植物への「水やり」~育てている植物を元気に育てるための9つのポイント~

植物の水やりを習得する

ガーデニングの世界には、“水やり3年”という言葉があります!
植物への水やりについて、適切な水やりを行うことができるようになるには、最低でも3年間はかかるという言葉です!

通常は3年間かかる水やりの習得期間を、もしも短縮することができたら、枯らしてしまう植物の数を減らせることができるでしょう!

本記事では、観葉植物の水やりについて深堀りしていきます。

目次

植物が枯れてしまう原因

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自分のことを、「サボテンすら枯らしてしまうズボラな性格なんです。」と言われる方もいますが、サボテンは雨があまり降らない地域で育っているので、ちょっとやそっと水やりを忘れたところで、枯れづらい植物のひとつ。

鉢植えで育てている植物を枯らしてしまう原因でもっとも多いのは、“水のやらな過ぎ”ではなく“水のやり過ぎ”による根腐れだといわれています。

植物の根も多少なりとも呼吸をしていますが、水やりをし過ぎてしまうと、植物の根が呼吸をすることができません。
呼吸をできずに窒息状態に陥り、最終的に腐った症状を起こしてしまうのです。

植物が枯れてしまう原因は、ほかの記事で詳しく書いているので、ご興味があればお読みください。

水やりの難易度

植物の育て方が掲載されている園芸本や、実際に植物を販売しているガーデニングショップでは、下記のように水やり頻度を紹介していることが多いでしょう。

水やりの頻度
  • この品種への水やり頻度
    • 春から秋までの暖かい季節:週に★回
    • 冬の季節:月に☆回

この水やり頻度を守っていれば、植物を健康的に育てられそうなので、植物を育てた経験のないひとからすれば、ありがたい情報のひとつになると思います。

しかし、必ずしもこの水やり頻度が適切な水やり頻度とはいえず、その情報はあくまでその植物を育成している生産農家さんの育成環境だったり、植物の記事を書いている方の育成環境の情報に過ぎないもの。
書いてあるとおりに水やりをしていても、“水やりトラブル”で植物を枯らしてしまうこともあるでしょう。

水やりは植物に水を与えるだけの単純な作業と思われることも多いですが、水やりの習得に3年もの年月を要するのは、参考にできる情報が少ないところが主な理由です。

日本には、真冬の季節には氷点下に達する寒さが訪れる北海道から、真冬の季節でも一定の気温が保たれる沖縄までさまざまな地域があるもの。
冬が降り積もる地域もあれば、冬が降ったらニュースに取り上げられる地域もあります。

気温だけではなく、湿度や風の強さなど、地域ごとの特性があります。
特に、屋外で植物を育てている場合は地域による環境の差に加えて、次のような影響も受けるでしょう。

植物に与えるさまざまな外的要因
  • 植物を置いている場所が、北向きか南向きかなどの方角
  • 日当たり
  • 風の強さ(風通し)
  • 雨が直接あたるか
  • 標高
  • 海沿いか、内陸か

そのほかにも植物を植えている用土の乾きやすさや、そもそも水をどれぐらい必要とする植物なのかも、品種によって特徴はさまざま。

こういったさまざまな要因を考慮した上で、水やりをしていかなければならないので、単純とも思われる水やりですが、習得に3年もの長い時間がかかってしまうといわれているのです。

水やりの9つのポイント

最終的には、実践で習得していくしかない植物への「水やり」ですが、いくつかのポイントをおさえておけば、もっと短期間で習得することもできます!

ここでは、水やりのポイントを9つご紹介していきます。

①:水やりは用土が乾いてから

用土がいつまでも乾かないと、雑菌の繁殖や根腐れなどにつながってしまうため、水やりは用土が乾いてから行います。

また、植物の根は水が足りていない状態だと、水を求めてよく成長する特徴をもっています。
用土が乾いてから水やりをすることで、植物の根をよく成長させることができるので、強い性質をもった植物に育てることができるでしょう

そもそも、用土が乾いているのか濡れているのかを見極めることができなければ、水やりのタイミングも分からないので、用土の乾き具合を判断する基準を設けることが重要です!

用土の上に敷く「化粧石」や「マルチング材」は、害虫を防ぐなどのメリットもありますが、下に使用している用土が乾いているのか、見た目で判断するのが困難になるといったデメリットも・・・。
園芸初心者の段階で化粧石まで使いこなすのは、なかなか難易度が高いといえるでしょう。
化粧石などに手を出していくのは、ある程度「水やり」を習得できてからでも、遅くはありません。

また、「赤玉土(あかだまつち)」や「鹿沼土(かぬまつち)」など、乾いているときと濡れているときで、色が顕著に変わる土を混ぜ込むと、目で見て、水やりのタイミングが確認しやすくなります!

美観目的な面を気にされる場合にはオススメできませんが、鉢内の土が濡れているかどうかをチェックする方法には、鉢の土の中にあらかじめ割りばしを挿しておき、その割りばしを都度抜いて、割りばしの色によって濡れているのか判断する方法もあります。

大きめなガーデニングショップに足を運べば、「水やりチェッカー」を購入することもできるでしょう。
割りばしよりも見た目的に優れていて、価格的にもそこまで高いモノではなく、土の乾き具合が一目瞭然なので、「水やり」を習得したい場合にはオススメ!
「水やりチェッカー」は、Amazonなどでも購入が可能です。

多肉植物やサボテンなどの植物は、体内に多くの水分を蓄えているので、ある程度の大きさにまで成長している株であれば、水やりは少なめの方が健康的に生きていける植物です。
成育期には用土が乾いてから3~4日後に水やりをすれば充分ですが、観葉植物は水分の不足にデリケートな性質をもっているもの。
特に暑い時期に、水やりを忘れてしまうと、葉焼けなどの致命的なダメージを受けやすいです。

また、水が足りていないと葉が萎れてくるなど、植物自体に変化が出てくることもあるので、植物が出しているサインを見落とさないようにすることも、ポイントのひとつ!

植物の成長を促すために、あえて大きめな鉢に植えているときは、植物が鉢の中に充分に根が張れていないので、用土が乾いているように見えても鉢内の用土はまだ湿っている。といったことが頻繁に起こります。
鉢は植物に合った大きさに植えることを基本とし、あまり大きすぎる鉢には植えない方が無難です。

大きな鉢に植えて植物の成長を促したい場合には、通常使用している培養土よりも、水はけや通気性に優れたものを使用することで、植物を枯らすリスクを軽減させることができるでしょう!

②:鉢底から流れ出てくるまでたっぷりと

鉢の中にいる雑菌や鉢底から侵入してきた害虫を洗い流すため、そして鉢内に新鮮な酸素を送り込むために、「水やり」をするときは鉢底から流れ出てくるまでたっぷりと与えることが重要です。

植物は根からも空気を取り入れているので、鉢内の空気を新鮮に保つことが望まれるのです!

冬の間もたっぷりと与えるのが基本となりますが、鉢内の土が乾かない状態が続くと、植物が根腐れを起こすリスクが高まることにも・・・。
気温が低い環境や風通しが悪い場所では、特に土が乾きづらくなっているので、日々の観察の中で鉢内の土が乾くタイミングを把握し、「水やり」の量を調整していくことが必要となるでしょう。

根腐れの危険性を回避するためには、霧吹きで植物の葉に水をかける「葉水(はみず)」で水分補給を行うことも、ひとつの方法です!

水やりをしたときに、以前よりも与えた水が鉢底から流れ出てくるまでに時間がかかるようになった場合、鉢内が根でギュウギュウになっている“根詰まり”を起こしていることや、用土が劣化している可能性があり、植え替えの適期を迎えているかもしれません。

水やりをするときには与えた水が鉢底まで流れ出るまでに、どれぐらいの時間がかかっているのか、注意して確認することで植物育成に役立てることができます!

③:用土の全体に水が行き渡るように

植物に水やりをしているつもりでも、意外と用土の中まで、しっかりと水が浸透していないことがあります。

特に大きな葉を展開させたり、葉を密集させている植物を植木鉢に植えている場合は、植物の葉に水がかかっていても、葉が水やりの妨げになるカタチで鉢内に水が浸透していないこともあるので、注意が必要です

植物は、葉からも水を吸い上げることができますが、水分補給のメインは根から行っているモノ。

汚れや害虫対策として葉に水をかけることも必要ですが、植物の幹付近の用土にしっかりと水がかかっていることを確認し、枝葉が生い茂っている植物に対しては、葉や茎の部分を手で抑えながら用土に水が浸透するようにする必要もあります。

また、偏った箇所に水やりをしていても、植物の根が張っている箇所全体に水が行き渡らないこともあるので、まんべんなく水やりをすることが重要です。

シャワーヘッドを使用して水やりをすることで、広範囲への水やりがしやすくなるでしょう!

④:週に☆回という情報に頼り過ぎない

前述のように、さまざまな要因が重なることで適切な水やりの頻度は変わってくるので、「週に☆回の水やりをしましょう!」という情報があったとしても、頼り過ぎないようにすることが重要です。

「週に☆回」という情報は、まったく確認する必要がないというワケではありませんが、ひとつに参考程度に留めましょう。

自分が植物を育てている環境は、自分にしか把握できないので、出回っている情報を鵜呑みにしないようにし、自分が育てている植物への、適切な水やり頻度を見極めていくことが必要です。

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⑤:受け皿の水は捨てる

室内で植物を育てている方は、植木鉢の下に、受け皿を使用していることも多いのではないでしょうか。

市販されている受け皿は、植木鉢とセットで売られていることもあるので、鉢と同じデザインで使いやすい特徴があります!

土汚れなどを防ぐ目的で使用される受け皿ですが、その受け皿に水が溜まったままになっていると、用土がいつまでも湿ったままの状態となり、鉢の中では雑菌が増殖してしまいます。
また受け皿に水が溜まっているということは、鉢底から空気が出入りができなくなってしまうことでもあるので、酸素が欠乏する原因にも・・・。

水やりをした後には水をしっかり切るようにし、受け皿に水が溜まっている場合は、必ず溜まっている水を捨てましょう!

鉢底から水を吸わせてる「底面吸水」という水やり方法もありますが、底面吸水の場合は、何分間か水に浸けるのが基本的な方法です。
植木鉢を水に浸けている間に、ほかのことをやっていて底面吸水をしていたことを忘れてしまった結果、植物を何時間も水に漬けてしまった・・・ということにつながりかねないので、あらかじめスマートフォンでタイマー設定をしておくなどの対応が必要となります。

底面給水専用の鉢であれば、何分間か水に浸ける作業は発生しないので、失敗するリスクを減らすことができるでしょう!

下記の記事で、底面給水について詳しくご紹介しているので、よろしければお読みください。

⑥:水やりをする時間帯にも気を付ける

季節によって、水やりをするのにベストな時間帯は変わってきます!

夏に水やりをする場合は、日中は気温が高くなり過ぎるので、早朝か夕方以降に与えるのが基本となります。
また、冬は早朝や夜間は気温が低下して水の凍結などにつながることもあるので、早朝や夕方以降の時間帯は避けて、気温が上昇してきたタイミングがベストな時間帯となるでしょう!
早朝とは、どれぐらいのタイミングかというと、朝日が昇り始めるタイミングです。
そのタイミングでは起床できない場合には、夕方以降に水やりをすることが望まれます!

春と秋の暖かい季節に水やりをする場合は、朝に与えるのが基本となりますが、早起きが苦手なのであれば夕方に与えても、大きな問題はありません。

強い品種であれば、どの時間帯に水やりをしても特に影響が出ないことが多いですが、品種によっては時間帯を間違えただけで大きなダメージへとつながることもあります。

また、夏の日中に植物が水切れを起こしている場合は、夕方まで待つのではなく、水やりをした上で、いつも育てている場所よりも日当たりが弱い場所に移動させることが望まれます。

あくまで時間帯は目安に過ぎないので、植物の状態にあわせて、臨機応変に対応していきましょう

⑦:泥はねに注意する

用土の中には、たくさんの菌がいます。
植物に良い影響を与える菌もいれば、逆に植物に害を与える菌も存在しているモノ。

植物の根は、用土の中の菌にも負けないように進化していますが、植物の葉や花、そして幹の部分は用土の中の菌に適応していません。
泥による汚れが付着するだけならまだしも、泥はねによって病害虫から植物が標的になってしまうことも・・・。

泥はねが葉などに付かないように、水やりは勢いよく用土にかけないことがポイントです。

ただし、葉などに付いた害虫は、ある程度水圧で退治できるので、植物自体に適度な水圧をかけることは、害虫対策としては良いことです。
メリハリのある、水やりが望まれるでしょう。

⑧:季節による違いを意識する

日本は、四季による変化が激しい国です。
季節による変化を見逃さず、水やりを調整していくことで、植物を健康的に育てることができます。

四季による違いと聞くと、気温だけに目が行きがちですが、気温だけではなく日射角度にも違いがあります。
実際に、真夏は太陽がかなり高い位置まで昇っていますが、冬の季節にはあまり高い位置まで昇ることはありません。
夏の季節に、日本の土地から太陽の位置の角度は約80度あるのに対して、真冬の太陽の角度は約30度に留まります。

夏は朝から夕方まで直射日光が当たっている場所でも、冬になるとほとんど日光が当たらなくなる場所に変わるなど、季節の変化を受けるよくあることです。
一年の中でも、植物を取り巻く環境には大きな変化が生じるので、季節による違いを意識することも重要なポイントといえるでしょう!

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⑨:植え替え後の水やりは品種によりきり

植え替え直後には、植物の根が用土の中にうまく張れていないことから、根から水分補給をしてもらうために、水やりをするのが基本となります。
植物は植え替えによって少なからずストレスを感じていますが、そのストレスから少しでも早く回復してもらうために、成育に必要な水を早めに与えるのです。

ただし、植え替え後の水やりについては、品種によっては早めに与えない方が良い品種がいるのも事実。
多肉植物やサボテンは、植え替え直後には水やりを控え、傷ついた根から雑菌が侵入するのを防ぐことが優先されます。
多肉植物などは、多くの水を溜めている品種なので、水やりをすぐに与えなくても大丈夫ということでもありますが、品種によって植え替え直後に与える水やりのタイミングは違うので、注意が必要です。

まとめ

同じマンションに住んでいても、上階の方で育てているのか下階の方で育てているのかにより、植物を取り巻く環境は大きく変わってきます。

本記事で触れてきたとおり、水やりを与えるタイミングは、植物を育成している環境によって、そして植物それぞれで異なるでしょう。

植物は、生産農家さんやガーデニングショップなどにお勤めの方でも、枯らしてしまうときは枯らしてしまうぐらい、難易度高いもの。

本記事でご紹介したポイントを抑えて、時には失敗もしながら習得していくものだと考えます!

“失敗は成功のもと”です!

本記事では、水やりのポイントを9つご紹介しました!

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