水やりの『9つのコツ』~望ましい時間帯や、用土の乾き具合の判断基準~

植物のエネルギー補給

水やりって、ただ水をあげればいいんでしょ?

と思っていませんか?
しかし、ガーデニングの世界では「水やり」がもっとも重要で、むずかしい技術のひとつです。
「水やり3年」という言葉があるように、植物を健康に育てるための水やりは、経験を積むことではじめて身につく奥深い知識が求められます。

もし、この水やりの習得期間を短縮できたら、枯らしてしまう植物の数を減らし、より多くの「緑」を元気に育てられるはずです。

あなたの植物が元気をなくしているとしたら、それは「水のあげすぎ」が原因かもしれません。

植物が枯れる原因としてもっとも多いのが、水のやりすぎによる「根腐れ」です。

土が常に湿っている状態では、根が呼吸できず、結果として枯れてしまいます

この記事では、植物の水やりがむずかしいとされている理由から、季節や環境に合わせた最適な水やりのコツまで、幅広くご紹介します

ちなみに、観葉植物や園芸グッズをお探しなら、ネットショップという選択肢もあります
品種数&株数が豊富で、ひとりでは持ち運びに苦戦する植物も、ネットショップなら購入しやすいです。
以下の記事では、おもに観葉植物を扱うオススメのネットショップをご紹介しているので、よろしければ参考にしてみてください

目次

植物が枯れる原因

枯れる原因は多岐にわたる

植物が枯れる原因は多岐にわたり、成長に必要な要素がひとつでも欠けると、調子を崩してしまうことがあります。

植物の成長に必要な要素
  • (湿度)
  • 温度
  • 肥料分(栄養分)

枯れる原因とその対策など、詳しくは以下の記事で解説しているため、ご興味があればお読みください

枯れる原因でもっとも多いのは、水のやりすぎによる根腐れ

植物が枯れる原因でもっとも多いのは、水のやりすぎによる「根腐れ」です。

植物の根は酸素を吸い上げ、二酸化炭素を排出する「呼吸」をしています。
水をやりすぎて土が湿った状態がつづくと、土の中に新鮮な空気が入り込まず、植物の根が呼吸できません。
呼吸ができない状態がつづくと、最終的に「根腐れ」を起こしてしまうのです。

気づかないうちに、水をやりすぎていることも…。

自分のことを、次のように言われる方もいます。

自分は、サボテンすら枯らしてしまう、ズボラな性格なんです。

サボテンは雨が少ない地域で自生しているため、数日~数週間にわたり水やりをしなくても、枯れるリスクが低い植物です。

水をやらなすぎて、大切な植物を枯らしてしまった…。

と思い込んでいるひとも、枯らしてしまった本当の原因は、水のやりすぎということも少なくありません。

水やりがむずかしい理由

植物ごとに必要な水分量は異なる

以下のように、水分をどれくらい必要とするかは、植物ごとに異なります。

  • 湿潤を好む植物(観葉植物など)
    • たくさんの水分を吸い上げる=多めに水を与える必要がある
  • 乾燥を好む植物(多肉植物など)
    • 体内に多くの水分を蓄えている=頻繁に水やりをする必要はない

品種だけではなく株の大きさや、調子の良し悪しによっても、必要とする水分量は変わってきます。

紹介されている育成方法の情報は、ひとつの参考にすぎない

植物の育て方を紹介している専門書や、植物を販売している園芸店では、以下のように水やり頻度を紹介していることが多いです。

植物Aの育て方(例)
  • 植物Aの水やり頻度
    • 春から秋まで:週に★回
    • 冬:月に☆回

記載されたとおりに水やりをすれば、植物を健康的に育てられそうなので、園芸初心者にはありがたい情報です。

しかし、紹介されているとおりに水を与えても、適切な水やりができず、植物を枯らしてしまうことがあります

紹介されている情報は、その植物を育てている農家さんや、記事を執筆した方の育成環境に基づくものにすぎません。
育成環境によって、水やり頻度を調整する必要がある点も、水やりの難易度を上げている理由のひとつです。

地域により気温が大きく異なる

「水やりは、植物に水を与えるだけの単純作業」と思われる方もいるでしょう。

たしかに作業自体は単純ですが、水やりを習得するためには、3年もの長い年月を要すると言われています。

水やりのむずかしさが増す原因は、地域によって気温が大きく異なるためです。

地域ごとの育成環境(例)
  • 真冬は氷点下に達し、夏でも比較的すずしい地域
    • 気温が低いため、土が乾きにくい
      • =水やりは少なめでよい
  • 真冬でも10~15℃ほどの最低気温が保たれ、夏は酷暑が到来する地域
    • 気温が高いため、土が乾きやすい
      • =水やりを多めに与える必要がある

北海道などの地域では、すずしさ(寒さ)を前提にした育て方を、沖縄などの温暖な地域では、暖かさ(暑さ)を前提にした育て方を習得する必要があります。

水やりに影響を与える要素は、気温だけではない

気温だけではなく、地域ごとに異なる降雨量や風の強さなども、植物の水やりに影響を与えます。
特に屋外で植物を育てる場合は、次のような影響を受けるでしょう。

水やりに影響を及ぼす要素
  • 育成場所の方角(北向き・南向きなど)
  • 日当たり
  • 風通し
  • 雨が直接当たるか
  • 標高 など

ガーデニング用品にもひとつずつ特徴があるため、水やりの習得には時間がかかる

その他にも、園芸用土や植木鉢の特徴など、ガーデニング用品にもひとつずつにも特徴があります。

ガーデニング用品がもつ特徴
  • 排水性
    • 与えた水が、スムーズに排出される能力
  • 通気性
    • 土の中に、どれだけの空気が循環するかの能力

このように植物への水やりは、さまざまな要因を考慮した上で、水のやりどきを判断しなくてはなりません。

作業自体は単純に見えますが、水やりを習得するためには多くの経験を積み重ねる必要があるため、長い時間がかかるのです。

水やりの『9つのコツ』

植物への水やりは、最終的には経験値を積み重ねることで、習得するしかありません。
ただし水やりにも基本はあるため、基本に忠実になることで、ミスを最小限にすることはできます。

ここでは、水やりの『9つのコツ』をご紹介します

水やりは用土がしっかりと乾いてから行う

水やりは、用土がしっかりと乾いてから行います。

用土が濡れた状態がつづくと、根腐れのリスクが高まる

植物の根は、酸素を取り入れて二酸化炭素を排出する「呼吸」をしています。
土が乾いていない状態で水やりをすると、いつまでも土が乾かず、植物の根が酸素を取り入れられません。
呼吸できない状態がつづくと、根腐れのリスクを高めてしまうため、植物の根に息継ぎをさせるために、適度に乾燥させることが重要です。

乾燥気味に育てると、根が成長しやすい

植物の根は水分が足りている状態よりも、ある程度乾燥した環境の方がよく成長します。

あまり、水分を吸い上げられないな…。
水分を吸い上げられるように、もっと根を成長させなくては!

と植物に思わせることで、根が育ちやすく、結果として丈夫な植物に成長しやすくなります。

用土の乾き具合を判断する方法はいくつかある

そもそも、用土の乾き具合を見極められなければ、適切な水やりのタイミングを判断できません

乾き具合を見極めるのは意外と大変ですが、以下のように、判断基準はいくつかあるため、自分に合った方法を取り入れることが重要です。

土の乾き具合を見極める方法
  • 鉢を持ち上げたときの重さで判断する
  • 乾いたら色が変わる用土を使用する
  • スリット鉢を使用する
  • 土に触ってみる
  • 割り箸を用土に挿しておく
  • ガーデニング用品(水やりチェッカー)を使用する
  • 植物が発する「水分不足のサイン」を見逃さない
鉢を持ち上げたときの重さで判断する

鉢を持ち上げたときの重さで、土の乾き具合を判断できます。

  • 鉢が軽いとき
    • 土が乾いている
  • 鉢が重いとき
    • 土が濡れている

まずは、土が完全に乾いている状態で鉢を持ち上げ、その重さを覚えておくことが重要です。

乾いたら色が変わる用土を使用する

乾いたら色が変わる用土を使用することも、用土の乾き具合の判断基準になります。

たとえば「赤玉土(あかだまつち)」や「鹿沼土(かぬまつち)」は、乾いた状態と濡れた状態で、色が顕著に変わります。

赤玉土&鹿沼土
  • 赤玉土
    • 濡れた状態=茶色が濃くなる
    • 乾いた状態=濡れているときより白っぽい
  • 鹿沼土
    • 濡れた状態=茶褐色になる
    • 乾いた状態=濡れているときより白っぽい

このような用土を配合すると、土の乾き具合を把握しやすくなります。

ただし表土が乾いていても、土の中まで乾いているとは限らないため、表土だけで判断しないように注意が必要です

スリット鉢を使用する

鉢底の側面に切れ目が入った「スリット鉢」を使用すると、スリットから鉢内の用土を見ることができます。

土の中の状態まで把握しやすくなるため、特に水やりに慣れていないうちは、スリット鉢を使用することがオススメです。

とても使いやすいため、自宅で育てている植物の8~9割ほどは、スリット鉢に植えています。
詳しくは、以下の記事でご紹介しているため、ご興味があれば参考にしてみてください

土に触ってみる

土に直接触って確かめるのも、乾き具合を把握する方法のひとつ。

土に直接触れることに抵抗がないのであれば、手で触れてみて、乾き具合を把握しましょう。
親指の第一関節(2~3cmほど)の深さまで指を入れると、土の中の乾き具合を把握しやすくなります。

用土に挿しておいた割り箸の色で判断する

鉢内の土の状態をチェックするために、割り箸を使用する方法もあります。

そろそろ、土が乾いたかな!?

と思ったタイミングで、あらかじめ土に挿しておいた割り箸を抜き、その割り箸の色で濡れているのか判断できます。
ただし鉢に割り箸が挿さった光景はインテリア性に優れているとは言えないため、見た目を重視したい場合は、あまりオススメできません。
割り箸で水やりのタイミングを把握する方法は、以下の記事で詳しくご紹介しているので、ご興味があればお読みください

ガーデニング用品(水やりチェッカー)を使用する

土が乾いたかどうかを一目瞭然で判断できるグッズとして、「水やりチェッカー」が市販されています。
割り箸よりもインテリア性に優れており、販売価格もそこまで高いわけではないため、取り入れやすいグッズです。
「水やりチェッカー」は、Amazonなどでも購入できます。

「水やりチェッカー」の耐久性は6か月から2年ほどなので、長く使用する場合は、買い足す必要があります

植物が発する「水分不足のサイン」を見逃さない

水分不足に陥った植物は「サイン」を発することがあります。

植物が発する水分不足のサイン
  • 葉が丸まったり、萎れたりする
  • 幹や茎にシワが寄る

上記の状態だけがあらわれているうちは、すぐに水やりをすれば、復活する可能性が高いでしょう。

ただし水分不足の状態を放置していると、落葉したり、大きなダメージに発展したりすることがあります

サインがあらわれる前に、水やりをすることで、植物を健康的に育てられます。

鉢底から水が流れてくるまで、たっぷりと与える

一年を通して、水やりの量はたっぷりと与えるのが基本

水やりをするときは、鉢底から水が流れてくるまで、たっぷりと与えることが重要です。

たっぷりと与えることのメリット
  • 鉢内の雑菌や、鉢底から侵入してきた害虫を洗い流す
  • 空気を入れ替えて、植物の根の呼吸を促す
  • 深くまで根が張るようになる
    • 浅いところにしか水がないと、根が浅くしか成長しにくいため、鉢底まで水を与え根の成長を促す

土が乾きにくくなる冬も、少量の水やりでは植物がうまく吸水できない可能性があるため、たっぷりと与えるのが基本です。
ただし気温が低かったり風通しが悪かったりすると、特に土が乾きづらくなるため、必要に応じて少量の水やりに切り替える必要があります。

根腐れのリスクを軽減させるために、葉水も効果的

植物が必要とする水分のうち大部分は、根から吸い上げていますが、葉からも多少の水分を吸水しています。

土が乾きにくい季節は、霧吹きで植物の葉に水をかける「葉水(はみず)」でも、少なからず吸水できます。
ただし、必要な水分量を、葉水だけで与えるのはむずかしいです。
それでも、こまめに葉水をすることで水やりの回数は減らせるため、根腐れのリスクを軽減できます

葉水に使用しやすいグッズは、100円ショップでも販売があり、以下の記事でご紹介しています
ご興味があれば、あわせてお読みください

水やりをした水が流れてこない場合は、根詰まりや用土の劣化を疑う

水やりをしたときに、鉢底から水が流れてくるまでに時間がかかるようになったら、以下の可能性を疑いましょう

  • 植物が「根詰まり」を起こしている
    • (鉢内が、植物の根でギュウギュウになっている)
  • 用土が劣化している
    • 用土の粒が砕け、団粒(だんりゅう)構造が崩れている

ちなみに土の団粒構造とは、土のあいだに隙間が保たれた、土の集合体のことを指します。

上記はいずれの場合も、鉢内の排水性や通気性が劣化しているため、植え替えにより根の整理や、土の入れ替えを検討した方がよいです

観葉植物の植え替えについては、以下の記事で詳しくご紹介しています
「フィカス・ベンガレンシス」という観葉植物を、実際に植え替えたときの様子をご紹介した記事です

ちなみに2025年、以下の培養土がプロトリーフさんから市販されました。
粒が崩れにくい硬質のもので、害虫も発生しにくいため、室内育成でも使用しやすい培養土です。

用土の隅々まで行き渡るように水を与える

水を与える際は、用土の隅々まで行き渡るように、しっかりと与えるのがポイントです。

株元に水がかかるようにする

水やりをしているつもりでも、用土の中まで、水が浸透していないことがあります。

特に大きな葉を展開させたり、多くの葉を密集させたりしている植物は、葉の存在が妨げになり、株元に水が届いていないことがあります

汚れや害虫対策として、葉に水をかけることは重要ですが、葉から補給できる水分量は少量のため、株元に水が届いていないと、水分不足により植物が調子を崩す原因にも…。
葉が生い茂り、上から水やりをしても株元に水が届きづらい場合は、しっかりと水が浸透するように、葉や茎を手で抑えながら株元に水やりをします。

同じ場所にだけ水やりをしない

偏った場所に水やりをしていても、用土全体に水が行き渡らないことがあります。
特に大きな植物に水やりをする場合は、東西南北それぞれの方面から水やりをするイメージで、まんべんなく水を与えることが重要です。

週に☆回という情報を鵜呑みにしない

繰り返しになりますが、適切な水やりのタイミングは、植物の品種や育成環境によって異なります。

「水やりは週に☆回です」という情報があっても、鵜呑みにせず、参考程度に留めることが重要です。

似たような育成環境はあっても、まったく同じ育成環境は、なかなか存在しないでしょう。
育成環境を確認し、土の乾きやすさを把握することによって、水やりを調整することが重要です。

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受け皿に溜まった水は、その都度捨てる

受け皿の水を捨てることの重要性

室内で植物を育てている場合、植木鉢の下に、受け皿を使用していることが多いのではないでしょうか?

土汚れなどを防ぐため、特に大きめな植物を育てる場合に、受け皿はなくてはならない存在と言えるでしょう。
ただし受け皿に水が溜まったまま放置すると、用土が乾かず、土の中で雑菌が増殖することがあります。
また受け皿の水が、鉢内の空気の循環を妨げる原因にも…。

水やりをしたあとに、受け皿に水が溜まっている場合は、水を捨てましょう

受け皿を使用すれば底面給水できるが、放置しないように注意が必要

水の与え方のひとつに、鉢底から水を吸わせる「底面吸水」という方法もあります。
ただし底面吸水の場合は、20~30分ほど水に浸けるのが、基本的な方法です。
植木鉢を受け皿の水に浸けているあいだに、底面吸水をしていること自体を忘れてしまい、何日間も植物を水に漬けてしまった…。ということになれば、根腐れのリスクを高めてしまいます。

底面給水の専用鉢を使用すれば、植物が必要な量だけ水を与えられるため、失敗するリスクを減らせます

底面給水は以下の記事で詳しくご紹介しているので、ご興味があれば参考にしてみてください

水やりをする時間帯にも気を付ける

丈夫で育てやすい植物であれば、時間帯を選ばずに水やりをしても、調子を崩すリスクは高くありません。
ただし、水やりの時間帯を間違えると、大きなダメージに発展しやすい植物もいます。

水やりをするのに望ましい時間帯は、季節ごとに異なります。

ここでは、季節ごとに望ましい水やりの時間帯を確認しましょう

夏は早朝か夕方以降

夏の日中は気温が上昇しすぎるため、水やりは、早朝か夕方以降に与えるのが基本です。
本記事で意味する「早朝」は朝日が顔を出すタイミングで、「夕方」は直射日光が当たらなくなった時間帯です。
また、夜になってから水やりをすると、湿気を好むナメクジなどの害虫を引き寄せる原因にもなります。

真夏に水分不足の状態が長引くと、葉焼けや高温障害のリスクを高め、最終的に枯れてしまうことも…

真夏の昼間に植物が水切れを起こしている場合は、すぐに水やりをした上で、日当たりが弱い場所に移動することが望まれます。

冬は正午前後

冬は早朝や夜間は気温が低下しすぎるため、冷害を起こしやすく、水やりの時間帯には適しません

冬は気温が上がる正午前後のタイミングに水やりをすることで、冷害のリスクを最小限に抑えられます。

春&秋は朝か夕方

春と秋に水やりをする場合は、朝に与えるのがベストですが、夕方に与えても大きな問題はありません。

10時から14時の時間帯は紫外線が強く、最近は春や秋でも暑いが日が多いため、酷暑でなくても、葉焼けのリスクが高まります

8~9時ごろには水やりの作業を終え、10時までには葉の表面に付いた水滴を乾かし、レンズ効果による葉焼けのリスクを回避するのが無難です

一覧表(季節ごとの望ましい水やり時間帯)

季節望ましい時間帯理由
朝or夕方日中の成長する時間帯に、必要な水分を届けられるため。
早朝or夕方以降日中は高温になるため、葉焼けや高温障害を防ぐために、すずしい時間帯に与える。
朝or夕方春と同じく、植物がよく成長する季節のため、時間帯を多少誤っても、大きなストレスを与えるリスクは低い。
正午前後朝晩は冷え込みが強く、凍結や根腐れの原因になるため、暖かい時間帯に与える。

特に、季節の変わり目は水やりのタイミングを変える必要があるため、注意が必要です

季節の変わり目(冬→春)に特に注意したいポイントは、以下の記事を参考にしてみてください

泥はねに注意する

土の中にはさまざまな菌が存在する

土の中には、たくさんの菌がいます。
植物によい影響を与える菌もいますが、その一方で、植物に悪い影響を及ぼす菌も存在します。

泥はねにより、発生しやすいトラブル

植物の「根」は、土の中にいる悪い菌への耐性をもっていますが、葉や花、幹は悪い菌に免疫がありません。
雨が降ったときに土が飛び散る「泥はね」によって、免疫がない部分に土が付着すると、菌が悪さを働くことがあります。

泥ハネにより発生しやすいトラブル
  • 炭疽病(たんそびょう)
    • 植物の葉、茎、果実に黒褐色や暗紫色の斑点、または凹凸を伴う病斑が発生する
  • 斑点病(はんてんびょう)
    • 植物の葉や茎に、小さな斑点が発生する

マルチング材も対策になるが…。

表土にマルチング材を使用することで泥はねを防げますが、水やりの難易度を上げる存在のため、育成面ではオススメできません。

雨が当たらない環境に移動することも、泥はね対策になる

泥はねが起こる原因のひとつは、雨によるものです。
雨が当たらない軒下やベランダに置くだけでも、泥はねのリスクを軽減できます。
さらに必要に応じて、雨よけ対策グッズ(ビニールなど)を使用することも、泥はね防止の効果を高められます。

泥はねが発生しないように、ゆっくりと水を与える

水やりは勢いよく土にかけず、株元にゆっくりと水を与えることでも、泥はね対策になります

ただし葉に付いた害虫は、ある程度の強い圧で水をかけると、駆除&予防することができます。
以下の順番で水やりをすることで、害虫を駆除しながら、泥はねも防げるでしょう。

  • ある程度の強い圧で、葉に水を与え、害虫を駆除する
  • 泥がかかっている場合は、泥を洗い流しながら、株元にゆっくりと水を与える

季節の変化を感じ取り、季節ごとに適切な育成をする

日本は四季の環境変化が大きい

日本は、四季による環境の変化が大きな国です。

季節ごとに変化する環境
  • 気温&湿度
  • 風の強さ
  • 日中の太陽の高さ(角度) など

季節による変化を敏感に感じ取り、季節ごとに適切な水の与え方に切り替えることも、植物の水やりでは重要なことです

日当たりの条件は、顕著に異なる

特に季節ごとの気温や湿度の変化は、あまり意識しなくても、肌で自然と感じれるものです。
ただし、園芸を趣味にしていないと、毎日のように日当たりを意識することは多くないでしょう。

季節ごとの日当たり条件
  • 真夏
    • 高い位置まで太陽が昇る(日射角度は約80度)
    • 室内や軒下には、日が当たりにくくなる
  • 真冬
    • あまり高い位置まで太陽が昇らない(日射角度は約30度)
    • 室内や軒下にも、日が届きやすい

夏は朝から夕方まで直射日光が当たっている場所でも、冬は日当たりが悪くなるなど、同じ育成場所でも季節の変化を受けることは当たり前に起こることです。

植え替え直後の水やりは、品種により異なる

植え替え直後は、根が土の中にうまく張れていません。
根から多少の水分補給ができるように、植え替えをしたらすぐに水やりをするのが、植物の基本的な育成方法です。

ただし品種によっては、植え替え直後は水やりをせず、しばらく乾燥させた方がよい品種がいるのも事実

たとえばサボテンなどの多肉植物は、植え替え直後は、1~2週間ほど水やりを控えるのが望ましいです。
多肉植物は、植え替えにより傷ついた根から、雑菌が侵入しないようにすることを優先します。

水やりで失敗するリスクを下げるコツ

大きすぎる鉢に植えない

植物は大きな鉢に植えると、根を張れるスペースが広くなる分、早く成長しやすくなります。

ただし植物の成長を促すために、大きめな鉢に植えると、鉢内の用土が乾きにくくなります。

徐々に鉢を大きくすると、その都度、植え替えの作業が発生するし…。

と感じるかもしれませんが、植物を早く大きく成長させたい場合でも、一気に鉢のサイズを大きくすることはせず、ひと回りほど大きな鉢に植えることが重要です。
それでも大きな鉢に植えて、早く植物の成長を促したい場合は、排水性や通気性に優れた用土や鉢を使用することで、大切な植物を枯らすリスクを軽減させられます。

多肉植物(エケベリア)が、鉢の大きさが成長にどれほどの影響を与えるのかは、以下の記事でご紹介しています

化粧石はマルチング材は、最初から使用しない

表土に敷く「化粧石」や「マルチング材」は、インテリア性の向上や、害虫発生のリスク軽減などのメリットもあります。
ただし「化粧石の下に使用している培養土が乾いているのか、見た目で判断するのがむずかしい」といったデメリットも…。

化粧石などを使いこなすのは、カンタンなことではないため、ある程度水やりを習得した段階で、はじめて手を出すくらいに考えた方がよいでしょう。

まとめ

「水やり3年」という言葉が示すとおり、植物の水やりは奥深く、一朝一夕にはマスターできないものです。

しかし、本記事でご紹介した水やりのコツを意識すれば、その道のりを大きく短縮できるはずです。
植物が枯れるもっとも多い原因が「水のやりすぎによる根腐れ」であることを理解し、用土の乾き具合をしっかりと見極めることが、元気な植物を育てる第一歩となります。

また、水やりは単純な作業に見えて、気温や風通し、日当たりといった育成環境に大きく左右されます。

決まった頻度で水やりをするのではなく、それぞれの植物が置かれた状況に合わせて調整する、柔軟な姿勢が重要です。
ときには失敗することもあるかもしれませんが、「失敗は成功のもと」です。
経験を積み重ねながら水やりの技術を習得し、大切な植物たちとのグリーンライフを、さらに豊かなものにしてください

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