挿し木でも太る塊根植物
春になり気温が安定してくると、塊根植物が好きなひとにとっては大忙しな季節に!
冬のあいだに休眠していた夏型の塊根植物が新しい葉を展開させたり、花芽をあげたりと、一斉に活動を再開する春。
塊根植物を育てているひとも、忙しない日々が始まります!
- 植え替え
- カッコイイ鉢へのお引っ越し、鉢増しも。
- 株分け
- 塊根植物というよりは、アガベやディッキアを増やせます。
- たねまき
- ついつい、たくさん蒔いてしまうもの。
そして「プセウドボンバックス・エリティクム(Pseudobombax ellipticum)」には、強剪定が必要な季節に差しかかります!
「ボンバックス」の幹を大きく肥大させるためには、必要な園芸作業。
乾燥した環境でも生きていくために、根を大きく肥大させることで、体内に多くの水分を貯めておけるカタチに進化した塊根植物の仲間に「ボンバックス」がいます。
寒さには強くない特徴を持っているので、冬の間には落葉し休眠をしていた「ボンバックス」も、暖かくなるにつれて枝先の緑色が濃くなってくる季節。
自宅で育てている「ボンバックス」も、枝先の色に変化があったことで、成長期に向けた準備を進めている様子が確認できたため、成長期の前段階のお世話をすることに!
本記事では、「ボンバックス」の植え替え、剪定、そして剪定した枝を使用して挿し木に挑戦したので、ご紹介します!
プセウドボンバックス・エリプティクムの基本データ
原産地:グアテマラ、インド
科・属:キワタ(パンヤ)科 プセウドボンバックス属
学名:pseudobombax ellipticum
日ごろの成長記録や育成環境などの情報は、別の記事で書いています。
「ボンバックス」は根の成育がすごく早いため、すぐに鉢の中が根でいっぱいになってしまう“根詰まり”(ねづまり)を起こしてしまいがちな植物。
それもそのはず。
本来は塊根植物の仲間ではなく、巨木に成長する植物を塊根植物として仕立てているので、成長が旺盛な植物なのです。
そして塊根植物の仲間のはずですが、実際に肥大させているのは、“根”ではなく“幹”の部分です。
成長が旺盛なはずですが、自宅で育てている「ボンバックス」は、今のところ根があまり成長していなさそう。
根だけならまだしも、幹の太り具合など、全体的にあまり成長していないように思います。
原因は、おそらく「ボンバックス」を植えている土にある模様。
あえて、保水性のある多肉植物の培養土を使用してみましたが、相性があまり良くなかったのだと思われます。
やはり、「ボンバックス」をはじめとして、塊根植物には水はけの良い土を使用した方が良いのでしょう。
ボンバックスの植え替え・剪定・挿し木
今回の植え替えは、成長にともなう植え替えではなく、用土を入れ替えるのがメインの目的となります!
今回、植え替えを行うのは下記のふた株!
左側に写っているのが「ボンバックス」の親株で、右側が昨年(2022年)の春ごろに挿し木を行った、挿し木株です!
あまり塊根植物の挿し木株は一般的ではありませんが、それは挿し木株だと塊根部分が肥大しない傾向にあるから。
しかし「ボンバックス」の場合は、挿し木株でも塊根部分が形成され、そして肥大していく傾向にあるので、挿し木にチャレンジしているひとが多いです!
自宅で育てている挿し木株は、挿し木を行ってから約1年が経過したことになりますが、まだ挿し木株の塊根部分は肥大している感じはしません。
陶器鉢だと厳しいですが、柔らかめなプラスチックの鉢を使用していると、プラスチック鉢を押してみることで、根詰まりになっているかどうか分かるもの。
今回も、プラスチック鉢を押してみましたが、あまり根がパンパンに張っている様子が伝わってきませんでした。
用意するもの
今回の作業にあたり、用意するものは下記になります!
- 水はけのよい培養土
- 鉢(排水性や通気性に優れたものが良い)
- 園芸用ハサミorカッター
- 切れ味がよく、消毒済みのもの
- 発根促進剤
- 「ルートン」、「メネデール」など
- 消毒剤、癒合剤
- 「トップジン」、「カルスメイト」など
- 土入れ
- 園芸用シート(新聞紙)
- 室内で園芸作業を行うときに、あると便利
上記のうち、必須なものは①水はけのよい培養土、②鉢、③園芸用ハサミorカッターの3つです!
それ以外は、最悪なかったとしても、なんとかなるでしょう。
鉢から出す
グッズを用意したら、まずは植え替え作業に入っていきます!
自宅には園芸用のシートがないので、新聞紙を敷いて、その上に鉢から「ボンバックス」を出しました。
「ボンバックス」の根の状況は、親株も挿し木株もあまり成長していないですね。
根の成長が旺盛な植物であれば、1年もあれば根が鉢のカタチにびっしりと生えていることも、めずらしくありません。
ちなみに、園芸用シートを使用する場合は関係ありませんが、新聞紙を使用する場合には、新聞紙が破けてしまわないように注意が必要です
特に用土が濡れている状態だと、新聞紙も濡れて破けやすくなります。
新聞紙が破けて用土が室内に散らばってしまうと大変なことになるので、用土が鉢内まで乾いていることを確認してから替え作業に入ることをオススメします。
用土を落とす
「ボンバックス」を鉢から出したら、根に付いている土を、徐々に落としていきます。
もともと植わっていた土をまったく再利用しない場合には、水洗いをすることで、土をキレイに洗い流すことができますが、ここは室内なので水洗いという選択肢はありません。
根をいじられるのが苦手な植物は、慎重に土を落としていくことが必要となりますが、「ボンバックス」は丈夫な植物なので、そこまで神経質になる必要はないでしょう。
しつこく根にこびりついている場合は、わりばしなどを使用してガシガシ落としていかないと、なかなか取り除けないことがあります。
土をしっかりと乾かしたつもりでしたが、完全には乾いていなかったので、少し土が落としづらい状況に・・・。
土を落とす作業も、乾燥させてから行うことで、作業がスムーズに進めることができます。
新しい用土に植える
これまで、思うような成長をしてこなかった原因と思われる“保水性”を改善するべく、水はけのよい用土に植え替えました。
水はけのよい用土、そして乾きやすい用土に植えて、もし水が足りなければ水やりの回数を増やすことで調整する。といった育て方が多くの多肉植物の基本的な育て方ですね。
「ボンバックス」は多肉植物の仲間とはいえないかもしれませんが、一般的な多肉植物を育てることと同様な育て方が合っているのだと思います。
親株はもともと植わっていた鉢に植え戻し、そして挿し木株は今後の急成長への期待も込めて、ひと回り大きな鉢に植え替えました!
今回はひゅうが土と、赤玉土をベースにした培養土を使用しました!
どちらの土も、水はけが良い土として知られている土です。
剪定をする
「ボンバックス」の塊根ボディを太くするために、必要な“剪定”を行います。
剪定といっても、たいしたコツは不要で、「ボンバックス」の場合は伸ばしている枝を根元の方から切るだけです!
このとき、自分がミスをしていたことに気付いていなかったのですが、「ボンバックス」の枝の根元は幅広な上に硬いので、鉢に植わっている状態だとなかなか切れず、結構剪定をするのに苦労しました。
植え替えと剪定を同じタイミングで行うのであれば、「鉢から出す→ボンバックスを床に置くなどして固定する→剪定する→鉢に植え込む」という流れがベストな流れですね!
断面を消毒する
「ボンバックス」を剪定をしたあとは、切り口の消毒作業を行います。
筆などを用いて切り口に直接塗るタイプの消毒剤もありますが、スプレータイプだと簡単に消毒できるのでオススメです!
ベニカのスプレーはこういったときの殺菌だけではなく、殺虫剤としても使えるので、いろいろな場面で使用できるガーデニンググッズです。
下の写真は剪定をしたあとに撮った、「ボンバックス」の断面。
断面がキレイなので、株が元気な証拠ですね。
植物によっては、切り口から野菜のような匂いが漂ってくることがありますが、「ボンバックス」の場合は無臭でした。
挿し木をする
挿し木にするには、植え込む前に乾燥させること、そして発根促進剤を使用することで挿し木の成功率を上げることができますが、「ボンバックス」はそこまで神経質にしなくても高い確率で発根してくれます!
今回も、ベニカのスプレーで断面の殺菌はしましたが、その後はすぐに用土に植えこみました。
挿し木には、断面から菌が植物のなかに入り込まないように、無菌の用土を使用するのが良いです!
挿し木株の方は、ほんとにまだ”ただの木の棒”に見えますね。
挿し木株はさらに剪定して、剪定した枝はまた挿し木にしました!
今回も、園芸の神様に発根祈願をしてから、あとはひたすら待つのみ。
上の写真で左上に映っているひと回り大きい「ボンバックス」が親株、右上が去年親株から挿し木にした挿し木株、左下は今回親株から挿し木にした子株、そして、右下が右上の子株から挿し木にした株になります!
親族の血のつながりがすこし難しくなりましたが、つまりは左上がおばあちゃんで右下が孫です!
なんと、「2年で孫ができる世界」が「ボンバックス」にはあります。
「ボンバックス」の挿し木株の幹を肥大させることを、園芸における今年の目標のひとつとしています!
最後の写真にも写っていますが、机の上に散らばっている用土の量が、剪定作業にすこしだけ悪戦苦闘したことを物語っていますね。(笑)
以上、今回は「ボンバックス」の植え替え・剪定・挿し木についての記事でした!
コメント