マンション園芸の注意点とは?マンション管理士が教えるトラブル回避術

植物トラブル回避のコツ

マンションのベランダで園芸を楽しんでいる中で、

近隣住民に迷惑をかけていないかな…?

と不安になることはありませんか?
実は、何気なくはじめた園芸が、思わぬ近隣トラブルに発展してしまうケースは少なくありません。

本記事では、マンション管理の現場に携わってきた筆者が、実際に起きやすい植物トラブルを解説しています

水やり時のトラブルや害虫の発生、植物育成用LEDライトの光漏れなど、見落としがちなポイントは意外とあるもの。
植物ライフと快適な共同生活を両立させるための実践的な方法をご紹介しているので、マンションで存分に園芸を楽しみたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

この記事の筆者
  • 保有資格
    • マンション管理士
    • 管理業務主任者
    • 宅地建物取引取引士
  • マンション管理会社へ10年以上勤務
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目次

まず知るべき「管理規約」の基本

「管理規約」はみんなで守るルールブック

マンションは、価値観が異なる人びとが暮らす共同住宅。
後々トラブルにならないように、住民が守るべき建物の「ルール」を前もって決めておく必要があります。

筆者

このルールをまとめたものを管理規約と呼びます。

(「使用細則」という具体的な運用ルールを定めたルールブックもありますが、本題ではないので、この記事では「管理規約」に統一します。)

「専有部分」と「共用部分」の存在

マンションは「専有部分」と「共用部分」の2つに分かれます。

専有部分と共用部分
  • 専有部分
    • 個人が所有している
    • お部屋の中
  • 共用部分
    • マンションの所有者全員で所有している
    • お部屋の外(廊下やエントランス、階段など)

専有部分は自由に園芸を楽しめるが、共用部分には取り決めがある

お部屋の中で育てている植物が他の住民に迷惑をかけるリスクは低いため、「専有部分」には園芸に関する制限はありません。

筆者

マンションで園芸をする際に注意が必要なのは、お部屋の外(共用部分)になります。

ただしリフォーム工事で、近隣住民や建物の躯体に影響を及ぼす可能性があるときは、規制されることがあるので、なんでも自由に行えるわけではありません

管理規約で禁止されていることが多い「園芸ルール2選」

植木鉢などの置き場所に関するルール

共用部分に私物を置けないのが基本

火災や地震時などの避難に備え「共用部分に私物を置いてはいけない」のが、マンションにおける基本的なルールです

これは、火災時などにスムーズに避難できることを目的にしており、管理規約というより法律上のルールです。
ただし私物を置けないのは廊下や階段といった避難経路だけではなく、花壇や駐車場など、共用部分全体に当てはまるルールです。

筆者

植栽はマンション自体の美観に影響があるため、「マンション全体で管理していく」のが基本的な考え方です。

専用使用権があるスペースは、私物を置ける場合もある

玄関の前に「アルコーブ」と呼ばれる凹型の空間が設けられ、その部分に「専用使用権」が認められているマンションも存在します。
その範囲内であれば私物を置ける場合もありますが、アルコープがあったとしても、管理規約で認められている例は多くありません。

また、専用使用権が認められたスペースの日常的な管理は、占有する住民が行う必要がある点にも留意が必要です。

共用部分に私物を置くことについては、他にも複雑なルールがあるため、詳しくは以下の記事で解説しています
詳細を確認したい場合は、あわせてお読みください

植物のサイズに関するルール

筆者

管理規約で「植物のサイズ」を制限しているマンションもあります。
それぞれのスペースごとに確認していきましょう。

ベランダ(バルコニー)の場合

管理規約に定められていなくても、大きな植物は置かない方が無難

管理規約において、ベランダ(バルコニー)で育てる植物の高さを制限しているケースは極めて稀です。
ただしベランダに避難はしごが設置されているマンションは多く、火災時に共用廊下が通れない場合は、ベランダから避難するケースもあるため、私物で通行を妨げてはいけません。

いざというときに通行を妨げてしまうと、管理責任のトラブル発展することもあるので注意が必要です

管理規約に明確に定められていなくても、通行に支障が出るくらいの大きな植物を置くことは避けた方が無難です。

専用庭の場合

下階の一部の住戸に、その住民が占有できる「専用庭」が設けられているマンションもあります。
ただし専用庭は共用部分を借りているスペースで、完全に自由(改造など)に利用できない点には注意が必要です。

専用庭に背の高い樹木があると、他人が木をよじ登り、上階に侵入する危険性もあります。
また、専用庭で育つ植物が周囲に枝葉を伸ばすと、近隣住戸への日照に影響を及ぼすことも…。

そのため専用庭の園芸に関しては、以下のように制限されることがあります。

専用庭における制限
  • 鉢植えで植物を育ててもよいが、地面に直接植物を植えてはいけない(地植えはNG)
  • 植物の樹高が1~2mを超えないようにする
  • 育てられる品種を限定する(または、育ててはいけない品種を特定する)
筆者

また、マンションから転居する際は原状回復(住んだときの状態に戻すこと)を行う必要があります。

貸し農園orシェア畑

敷地内で家庭菜園を楽しめる、貸し農園のようなスペースを有しているマンションもあります。

筆者

貸し農園を運用しているマンションは、月額で数百円から数千円の使用料で居住者に貸し出しているケースが一般的です。

多くの貸し農園は、建物自体から少し離れた場所に設けられているため、高さが制限されているケースは少ないです。
ベランダなどと比べると、園芸を自由に楽しみやすい貸し農園ですが、ルールがないわけではありません。
貸し農園で多く見られるルールは、以下のような内容です。

貸し農園においての制限(例)
  • 周囲の住戸への日照に、影響を与える植物を植えないこと
  • 貸し農園を解約した際に、すぐに引き抜ける植物しか植えないこと(原状回復義務)
  • 貸し農園区画から越境する植物を植えないこと

ちなみに「アグリメディア」さんの貸し農園サービスは、メディアでも紹介されています。
お住まいのマンションに家庭菜園を楽しめるスペースがない場合は、以下からチェックしてみてはいかがでしょうか。

手ぶらで行けるサポート付き貸し農園【シェア畑】

管理規約で定められていなくても、トラブルに発展しやすい園芸事例5選

園芸を通じてトラブルに発展しやすい事例は、そう多くありません。

筆者

ここではトラブルに発展しやすい事例を5つ解説します。

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水やりのトラブル

マンションで園芸を楽しむ上で、もっとも多く発生するトラブルは「水やり」です。

水やりトラブルの事例
  • ①下階の住戸の洗濯物などへ、水がかかる
    • ベランダの隅の方や、手すり付近で植物を育てている場合に起こりやすい
  • ②排水溝が詰まっていると、水やりの際に左右の住戸へ水が流れていく
    • ベランダで園芸をしていると、落ち葉や園芸用土などで排水溝が詰まりやすい
  • ③水やりの音が、近隣に響く

対策①:特に勢いよく水やりをするときは周囲に注意する

ホースなどで勢いよく水やりをすると、水が飛び散り、トラブルに発展しやすいもの。

筆者

特に水栓がベランダに付いているマンションでは、勢いよく水やりをしがちなので、注意が必要です。

水やりの際にある程度の水圧をかけることで、病害虫を予防する方法もありますが、その場合でも近隣に水が飛び散らないように注意しましょう。
ちなみに、水やりについては以下の記事で解説しています

対策②:ベランダは清潔に維持する

ベランダでの園芸は、落ち葉や園芸用土などが発生しやすいため、排水溝が詰まりやすいです。
季節の変わり目などに清掃し、きちんと排水される状態を維持しましょう。

対策③:水やりの時間帯に配慮するなど

水やりの時間帯に配慮する

意外と少なくないのが、水やりの音に伴うトラブル。
特に住宅街などの静かな環境や、早朝や夜間の時間帯は水の音が響きやすくなります。
早朝などに水やりをするとトラブルにつながるリスクが高まるため、生活時間帯(午前10時~午後6時)に行うのが望ましいです。

底面給水をする

ただし水やりに望ましい時間帯は季節によって変わるので、早朝などに水やりをする場合、方法を工夫するのも対策のひとつ。
たとえば植木鉢が重くなく持ち上げられるのであれば、以下のように「底面給水」で水を与える方法もあります。

置き場所を工夫する

植物を壁に掛けている場合、高い位置から水が落ちる分、水が下に落ちる音も大きくなるでしょう。
日当たりや風通しが問題なければ、植物の位置を低くすることで、音のトラブルにつながるリスクを軽減できます。

筆者

幹線道路沿いのマンションなどは、そもそも静かな環境ではないため、水やりの音については過度に気にしなくてよいかもしれません。

害虫のトラブル

植物から害虫が大量に発生し、周囲の住戸にまで被害が及ぶこともあります

実際には、植物自体から害虫が発生するケースは少なく、園芸用土から発生するケースの方が多いです。
特に多くの「観葉植物の土」や「花と野菜の土」には、害虫の幼虫のエサとなる有機物が多く含まれています。

対策:枯れた植物や園芸用土をベランダに放置しない

害虫が大量に発生してしまうのは、湿った状態が続く場合と不衛生な環境が原因です。

筆者

以下のことに注意するだけでも、害虫の発生を抑えられます。

  • 湿った状態を避ける
    • 雨が当たる場所に植物や鉢、園芸用土を置かない
    • 受け皿を置かない
  • 不衛生な環境にしない
    • 枯れた植物をそのままの状態にしない
    • 掃き掃除をする(落ち葉や園芸用土が溜まっていた場合)

害虫(コバエ)対策については、以下の記事で解説しているので、参考にしてみてください

物品落下のトラブル

風で洗濯物が飛ばされるのは「マンションあるある」ですが、洗濯物は軽いため大きな事故には発展しにくいです。

ですが、鉢などの重量感のある物品が落下してしまったら…重大な事故に発展するリスクが高まります

筆者

安全性の観点から、特に台風時などには優先的な対策が求められます。

落下事故を防ぐ対策
  • 強風が予想される際は、事前に次の対策をする
    • 鉢やガーデニング用品を室内に取り込む
    • 直前に水やりをして鉢を重くしておく
    • 植物を鉢ごと横に倒しておく
    • 周囲のものに縛ったり、鉢同士を近づけておく
  • 普段使わないものは、日ごろから室内側に寄せておく
  • 手すりや高所に鉢を置かない

マンションで落下物の事故件数は少なくないため、必ず対策をしておきましょう

光のトラブル

最近の植物育成用LEDライトは、植物がグングン育つ性能のよいものや、インテリアとして活用しやすいデザイン性に優れたものなど、園芸好きには欠かせない存在となっています。
ただし使い方を誤ると、「光漏れ」という理由で近隣トラブルに発展するケースも…。

対策:タイマーで時間を調整するなど

日ごろから育成ライトを活用する方は、以下の点に気を付けることをおすすめします。

  • 自然な色合い(白っぽい、またはオレンジ)を発する育成ライトを選ぶ
    • 紫っぽい色合い(青+赤)のものは、近隣住戸から違和感を覚えられるリスクがある
  • 日没後はカーテンを閉める
  • タイマーで照度時間を調整し、必要以上に使わない
筆者

ちなみに自宅では、以下のリーベックス(Revex)のタイマーで照度時間を調整しています。

その他のトラブル(落ち葉&騒音)

その他にも植物の成長過程の中で、さまざまなトラブルが発生するリスクがあります。

筆者

数は多くないものの、実際にクレームに発展したケースをご紹介します。

  • 落ち葉によるトラブル
    • 落ち葉が隣接住戸に飛来することで、近隣トラブルに発展
      • 休眠期に葉を落とす「落葉樹」をいくつも育てている場合は、特に注意が必要
  • 騒音につながるトラブル
    • 大きく、葉が生い茂る植物をいくつも育てている場合、強風時に葉同士がこすれる音で近隣トラブルに発展

以下の対策を取っておくことで、トラブルの発展リスクを最小限に抑えられます。

落ち葉や騒音への対策
  • 定期的な清掃(落ち葉の回収)
    • 特に落葉樹が葉を落とすタイミングは、こまめに落ち葉を回収する
  • 定期的に剪定する
    • 枝葉を切り落とす(剪定する)ことで、植物が大きく成長し過ぎないようにする
筆者

ほどよい剪定は、植物周囲の風通しをよくするため、元気のよい状態を保つためにも有効的です。

ちなみに以下の記事では、植物が落葉する理由を解説しています
実は、「常緑樹」もずっと同じ葉を付けているわけではなく、定期的に葉を入れ替えている生き物。
ご興味があれば、あわせてお読みください。

近隣トラブルに発展させないためには

管理規約を確認し、ルールを守る

もっとも重要なのは管理規約を確認し、ルールを守ること。

住民が「管理規約」を理解しルールを守ることで、よりよい住環境が維持できます。

筆者

管理規約は取っつきにくい表現が使われていることもあるため、意味が読み取にくいことも…。
管理会社の問い合わせ先が分かるなら、マンション内のルールを確認してみるのもひとつの手段です!

近隣住民と積極的にコミュニケーションを図る

日ごろから近隣住民と積極的にコミュニケーションを図ることも、トラブルに発展させないための対策のひとつです

ただし「ご近所との交流は最小限にし、プライバシーを重視したい」と考える方が増えているのも事実。
最初は日常的なあいさつからはじめ、慣れてきたら以下のように声を掛けておくことで、お互いにストレスを溜めない共同生活をおくりやすくなります。

なにか気になる点があれば、遠慮なく言ってください!

近隣住民を含め、「トラブルは起こしたくない」と大多数の方が思っています。
たとえ不満が生じても、意見を伝え合える関係性があれば、深刻化する前に問題を解決できるでしょう。

近隣トラブルに発展してしまったら

マンション側(管理会社や管理組合)に相談する

文書や電話で注意喚起を促してくれる

マンション側(管理会社や管理組合)に相談することも、トラブルを解決するために有効な手段です。

必要に応じて、文書や電話などで注意喚起を促してもらえるでしょう。

ただし管理会社や管理組合は、個々人のトラブルを解決するための組織ではなく、共用部分を管理するための組織です。

個々人のトラブルの仲裁役としてどこまで介入してくれるかは、管理組合としての考え方や、管理会社の担当者の力量に大きく左右されます。

管理会社に相談する方法

管理会社がいる場合は、管理組合の窓口を管理会社が務めていることが多いため、まずは管理会社に相談しましょう。
管理会社に相談する場合、電話で問い合わせるのが一般的な方法です。

管理会社の連絡先(電話番号)を確認する方法
  • 管理員さんに聞いてみる
  • 周知文書や掲示板に「問い合わせ先」が記載されていないか確認する
  • 賃貸や売買時の不動産仲介会社に確認する
筆者

最近では、インターネットやアプリから管理会社に問い合わせできる仕組みも広がってきています。

管理組合に相談する方法

管理会社がいないマンション、または管理会社が要望通りの対応をしてくれない場合は、管理組合にも直接相談できます。
電話番号は分からないことが多いため、要望を記載した書面を郵便ポストに投函したり、直接訪問したりするのが一般的です。

管理組合の代表者(役員)を確認する方法
  • 管理員さんに聞いてみる
  • 理事会や総会の議事録を閲覧する
    • 一般的に管理室に保管されている
筆者

マンションによっては、掲示板や管理室に住民がお困りごとを書いて提出できる「要望書」を設けていることがあるため、利用してみるのも有効的です。

第三者機関に相談する

近隣トラブルは、第三者機関に相談することもできます

第三者機関
  • 行政(市区町村)の窓口
    • トラブルの解決方法の紹介、騒音計の貸与等
  • 民間の専門会社
    • 相談自体が有償なケースも…。
筆者

第三者機関に相談をしても、必ずしも円満な解決ができるわけではありませんが、最終手段として相談する価値はあるでしょう。

客観的な視点から、真摯に向き合う

近隣住民やマンション側から、なにか指摘された場合、まずは客観的に事実を受け止めることが重要です。

トラブルに対して真摯に向き合って対応していく必要があります。

どうしても自分自身を取りまく内容だと、主観的になり、客観的にものごとを判断できなくなっていることもあります。
ご友人や家族などに、状況を説明して、相談することも必要でしょう。

第三者の立場からであれば、冷静にものごとを考えることができるので、自分が想定していなかった方向に進み、問題解決ができるかもしれません。

無理な要求への対応

最終的には、個々人の問題は個々人で解決する必要がありますが、無理難題をいわれているのであれば、無理に応じる必要はありません。
毅然とした態度で、問題解決に取り組んでいくことが重要です。

あまりにも状況が改善しないままの場合は、転居することを検討してもよいかもしれません。

Q&A

筆者

また、エアコンの室外機の上に植木鉢を置くと、故障の原因にもなるため避けましょう。

まとめ

マンションは一戸建てと異なり、多様な価値観をもつ人びとが集まる、共同生活の場です。
そのため、所有者、居住者同士のルールを守ることが大切です。
特に園芸や植物に関するトラブルは、「水やり」や「害虫」、「植木鉢の置き場」など、思わぬところから生じることがあります。
マンションの共用部分には使用制限があるため、植木鉢を置く場合や屋外で植物を育てる際は、管理規約をよく確認し、ほかの居住者への配慮を欠かさないことが重要です。

たとえば、ベランダで育てる植物が避難経路を塞がないようにしたり、水やりの時間帯に注意したりすることで、トラブルを回避できるでしょう。
また、枯れた植物や園芸用土は放置せず、適切に処理することで害虫の発生を防げます。
さらに、共用部分の使用ルールや、近隣住戸への影響を考慮した行動を心がけることが、平和なマンション生活の鍵となるでしょう。

下記の記事は、おもに管理組合向けの記事ですが、マンションと商業施設の植栽維持管理について、書いています

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