多肉植物を増やす
ハオルチア属というグループに所属している多肉植物は、世界中に500品種存在するともいわれています!
葉先に透き通った“窓”を持つ植物としても知られ、「砂漠の宝石」といった別名を持っている植物が、ハオルチア属の「オブツーサ」という品種です!
さらに「オブツーサ」の中にも、園芸品種を含めて複数の品種が存在しますが、旺盛に子を吹き、どんどん増えていく品種がいれば、数年育てていてもそこまで多くの子株をつけない「オブツーサ」もいるのが事実。
自宅で育てている「オブツーサ」の中に、鉢の中で窮屈そうに過ごしている「オブツーサ」がいたので、株分け(かぶわけ)をして開放的な環境を提供したときのことを、ご紹介します!
本記事が、これから多肉植物の株分けをしようとしている方、そして多肉植物を増やしたい方の参考になれば幸いです!
植物の「株分け(かぶわけ)」とは
植物における株分け(かぶわけ)は、脇から子株を吹く植物に使われることばのひとつ。
子株を付けた植物を、それぞれ別の個体にすることをいいます。
単に育てている植物を増やすためだけではなく、植物を取りまく環境を改善する目的もあります。
植物を地面に植えている「地植え」の環境では、植物が子株を吹き群生していっても、そのままの環境下で育てていれば問題ありませんが、鉢の中のスペースは限られているもの・・・。
鉢内の植物を密集したまま放置していると、成育場所をなくした植物は、やがて不調を訴えることになるでしょう。
また、植物同士が密集し過ぎた状態では、植物同士がギュウギュウに押し合うカタチで、多湿につながり蒸れによって調子を崩してしまうことにもなりかねません。
密集した植物を「株分け」することで、多肉植物が健康的に育つことのできる環境を、確保できることにもつながります。
育てているひとにとってはお気に入りの植物が増えることになり、育てられている植物にとっても成育環境の向上につながるので、「株分け」は双方にとってメリットが大きい園芸技術といえます!
日本の環境では「地植え」に向かないハオルチアを、長いあいだ健康的に育てていくために、「株分け」の作業は必須となるでしょう!
ハオルチア「オブツーサ」の株分け
まずは、株分けをするハオルチア「オブツーサ」の様子です!
この「オブツーサ」は、神奈川県川崎市にある多肉植物の専門店、「タナベフラワー」からお迎えしてきました!
お迎えしてからの成長記録や自宅での育成方法は、下記の記事で書いています。
自宅にお迎えしてきてから、すでに2~3年ほど経過していますが、いまだかつて植え替えをしたことはありません・・・。
もともとたった1株の「オブツーサ」でしたが、気づけば、どの個体が親株でどの個体が子株なのか、分からないぐらい群生しています!
以前は青々とした葉を展開していましたが、今は葉の色も紫色に変色している状態に・・・。
この写真では見えませんが、新しく生えてきた根が、鉢の外側にこぼれ落ちている部分もあります。
これ以上このままの状態で育てていくのは、すこし無理がありそうです。
鉢も、土の中が蒸れやすいビニールポットに植えられていましたが、よくここまで成育してくれたものです!
秋の暖かい時期に差しかかったので、「オブツーサ」の植え替えの適期と判断し、植え替えとともに株分けを決行することにしました!
「オブツーサ」にとって、暑すぎる夏の季節や寒い冬の季節は、植え替えには向かない季節となるので、植え替えや株分けをするのであれば、春や秋のタイミングで行うのがおすすめです!
ビニールポット(鉢)から出す
まずは、「オブツーサ」をビニールポットから出していきます!
ビニールポットの良いところは、鉢がやわらかいので、植えられている植物を取り出しやすい点。
鉢の側面だけではなく、鉢底の方から植物を押し出すことで、植えられている植物を取り出すことに、それほど苦労はしないでしょう。
硬い鉢だと鉢から植物を出す作業に手こずることもありますが、鉢がギュウギュウの状態でも、わりとスムーズに鉢から出すことができました!
「オブツーサ」に限らずハオルチア属の植物は、わりと控えめな見た目をしているものですが、土の中では意外と立派な根っこを生やしている特徴があります!
今回も、立派な根っこを付けた「オブツーサ」があらわれました!
根の状態は、白っぽくて調子が良さそう!
そこまで土の粒が粉々に崩れていなかったので、数年間植え替えをしない状態でも調子を崩さなかったのは、良質な土の影響があったのだと思います。
多肉植物の土は、再利用することもできるので、今回も土の再利用をしました!
園芸用土のリサイクルについては、下記の記事で書いています。
根を崩していき、株ごとに分けていく
ビニールポットから「オブツーサ」を出したら、根や土を崩しながら株ごとに分けていきます!
株分けの作業では、この作業が、もっとも重要な工程といえるでしょう!
ずっと植え替えをしないでいると、根や土が固まり、根っこ同士が絡まっているので、なかなか根をほぐしていく作業には時間がかかることも・・・。
ただ、ここで力任せに株ごとに分けていこうとすると、不必要に根っこを切ってしまうことにもなるので、多少時間がかかっても慎重に根と土を崩していくことが必要となります。
鉢から出した「オブツーサ」は、それぞれの株がすでに自分自身の根を出しているので、このまま植えていくことができそうですが、株に根が生えていない場合には、ここから発根を促す作業が必要となるでしょう。
まだまだ小さすぎる株もありますが、株分けをした後の株の数は、全部で9株!
「オブツーサ」を土から出した状態は、足の生えた宇宙人のようにも見えてきます
慎重に作業を進めたつもりですが、根っこ同士がかなり絡まっていたので、多くの根が切れてしまいました。
このような状態にならないためにも、植え替えや株分けの作業は、サボらずに定期的に行っていくことが必要ということでしょう・・・。
多肉植物用の培養土に植える
「オブツーサ」を株ごとに分けたら、多肉植物用の培養土に植えていきます!
小さな2株は1つの鉢に一緒に植えたので、株の数は9株ですが、鉢の数は全部で8個になりました!
ある程度の大きさに成長した「オブツーサ」は、問題なく成育してくれそうですが、小さな2株が少し心配なところ・・・。
だいぶ葉の色が悪くなっている状態ですが、新しい鉢に植えて開放的なスペースを提供したので、今後立ち直ってくれることを期待しています!
自宅で育てている多肉植物には、排水性や通気性に優れた培養土を使用しています。
配合割合などについては、下記の記事で書いているので、ご興味があれば参考にしてみてください!
アガベを題材にして書いていますが、多肉植物全般的に使用できる培養土となっています。
また、多肉植物の植え替えには、土の中の微塵を取り除いてくれる「土入れ」があると便利です!
水で締める
それぞれの株を鉢に植え替えたら、最後に水やりをして、株分けと植え替えの作業は完了です!
ハオルチア属の植物にとって、植え替え後3~4日ほど水を与えないことが理想的ですが、これまでハオルチアの植え替え直後に水やりをしたことで、調子を崩したことはありません!
もし心配なら、水やりは3~4日後から再開することをおすすめします!
植え替えをしたあとに水やりをすることで、土が粉々になった微塵(みじん)を、鉢底から取り除くことができます。
微塵は、通気性や排水性を重視する多肉植物の土にとっては、成育を阻害する存在ともなるので、水やりをするときは、鉢底から出てくる水の色が透明になるまで、しっかりと与えることがポイントです!
自宅では、微塵を抜いてくれる「土入れ」を使用しているので、植え替え時にある程度の微塵は取り除かれていますが、それでも水やりをすると、最初のうちに鉢底から出てくる水は、茶色に染まっています。
また、最後に水やりをすることで、植物の根が土を捕まえることができ、結果として根が安定しやすくなるので、そういった面からも水締めの作業は必要なものといえるでしょう。
植物への水やりについては、下記の記事で詳しくご紹介しています。
まとめ
ハオルチア属の多肉植物を増やす方法は、ほかにもたね蒔きや、葉挿しなどの方法もありますが、もっとも確率の高い方法、「株分け」について、ご紹介してきました!
株が大きく成長している場合は、本記事でご紹介したように手でほぐしていくことで株を分けることができますが、株がまだ大きく成長していない状態でも、ナイフで強制的に切り分けることで別々の個体にすることができます!
是非、砂漠の宝石こと「オブツーサ」を、ご自宅でたくさん増やしてみてはいかがでしょうか!?
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