ベランダで植物を楽しむ
分譲マンションには、個々人がそれぞれ所有している居室である「専有部分」と、廊下や階段などのマンションの所有者全員で所有している「共用部分」がありますが、ベランダは「共用部分」にあたります。
共用部分には基本的に私物を置くことはできませんが、その原理でいうと植物も置くことはできないのでしょうか!?
植物好きには気になるポイントですが、認識が曖昧なままマンションに住んでいる方もいるのではないかと思います。
結論からいうと、ルールを守ってさえいれば、ベランダには植物を置くことができる場合が多いです。
今回は、植物好きな方が共同住宅に住むにあたっての注意点について、解説していきます!
- 保有資格「マンション管理士」「管理業務主任者」「宅地建物取引取引士」
- マンション管理会社へ勤務
マンションで園芸を楽しむスペース
下階に「専用庭」という個人が使用できるお庭が付いているマンションもありますが、基本的に「専用庭」を利用できるのは一部の居住者に限られるので、多くのマンションの居住者は園芸をするとしたらベランダで楽しむことになります。
特に首都圏では購入金額の面で、お庭が付いている戸建てを購入するハードルが上がっているので、正直なんともいいがたいですが、植物愛好家としては「お庭」の有無が、戸建てとマンションとの最大の違いといえるでしょう。
ベランダとバルコニーの違い
一般的に日常用語のなかでは、あまり厳密に区別されて使用されていませんが、「ベランダ」と「バルコニー」の違いをご存知でしょうか!?
2つの違いは“屋根の有無”で、「ベランダ」には屋根があり、「バルコニー」には屋根が無いといった違いがあります。
さらに「バルコニー」には「ルーフバルコニー」といって、下の階の屋根(ルーフ)の上につくられる、面積が広めなバルコニーもあります。
屋根が無いバルコニーでは雨水が植物に直接あたるため、特に梅雨どきなどには多湿を苦手とする植物に、雨水があたらないようにする工夫が必要となります。
また、ベランダでは結構な強風をともなう雨が降らない限り、植物に雨があたりません。
水やりの管理でいえば、意図しない水があたらないベランダの方が管理がしやすいですが、水やりの回数が増える特徴はあります。
マンションでは、「バルコニー」よりも「ベランダ」の方が多いため、本記事では「ベランダ」で統一します。
ルールはあらかじめ決まっている?
分譲マンションの場合、あらかじめ「管理規約」や「使用細則」といったルールブックが、マンションごとに定められているケースが一般的です。
ルールブックでは、「容易に移動ができない植木鉢を、ベランダなどに置いてはならない。」といった規制がされていることもあれば、されていないケースもあります。
また、賃貸アパートなどでは賃貸借契約書や、場合によっては重要事項説明書に園芸の規制がされていることもありますが、分譲マンション同様に、どこにもルールの記載がないケースがありますので、その場合は管理会社に問い合わせをする必要があります。
ここでは、分譲マンションのルールについて、もう少し深堀りしていきます。
管理規約のパターン事例
マンションごとに定められているルールは違うので、いくつか代表的な事例を紹介していきます。
パターンA:全面禁止
数としてはあまり多くはありませんが、ベランダでの園芸を全面禁止としているマンションもあります。
一般的に、共同住宅のなかでも31mを超える建物を「高層マンション」といい、60mを超える建物を「超高層マンション」とされます。
高層マンションでは、ほかのマンションよりも強い風が吹きやすく、強い風によってベランダに置かれているモノが飛ばされやすいという特徴があります。
また、一度モノが手すりの外へと落下してしまうと、高い建物ゆえに、大事故に発展してしまう可能性が高いのも特徴としてあげられます。
そのため、マンションによってはベランダでプランターや植木鉢を含めて、私物を置くことを全面禁止としているマンションもあるのです。
パターンB:場所による
ベランダでの園芸を全面禁止とはせずに、プランターや植木鉢を置いてもいい場所(範囲)を指定しているマンションもあります。
たとえば、「●●より●cmの範囲内で置くことができる」等の規定ですが、管理規約に定めがある以上はやはりルールを守っていく必要があります。
マンションによっては「避難はしご」といって、廊下で火災などがあった際に、ベランダから下の階におりていけるようなつくりになっていることもあります。
避難はしごの下に物品が置かれていると、有事の際に避難に支障がでる状況になってしまうので、このようなルールを定めているのです。
ベランダに物品が置かれていないかどうかも、マンションで行われる消防設備点検の際などにチェックされるので、ルールは守っていく必要があります。
パターンC:記載なし
分譲マンションではこのケースがもっとも多いですが、管理規約で、植木鉢についての記載がないケースもあります。
しかし、この場合でも非難の妨げになる物品を置くことはできません。
一般的にマンションの隣接同士のベランダは、隔壁板(かくへきばん)という板で区切られています。
この隔壁板は簡単に壊すことができ、有事の際にこの隔壁板を突き破って隣接住戸に行き、隣接住戸から逃げることもできる仕様となっているのです。
しかしながら、隔壁板のすぐ近くに割と大きな植木鉢が置かれていたりすると、避難に支障がでることになります。
そのため、避難の妨げになるものを置くことが禁止されているのです。
まとめ
戸建てとは違い、マンション全体で定められているルールを守っていく必要があるマンション。
良い意味では「規律性がある」ともいえますが、悪く言えば「自由が利かない」といった特徴があります。
ただし、マンションの「セキュリティ性」や「立地条件」などは戸建てにはなかなか無いメリットなので、どちらがいいかはひとの価値観によります。
植物が好きなら、戸建ての方が気兼ねなく楽しむことができるのは間違いないですが、ルールを守ってさえいればマンションに住んでいてもボタニカルライフ充分に楽しむことはできます!
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