しました。

検証結果が分かりやすくなるように、以下のように植え付けました。

  • 大きい株を、小さな鉢に植え付け
    • 鉢は「プレステラ90」を使用
  • 小さい株を、大きな鉢に植え付け
    • 鉢は「プレステラ120深鉢」を使用

いくら強いエケベリアでも、植え替えの際に根を整理しているので、1~2週間ほどは屋外の日陰で休ませます。

途中で調子を崩してしまったら、検証をつづけられなくなるため、ここは慎重に進めます。

培養土に配合している殺虫剤は、以下の「オルトラン」です。
殺虫成分を植物が根から吸い上げ、その植物を食べた害虫に、効き目が出るタイプの殺虫剤です。
園芸を趣味にしている方だけではなく、プロの方も使用しています。
少し鼻にツーンとくる臭いはありますが、培養土の中に植えて使用するので、いちど配合してしまえば気になりません。

2023年9月30日(September 30, 2023)

検証開始から、11日が経過しました。
日陰でのひと休みは終了し、これから徐々に、日当たりのよい場所に移動します

日当たりなどの育成条件に違いが出ないように、鉢は隣同士に置きます

  • 日当たり
    • 午前中から夕方まで直射日光によく当てる
  • 水やり
    • 土が完全に乾いたタイミングで与える
スポンサーリンク

2023年11月19日(November 19, 2023)

検証を開始してから、ちょうど2か月が経過したところです。

早くも2株の成長度合いに、違いがあらわれました

2株の成長度合い
  • 大きかった株
    • 葉数は多少増えたものの、株の直径に大きな変化は見られない
  • 小さかった株
    • 葉数が2倍ほどに増え、鉢の直径と同じくらいのサイズに成長

展開している葉数は、まだ大きかった株の方が多いですが、直径は同じぐらいになりました!

今回の検証は、長期戦になるかもしれないな。

と思っていたので、意外な進捗状況です!

「エケベリア」は、10~25℃ほどの暖かい季節を好む植物です。
検証開始のタイミングがよく、植え替えのストレスから回復したときに、成長期の秋を迎えたのでしょう

あと2週間ほどで12月に差しかかり、気温が低下していきます
冬のあいだは、雨や霜が直接当たらない屋外の軒下で育てる予定です。
育成場所は、最低気温が0~1℃ほどまで下がるため、寒さで成長速度は落ちるかもしれません。

2024年5月6日(May 6, 2024)

前回の記録から、半年が経過しました。

2株とも寒い冬を無事に乗り越え、春の開花シーズンを迎えています

花芽を上げている「エケベリア」の様子。
どちらの株も、咲かせている花の数は同じくらいです。
2株の成長度合い
  • 大きかった株
    • 葉数が増えておらず、株の直径にも目に見えた変化は見られない
  • 小さかった株
    • 前回の記録から葉数がさらに増え、鉢の直径を超えるくらいまで成長

もともと小さかった株が大きく成長し、株の直径は完全に逆転しました
特にあたらしい葉の大きさを比べると、2倍ほどの差が見られます。

冬のあいだは、ほとんど成長しないと思っていましたが、特に小さかった株に成長が見られました。
多少気温が低くても、根を張るスペースが十分にあれば、「エケベリア」は成長をつづける植物なのかもしれません。

大きかった株の下葉が枯れはじめ、このままの環境では調子を崩しそうなので、以上で今回の検証は終了します

『根が開放的に伸ばせる環境で育てる』の検証結果

今回の8か月にわたる検証では、以下の結果になりました

  • 鉢の大きさによって、株のサイズに顕著に違いがあらわれる
    • 株をコンパクトなまま育てたい場合は、小さな鉢に植え付ける
    • 株を大きく育てたい場合は、鉢のサイズを上げる
  • 鉢の大きさによって、開花数に大きな変化は見られない

自宅で育成している「エケベリア」などの成長記録は、以下の記事でまとめています
よろしければ、あわせてお読みください

多肉植物(エケベリア)の育成環境

日当たり

「エケベリア」は日光浴が好きなため、直射日光によく当てるのが、基本的な育成方法です
日照が不足すると、葉が間延びする徒長を起こし、株を健康的に育てられない原因にも…。

自宅では一年を通して、1日3~4時間ほど直射日光が当たる、屋外の軒下で育てています。

本記事でご紹介した株は、真夏の直射日光に当てても葉焼けを起こしたことはありませんが、自宅で育成している他の「エケベリア」は、葉焼けを起こしたことがあります。
暑い季節は、午前中に直射日光に当たり、午後から日が当たらなくなる場所に置くなど、日照量を調整した方が無難です。

水やり

「エケベリア」は乾燥が進む地域でも生きていけるように、体内に多くの水分を蓄えています。
水やりは控えめにし、乾燥気味に育てるのが基本的な育成方法です。

春と秋の自宅での育成環境は、土が完全に乾いてから3~4日後に水やりをしています。
最高気温が30℃以上の季節は、春と秋と同じペースで水やりをしていると、株がジュレる(腐る)可能性を高めることに…。
1か月に2~3回ほどの頻度まで、水やりの頻度を下げています。

冬は水やりの頻度を下げると、寒さへの耐性が増すので、1か月に1~2回ほどの水やりに抑えています。

植物の耐寒性については、以下の記事でまとめているので、ご興味があればお読みください

肥料

「エケベリア」は、栄養分の少ない土壌で暮らしているため、多くの肥料を与える必要はありません。
特に、真夏と冬は肥料を吸い上げなくなります。
暖かい成長期に少量の肥料を与えることで、健康的な成長を見せるでしょう。

自宅では、培養土に固形肥料(緩効性肥料)「マグァンプ」を配合し、液体肥料は与えていません。

もし液体肥料を与えるのであれば、サボテン類と同じ希釈率まで薄め、春と秋に使用することが望まれます。

スポンサーリンク
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次